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「ちびまる子ちゃん」で人気投票をしたらしい

 国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」(フジ系)が放送30周年を記念して、キャラクターの人気投票を実施し、19日放送分のスペシャルで発表したという。テレビを見ない生活を送り、かつ当日は仕事で夜に帰宅したので人気投票うんぬんて話は5chの芸スポ速報で知ったw

 原作者さくらももこさんの訃報から1年半がたとうとしている。過去に拙ブログでこういった記事を書いてきた私は、興味を持って30位まで発表されたランキングをチェックしてみた。

engeishamrock.hatenablog.com

engeishamrock.hatenablog.com

 んで、人気投票のランキングを書き出してみるとこうである。

1まる子
2たまちゃん
3大野くん
4ともぞう
5野口さん
6さきこ
7花輪くん
8城ケ崎さん
9笹山さん
10中野さん

11プサディ
12山田くん
13こたけ
14ヒデじい
15ヒロシ
16すみれ
17とし子ちゃん
18かよちゃん
19永沢君
20はまじ

21杉山くん
22長谷川健太
23佐々木のじいさん
23アマリリス
25みどりちゃん
25ビッキー
27穂波真太郎
28長山くん
29丸尾くん
30戸川先生
30永沢太郎

圏外藤木
圏外ひろしくん

 

 まる子の優勝は当然。たまちゃんの2位も納得で、このワンツーフィニッシュには全く異論がない。

 大野くんの銅メダルは順位が高すぎね? イケメンなのは分かるが、コンビを組む杉山くん(21位)との格差がえらく気になってなあ。

 個人的に衝撃だったのは丸尾くんの29位である。花輪くん(7位)とともに初期から登場したキャラとして「ちびまる子ちゃん」を国民的アニメに押し上げた功労者の一人であろうに。

 そりゃ好かれるキャラじゃないけど「男子対女子大戦争」での大活躍もあったし、なんだかだで人気投票は上位入りするものと思っていた。「眼鏡を外すとイケメン」という特徴もあるし。

 

 さくらももこによる「ちびまる子ちゃん」スピンオフ漫画「永沢君」の主人公を務めた永沢は19位。劇団ひとり主演で「永沢君」がドラマ化されるほど、中期以降登場のキャラでブレイクした永沢だが、個人的には19位は妥当な順位だとみているw

 そして「永沢君」で永沢の相方ポジを務めた卑怯キャラの藤木は圏外。なんだかだでランクインするでしょと思っていたのでこの結果は個人的に意外ではあるが、圏外として紹介はされたのでおいしいっちゃおいしいw 「3年奇面組」「ハイスクール!奇面組」の人気投票で常に下位か圏外だった潔くんに通じるものがあるな。

 

 しかしアニメを全然見ていないこともあって、ランクインしているキャラは知らないのが多かった。20年以上前に「トップランナー」(NHKテレビ)に出演したさくらは、お気に入りのキャラの1人に「前田さん」を挙げていた。その前田さんは、どうやら圏外のようである。

 さくらももこはあの世からこの人気投票を見届けて、どんな思いを抱いているだろうか。

野球漫画最高のファインプレー!!!『プレイボール』電子書籍版4巻

 世には星の数ほど野球漫画が描かれてきた。そのすべてを網羅しているわけではもちろんないが、ふと「野球漫画で一番のファインプレーて誰のだろう?」などと考えてしまった。少し考えたが、パッと頭に浮かんだプレーを吟味して決めた。

 まず試合についての説明だが、ちばあきお不朽の名作『プレイボール』(集英社)での墨谷×東都実業である。主人公の谷口タカオが1年生ながら、フォークボールの連投で強打の東実打線をキリキリ舞いさせるやつね。この試合自体が野球漫画史に残る壮絶な名勝負であるが、先を急いで私が選ぶ「野球漫画最高のファインプレー」が出た場面について説明する。

 

 試合は9回裏の墨谷の攻撃、ツーアウトながら満塁。スコアは東実12-10墨谷。9回表に、谷口の疲労に乗じた東実が一挙7点を追加して墨谷に10点差をつける。

 しかし試合前の猛特訓の成果で、プロ注目の東実エース・中尾の攻略に成功した墨谷打線はつるべ打ちで一挙8点をもぎ取った。「どういう試合だよ」とツッコむ御仁もいようがwその辺は現物を読んでもらいたい。

 そして9回裏、2点差に迫っての2死満塁。打席には2年生の3番山口。前の打席でライト線を破るタイムリ三塁打を放っており、いわゆる「当たっている」打者である。一打同点もありうる局面。最高の形で谷口につなごうと意気込む山口だったが、緊張でストレートのタイミングが合わず2ストライク1ボールと追い込まれる。

