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ひぐま屋の新作を拝読したが…

※今回感想を書いた作品は成人向け漫画です

 

 同人漫画サークル「ひぐま屋」が新作をリリースした。ひぐま屋の過去作品については、以前私はこのように感想を書いた。

 私も新作を購入して拝読したが、個人的にはイマイチな出来だったように感じた。今作は学園ものだ。

 容姿端麗、才色兼備ながら男子生徒の交際の申し入れをことごとく振ることから「高嶺の花」と称される佐倉先輩。彼女には放課後の空き教室で「あること」にふけってしまう秘密があった。その「秘密」に興じているところ、後輩男子の守山に目撃され…というきっかけで、二人はなさぬ仲になるという展開だ。

 

 今作をイマイチに感じた理由は、複数ある。まず、ひぐま屋と言えば「おねショタ」という鉄板のイメージが確立している中で、新作は「おねショタ」感が薄かったというのがあるかな。

 舞台は学校内で、守山はYシャツにネクタイという夏の制服姿だ。そのせいか「ショタ」感は薄い印象を残す。一方の相手役・佐倉先輩はせいぜい守山の1~2学年上といったところだろう。

 「女性が年上」というひぐま屋作品おなじみのスタンスこそ守られてはいるが、過去作品のカップリングと比して「おねショタ」感は抑えられていると言っていい。個人的な意見を言わせてもらえば、守山の相手役は女性教師の方が良かったんちゃうかなあ。それだと以前に私がレビューした家庭教師ものとかぶるから、避けたのかな。

 

 もう一つ私がひぐま屋の新作をイマイチに感じた理由は、ショタの描写かな。具体的に言うと、ショタの表情かね。ひぐま屋と言えば、かわいらしくて表情豊かなショタの描写が肝だと私は考えている。

 新作は、ショタ(守山)の表情自体を描いたシーンが少なめに感じた。一方で性行為のシーンを入念に描いた印象があるんだけど、私自身はあまりそこを掘り下げなくてもいいのに…と思った。成人漫画に何言っとんねんと言われそうだが。

 

 あとこれもイマイチポイントに入るかな。ひぐま屋の絵柄ね。新作は顔の輪郭やボディーラインのふちが、だいぶラフに描かれたように見える。

 過去のひぐま屋作品て、細くて柔らかさを感じるタッチで人物描いていて、それが成人漫画には珍しい(他の作家さんすいません)唯一無二の清潔感を醸し出していたように思う。新作は、顔の輪郭やボディーラインが筆で描いたぽい感じなのよね。太くなったり細くなったり。なので新作の絵柄は、ひぐま屋の良さを消しているようでもったいない感じがしたなあ。

 

 ちょっと辛辣(しんらつ)に書いてしまって申し訳ないが、ひぐま屋も自身の作風を模索しているんだろうなてのは新作から伝わるものがある。ひぐま屋はこの夏、自身のtwitter(@norahigumax)で「新作もおねショタものがいいか」とアンケートを取っていた。

 アンケート結果は「新作もおねショタを」て意見が4分の3を占めたが、ひぐま屋は「非おねショタものがいいという意見が思ったより多かった」と評していた。ひぐま屋はほかのジャンルにも挑戦したいんかな…と私は彼の心中を察した。

 新作に「おねショタ」感が薄いのは、ひぐま屋のそうした複雑な胸中の反映なのかもしれない。もしほかに挑戦してみたいジャンルがあるというなら、果敢に漫画家としてのおのれの可能性を試してほしい…とは、漫画好きの端くれとしては思う。まあ、ひぐま屋は「おねショタ」が一番合っていると思うけどね。

 

 最後に、ひぐま屋作品を数本購入・拝読してきた私が個人的な希望を申し入れするなら、彼には「隣人がサキュバス」「囚(とら)われ勇者と魔王とエルフ」「混浴温泉で…」の続編を描いてほしい。ご検討のほど、なにとぞよろしくお願いします。