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新沢基栄『ハイスクール!奇面組』6巻

 私が小学時代にハマっていた漫画の一つ『ハイスクール!奇面組』(集英社)6巻をレビューする。『週刊少年ジャンプ』1983年夏の時期に連載していた作品群を収録。臨海学校シリーズや、一堂家のペット・ラッシー初登場回などが収められている。

 個人的に印象深いのは、夏休みを利用して一堂零の祖父(母方の父親)・善院清列の家へ零くん一家が奇面組ともども遊びに行く回である。舞台は山有県川有市谷有村

 零くんのいとこ・善院秀吾(秀ちゃん)いわく、この村はひどく情報が遅れているという。また谷有村は物価が非常に安い。村の流行としてピンクレディー「UFO」の振り付けを嬉々として行う秀ちゃん、そして「1本5円」のアイスキャンデーに奇面組が翻弄(ほんろう)されるのは見どころだ。

 とりわけインパクトがあるのは農集電話の登場である。

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(「ハイスクール奇面組」6巻122ページから)

  繰り返すが、俺はリアルタイムで読んだとき小学低学年だったけど、この「電話機の横のバーをぐるぐる回す」「交換手にかけたい相手の電話番号を告げる」という行為自体が衝撃的だったよ。スマホが当たり前の若い世代にとっては、画像の電話機のフォルム自体が「何これ」て感じだろうな。

 農集電話について説明したページはこちら。1964年に導入した制度らしい。「奇面組」で取り上げるより約20年前の話だな。もっと古いかと思った。画像のコマ外の説明文から察するに、作者の新沢(1958年生まれ、新潟県柏崎市出身)が幼い頃に見聞きした経験をもとに農集電話が描かれたんだろうな。

 全くしょうもない話だが、もし谷有村が実在したとして、現在のネット環境はどうなっているだろうなと思った。1983年当時で約20年前の農集電話を使っているのだから、今年あたりWindows95のパソコンが入荷されて村じゅう大騒ぎじゃないのとかね。私自身が列車も通っていない田舎で生まれ育ったこともあり、この谷有村の回は印象深いものがある。

 

 話は変わるが、この巻をひさびさに読み返してみると二頭身の豪くんがかわいいことに気づいた。てか、リアルタイムで臨海学校の回でビキニ姿の伊狩増代先生に「年を考えろ年を!」と毒づいていた二頭身の豪くんを俺が「かわいい」と言っていたことを思い出したw

 とりわけ6巻でかわいい豪くんの画像はこれかな。サイコキネシスを操る少女・不思木サイコ(モデルは「時をかける少女」の原田知世)が登場した回。

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(「ハイスクール奇面組」6巻150ページから)

 こう見てみると豪くんはシンプルなルックスだよな。五分刈り、狭い額、太い眉毛、どんぐりまなこ。奇面組の中では一番「こういう人いるよね」と思わせる見た目と言える。だからこそ、二頭身になったときはギャップでかわいさが引き立つのかなと考えてみたのだが、どうだろう。

 

 あと6巻のラストに収録した「熱血!幻のクリアの巻」はハイジャンパー・亜切須美衣奈(腕組・亜切須健の姉)が登場。彼女は正面跳びの選手で、背面跳びを「邪道」と言っている。

 連載当時、背面跳びのスタイルてのは生まれて15年くらいのものだったみたいね。しかし今や走り高跳びの競技大会では背面跳びが圧倒的な主流。学校の授業で教えられるのははさみ跳びやベリーロールらしい。

 作中で美衣奈が「伝統ある」と誇りにしていた正面跳びは、もはや過去のスタイルなわけだ。逆に言えば現在、走り高跳びで「正面跳び」というスタイルがあることを知るすべは、ひょっとして「奇面組」6巻くらいしかなかったりしてw そういう意味で「奇面組」6巻は資料的価値があるのかもしれない。←?