 ネクストバッターズサークルの谷口はタイムをかけ「このさい自分を落ち着かせた方が勝ちですからね」と山口に助言する。この試合で谷口は、ナインに「相手投手の呼吸を見て、自分も呼吸を合わせる」というリラックス作戦を伝授していた。打席を外して入念に中尾の呼吸を見た山口は、平静を取り戻して打席に戻る。

 東実バッテリーに遊び球はなし。とどめとばかりに放った中尾のストレートを乾坤一擲(けんこんいってき)と、山口はバットを振り抜く。

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ちばあきお『プレイボール』電子書籍版4巻112ページから)

 快音を残して打球はセンターバックスクリーン方向へ。東実のセンターが懸命に背走する。

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(同上113ページから)

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(同上114ページから)

 『プレイボール』電子書籍版4巻113ページの最後のコマから、そして114ページの1ページ分をまるまる使って東実センターのジャンピングキャッチが描かれている。ジャンプの際に「くそっ」と言っていることから、センターは一か八かの気持ちで捕球を試みたのだろうな。

 115ページでは墨谷、東実両ベンチの選手たちが打球の行方を見守っているのを2コマで描写。そして116ページでは審判が、うつ伏せに倒れ込んだセンターががっちり白球をグラブに収めているのを確認し、大ゴマでアウトを宣告している。試合終了となり、シード校東実は超無名の墨谷に苦しみ抜いて勝利した。

 改めて、東実センターの好捕は素晴らしいものがあるな。もし打球を抜かれたり、グラブにいったん収めてもこぼしていたりしたら、満塁の走者はすべてホームインした可能性が高い。谷口に回すまでに勝負が決したかもしれないのだ。

 敗戦が決まり、打順を回せなかったことを山口は谷口に泣いてわびる。しかし谷口はすがすがしい表情で「相手の守備がすばらしかった」と山口を励ますのだった。まあ山口の快打といい東実センターの好捕といい、まさに「打ちも打ったり、捕りも捕ったり」てやつかもしれない。

 

 それにしても東実センターのファインプレーを読み返すと、リアル甲子園でのあのプレーを思い出すな。2007年夏の選手権での佐賀北×帝京の一戦である。選手権の優勝経験(1995年)がある帝京優位で進んだこの試合、流れを変えたのは延長13回表の佐賀北センター・馬場崎のプレーだった。

 帝京エース・垣ケ原が放ったセンター越えの大飛球。これを馬場崎はフェンスにぶつかりながらキャッチし、観衆の大きな拍手を呼んだ。

 確か馬場崎本人が後のインタビューで言っていたと記憶しているが、センター越えの打球って左中間や右中間の打球より捕りにくいらしい。目線を切って打球を追わないといけない分、捕球が難しいのだとか。

 東実のセンターも、それだけ難易度の高いファインプレーをしたってわけやねw その裏、9番の馬場崎は先頭打者として三遊間を破るヒットを放ち、2番井手のサヨナラヒットで自らホームへ滑り込んでいる。

 攻撃の表裏の違いはあれど、勝利への貢献度については東実センターと佐賀北の馬場崎は重なるものが大きいと思う。そんなわけで、私は「野球漫画史上最高のファインプレー」に東実のセンターを推すものである。

 

 ちなみにこの東実のセンター、9回裏ノーアウト2・3塁の場面でもファインプレーを見せている。墨谷の6番・村松のセンター越えの大飛球。ここでも東実センターは、スタンドイン寸前の打球をキャッチしている。3塁ランナーの谷口がタッチアップを成功させたので、記録上は犠牲フライとなったが。

 東実センターは打順も3番を担っており、まごうかたなきチームの中心選手なのだが、名前が一切出ていないというねw いや、出そうぜと。もっとも東実で名前が出ている選手はエース中尾と1番サードの中井くらいであるが。

勝手に芸人を表彰!!ENGEI SHAMROCK AWARD2019

 あけましておめでとうございます。2020年も拙ブログをよろしくお願いします。

 そう書いておいて去年の話ですがw 恒例の「ENGEI SHAMROCK AWARD」を発表しようと思います。去年のうちにブログ名が変わりましたけど、AWARDのタイトルはそのままにします。過去3回のAWARD受賞者は以下の記事を参照に。

