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「セクシー田中さん」と日テレバラエティー

 第1報に接したときは心臓がはね上がる感覚を覚えた。

 「こんなことがあっていいのか」と思ってしまった。

 漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった。私より少し年上の50歳。自殺とみられている。

 つい昨年の12月まで、芦原氏の原作作品の「セクシー田中さん」が実写ドラマで放送されていた。つい数日前まで、芦原氏とドラマ脚本を担当した相沢友子氏の間でやりとりが交わされたことは既に報じられている。

 私は「セクシー田中さん」の原作本を4巻まで読んでいたが、続巻を読むのを中断していた。(この作品は、完結してから読むのが良いだろう)と考えていたからだ。主人公の田中さんはじめ各キャラの人物描写が濃密で、連載中に読むと各キャラに感情移入しまくって疲れるという判断をしたのだ。

 「セクシー田中さん」の結末は、もう読めなくなった。ひたすら残念である。ドラマを制作した日本テレビは、速やかに第三者の協力も得て真相究明に取り組み、その結果を記者会見で洗いざらい報告してほしい。

 

 日テレが制作局ということで、過去のバラエティー番組のことを想起せざるを得なかった。「電波少年シリーズ」と「ウリナリ」である。

 どちらも土屋敏男プロデューサーの担当。電波少年シリーズは「拉致・監禁」の演出にみられるように若手芸人や若手俳優、若手ミュージシャンをおもちゃのように扱い、人権を蹂躙(じゅうりん)するのが常套手段であった。

 電波少年シリーズの「代表作」の一つは、なすびの懸賞生活だろう。裸一貫でアパートの部屋に軟禁され、せっせと懸賞はがきを申し込む日々は昨年、イギリスでドキュメンタリー映画として発表された。観客にはショックを受けた者もいると報じられている基本的人権を侵害している、そう受け取る人が多数いたのだろう。それは当然のことである。

 翻って「ウリナリ」。番組の目玉の一つが、ポケットビスケッツブラックビスケッツの対決であった。

 ここでもポケビの千秋が、当時の実情を暴露している。プロデューサーが対決を盛り上げるため、千秋に「ビビアンが千秋を嫌っている」という趣旨の嘘を吹聴したという。プロデューサーとは、おそらく土屋氏だろう。それをきっかけに、千秋はもともと仲の良かったビビアンと当時は疎遠になったと語っていた。

 

 「セクシー田中さん」も、原作者の芦原氏と脚本家の相沢氏との間を調整するプロデューサーが、その役割を果たしていなかったとの推測も上がっている。バラエティー班とドラマ班の違いは当然ある。意図的に演者同士の不仲を引き起こした土屋氏と今回の「セクシー田中さん」の件を同列に語るべきではないという向きもあろうが、私は「電波少年シリーズ」「ウリナリ」で温存されてきたバラエティー班の悪しき風潮と、ドラマ班の今回の取り返しのつかない歴史的な失態が地続きのような気がしてならない。

 繰り返しになるが、日テレは早急に記者会見を開くべきだと思う。芦原氏と遺族への謝罪と、なぜこの事態に至ったかの真相究明に全力を尽くし、再発防止に努めることを約束してほしい。

お笑い界に革命を!史上最強のアマチュア変ホ長調が挑むTHE W2023決勝!!!

 現代日本において、お笑い界でメジャーと言われる4大賞レースがあります。春のR-1グランプリ、秋のキングオブコント、そして冬のTHE W、M-1グランプリ

 もうすぐ、週末の土曜12月9日夜にて第7回の女性芸人日本一を決めるTHE W2023の決勝戦が開かれます。出場者およびブロック戦の組み合わせは以下の通りです。()内は出場回数、所属事務所などの備考です。

◆Aブロック

まいあんつ(初出場、ワタナベエンターテインメント)

はるかぜに告ぐ(初出場、よしもとクリエイティブエージェンシー)

スパイク(3年連続3回目、よしもとクリエイティブエージェンシー)

やす子(初出場、ソニーミュージックアーティスツ)

◆Bブロック

ハイツ友の会(初出場、よしもとクリエイティブエージェンシー)

紅しょうが(第4回準優勝、4年連続5回目、よしもとクリエイティブエージェンシー)

変ホ長調(初出場、アマチュア)

