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小松政夫さん追悼「オヨビでない奴!」(TBS系)

 コメディアンの小松政夫さんが7日、亡くなった。78歳。

 3年前に拙ブログでこのような記事を書いていた私は、訃報を聞いて(親分、早すぎるよ…)と思ってしまった。小松さんは私の母親と同世代なもので、よけいにそう感じたというのはあるかな。

 

 名コンビで一世を風靡した伊東四朗、ひと世代下のビートたけし、小松さんの自伝ドラマ「植木等とのぼせもん」(NHKテレビ)で主演した志尊淳など、多くの人が取材やSNSを通じて故人をしのんでいる。小松さんの芸人としての全盛期をリアルタイムで知らない私としては、まず思い出すのが中学時代に見た午後7時放送の30分ドラマ「オヨビでない奴!」(TBS系)である。

 主演は子役からアイドルスターへの道を駆け上がっていた高橋良明。彼の父親役は所ジョージ、そして祖父役は小松さんの師匠であった植木等という「無責任でお調子者の一家」が引き起こすドタバタコメディーであった。

 小松さんが演じたのは高橋演じる遊介が転校した中学校の主任・村西先生。「上に媚びて下に高圧的」の典型のような教師で、何かにつけては遊介に厳しく当たっていた役どころだ。

 

 この村西先生を演じた小松さんについて忘れがたいのは、遊介とガールフレンドの亜紀(磯崎亜紀子)が1964年の世界へタイムスリップする回だな。たぶん、てか「BACK TO THE FUTURE」が元ネタだとみているw

 当時から23年前の世界に行ってしまい、動揺する亜紀をよそに遊介は「安いから」とラーメン屋でおかわりしまくっていた。意気揚々と夏目漱石の千円札(1984年発行)を出す遊介だったが、女性店員から「聖徳太子を持って来なさい」とニセ札扱いされてしまう。

 窮地に陥る遊介と亜紀だったが「僕が立て替えます」と穏やかに申し出たのが、若かりし頃の村西先生だった。角帽に瓶底メガネ、詰襟を当時45歳の小松さんが着こなしている。

 遊介、亜紀が家出した少年少女と推測した若き村西先生は、一人暮らしの宿へ2人を泊める。こたつに入りながら理想の教育をとうとうと語る苦学生の姿は現在の村西先生とはかけ離れたもので、遊介も亜紀も感心して話に耳を傾けていたと記憶している。

 遊介、亜紀は当時の祖父・千歳、父親・又一郎にも会う。会うというか、人生に絶望した千歳が又一郎を連れて自殺しようとしたのを2人が止めるのであった。暗い性格だった自分の父親と祖父を変えるため、遊介が奮闘するという筋立てである。

 遊介と亜紀の尽力により千歳と又一郎は明るい性格となり、2人はめでたく現代に戻った。村西先生は相変わらず遊介をガミガミ叱る。「昔と言っていること違うじゃん…」とぽつりつぶやく遊介に「なんか言ったか!?」と村西先生は詰め寄るのだった。

 

 若き日と現在の、まるで別人のような役柄(これは師匠の植木にも言えるが)を演じ分けた小松さんの姿は、30年すぎても忘れがたいものがある。まあ「あの人は昔は正反対の性格をしていた」てのはドラマのお約束といえばそうなのだが、小松さんの演技にはうそ臭さがなかったていうかね。45歳で学生服姿なんかコントとしか言いようがないんだけどw

 困っている少年少女に手を差し伸べ、理想の教育を語る心優しき村西青年。そんな彼が、23年たって生徒に高圧的に接する教師となったのは、そうなってしまう苦しい体験があったのかなあ…と感じさせる説得力が小松さんの演技にはあったと生意気ながらそう思っている。

 「オヨビで―」のタイムスリップ回では、遊介と亜紀を現代に帰す役割を果たす秋葉原博士を坂上二郎が演じていた。つまり植木、小松、坂上と戦後を代表するコメディアンがアイドル主演の30分ドラマにそろい踏みしていたんだ。すげーなw ちなみに若き日の段田安則も警官役で出ていた。

 