勝手に芸人を表彰!ENGEI SHAMROCK AWORD2016 - ENGEI-COMIC SHAMROCK

勝手に芸人を表彰!ENGEI SHAMROCK AWORD2017 - ENGEI-COMIC SHAMROCK

勝手に芸人を表彰!! ENGEI SHAMROCK AWARD 2018 - ENGEI-COMIC SHAMROCK

 それでは2019年の受賞者を発表します。今回はタイトル数を増やしました。

 MVP・新人王・殊勲賞・敢闘賞・技能賞・特別賞を選びます。相撲が混ざりましたねw それでは、改めて発表します。カッコ内は主な授賞理由。

 

MVP:サンドウィッチマン伊達みきお

(すぐトランプに電話する安倍首相のものまね)

新人王:ミルクボーイ

M-1グランプリ2019優勝)

殊勲賞:ミルクボーイ

(同上)

敢闘賞:はなしょー

(THE W2019準優勝)

技能賞:布施辰徳

安室奈美恵「TRY ME」を歌う五木ひろしのものまね)

特別賞:清水ただし日本共産党衆院議員〉

(元松竹芸人の経験を生かして吉本興業の闇営業問題を解説)

 

 MVPは2007年のM-1覇者でもある伊達が受賞しました。受賞理由の「安倍首相のものまね」については、拙ブログの読者にとってはもはや説明不要でしょう。なぜか年末は伊達の安倍首相ものまねを取り上げた記事のアクセス数がえらい上がっていました。

 もう少し伊達の安倍首相ものまねについて書いてみますと、風刺というか権力者をいじる笑いの力強さみたいなものを再認識させたと思います。伊達自身は安倍首相ものまねについて「学校の先生をいじるつもりで…」と特段の政治的な意図を持たないネタだと話していました。

 私は全くそれでかまわないと思います。ウケるから権力者をネタにする。芸人にとってウケることは最大の幸せ。自分は安倍政権の支持者だけど、ネタにするとウケるから首相をジャンジャンいじります!て芸人がどんどん出てもいいと思うのよね。今後、芸人が権力者の風刺ネタに挑戦しようってとき、伊達の安倍首相ものまねは格好の「教科書」だと私は推薦します。

 

 新人王、そして新たに設けた殊勲賞はM-1グランプリ2019覇者ミルクボーイのW受賞と相成りました。実はM-1優勝者がAWARDの各賞を受賞するのは、彼らが初めてです。だからどうってわけでもありませんがw

 M-1史上最高得点という記録がフィーチャーされましたが、あのコーンフレークのネタで感心したのはやりとりする言葉の強度ですね。ブラッシュアップしまくったんやろうなと感じました。野球の投手に例えれば高校時代の江川卓のようなすごみがありましたよ。まあ私にとって高校時代の江川って生まれる前の話ですけどw

 ボケの駒場は数年前まで先輩に飲みに連れてもらう生活を続けていましたが、ツッコミの内海とネタを磨き上げるために先輩の誘いを断るようになります。その先輩は駒場の結婚披露宴には出席しなかったと。一方でアドバイスを送る先輩は増え、駒場は「こんな話を先輩としたかった」とこぼしたとか。まあ今となっては有名な逸話ですが、そうした過去を経てM-1優勝の偉業をつかんだという点で、ミルクボーイは応援したくなる漫才師ですね。

 

 敢闘賞はTHE W2019準優勝の、はなしょー。惜しくも3時のヒロインに敗れましたが、ファーストステージBブロックでおかずクラブ、前回優勝の阿佐ヶ谷姉妹、つぼみ大革命、そして紺野ぶるまを立て続けに破る4連勝には鬼気迫るものを感じました。

 拙ブログでも書きましたが、彼女たちのコントは演者の熱量で笑いをもぎ取っていくストロングスタイル。現在の漫才やコントって奇抜な設定やひねった展開で感心させつつ笑わせる…みたいなタイプのネタが主流だと私はみていますが、はなしょーみたいな直球勝負の芸人がもっと増えてほしいと思っています。まあミルクボーイのM-1優勝で、直球勝負の強みは多くの人に認識されたて感じですが、今年のKOCは、はなしょーには3時のヒロインとともに初の女性だけの組でのファイナリストを期待します。

 

 技能賞に選んだのは、今年でキャリア28年を誇るものまね芸人の布施。正統派の歌まね芸人として確固とした地位を築いてきた彼が、昨年末のものまね王座決定戦で「安室奈美恵の『TRY ME』を歌う五木ひろし」をまねたのはちょっとした衝撃でした。この切り札中の切り札と言ってもいいネタを布施は王座準決勝で披露し、同じ正統派実力者のみはるに勝利。その勢いで決勝戦では優勝のダブルネーム、ミラクルひかるに次ぐ3位と大ベテランの存在感を示しました。