梵天(初出場、太田プロ)

◆Cブロック

ゆりやんレトリィバァ(第1回優勝者、R-1グランプリ2021優勝者、3年ぶり4回目、よしもとクリエイティブエージェンシー)

あぁ~しらき(5年ぶり2回目、グレープカンパニー)

ぼる塾(3年ぶり2回目、よしもとクリエイティブエージェンシー)

エルフ(2年連続2回目、よしもとクリエイティブエージェンシー)

 初出場6組、連続出場3組、返り咲き3組(ぼる塾は4人体制では初出場)という、今大会のTHE Wは結構バランスの取れた選出となった印象です。しかし私は、そのバランスを無視してある1組に注目をせざるを得ません。

 その名は変ホ長調。漫才日本一を決めるM-1グランプリの2006年大会にて、現在に至るまで唯一アマチュアでの決勝進出を果たした「史上最強のアマチュアと称される女性2人組です。

 Wの決勝進出者が発表されて以降、私は思い立ってはAmazon Prime VideoにログインしてM-1・2006年大会の番組動画を見返しています。われながらやべーなw

 番組動画の冒頭では、3年ぶりの王座戴冠を目指すフットボールアワー変ホ長調が並んで座り、インタビューを受けている貴重なシーンを見られます。フットと言えば、ツッコミ担当の後藤輝基がほかならぬTHE Wの総合司会を今年も担当します。もし変ホ長調の登場時、後藤が彼女らに「久しぶりやないですか!」と声をかけようものなら、それだけで今年のお笑い界を振り返る名シーンの1つに数えられるでしょう。

 司会の後藤に限りません。THE Wの審査員は昨年のメンバー6人全員が続投と発表。笑い飯哲夫、麒麟川島明は2006年M-1変ホ長調、そしてフットとともに決勝をたたかった間柄です(2006年大会はフット準優勝、麒麟3位、笑い飯4位)。期せずして局をテレビ朝日から日本テレビにまたいでM-1・2006の同窓会が行われるわけで、普段THE Wに興味を示さないお笑い好きの層も、この日の放送に無関心ではいられないでしょう。

 さてここで、変ホ長調がお笑い界の歴史に足を踏み入れたM-1・2006のたたかいを振り返ります。決勝ファーストラウンド、変ホ長調はこの日大爆発を起こしたチュートリアルの後の7番目にネタを披露。当時流行語にもなった「負け犬」をキーワードに、司会の今田耕司いわく「喫茶店の会話」のようなナチュラルな漫才を展開します。

 ただ動画で見返してみると、このときの変ホ長調のお二人は異様に緊張していたのが手に取るように伝わります。私調べで、テレビの生番組の歴史でベスト3に入るんちゃうのというくらい緊張していたのではないかと。それでも後半の〇〇ファミリー、○○先生の朝ドラの配役のくだりはしっかり会場の爆笑をさらっており、アマチュアながら爪痕をしっかり残したことは素晴らしかったなと偉そうに思っています。

 審査結果は合計576点。決勝出場者9組中8位に終わりました。しかし審査委員長の島田紳助の「野球で言うたらボーク」、中田カウスの「アマチュアの中のプロ。太極拳を見ているようだった」という名コメントを引き出したところに、変ホ長調の決勝での挑戦は無謀ではなかったと、偉そうで申し訳ありませんが私は感じています。

 あの日から17年。変ホ長調は結成15年を過ぎてM-1の出場資格を失いましたが、アマチュアに身を置いて大阪の劇場で芸を磨き続け、遂にゴールデン帯の賞レース決勝に戻ってきました。期待しないわけにはいきません。

 今年のTHE Wにおいては最激戦区と目されるBブロック。新進気鋭の姉妹コンビ梵天よりも、昨年のM-1で準決勝入りを果たしたハイツ友の会よりも、そして過去に2回のファイナル進出を経験した優勝候補筆頭の紅しょうがよりも、修羅場をかいくぐってきたのが変ホ長調の2人なのです。ぜひとも大舞台に臆せず、真価を発揮してほしい。

 そして。M-1以前のお笑い賞レースでも、アマチュアが優勝したケースはないと記憶しています。今回のTHE Wで変ホ長調が優勝するなら、まさにお笑いの歴史に革命を起こすことになります。