 先に書いたように小松さんと植木等は師弟関係にあったわけだが「オヨビで―」で2人が絡んだ記憶はあんまないのよ俺。当時は2人の関係など知らなくて、注意してみていなかったのもあるけど。もっとも小松さんの人柄を思えば、師匠との積極的な絡みは遠慮していたてのもありえそうだな。師弟のつもる話は、あの世でじっくりと楽しんでほしい。

 

 小松の親分のご冥福を祈ります。

「ものまね王座決定戦2020」(フジ系)

 年に一度のものまね頂上決戦、元祖M-1グランプリ(と私は思っている)の「ものまね王座決定戦」(フジ系)が4日に放送された。

 テレビを見ない生活を送っている私だが、某動画サイトでw番組を視聴。あわせて各ネタを採点させてもらった。

 その採点結果は以下の通り。ちなみに聴けないネタがあり、そこは「?」とさせてもらった。カッコ内はネタになった歌手名。採点で90点を超えたネタは赤色にした。

 

【1回戦】

ダブルネーム(GReeeeN)86 ×鈴木麻由(あいみょん)?

藤本匠(CHAGE&ASKA)86 × 栗田貫一さだまさし)88

みはる(中森明菜)87 ×ノブ&フッキーぴんから兄弟)90

暁月めぐみ(小林幸子)85 ×布施辰徳(安全地帯)89

春風みずほ(TRF)84 ×ビューティーこくぶ稲垣潤一)88

山本高広(浜田雅功)80 ×ななみなな(DREAM COME TRUE)86

杉野ひろし(星野源)89 ×エハラマサヒロ影山ヒロノブ)87

NASUMI(B'z)85 ×たぐちゆうき(大黒摩季)88

シュネル(King Gnu)86 ×ずま(ONE OK ROCK)87

ほいけんた郷ひろみ)84 ×YOMA(DISH)87

Ichi(Official髭男ism)85 ×小川美佳(篠原涼子)87

モリナオフミエレファントカシマシ)86 ×松浦航大(米津玄師)90

田原可南子Whiteberry)83 ×ANZEN漫才藤井フミヤ)86

おばたのお兄さん(中孝介)84 ×ミラクルひかる渡辺真知子)89

 

【準決勝】

ダブルネーム(中条きよし)86 ×栗田貫一(森進一)87

ノブ&フッキー内田裕也&安岡力也)90 ×布施辰徳(五木ひろし)91

ビューティーこくぶ氷川きよし)89 ×ななみなな(中森明菜)88

杉野ひろし(桐谷健太)87 ×たぐちゆうき(Superfly)89

ずま(エド・シーラン)88 ×YOMA(雅夢)89

小川美佳(globe)89 ×松浦航大(コブクロ)91

ANZEN漫才BOOWY)86 ×ミラクルひかる広瀬香美)90

 

【決勝戦

ななみなな(PRINCESS PRINCESS)84
栗田貫一井上陽水)85
布施辰徳(福山雅治)93
たぐちゆうき(LISA)89
YOMA(buck number)90
ミラクルひかる笠置シヅ子)92
松浦航大(平井堅)91

 

 ふたを開けてみれば松浦の初出場初優勝というフレッシュな結末になった今大会。ただ動画を見て思ったのは布施、ミラクルというベテラン選手のすごみである。

 とりわけ印象に残ったのは布施。この人も王座に出続けて数えで29年になるが、決勝の福山は彼のベストパフォーマンスだったのではないか。加えて準決勝のノブフキ戦は後世に語り継がれる名勝負だった。

 私も動画を見ていて、途中まで(ノブフキの方が勝っているかな…)と思ったが、布施がサビ以降でぐいっと聴かせて評価を逆転させられた。これは選曲の勝利だと思う。

 群雄割拠のものまね王座で勝つには選曲も重要なポイントを占める。布施はその点で安全地帯、五木、そして福山に至るまで完ぺきな選曲だったのではないか。布施も来年62歳になるのだが、まだ優勝候補の筆頭であり続けるのでないかと思わされるほど今大会では猛威を振るったと思う。

 そしてミラクル。この人はブロック戦だとかなり楽なたたかい(つまり弱い相手が多い)なので個人的には不満なのだが、それでも毎年決勝戦でやりたい放題やるのでトントンではあるw