 しかし「安室を歌う五木」てのは非常にネットでウケるタイプのネタですね。昨年還暦を迎えた布施にとって、60歳代の代表ネタと言えるかもしれません。まあ「営業であれやってください!」てオファーは殺到でしょうな。

 

 特別賞は昨年4月、宮本岳志氏の衆院大阪12区補選立候補により2年ぶりに衆院議員に返り咲いた清水ただし氏。元松竹芸能所属で同期はオセロ、特技はバナナのたたき売りという異色の国会議員です。

 さすがにすっかり忘れている人はいないでしょうが、昨年は吉本芸人を主とした闇営業が大問題となりました。7月には雨上がり決死隊宮迫博之ロンドンブーツ1号2号田村亮の会見、そして吉本興業の岡本邦彦社長の会見がマスコミをにぎわしましたが、現在はパッタリと報道がやんでしまいました。お笑い評論家のすがやしのぶ氏はじめ、ネット上で著名なお笑いフリークの諸氏はこぞってスルーしている感さえあります。

 清水氏は、元芸人という立場を踏まえて昨年8月5日付「しんぶん赤旗」で闇営業問題を論じています。その記事の文字起こしは清水氏のサイトで紹介されています。

www.shimizu-tadashi.jp

 清水氏のインタビュー記事では、闇営業の問題点がすべて整理されていると思います。そして、それらの問題点は今日まで解決していません。それどころか、吉本芸人には「交通費が支給されなくなった」て新たな問題も出てきましたね。2020年は、清水氏が提起した問題点を多くのお笑い好きの皆さんが改めて共有して、お笑い文化発展のとっかかりとなる年になればと切に願います。

 

 てわけで「ENGEI SHAMROCK AWARD2019」の発表を終わります。何だか年の初めから濃い話をしたようで恐縮ですがw改めて本年もよろしくお願いします。

M-1グランプリ2019決勝戦予想

 いま準決勝敗退者による敗者復活戦が行われている最中のようで。取り急ぎ、今夜のM-1勝戦の結果予想をしておきたい。ちなみにファイナリストの発表があったときに書いたブログ記事がこちら。

◆ファーストステージ予想

1位 からし蓮根 660

2位 かまいたち 655

3位 オズワルド 645

4位 和牛(敗者復活) 640

5位 インディアンス 635

6位 見取り図 630

7位 ミルクボーイ 625

8位 ぺこぱ 615

9位 ニューヨーク 605 

10位 すゑひろがりず 600

 

※数字は得点。すゑひろがりずは大ウケするけど点数伸びずと予想。ニューヨークは歌ネタをやると5chのスレでは予想されている。歌ネタは基本この大会では伸びないので9位。非吉本ファイナリストは新M-1以降、あまり上位に食い込む実績がないこととボケの松陰寺が緊張しそうなイメージがあるのでwぺこぱは8位に。

 下位3組は結構簡単に予想できたが、上位に誰が来るかはちょっと難しい。敗者復活は和牛で鉄板とみるが、今回は最終決戦に進めず涙をのむパターンだと思う。

 若くてボケツッコミに強度があると評判のからし、オズワルドが団子から抜けるんじゃないかな。からし読売テレビの漫才大賞受賞者で、この大会は塙宣之オール巨人が審査員をしている。これを今回のM-1でマイナスにみる向きもあろうが、私は両者ともからしを「成長した」と評価して高得点をつけるのではと思う。そして決勝3年目にして、かまいたちが悲願の最終決戦にすべり込むと予想。

 

◆最終決戦

上沼恵美子 からし蓮根

松本人志  かまいたち

富澤たけし かまいたち

立川志らく オズワルド

塙宣之   かまいたち

中川家礼二 かまいたち

オール巨人 からし蓮根

 

優勝:かまいたち

 

※私の予想通りに上位3組が決まったとして、審査員7人がどの組に入れるかを考えてみた。上沼と巨人はからしで堅いとみている。しかし票が集まるのはこの場合、かまいたちだろうな。ラストイヤーだからってわけでなく、彼らが最終決戦に進んだ場合は「UFJ」という強いネタをやるだろうと5chスレでは言われている。3年連続で決勝の土を踏んだ強みも生かして、かまいたちは史上初、キングオブコントとの2冠を果たすのではないだろうか。

 まあ予想としてはこんなもんで。ぜひとも決勝では、10組とも全力を出し切ってほしい限りである。

THE W2019決勝戦レビュー

 女性芸人の日本一を決める「THE W2019」の決勝戦が12月9日、日本テレビ系で生中継され、結成3年目のトリオ「3時のヒロイン」が優勝を果たした。

 拙ブログで今大会の優勝者を予想した記事で、私は3時のヒロインを推した。これで第1回大会のゆりやんレトリィバァ、第2回大会の阿佐ヶ谷姉妹に続いて3連続の優勝者的中である。誰か褒めていただきたいw