 私はその革命が起きることを期待しています。4日後に「史上最強のアマチュア変ホ長調が、THE W2023優勝のコールを受ける瞬間を心待ちにしています。

【訃報】帰ってきたウルトラマン郷秀樹役・団時朗さん

ひさびさの更新です。話題はこれしかない。俳優・団時朗さんが亡くなった。74歳。

 言わずと知れた「帰ってきたウルトラマン(通称:新マン)」(TBS系)の主演・郷秀樹を演じた人だ。ウルトラシリーズの主演では、初めての物故者となる。当時の芸名は団次郎

 追悼のつもりで、DMM TVの「新マン」初回を観賞した。いやあ、この初回で完結してもいいんじゃねえのと思わされる完成度の高さですわ。

 怪獣タッコングから少年と子犬をかばって瀕死の重傷を負い、息を引き取る郷。涙にむせぶ恋人のアキ(榊原るみ)。アキの兄で、レーサーでもある郷の愛車「流星号」を設計した坂田(岸田森)は自らの手で流星号を燃やし、「郷…、俺がおまえにしてやれるのはこれくらいだ…、あんまり、飛ばすんじゃねえぞ…」と惜別の言葉を送るのだった。

 こうした濃密なシーンが、30分番組のAパートで展開される。この時点で「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」と連綿と続くウルトラ(マン)シリーズの成功は必然だったのかもしれない。

 団さんは日本人とイギリス系アメリカ人とのミックスで、身長187㎝。掘りの深い美男子の容貌(ようぼう)に長い手足を持つたたずまいは、苦悩しながら成長するヒーロー郷秀樹=帰ってきたウルトラマンにぴったりだった。

 団さんのキャリア後半は、悪役や憎まれ役がメインだったと思う。個人的にはドラマ「きみはペット」(TBS系)初回冒頭でヒロイン小雪にセクハラを働き、ぶちのめされる役が印象に残っている。あと詳細は覚えていないが10年ほど前の「土曜ワイド劇場」(朝日系)で、どういう関係かは忘れたが、かたせ梨乃に馬乗りしてボコボコにDVを働き、止めに入った石垣佑磨をヒザ蹴りで蹴散らしながらも(ブルーザー・ブロディかよw)、石垣のスコップ1発で絶命してしまうおっさんの役も忘れ難いな。

 内容がやや散漫になって申し訳ないが、団さんの死去は本当に惜しい。しかし、榊原さんの「きっと帰ってくる。だって、ウルトラマンなのだから」というコメントには万感の思いが胸にせり上がってくる。もっと生きてもらいたかったよ、やっぱり。

 団時朗さんのご冥福を心から祈ります。

26年目の真実!w あの日、ネプ原田は収録をバックレていた!!

 きのう2月22日(猫の日)は笑福亭笑瓶氏の急死、そして「タモリ倶楽部」(朝日系)の3月終了公表などバラエティー好きの私にとっては激動だったのですが、今回はこのニュースを取り扱いたいと思います。日付は少し前ですが、17日の深夜ラジオ「オールナイトニッポン」で披露したお笑いトリオ・ネプチューン原田泰造の逸話です。

 詳細はこちら

 ネプチューン爆笑問題海砂利水魚(現・くりぃむしちゅー)らが出演した当時の人気番組「ボキャブラ天国」(フジ系)。この頃、私は社会人になりたてで周囲に知人もおらず心細い日々を過ごしていたが、その孤独を埋めるために録画した「ボキャブラ天国」を繰り返し視聴したものである。だもんで、原田が「収録を途中でバックレた」という回想に対しても「あー、あの回か」と反応した次第だ。

 原田が回想しているのは、おそらく「黄金ボキャブラ天国」第2回の放送を指していると思う。放送日は1997年10月14日。この回は、今やメンバーの二人とも鬼籍となったフォークダンスde成子坂が初の1位に輝いた日だと記憶している。

 この回のエンディングで谷村新司小島奈津子フジテレビアナウンサーとともにMCを務めていたヒロミがひな壇を見回し「おい、泰造がいないぞ」とネプチューンメンバーの名倉潤堀内健に呼びかけた。それに堀内は「泰造は実家の『のり弁フェスティバル』を手伝うために早退しました」と答えていた。原田の実家は、現在は知らないが当時は弁当屋を営んでおり、それにちなんだボケだと思う。