 決勝でかけたのは笠置シヅ子で、いわゆる新ネタではない。今回の「買い物ブギー」は、ミラクルが以前に披露した「東京ブギウギ」ほどポップではないが、かつて「ちびまる子ちゃん」の映画で鮮烈な印象を残した曲である。1950年にリリースしたこの曲の斬新な魅力を70年後の現代によみがえらせたという点で、ミラクルには脱帽するしかない。ただ布施の福山よりは1点低く付けざるを得なかったので、その点は申し訳ないw

 初出場初優勝の快挙を成し遂げた松浦は27歳の若武者。採点結果を振り返れば1回戦、準決勝、そして決勝とすべてのネタで私が90点以上をつけたのは彼であった。

 よくよく考えてみれば、正統派のものまねでも多少の誇張はあるものなのだが(布施も星奈々もそうだった)、そうしたものを排した直球勝負で王座を制したのは、番組の長い歴史においても松浦が初めてだったのかもしれない。そういう意味では、松浦は重い十字架を背負ってしまったのかとすら思ってしまう。この重圧に負けず、来年の王座では高らかに連覇を狙ってほしい。

 

 決勝に駒を進められなかった選手で印象に残ったのは杉野かな。星野源の「恋」を軽やかに歌い上げ、優勝経験者のエハラに勝ったのは見事だった。

 あとANZEN漫才。準決勝のBOOWYでの氷室ボイスで、初めてみやぞんをカッコいいと思ったわw しかしバックギタリストの布袋役を務めたあらぽんのコーラスを聴くたんびに、こちらは採点の点数を減らさざるを得なくなったので申し訳ないw

忘れそうで忘れない 少し忘れていたものまね王座決定戦ネタ

 久しぶりに演芸評論家すが家しのぶ氏のネタである。最近は別のブログでこちらの人をいじっていたもので、すっかりすが家氏の方をごぶさたしていた。

 すが家氏のブログ「令和時代のお笑い公論」を閲覧すると、彼が本の宣伝をしていた。本と言っても電子書籍で、タイトルは『読む余熱』。お笑いやテレビのレビューを取り扱う本のようで、すが家氏は同誌のプレ創刊号に寄稿したという。

 すが家氏はtwitter(@Sugaya03)で自身のエッセー(?)の冒頭を紹介していたが、なかなかスベっていたw タイトルは「忘れそうで忘れない 少し忘れていたM-1漫才」で、彼が過去に観賞して衝撃を受けた「M-1グランプリ」(朝日系)決勝戦の漫才5本を紹介した内容だそうだ。ふーん。

 

 それなら私もやってみるか。およそ即興だが、フェイバリット演芸番組である「ものまね王座決定戦」(フジ系)から衝撃を受けた5本のものまね作品を紹介しよう。

 

森口博子工藤静香『嵐の素顔』」

 1989年冬の王座1回戦・栗田貫一戦で披露。現代で工藤静香のものまねといえばミラクルひかるだが、その嚆矢(こうし)が当時バラドルとして台頭を現しつつあった森口である。

 ワンコーラス通して聴くと、歌声そのものはあまり似ていない。しかし少しこわばった表情で、必要以上にキレのある振り付けを見せる森口の真摯(しんし)な姿は「このネタにかけているんだな」と思わせる説得力がある。

 森口渾身(こんしん)の工藤ネタは98点。対するクリカン飛鳥涼チャゲ&飛鳥)「モーニングムーン」も98点と同点に持ち込み四天王の意地を見せたが、当時の彼はジャンケンに弱いジンクスがあったw

 ジャンケンで四天王を下した森口はこの大会で準決勝まで進出。翌年春の王座では見事に優勝をつかみ、バラドルとして大ブレイクの道を邁進(まいしん)していった。

 

・布施辰徳「井上陽水『少年時代』」

 1992年秋の王座準々決勝・栗田貫一戦で披露。同年夏の「日本ものまね大賞」(フジ系)で審査委員長の鈴木邦彦から「この会場にいる人みんなが、あなたの優勝だったと思う」と絶賛するほどの出来で優勝を果たした布施のプロデビューとなった本大会。1回戦は小林旭ネタで優勝経験者の原田ゆかりを難なく退け、春の王座で優勝したクリカンと激突した。