 

 それでは決勝戦のレビューをしていこう。今大会から対戦ルールが一新し、初めてプロの審査員制度が導入された。

 6人のプロ審査員(久本雅美、ヒロミ、アンガールズ田中卓志清水ミチコ笑い飯哲夫、ハイヒールリンゴ)と視聴者投票をもとにタイマン形式で勝敗を決するスタイルになったが、レビューでは私が独自に100点満点で各ファイナリストのネタを採点したのでそれを記しておく。

 

◆Aブロック

そのこ 86

にぼしいわし 88

123☆45 87

ハルカラ 90

3時のヒロイン 91

 

【そのこ】

 陸上自衛隊に16年在籍し、芸人デビューわずか半年でTHE W決勝の場を射止めた異色の芸人・そのこ。ネタは電車アナウンスにちなんだネタで、わりかしオーソドックスタイプか。

 新幹線の英語アナウンスでセクシーになるネタは、私も日帰り出張でよく新幹線を利用する身として笑えた。南国美女という感じのする、そのこのエキゾチックな風貌によく合ったネタだと思う。ただほかのネタは俺ははまらなかったな。東京を離れて久しいので、東京駅のアナウンスがもはやピンと来ないw あと黒柳徹子やタラちゃんのものまねも、そんな似ていなかったのが残念だった。

 

【にぼしいわし】

 私が今大会の台風の目に推していたのが、ゆりやんと同期のにぼしいわし。M-1グランプリ2019では準々決勝に進出し、その勢いに期待したのだが、どうもTHE Wの決勝戦ではM-1予選で評判の良かったネタをしなかったもよう。

 とはいえ、にぼしの「これは上の歯の仮面をかぶった下の歯で…」「もっとしっかり見てくれよ~フッ素がはがれるまでよ~」のボケの繰り返しには、あまりのしつこさに根負けする形で笑わせてもらった。この手のしつこさは、審査員の哲夫が属する笑い飯や千鳥に通じるものがある。むしろいわしのツッコミが弱かったと思う。もっと尖ったワードで突っ込むタイプかと勝手に思っていた。「あったかい牛乳入れたるから」あたりでセンスを出そうとしていたのかな。

 

【123☆45】

 かつてはM-1王者サンドウィッチマンと同じ事務所に属していた女性漫才コンビ。THE W2018の、あぁ~しらきに触発されw遠距離のハンデを乗り越えて決勝の舞台に躍り出た。

 岩手県野田村在住のイズミが方言を駆使して地方あるあるを語るほのぼの系の漫才…と思いきや、まさかのメタ展開に。「田舎=純朴」というイメージを逆手に取ったスタイルは、田舎出身の私にとっては「分かる分かる」と刺さるものがあったが、イズミがメタボケをやりだすとヨーコの都会的なツッコミの弱さが同時に出てきたな~て感じ。この辺は遠距離でネタ合わせした弊害が出たように見えて、もったいなかったかな。

 

ハルカラ

 女性の日常生活を切り取ったコントに定評のあるケイダッシュ所属のコンビ。メンバーの和泉はキングオブコント2018王者ハナコ・菊田の妻で、夫婦でのチャンピオンが期待されていた。

 実は私はハルカラのコントは初見。実際に見てみると、公園で出会ったママ2人のスレ違いを鋭く描写したコントで、アンジャッシュをほうふつとさせるものがあった。夫の不倫で離婚した浜名の発言一つ一つにおびえる年下ママの和泉。くっきりした瞳をパタパタまばたきさせ、大きな口をひきつらせる演技はコントの面白みを引き立たせた。

 

3時のヒロイン

 さて私が優勝者予想で推したトリオが登場。リーダーでツッコミの福田が「朝ドラのヒロインになりたい」というフリでトリオ漫才を行った。

 ネタは朝ドラあるあるにアメドラあるあるを混ぜていく展開。題材そのものは既視感がある。朝ドラネタだと解散したコンビだけどアロハとか、アメドラだと友近ゆりやんとか。しかし3時のヒロインは、ツッコミの福田の両脇のゆめっち、かなでに自由にボケさせるストロングスタイル。その手法に新鮮さを感じた。トリオ漫才でパッと思い浮かぶのは我が家や四千頭身だけど、彼らの漫才のボケは基本ローテンションだし。両脇のボケも手数だけでなく打率が高い印象。「溶けた鉄」は右中間を真っ二つに割るキレイな長打だったな。