 このやりとりを見ていた当時のうら若き私は「まあ原田はピンの仕事があって早引けしたんやろうな」と長らく早合点していた。既に原田は事務所ナベプロの先輩である松本明子が出演していたドラマ「オトナの男」(TBS系)にバーター出演していたので、ピン仕事でいなくなることもあろうな…と思っていたもので。

 だもんで、今回のニュースでの原田の告白を聞いて「あらあガチのサボりだったのかよ!」と驚いた次第であるw 付け加えれば原田は、翌年のボキャブラ収録にがっつり遅刻したことがある。

 放送回でネプチューンはチャレンジャー席にいたのだが、チャレンジャー戦の中盤でようやく遅刻した原田が姿を見せる。メイクもしておらず、青ざめた面持ちの原田に対しヒロミは「この業界で遅刻はダメだって分かってるだろ!」「どうせ二度寝したんだろ!」とすべてお見通しかのように叱責した。原田は「二度寝す!」と平身低頭するしかなかったというね。

 原田自身も反省してはいるが、当時は若くして売れて慢心があったということだろう。収録中のバックレ、遅刻と2アウトだったわけだがw、なんとか原田はヒロミの顔をつぶさずに来たわけだな。

 まあいうても、原田は今年でまだ53歳である。またやらかして、妻・松本伊代の介護に奔走するヒロミの心労を増やさないとも限らない。それだけは避けてほしいなと、全く無関係な私が願っているほどなので、原田には自重をお願いする次第である。

ENGEI-COMIC SHAMROCK AWARD2022を発表します(加筆修正あり)

 ごぶさたしております。

 一応、拙ブログで毎年発表している、お笑い界および漫画界にその年貢献した人たちを表彰するENGEI‐COMIC SHAMROCK AWARD。この2022年版をこれから発表します。敬称略。

 

MVP 仲本工事ザ・ドリフターズ

新人王 レッツゴーよしまさ

殊勲賞 ウエストランドM-1グランプリ優勝)

敢闘賞 天才ピアニスト(THE W優勝)

技能賞 該当者なし

漫画賞 鳥トマト(「おちてよ、ケンさん」)

功労賞 コロッケ

 

 MVPは昨年、不慮の事故で死去したザ・ドリフターズ仲本工事氏にささげます。これは新人王の選考とだぶるのですが、仲本氏はレッツゴーよしまさ氏が「2億4千万ものまねメドレー」(フジ系)で顔まねしたのを受けて話題に。その件を私がtwitterで取り上げた際、ご本人に「いいね」を付けてもらったことが強く印象に残っていることもあります。

 「なんだよ、おまえのさじ加減かよ」と鼻で笑われることは百も承知ですが、そうした出来事を機に私は仲本氏、いや工事さんのことを考える機会が増えてしまい、つい「もしも全盛期のドリフターズが、現代にいたら…」なんて妄想してしましました。

 もしも工事さんが現代で芸人の全盛期を迎えていたら、おそらく、いや確実に、各種バラエティーで無双していたのではと考えるのです。現代では定番となっている、芸人が体を張るバラエティーでは体操で生かした運動神経で活躍の場を広げていたでしょう。また、現代バラエティーの大黒柱たるクイズ番組でも、学習院大学卒業の学歴を十二分に発揮してカズレーザーもかくやという存在感を発揮し、クイズ番組の常連となっていたのではと思ってやみません。

 そういう意味では、工事さんは世に出るのが50年早かったのかもしれません。ドリフリーダーのいかりや長介氏は、自著で工事さんを「ネタを考えるセンスはあったが、本人にやる気がなく…」と惜しんだことも今となってはよく分かります。てわけで、私はMVPに工事さんを推します。

 新人王はレッツゴーよしまささん。これは個人的には文句なしで、MVPもあり得たかなと。なにしろ中学時代からものまねの魅力に取りつかれていた人で、新型コロナによる非業の死を志村けんが遂げたのを機に乾坤一擲(けんこんいってき)とも言うべき志村ものまねを手に入れたのだから…。テレビ東京系の出川哲朗司会の番組では、同業者が推すものまねの第1位にもなり、よしまさ氏にはさらなる飛躍を期待しています。