 四天王相手に布施が繰り出したネタは井上陽水。ものまね王座で陽水ネタと言えば四天王の清水アキラだが、布施は下ネタになど頼らず(当たり前w)ご本人の柔らかな歌声をきっちりとトレースする。布施は少年時代ギターに熱中したそうで、歌う間のギターの指使いも堂に入っており(ここまで本格的なのか)と感心した記憶がある。

 得点は本大会初の100点満点。大型新人に真っ向から勝負せんとクリカンは渡哲也、石原裕次郎ら「西部警察」メンバーをまねする「くちなしの花」を披露するも、1点差で敗れ去った。

 この勢いで布施は初出場初優勝を達成。その優勝があまりに圧倒的だったので、私は(この人に勝てる人いないんちゃう?)と今後の王座を心配したほどである。布施は現在に至るまでものまね王座の常連であり、クリカンとともに若手の壁として君臨し続けている。

 

星奈々いしだあゆみブルーライトヨコハマ』」

 1994年秋の王座準々決勝・笑福亭笑瓶戦で披露。星は前年夏の特番「日本ものまね大賞」での活躍が認められ、同年秋の王座でデビューした。

 しかし2大会続けて初戦敗退。特に93年冬の王座で披露したホイットニー・ヒューストンのネタは会場から「スゴイ!」と感嘆の声が上がるも、この大会で優勝したC.C.ガールズに屈してしまう。この採点結果に納得できない観客もいて、ブーイングが飛んだのは忘れがたい。

 プロデビュー1年の節目、準々決勝というヤマ場で星が繰り出したのは当時で四半世紀前のナツメロブルーライトヨコハマ」だった。「♪街の明かりが~」という出だし、いしだの特徴的な節回しを完ぺきにコピーし、審査員席の野口五郎が「信じられない」と言わんばかりに目を丸くしていた。

 ふくらみのあるいしだの声質を忠実にトレースした星に減点要素などなく、文句なしの100点満点をたたき出した。この勢いで、星は悲願の初優勝を果たした。

 しかし今もって不思議なのは、なぜ星が楽に勝てる笑瓶相手にこの名作をぶつけたのかであるw ちなみに笑瓶が披露したネタはローリー寺西であった。(得点は96点)

 

ダチョウ倶楽部森本レオウルトラマンレオジャングル大帝レオ『港のヨーコヨコハマヨコスカ』」

 1995年春の王座準々決勝・岡本夏生戦で披露。リアクション芸人のレジェンドたるダチョウだが、かつてはものまね王座の常連だったキャリアを有する。当初は初戦負けが込んでいたが、リーダー肥後の美声を前面に押し出したネタで勝率が上昇した。

 王座デビューから8年目、岡本の浅野ゆう子ネタに対抗したのが肥後の森本レオである。当時は森本自身が王座の審査員を務めており、会場は大盛り上がり。番組を視聴していた私は、かねてから肥後の声は森本に似ていると思っていたので「あーダチョウの勝ちですわ」とネタを見る前から結果を予測したw

 ダチョウ、というか肥後は私の期待に応えて(?)100点満点(岡本は93点)。この大会は決勝まで進むキャリアハイを記録し、翌96年冬の王座でダチョウは悲願の初優勝をもぎ取るのだった。

 

・ビジー・フォー「カルロス・サンタナ『Black Magic Woman』」

 1995年冬の王座1回戦・ダチョウ倶楽部戦で披露。四天王の一角をなすビジー・フォーが得意とする洋楽ネタだが、この出し物は非常に印象深い。

 何といっても目を引くのはネタの構成の妙だ。長髪パーマのカツラにサングラスでサンタナに扮(ふん)したモト冬樹が、イントロでさっそうとギターソロを決める。

 冬樹の横におわすはグッチ裕三。今でいうマツコ・デラックスのような黒装束を身にまとい、エジプトの人形のようなメイクを施した怪しい風体のグッチは、いつもの高音とは違う渋い低音の歌声で聴かせる。