 

◆Bブロック

おかずクラブ 85

はなしょー 92

阿佐ヶ谷姉妹 89

つぼみ大革命 90

紺野ぶるま 86

 

おかずクラブ

 まず「紐パン屋」の設定よw サングラスのゆいPがだるそうなトーンで「紐パンあるよ~」と声かけする姿に「こういうオッサンいるなあ」と共感してしまい、うっかり「紐パン屋」が実在するような錯覚に陥りましたw

 飛躍した作品世界にニヤニヤしながらコントを見ていたが、そのニヤニヤ以上の笑いがその後は出てこなかった感じだ。八王子はいい町だしw ただオカリナが「石原さとみを騙って紐パン100枚売る」という展開、後からすげえジワジワ来たわ。石原サイドにとっては風評被害以外の何物でもねえしw オチで「なぜオカリナが紐パンに固執したのか」という謎も回収したし、悪いネタではないが賞レース向きでは断じてないw

 

【はなしょー】

 今大会唯一の2年ぶり2回目、返り咲きの決勝進出。第1回大会では敬愛するニッチェに敗れたはなしょーだったが、まさにリベンジと呼ぶにふさわしい嫁姑コントだった。

 作品そのものの完成度については、決して高い方ではないと思う。ハンバーグからナイフが出てくるくだりは、少々強引ではあった。それを補って余りあったのは、姑役のはなのたぎった演技。「詰んだじゃーん」「戦うしかねえ」もそうだし、全力で土下座とかね。演者の熱量で泥臭く笑いをもぎ取るコントで、ほかにはザ・マミィの「松ノ門」も同タイプの作品と思う。はなの熱演で「豆腐の中に小型爆弾」のナンセンスな展開もすんなり入り込めた。嫁役のしょう子も(一見)気弱な女性の演技にリアリティーがあって、はなのボケを引き立たせていたなあ。

 

阿佐ヶ谷姉妹

 ディフェンディング王者の登場。リベンジに燃えるはなしょーに、妹の美穂さんがセーラー服姿で登場するという「学園コント」で迎え撃った。

 教師役の姉・江里子さんが盛大に噛んでいたw このコンビは去年の1本目も美穂さんがおもくそ噛んでいたな。ただ俺、最初美穂さんが「インフルエンザの娘の代わり」でセーラー服着てきたって設定が頭にすんなり入ってこなかった。子どもが息子か娘か、どっちやねんと迷ったのがある。それでも「他人の肩を借りて下足を履く」などボケの打率は高く、安定した作品。欅坂を踊りこなすクライマックスはさすがという感じだが、なぜかボーカルが下手だったな。歌うま芸人阿佐ヶ谷姉妹なのに。秋元に気を使ったのだろうかw

 

【つぼみ大革命】

 私が事前にBブロック勝者に予想していた9人組のアイドルグループ。VTRで応援コメントしていたブラックマヨネーズ小杉の髪形が、手塚治虫ブラック・ジャック」に出てくる可児先生に似ていて笑ったw

 既にネットニュースで「パクリ疑惑」のわいた美容室コント。作者はかつてグループに在籍した3時のヒロイン福田で、本人はtwitterで否定している。次々と担当者が変わる展開は「なるほどね」という印象だったが、通り過ぎながらマッサージをする店員のくだりは笑えた。個人的に、あそこからコントの軌道が乗った感じがする。ドライヤーのくだりに匹敵する、大人数を生かしてお客がもみくちゃにされるタイプのボケがもう一つ欲しかったかな。

 

紺野ぶるま

 ファイナリストで唯一の、初回から3年連続の決勝進出。ひとりコント師としての実力は既に認められており、結婚もした。今大会の大トリにふさわしい活躍で、すっきりとタイトルを取りたかったが…。

 卒業生を前に「働かずに暮らしたい」という願いとともに愚痴をこぼしだす教師。この着眼点は悪くなかったと思うんだよ。現代の教職員は過重労働が問題になっているからね。変型時間労働制の導入を巡る問題とか。そういうエッセンスをさらりと入れれば、教師の訴えが切実なものとして笑いに転化できたんじゃないかなあ。しかし紺野は心がポッキリ折れていたね。賞レース決勝であそこまで噴き出し笑いをするのも珍しいよ。

 

◆ファイナルステージ

はなしょー 91

3時のヒロイン 92

 

【はなしょー】

 Bブロックで怒涛の4連勝を果たし、勢いに乗るはなしょー。最終決戦の舞台は幼稚園で、はなは園児、しょう子は恋人に浮気された先生を演じる。しかししょう子は薄幸の役が多いなw よく似合うし。