 漫画賞には「ジャンプ+」に読み切りを寄せた鳥トマト氏を推します。読み切り作品「おちてよ、ケンさん」は性別適合手術を受けて女性から男性となり生活する主人公が、男尊女卑を地で行く人柄の男性上司に屈折した感情を抱く物語。現代のLGBT対応について「それでいいのか」と問題提起しており、非常に示唆に富んだ作品だと私は認識しております。ぜひとも新作でさらなる飛翔を遂げてほしいと思います。って、レッツゴーよしまささんと同じオチやないけw

 功労賞はコロッケ。昨年、自身のホームグラウンド「ものまねグランプリ」(日本系)で第一線を退くと宣言しました。直近のグランプリでは審査員になり、後輩を厳しくも温かく見守る立場に。五十路間近の私にとっても「ものまね=コロッケ」の図式が長らく頭にあったので、彼の「引退」は寂しい限りです。文句なしの功労賞です。

 

※2月23日に記事を一部加筆・修正しました。

THE W2022の優勝者を予想する

 あと40時間ほどで、女性芸人の日本一を決める大会「THE W2022」が開かれます。6回目となる今回は決勝出場者の枠が2組増えて12組に。3ブロックに分かれてファーストステージをたたかい、勝ち残った3組で最終決戦を争います。

 各ブロックのカードはこうなっております。敬称略。

◆Aブロック

TEAM BANANA(吉本興業・3年連続3回目)

ヨネダ2000(吉本興業・2年連続2回目)

さとなかほがらか(浅井企画・初出場)

Aマッソ(ワタナベエンターテインメント・3年連続3回目)

◆Bブロック

天才ピアニスト(吉本興業・2年連続2回目)

爛々(吉本興業・初出場)

スパイク(吉本興業・2年連続2回目)

フタリシズカかりこる(ワタナベエンターテインメント・初出場)

◆Cブロック

河邑ミク(松竹芸能・初出場)

エルフ(吉本興業・初出場)

紅しょうが(吉本興業・3年連続4回目)

にぼしいわし(フリー・2年ぶり3回目)

 

 3ブロック×4人のたたかいというと旧R-1ぐらんぷりの決勝を思い出します。ただ審査形式は、すべてのブロック出場組のネタを終えてから審査する旧R-1と違い、1回の対戦ごとに勝ち残りを決めるノックアウト方式。勝負の行方を決めるのは以下の6人の審査員と視聴者による国民投票です。敬称略。

川島明(麒麟)

哲夫(笑い飯)

田中卓志(アンガールズ)

友近

野田クリスタル(マヂカルラブリー)

塚地武雅(ドランクドラゴン)

国民投票

 

 川島は再登板、野田と塚地は初の審査員。ぐっと年代が若返った感じがします。

 せっかくなので、各ブロックごとの対戦結果、さらに優勝、準優勝、3位の組をそれぞれ予想してみます。審査員の誰がどの組に投票するかも含めまして。

◆Aブロック

TEAM BANANA 2-5 ヨネダ2000○

TEAM BANANA→川島、友近

ヨネダ2000→哲夫、田中、野田、塚地、国民

○ヨネダ2000 6-1 さとなかほがらか●

ヨネダ2000→川島、哲夫、田中、友近、野田、国民

さとなかほがらか→塚地

 

●ヨネダ2000 3-4 Aマッソ○

ヨネダ2000→川島、哲夫、野田

Aマッソ→田中、友近、塚地、国民

 

Aブロック勝者 Aマッソ

M-1グランプリの決勝にも残った若き猛者・ヨネダ2000。今回はコントに造詣の深い審査員も多く、実力を見せつけて勝ち進めるかと。しかしラスト出番の利を生かし、3度目の正直に燃えるAマッソが国民投票の差で2年連続の最終決戦進出をもぎ取る展開になるのではと考えています。

◆Bブロック

○天才ピアニスト 6-1 爛々●

天才ピアニスト→川島、哲夫、田中、友近、野田、国民

爛々→塚地

 

○天才ピアニスト 5-2 スパイク●

天才ピアニスト→川島、哲夫、友近、野田、国民

スパイク→田中、塚地

 

