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ENGEI-COMIC SHAMROCK AWORD 2020発表

 拙ブログで毎年年末年始に選出している「勝手に芸人を表彰!!ENGEI SHAMROCK AWORD」ですが、今回からタイトルを少し変えました。ただしコンセプトはこれまで通り、2020年を通じて個人的に特筆すべき活躍をした芸人を表彰するものです。

 選出したのはMVP、新人王、三賞(殊勲、敢闘、技能)、そして特別賞。受賞者は以下の通りです。敬称略。

 

MVP 高木ブー(ザ・ドリフターズ)

新人王 吉住(THE W2020優勝)

殊勲賞 吉住(同上)

敢闘賞 Aマッソ(THE W2020ファイナリスト)

技能賞 ゆりやんレトリィバァ(同上)

特別賞 瑠璃(ネット漫画「よしゆきの性別逆転物語」作者)

 

 栄えある(?)MVPはザ・ドリフターズのベーシストにして日本演芸界の重鎮たる高木ブーにおくります。今年の3月で88歳になる高木。受賞の決め手は何といっても昨年4月、新型コロナウイルス感染により死去したドリフの同僚にして海外にも名を轟(とどろ)かせた志村けんの追悼番組(フジ系)です。生放送の番組終了間際での高木の挙動は、まさに「元祖高木ブー伝説」by筋肉少女帯加藤茶仲本工事らにうたた寝疑惑をツッコまれることなどどこ吹く風、高木は「志村は死なないの。ずっと生きてる」と。テレビ史に残る名言です。このときの高木には、たけしもさんまもタモリ松本人志も勝てないでしょう。文句なしのMVPです。

 新人王はTHE W2020で出場2回目にして涙の優勝を遂げた吉住。殊勲賞とのダブル(THE Wとややこしいですが)受賞です。「死のブロック」と言われた同大会Bブロックにて演じた一人コント「女審判」は、吉住の緻密(ちみつ)な作品構成と哀愁あふれる演技が合わさった名作でした。今年から芸歴10年以内に参加資格を絞った新生「R-1グランプリ」での2冠も期待しています。

 敢闘賞と技能賞は、これも「THE W2020」のBブロックで死闘を繰り広げたAマッソとゆりやんレトリィバァが受賞しました。大会でこの2組が直接対決した直後は、司会のフットボールアワー後藤輝基があまりのカオスで頭を抱える事態に。Aマッソに対しては「お笑いの歴史が1個進んだ」(アンガールズ田中卓志)、ゆりやんに対しては「深夜2時に見たら窒息死した」(麒麟川島明)と審査員の評価も真っ二つに割れたこの対戦、お笑い賞レースの歴史に残る名勝負と言っても過言ではないでしょう。この激闘をたたえて、Aマッソとゆりやんに賞をおくります。

 ここまで読まれた方で「THE Wの出場者ばかりに賞行ってないか」という疑問を持たれる方は、当然おられるでしょう。そのへんは、そうですねえ。まずM-1、KOCは大会そのものが低調だった印象を持ちました。M-1とR-1で優勝したマヂカルラブリー野田クリスタルは受賞候補に挙がりましたが、R-1の優勝ネタが「女性のスカートを切り裂くゲームをする」という作品だったので受賞を見送ることにしました。昨年の演芸界はとにかく新型コロナ禍で一変し、それが各種賞レースに影響した(その影響が一番少なかったのはTHE Wだと思えた)ように感じています。

 最後は特別賞。お笑い芸人ではなく、twitterで漫画「よしゆきの性別逆転物語」を連載しているフェミニストアカウントの瑠璃氏が受賞しました。「美少女に生まれ変わってちやほやされたい」という漠然とした願望を抱く若者・よしゆきが一夜にして女性に生まれ変わってしまう。しかし本人の希望に反し、その前途は多難で…という筋書き。基本カラーもベタ塗りもない、クロッキ―調の粗いタッチの画風が、月経など生得的女性が味わう困難に直面するよしゆきの苦悩を引き立たせています。物心ついたときから漫画大好きの私が、いま最も続きが気になるのがこの「よしゆきのー」です。早く続きが読みたい思いを込めて、瑠璃氏に特別賞をおくります。

 

 さて2021年もはや1月が終わろうとしています。相も変わらず新型コロナウイルスが猛威を振るい、文化・芸術分野に暗い影を落としています。各お笑い賞レースの開催自体、危機的状況にありますが、この暗い世相を笑い飛ばす演芸を芸人の皆さんに期待しています。てかお笑いの世界発展さすには、自公政権終わらすしかないぜ←直球w

 そんなわけで、今さらですが今年も拙ブログをよろしくお願いします。

菅野美穂氏を次期M-1審査員に!