 先ほどはハイテンションの姑を演じたはな。今度は幼稚園児役でさらに輪をかけたハイテンションの演技を見せるのかと思いきや一転、傷心のしょう子先生の異変を察して戸惑い、プレシオサウルスのおもちゃを駆使して激励する思慮深い子どもを演じてみせた。その演じ分けぶりは、若手コント師の中ではトップレベルではなかろうか。この幼稚園コントをもって、はなしょーという女性コンビのポテンシャルを思い知った次第だ。あと「トミオは俺のホットワードなんだよ!」も面白かった。

 

3時のヒロイン

 Aブロックをトリオ漫才で勝ち抜いた3時のヒロイン。今度は、はなしょーとがっぷり四つのコント対決に臨んだ。

 コントの大枠は、福田の恋人がゆめっちに浮気されてしまうという修羅場を描いたもの。ちょっとはなしょーと被るw 舞台のバックにはジュリア・マイケルズの「Uh-Huh」が流れ、サビの「アッハー」でゆめっちとかなでが踊り出す直球のナンセンスコントだ。この選曲は絶妙だと思う。曲のサビ前までは不穏なギターのメロディーが強調されていて、修羅場のシーンにピッタリなのよ。ピッタリと言うのもおかしいけどw 大サビでゆめっちのヘッドバンキングとかなでのダンスのコラボが決まったあたりが、勝負の決定打となったと思う。

 

 3時のヒロインの優勝で幕を閉じた「THE W」だが、この第3回大会について「レベルが一昨年、去年より上がった」という声がネット上で多く見られた。まあ第一に出場者の研鑽(けんさん)の結果だと思うが、俺は昨年まで副音声で参加した松本人志が今年は撤退したのが大きいとみている。

 松本はかつて、約30年前の自著で「女はお笑いに向かない」などとしたり顔で女性差別を公言していた人物。昨年の大会では「かなわない女芸人は?」と聞かれて「枕営業をする女芸人」などとほざいていた。女性芸人への侮蔑だ。

 こうも30年にわたって女性差別をまき散らした人物が去年一昨年と副音声を担当していて、今年はいなくなった。決勝のレベルが上がったと思うのは、松本がいなくなったのが大きいと私は考える。松本の一つ一つの発言のせいで、女性芸人のレベルが不当に貶められていたんじゃないかな。てわけで「THE W」は、来年以降も松本のような人物を排除しながら大会を続けてほしい。

M-1グランプリ2019ファイナリスト出そろう

 いつの間にやら、M-1グランプリ2019の準決勝が行われ、決勝進出の9組が発表されていた。公式サイトの発表はこちら

 ファイナリストの面々をエントリーナンバー順に並べると、以下の通り。

 

からし蓮根
ミルクボーイ
ぺこぱ
オズワルド
すゑひろがりず
ニューヨーク
インディアンス
見取り図
かまいたち

 

 まず驚かされたのは和牛の敗退である。個人的には、決勝常連の和牛、ミキ、かまいたちの3組のどれか1組は準決勝で落ちるとみていた。中でも和牛は「まあ通るでしょ」くらいに思っていた。ふたを開ければかまいたちが3年連続で決勝へ駆け上がり、和牛とミキの2組が振り落とされたというね。

 予選の動画を一切見てこなかった私にとって、全くネタを見たことがないファイナリストはミルクボーイ、ぺこぱ、オズワルド。旧M-1にも出場実績のあるミルクボーイは、5chのM-1スレで決勝進出が有力視されていたダークホースである。

 ぺこぱは「おもしろ荘」優勝の実績があるが私は未見で、深夜番組「お願い!ランキング」(朝日系)の街レポで忍者の格好した小柄な兄ちゃんがうるさいハンドアクションをしていた印象しかないw オズワルドに至っては、ツッコミが若き演技派女優・伊藤沙莉の兄という情報しか知らなかった。この3組がどれだけ大暴れするか、今から楽しみである。

 

 もっとも驚いたのは、すゑひろがりずの決勝進出だ。彼らのネタを見たのは数年前、今はなき「ぷっ『すま』」(朝日系)である。

 当時の彼らのコンビ名は「みなみのしま」だった。SMAP(当時)の草彅剛やユースケ・サンタマリアの前で彼らが披露したのは、草彅と大熊アナウンサーのBLというw

 草彅と大熊さんが愛し合っている様子を、小道具の鼓を駆使して「つよ『ポン』」「つよ『ポン』」と表現する。その一部始終をユースケがクローゼットwから見ていたという設定で、ネタはこの一言で締める。