●天才ピアニスト 3-4 フタリシズカかりこる○

天才ピアニスト→川島、哲夫、友近

フタリシズカかりこる→田中、野田、塚地、国民

 

Bブロック勝者 フタリシズカかりこる

※このBブロックでは番狂わせが起こると予言してみますw 漫才を主戦場とする組の多いBブロック、上方漫才コンテストで優勝し進境著しい天才ピアニストがあっさり3連勝…と思いきやところがどっこいw 初出場の男女コンビ・フタリシズカの横井かりこるは171㎝の上背で軽やかなダンスを取り入れたピンネタをすると聞いたもんでね。その手の華やかなネタってえのは、ラスト出番だと特に点が入りやすいと思う。だもんで、ここも国民投票の1票がものを利いてかりこるが、あえて「まさかの」ファイナル進出を果たすかと。しかしこの時点で、ワタナベの2組がファイナルでたたかうことになるというねw

◆Cブロック

河邑ミク 3-4 エルフ○

河邑ミク→哲夫、野田、塚地

エルフ→川島、田中、友近、国民

 

●エルフ 0-7 紅しょうが○

エルフ→なし

紅しょうが→審査員全員、国民投票

 

○紅しょうが 4-3 にぼしいわし●

紅しょうが→田中、友近、塚地、国民

にぼしいわし→川島、哲夫、野田

 

Cブロック勝者 紅しょうが

※Cブロックは十中八九、紅しょうがとにぼしいわしの覇権争いでしょう。キングオブコント2022で初めて準々決勝に進出するなど、コントでも実績を上げている紅しょうがが大会初のクリティカルを達成。準決勝屈指の大ウケネタを有するにぼしいわしとのバトルは、コント主体の審査員の支持と国民投票で辛くも勝利するのでは。この場合、紅しょうがは3年ぶりの最終決戦進出となります。

 

◆最終決戦

Aマッソ×フタリシズカかりこる×紅しょうが

川島→紅しょうが

哲夫→紅しょうが

田中→Aマッソ

友近→紅しょうが

野田→紅しょうが

塚地→Aマッソ

国民→Aマッソ

 

優勝 紅しょうが(4票)

準優勝 Aマッソ(3票)

3位 フタリシズカかりこる(0票)

 

※あくまで個人的な見立てですが、最終決戦は事実上、Aマッソと紅しょうがの一騎打ちかなと。かりこるは残念ながら、1本目を超すネタは持っていないだろうなと思って。そして戴冠は、国民投票を取れないビハインドを巻き返し、紅しょうがが悲願を果たすとみています。今年のKOCスレやM-1スレを読んでいると、紅しょうがが以前とかなりネタのスタイルを変えて目立っているという情報が出たりしていたので。紅しょうがは(実はAマッソもですが)KOCもM-1も準々決勝で敗退しましたが、その試行錯誤がTHE W優勝という最高の形で報われるのではないか。私はそう予想しています。当たるも八卦、当たらぬも八卦。結果にこだわらず、初の土曜日開催となるTHE W2022が盛り上がることを期待しています。

※ここからは余談ですが、審査員のアンガールズ田中。昨年の大会以降、事務所の後輩でもあるAマッソのファンたちから恨まれているとバラエティー番組で話していましたが、今回はAマッソに票を入れるんじゃないかなあ、何となく。もちろんひいきでも情けをかけるでもなく、論理的な彼は説得力のある審査理由を伝えてくれると思いますが。

13年ぶりに「女性だけ」で扉をこじ開けたヨネダ2000

 日付はとうに変わってしまったが、昨日午後10時すぎに世界最高峰の漫才コンテスト「M-1グランプリ2022」の決勝進出者9組が発表された。

 栄えあるファイナリストたちの名前は、準決勝をたたかった28組を前に行った発表の動画で呼ばれた順に記すと以下の通り。決勝本番では敗者復活戦を勝ち抜いた1組が加わる。

 

ダイヤモンド(吉本興業・初)

男性ブランコ(吉本興業・初)

カベポスター(吉本興業・初)

ロングコートダディ(吉本興業・2年連続2回目)

さや香(吉本興業・5年ぶり2回目)

真空ジェシカ(人力舎・2年連続2回目)

キュウ(タイタン・初)

ウエストランド(タイタン・2年ぶり2回目)