 …って、冬樹じゃなくておまえが歌うんかい! しかしグッチの歌声も30秒弱といったところで、後は再び冬樹のギターソロをうならせてネタが終了した。

 ネタの3分の2が伴奏というネタ構成。グッチの風体と相まって、およそゴールデンの特番とは思えない前衛的な演芸を見せてもらった気がした。このネタは99点を記録し、久米宏の「ニュースステーション」ネタで挑んだダチョウを1点差で退けた。

 

 …てな感じで5本のものまねネタを選んだが、どないでしょう。「古いネタばっかりやないかい」と言われそうだが、比較的新しいネタは改めて紹介しようかと思う。

 あ、そういえば、すが家さんは結婚されたそうで。おめでとうございます。まあ、私に祝われてもちっともうれしくないでしょうがw

ひぐま屋の新作を拝読したが…

※今回感想を書いた作品は成人向け漫画です

 

 同人漫画サークル「ひぐま屋」が新作をリリースした。ひぐま屋の過去作品については、以前私はこのように感想を書いた。

 私も新作を購入して拝読したが、個人的にはイマイチな出来だったように感じた。今作は学園ものだ。

 容姿端麗、才色兼備ながら男子生徒の交際の申し入れをことごとく振ることから「高嶺の花」と称される佐倉先輩。彼女には放課後の空き教室で「あること」にふけってしまう秘密があった。その「秘密」に興じているところ、後輩男子の守山に目撃され…というきっかけで、二人はなさぬ仲になるという展開だ。

 

 今作をイマイチに感じた理由は、複数ある。まず、ひぐま屋と言えば「おねショタ」という鉄板のイメージが確立している中で、新作は「おねショタ」感が薄かったというのがあるかな。

 舞台は学校内で、守山はYシャツにネクタイという夏の制服姿だ。そのせいか「ショタ」感は薄い印象を残す。一方の相手役・佐倉先輩はせいぜい守山の1~2学年上といったところだろう。

 「女性が年上」というひぐま屋作品おなじみのスタンスこそ守られてはいるが、過去作品のカップリングと比して「おねショタ」感は抑えられていると言っていい。個人的な意見を言わせてもらえば、守山の相手役は女性教師の方が良かったんちゃうかなあ。それだと以前に私がレビューした家庭教師ものとかぶるから、避けたのかな。

 

 もう一つ私がひぐま屋の新作をイマイチに感じた理由は、ショタの描写かな。具体的に言うと、ショタの表情かね。ひぐま屋と言えば、かわいらしくて表情豊かなショタの描写が肝だと私は考えている。

 新作は、ショタ(守山)の表情自体を描いたシーンが少なめに感じた。一方で性行為のシーンを入念に描いた印象があるんだけど、私自身はあまりそこを掘り下げなくてもいいのに…と思った。成人漫画に何言っとんねんと言われそうだが。

 

 あとこれもイマイチポイントに入るかな。ひぐま屋の絵柄ね。新作は顔の輪郭やボディーラインのふちが、だいぶラフに描かれたように見える。

 過去のひぐま屋作品て、細くて柔らかさを感じるタッチで人物描いていて、それが成人漫画には珍しい(他の作家さんすいません)唯一無二の清潔感を醸し出していたように思う。新作は、顔の輪郭やボディーラインが筆で描いたぽい感じなのよね。太くなったり細くなったり。なので新作の絵柄は、ひぐま屋の良さを消しているようでもったいない感じがしたなあ。

 

 ちょっと辛辣(しんらつ)に書いてしまって申し訳ないが、ひぐま屋も自身の作風を模索しているんだろうなてのは新作から伝わるものがある。ひぐま屋はこの夏、自身のtwitter(@norahigumax)で「新作もおねショタものがいいか」とアンケートを取っていた。

 アンケート結果は「新作もおねショタを」て意見が4分の3を占めたが、ひぐま屋は「非おねショタものがいいという意見が思ったより多かった」と評していた。ひぐま屋はほかのジャンルにも挑戦したいんかな…と私は彼の心中を察した。