「ユースケのサンタマリア号が静かに出航した…」

 

 以上の文を書いたところで面白さは何一つ伝わらないと思うw しかしリアルタイムで見た私はゲラッゲラ笑わせてもらった。と同時に、このコンビが賞レースで評価されるのは困難だろうなとも思っていた。

 そんな彼らがすゑひろがりずとコンビ名を変え、漫才コンテストの頂点たるM-1決勝の舞台に立つなんてのは感慨深い以外の何物でもない。彼らのような芸風のコンビは決勝に勝ち残っただけでもすごいのだから、結果を気にせず持てる力を出し切ることだけに集中してほしい。

 とりあえず、ファイナリストが決まった丑三つ時に書く記事としてはこんなもんですw

新沢基栄『ハイスクール!奇面組』6巻

 私が小学時代にハマっていた漫画の一つ『ハイスクール!奇面組』(集英社)6巻をレビューする。『週刊少年ジャンプ』1983年夏の時期に連載していた作品群を収録。臨海学校シリーズや、一堂家のペット・ラッシー初登場回などが収められている。

 個人的に印象深いのは、夏休みを利用して一堂零の祖父(母方の父親)・善院清列の家へ零くん一家が奇面組ともども遊びに行く回である。舞台は山有県川有市谷有村

 零くんのいとこ・善院秀吾(秀ちゃん)いわく、この村はひどく情報が遅れているという。また谷有村は物価が非常に安い。村の流行としてピンクレディー「UFO」の振り付けを嬉々として行う秀ちゃん、そして「1本5円」のアイスキャンデーに奇面組が翻弄(ほんろう)されるのは見どころだ。

 とりわけインパクトがあるのは農集電話の登場である。

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(「ハイスクール奇面組」6巻122ページから)

  繰り返すが、俺はリアルタイムで読んだとき小学低学年だったけど、この「電話機の横のバーをぐるぐる回す」「交換手にかけたい相手の電話番号を告げる」という行為自体が衝撃的だったよ。スマホが当たり前の若い世代にとっては、画像の電話機のフォルム自体が「何これ」て感じだろうな。

 農集電話について説明したページはこちら。1964年に導入した制度らしい。「奇面組」で取り上げるより約20年前の話だな。もっと古いかと思った。画像のコマ外の説明文から察するに、作者の新沢(1958年生まれ、新潟県柏崎市出身)が幼い頃に見聞きした経験をもとに農集電話が描かれたんだろうな。

 全くしょうもない話だが、もし谷有村が実在したとして、現在のネット環境はどうなっているだろうなと思った。1983年当時で約20年前の農集電話を使っているのだから、今年あたりWindows95のパソコンが入荷されて村じゅう大騒ぎじゃないのとかね。私自身が列車も通っていない田舎で生まれ育ったこともあり、この谷有村の回は印象深いものがある。

 

 話は変わるが、この巻をひさびさに読み返してみると二頭身の豪くんがかわいいことに気づいた。てか、リアルタイムで臨海学校の回でビキニ姿の伊狩増代先生に「年を考えろ年を!」と毒づいていた二頭身の豪くんを俺が「かわいい」と言っていたことを思い出したw

 とりわけ6巻でかわいい豪くんの画像はこれかな。サイコキネシスを操る少女・不思木サイコ(モデルは「時をかける少女」の原田知世)が登場した回。

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(「ハイスクール奇面組」6巻150ページから)

 こう見てみると豪くんはシンプルなルックスだよな。五分刈り、狭い額、太い眉毛、どんぐりまなこ。奇面組の中では一番「こういう人いるよね」と思わせる見た目と言える。だからこそ、二頭身になったときはギャップでかわいさが引き立つのかなと考えてみたのだが、どうだろう。

 

 あと6巻のラストに収録した「熱血!幻のクリアの巻」はハイジャンパー・亜切須美衣奈(腕組・亜切須健の姉)が登場。彼女は正面跳びの選手で、背面跳びを「邪道」と言っている。

 連載当時、背面跳びのスタイルてのは生まれて15年くらいのものだったみたいね。しかし今や走り高跳びの競技大会では背面跳びが圧倒的な主流。学校の授業で教えられるのははさみ跳びやベリーロールらしい。

 作中で美衣奈が「伝統ある」と誇りにしていた正面跳びは、もはや過去のスタイルなわけだ。逆に言えば現在、走り高跳びで「正面跳び」というスタイルがあることを知るすべは、ひょっとして「奇面組」6巻くらいしかなかったりしてw そういう意味で「奇面組」6巻は資料的価値があるのかもしれない。←?