ヨネダ2000(吉本興業・初)

 

 最初に呼ばれて破顔一笑のダイヤモンド、5年ぶりの返り咲きも当然といった表情で優勝を見据えるさや香など短時間の動画で数々のドラマを感じさせたが、何と言ってもしびれたのは、最後に呼ばれたヨネダ2000である。

 過去の最高成績が1回戦にもかかわらず、旋風の如き快進撃で準決勝まで勝ち進んだ昨年のヨネダ。惜しくも決勝9組からは漏れたのだが、当時の結果発表の動画でメンバーの誠(当時の芸名は清水亜真音)は悔しそうに下を向いてこぶしを握っていたのだった。相方の愛は諦念の漂う笑顔を見せていただけに、誠のたたずまいが私の目に焼き付いてしょうがなかったのである。

 そして今年。コロナ禍の下、名前を呼ばれた組が声を上げずに喜びを爆発させる中、映り込む誠に目が行く。ずっと目線が下を向いていて(まだ呼ばれないのか…)といった悲痛な表情で歯がみをしているのだ。

 こんな思いつめた表情をしている人、もし町中で見かけたら「大丈夫ですか?」と声をかけそうになるわ。しかし最後の1組でエントリーナンバー1794番と声がかかると、誠と愛はハッと顔を上げ、控えめに抱擁を交わすのだった。直後に誠は、右手でさっと涙を払っている。

 いやあ、本当に彼女たちが決勝に進んで良かった。

 何しろ中断をはさんで数えで22年の歴史を有するM-1グランプリ。女性コンビで決勝に進んだのは2005年のアジアン、06年の変ホ長調(アマチュア)、07、09年のハリセンボン以来4組目となる。

 実に13年ぶり、9大会ぶりとなる女性コンビのM-1ファイナリスト。2015年に大会を再開し、出場者のレベルが年ごとに上がっていると評判となってからのM-1決勝に駒を進めた女性コンビは、ヨネダ2000が初めてである。

 いきなり堅苦しい話に変わって恐縮だが、お笑いというジャンルは長らく男性優位が根強く続いていた。M-1の審査員に初回大会から就いている松本人志は、かつての著書で「女はお笑いに向かない」とミソジニー丸出しの文章を書いた。

 天才の名高い松本の発言の影響力は大で、ネットに居つくお笑い好きの間でも「女芸人は面白くない」という主張が金科玉条のように繰り返されていた。

 中でも忘れがたいのは、5chのお笑い芸人板の看板スレ「M-1グランプリ」にて以下の書き込みがされていたことだ。

 

0324 名無しさん (オッペケ Sr51-TSIT) 2022/08/30(火) 19:05:03.74
女芸人自体がパラリンピックみたいなもんだし
そこで売れてたってハイそうですかとしか言いようがない
男芸人たちがはっきり言わないだけ偉いよ
1
id:Klvx99y0r

(5chお笑い芸人板のM-1グランプリスレから)

 

 女性芸人の実力はパラリンピック級。女性芸人に対するド直球のヘイトスピーチがされたにもかかわらず、スレ住民の反応は「ブラックジョークとしては許容できる」という肯定的なものだった。

 確か渡辺直美だったと思うが、女性芸人がバラエティー番組で「女芸人は、男の3倍ウケないと評価されない」という趣旨の発言をしていた。女性芸人はそのような過酷な現場を体験し、ネットの心ないヘイトスピーチを浴びせられていたのである。

 そうした女性芸人の苦境を、若手ながらコンビ解散→男性を入れてトリオ活動→再び元のコンビ結成という下積みを経験したヨネダが打開した。女性コンビのM-1決勝進出という快挙に、自分のことのようにうれし涙を流す女性芸人は多いと私は確信している。

 ヨネダ2000は12月10日、女性芸人の日本一を決める大会THE Wにも出場する。その8日後にはM-1決勝の舞台を踏む。

 彼女たちは自分たちの芸人人生のターニングポイントに立つだけでなく、長らく差別に苦しんできた女性芸人の歴史を塗り替える偉業に挑む。両方の大会で優勝すれば合計2000万円の賞金を得て、「ヨネダ2000万円」と呼ばれることにもなろう。ヨネダ2000の長くて短い師走が幸福なものとなるよう、今はただ見守りたい。