 新作に「おねショタ」感が薄いのは、ひぐま屋のそうした複雑な胸中の反映なのかもしれない。もしほかに挑戦してみたいジャンルがあるというなら、果敢に漫画家としてのおのれの可能性を試してほしい…とは、漫画好きの端くれとしては思う。まあ、ひぐま屋は「おねショタ」が一番合っていると思うけどね。

 

 最後に、ひぐま屋作品を数本購入・拝読してきた私が個人的な希望を申し入れするなら、彼には「隣人がサキュバス」「囚(とら)われ勇者と魔王とエルフ」「混浴温泉で…」の続編を描いてほしい。ご検討のほど、なにとぞよろしくお願いします。

THE W2020準決勝1日目終わりました

 …なんて書くと、いかにも私が準決勝を観覧したような書き方に見えてしまうというw 当然違います。twitterや5chをチェックしながら、ルミネtheよしもとで開かれたTHE W2020準決勝をぬるぬると見守っていました。

 

 SNSでは観覧者の感想がぼつぼつ上がっていましたが、まずこの人をチェックしてみました。お笑いルポライターのtakahiroさん(@lionlion2323)。お笑い賞レースの予選には必ず出没する人で、そのたびに観覧したネタを100点満点で採点するお人です。

 takahiroさんがtwitterで発表した、1日目の準決勝出場者の採点は以下の通り。

 

Aマッソ 87
ヨネダ2000 81
みほとけ 86
美豚ズ 84
松浦景子 85
オダウエダ 85
吉住 93
スパイク 95
123☆45 89
河邑ミク 88
天才ピアニスト 90
紺野ぶるま 87

ターリーターキー 88
エアコンぶんぶんお姉さん 83
黒髪サンバ 85
POFFY 87
猫屋敷 84
ぼる塾 91
栗尾 84
TEAM BANANA 87
エルフ 84
マリンカ 83
女ちゃん 88
ロッコこまり83
根菜キャバレー 86

ベルサイユ 85
メルハリ 86
テラリウム 83
ゆりやんレトリィバァ 85
ちぐはぐ 83
にぼしいわし 84
おかずクラブ 84
爛々 87
ハイツ友の会 82
ヒコロヒー 84
紅しょうが 87
合わせみそ 84
はなしょー 87

 

 以上になります。takahiroさんの採点から、前回までの決勝進出者の組数である10組を上位順に並べるとこんな感じですね。

 

①スパイク     95

②吉住       93

③ぼる塾      91

④天才ピアニスト  90

⑤123☆45                89

河邑ミク     88

⑥ターリーターキー 88

⑥女ちゃん     88

⑨Aマッソ     87

紺野ぶるま    87

⑨POFFY                       87

TEAM BANANA        87

⑨爛々       87

⑨紅しょうが    87

⑨はなしょー    87

 

 …上位10組を抜き出すつもりが15組でしたねw これの感想(と私が言うのもおこがましいですが)の前に、以前の記事で私が勝手に予想したファイナリストの10組をおさらいします。

 

合わせみそ(人力舎

エアコンぶんぶんお姉さん(フリー)

Aマッソ(ワタナベエンターテインメント)

スパイク(東京吉本)

天才ピアニスト(大阪吉本)

紅しょうが(大阪吉本)

ベルサイユ(松竹芸能

ぼる塾(東京吉本)

まりんか(太田プロ

ゆりやんレトリィバァ(東京吉本)

補欠:ヒコロヒー、吉住

 

 私が初決勝を予想したスパイクが、takahiroさんの採点でダントツトップでした。補欠に予想した吉住、そしてぼる塾と天才ピアニストが90点台をマークしています。

 そして私が決勝組に予想したAマッソと紅しょうが、そして前回準優勝のはなしょー、3年連続ファイナリスト継続中の紺野ぶるまがtakahiroさんの採点ベスト10に絡んでいます。このあたりの組は安定感があるので、2日目でぐんと評価を上げることも十分可能でしょう。もちろん第1回優勝者のゆりやん、今年のABCお笑いグランプリファイナリストのベルサイユといった強豪の巻き返しも侮れません。

 夜が明けての準決勝2日目で、さらなる群雄割拠が起きてファイナリスト選出が面白くなることを期待します。

【訃報】作曲家・筒美京平さん…近藤真彦「スニーカーぶる~す」太田裕美「木綿のハンカチーフ」

 作曲家の筒美京平さんが亡くなった。80歳。

 彼が戦後日本において最大の作曲家の一人であったことに、異論をはさむ人はいないだろう。とにかく代表作が多すぎて、私のようにサウンドやメロディーに素人な人間だとよけいに「筒美さんのこの作品は…」とおいそれと語れないものがある。

 しかし幼少のみぎりから「ザ・ベストテン」(TBS系)などの歌番組が好きだった私にとって、筒美京平とは「この人なんぼ作曲してんの?」と子ども心に上から目線でw感心する人物であった。たのきんトリオ近藤真彦の記念すべきデビュー曲「スニーカーぶる~す」の作曲者が筒美さんである。作詞は名コンビとして知られる松本隆

 リリースは1980年冬なので、私が小学校に上がる前の頃の曲だ。しかし当時の幼い私にも「スニーカー…」は非常に耳なじみのよいメロディーであった。イントロで「ズンズンズンズンズンズンズンズン ズンズンズンズンズンズンズンズン」て迫ってくるようなところあったよね。あれ、当時の私は「ジジババトノヒメ ジジババトノヒメ」て詞を当てて歌っていたからw ここ読んでため息をつく人いっぱいいそうだけど、子どもでも反芻(はんすう)したくなってくるようなメロディーづくりに本当にたけた人だったんだな…と素人なりに納得している。

 あと松本によるサビの詞「この世界中」は、初めてマッチの歌声を聴いたとき「殺せ怪獣」と聞こえた。勘違いした幼少の私は「ウルトラマンの曲みたいやな…」と比較的冷静に受け止めていたものである。←どこが?w

 

 松本隆×筒美京平の名コンビ話で言えば太田裕美木綿のハンカチーフ」の逸話は外せないだろう。伝説のロックバンド「はっぴぃえんど」のドラマーを経て、専業作詞家に転向間もなかった松本は、アイドル歌手太田のシングル曲を手がけることになる。

 若くて尖っていた松本は「この詞に曲をつけられるならつけてみろ」との意気込みで作詞したが、その詞に合わせて筒美が完璧(かんぺき)に作曲。すっかり天狗の鼻を折られてしまった松本は、作詞家の道を精進することにした…というね。何だかバトルものの少年漫画の序盤そのものみたいなエピソードだなと思って。

 「木綿のハンカチーフ」の曲としてのすごみは、指揮者の篠崎靖男がこのように書いているので、参考までに。松本は筒美の訃報に触れ「右半身と左半身が裂かれるようだ」と、故人をしのんだ。まさに数多くの名曲を共同作業で送り出してきた彼ならではこその、迫力すら感じさせる追悼コメントのような気がしている。

 

 筒美京平さんのご冥福を心から祈ります。

THE W2020のファイナリストを予想する

 9月末に女性芸人の日本一を決めるコンテスト「女芸人№1決定戦 THE W2020」の準決勝進出者が発表された。第4回となる今年は新型コロナ禍の影響もあり1回戦を動画審査とし、2回戦で初めて劇場審査という形式を採った。

 激戦を経て準決勝まで駒を進めたのは、以下の38組である。ソースはこちらの公式サイトにあるが、以下に書き出してみる。太字は過去に決勝進出経験のある組。

 

合わせみそ
123☆45
エアコンぶんぶんお姉さん
Aマッソ
エルフ
おかずクラブ
オダウエダ
女ちゃん
河邑ミク
栗尾

黒髪サンバ
根菜キャバレー
紺野ぶるま
スパイク
ターリーターキー
TEAM BANANA
ちぐはぐ
テラリウム
天才ピアニスト
にぼしいわし

ねこ屋敷
ハイツ友の会
はなしょー
ヒコロヒー
美豚ズ
紅しょうが
ベルサイユ
POFFY
ぼる塾
ロッコこまり

松浦景子
まりんか
みほとけ
メルハリ
ゆりやんレトリィバァ
吉住
ヨネダ2000
爛々

 

 ここから先は、10月22、23の両日に開かれる準決勝を勝ち抜いて決勝に進出する10組を予想し、その顔ぶれを発表する。あわせて新型コロナ禍に対応して発表されるだろう補欠についても2組予想する。過去にもリザーブ組としてファイナリストの補欠が選出されていたし。カッコ内は所属事務所。

 

◆決勝進出者予想10組

合わせみそ(人力舎

エアコンぶんぶんお姉さん(フリー)

Aマッソ(ワタナベエンターテインメント)

スパイク(東京吉本)

天才ピアニスト(大阪吉本)

紅しょうが(大阪吉本)

ベルサイユ(松竹芸能

ぼる塾(東京吉本)

まりんか(太田プロ

ゆりやんレトリィバァ(東京吉本)

 

◆決勝進出者補欠2組

にぼしいわし(フリー)

ヒコロヒー(松竹芸能

 

 ちょっとだけ熟考してみてw、こんな感じで選んでみたがどうだろう。改めて準決勝進出のメンツを見てみたが、漫才コンビの割合がすげえ高いのな。純粋なコントコンビはおかずクラブ、はなしょーくらいかも。

 前年は最大手吉本のファイナリストが4組。今年の大会はコロナ禍で非吉本組が場数の点からさらに不利と考えて、5組を選出した。

 初代女王のゆりやんは確実にコマを進めるだろう。他の吉本勢ではバラエティーで進境著しいぼる塾が初進出、第2回で2代目女王阿佐ケ谷姉妹と接戦を演じた紅しょうがが返り咲き。上沼恵美子ものまねで知名度を上げた天才ピアニスト、「オンバト+」で実績のあるスパイクが名を連ねるとみたが、どうだろうか。

 

 ここから非吉本の5組。最も目玉なのが、ナベプロ所属のAマッソであろう。M-1グランプリ準決勝2回、キングオブコント準決勝1回の実績がある実力派だ。しかし昨年にテニスの大坂なおみ選手ネタで炎上。まさに捲土重来を期して、爪を研ぎ澄ましてTHE Wの優勝を狙うであろう。

 これまで紺野ぶるまが3年連続で決勝入りを果たした松竹芸能だが、今年はこの枠にベルサイユが入ると思う。昭和歌謡ネタを武器に、朝日放送主催のABCお笑いグランプリに決勝進出。この勢いを生かさない手はなかろう。

 個人的に注目したいのが第2回ファイナリストの合わせみそだ。人力舎の男女コンビ2組の女性によるタッグだったが、ボケ役の河田が程なく芸人を引退した。しかし河田は今年復帰して合わせみそを再結成。THE Wで敗退すれば、その時点で彼女たちは再びコンビを解散するという。まさに背水の陣で挑んでおり、その気迫が決勝に届くのを期待している。

 まりんかは太田プロ所属のピン芸人。サーカス芸を演じながらあるあるネタを披露する芸風で、生放送に映えると思い推してみた。

 最後の1枠はエアコンぶんぶんお姉さん。この人はメッチャ情報が少ないがw、大学お笑いサークルの大喜利大会で目覚ましい活躍をしているらしい。おそらくネタも大喜利を利用したものだろう。M-1やKOC、R-1の3大賞レースでも大喜利で決勝に残った組はおらず、だからこそ推してみる価値はあると思い、エアコンぶんぶんお姉さんをファイナリスト予想に挙げてみた。

 補欠の2組は、にぼしいわしとヒコロヒー。にぼしいわしはこのほど、関西の弱小プロwスパンキープロダクションを離れてフリーとなったから応援したい気分はあるんだがね。ヒコロヒーも、いつ賞レースでブレイクしてもおかしくない実力を有しているのだが、今回はベルサイユに譲るだろうなと。こういう感じでファイナリスト10組+補欠2組を選んでみた。

 今回の記事を書くにあたっていろいろ調べ物をしたのだが、準決勝進出組の栗尾がかなり取り込み中らしい。社会人お笑いサークル「公共の利益」で活動し、2年連続でTHE W準決勝進出を果たした栗尾だが、ご家族の健康状態が思わしくないようで、THE W準決勝の出場にも影響が出かねない現状みたいだ。何事もなく、準決勝ではベストを尽くしてほしいが…。