 13日放送の「今夜くらべてみました」(日本系)はネットを席巻(せっけん)する神回となりました。連続ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(同)の番宣で出演した菅野美穂の手で、伝説のお笑いコンビが復活したのですから。

tver.jp

 くだんのコンビは「マッチポンプ」。松竹芸能所属で2008年、深夜のカルトお笑い番組あらびき団」(TBS系)にて衝撃のネタを披露した若手でした。菅野はこれも伝説のバラエティー笑っていいとも!」(フジ系)で無名も無名のマッチポンプを推し、彼らの人気に一役買いました。

 しかしマッチポンプは2009年、結成わずか3年で解散。彼らは「あらびき団」でのブレイクの翌年、つまり解散した09年の「爆笑トライアウト」(NHKテレビ)に出演しましたが、とりたてて特徴のない漫才を披露してオフエアに終わりました。リアルタイムで視聴した私は「何であらびき団のネタをやらへんねん」と感じましたが、今思えば、当時の彼らは迷走のさなかだったのかもしれません。

 この話の聞かせどころはここから。解散後くすぶっていた2人に、菅野はインタビューで変わらずマッチポンプを好きなコンビに推していたのです。これを励みにボケの木村氏は建設会社に就職。ツッコミ役の山田氏はパーソナルトレーナーとして書籍を出版しました。

 2人の軌跡を涙ながらに見ていた菅野のもとへ「一夜限りの再結成」として、マッチポンプの2人が代表作「熟年夫婦」のネタを披露。改めて見てみると、短いながらもよくできたコントだと思います。夫婦でしばき合いをするリズムは、八木節に酷似w なぜかビンタを連打される方の妻役の山田氏が「よっ」と声をかけるのが非常に不条理で、コントにすごみを加えていると思いました。

 

 菅野とマッチポンプの邂逅は、一夜限りとはなりませんでした。マッチポンプの2人は、本業に支障を来さないようにコンビ活動を再開するというのです。大女優菅野美穂は、10年以上前に解散し、世間からとっくの昔に忘れ去られたはずの芸人を見事に蘇生させたのでした。

 こうした一部始終を見て私は思うのですが、菅野美穂氏をぜひとも今年末の「M-1グランプリ2021」の審査員に起用すべきじゃないっすかね。ちょうど唯一の女性審査員たる上沼恵美子氏が勇退するというし。彼女の大プロデューサーぶりは、すべてのお笑い業界人が刮目(かつもく)しても何ら損はないでしょう。M-1の運営さん、ご検討のほど何とぞよろしくお願いします。

M-1グランプリ2020の採点をしてみた

 どうもどうも。遅れて申し訳ありませんが、ようやくyoutubeで今年のM-1グランプリ、各組のネタの動画を見終えたところです。

 私なりに採点もしてみましたが、youtubeが勧めてくる動画の上位から見ていったので、実際の放送のネタ順ではありません。それを踏まえて、ファーストラウンドと最終決戦の採点を発表します。

 

★ファーストラウンド

錦鯉 89
おいでやすこが 92
見取り図 91
インディアンス 86
東京ホテイソン 83
ニューヨーク 84
オズワルド 84
アキナ 82
ウエストランド 83
マヂカルラブリー 88

 

 おいでやすこがはピン芸人同士のユニットてことで甘く見ていた部分はありましたが、面白かったですね。若干、構成が去年のミルクボーイに似ていたような気がしましたがw 3年連続の見取り図は、序盤の朝礼のくだりと笑福亭鶴瓶への楽屋あいさつのくだりがカチッとはまったところが小気味よかったですね。

 

★最終決戦

見取り図 90
おいでやすこが 89
マヂカルラブリー 88

 

 見取り図は地方ネタで優勝をかけて勝負。ゴリゴリの田舎で生まれ育った私にとっては耳の痛いくだりも多少(?)ありましたが、笑いの打率は高かったと思います。

 おいこがは1本目と毛色を変えて、こがけんの暴走にフィーチャーしたネタでしたが、少々間延びした感じがしました。そして優勝のマヂカルラブリー野田クリスタルの動きボケがメインの電車ネタは「これは漫才なのか?」と巷の議論を呼んだようですが、個人的にはそれ以前の話ですね。コント55号という、それこそ半世紀以上前に演芸界で革命を起こしたコンビがいるのですから。なので、マヂラブの採点は辛めになりました。

 

 実際にネタを視聴してみたところ、今年のM-1で私が90点以上を採点したのはおいでやすこが、見取り図の2組にとどまりました。先んじて視聴したTHE Wでは、私は紅しょうが、Aマッソ、ゆりやんレトリィバァ、吉住、はなしょーに90点以上をつけました。てわけで、個人的には今年に関して言えばM-1よりWの方が、大会への満足度が高かったように感じています。

 上沼恵美子氏、オール巨人氏が来年の審査員辞退を示唆する発言をしており、今年の大会で20%近い視聴率(関東地域)を得たM-1も来年が正念場かと思います。ぜひともその正念場をはね返す活躍を若手芸人の皆さんに期待しておるところです。ぜひとも奮起をよろしくお願いします。

THE W2020感想

 今大会の動画を観賞し、一組ごとに100点満点で採点した。その結果と寸評を書くことにする。

★Aブロック
TEAM BANANA 87点
オダウエダ 88点
にぼしいわし 86点
紅しょうが 90点
ターリーターキー89点

 TEAM BANANAはシンデレラを題材にした漫才。一種の古さは感じたが、山田のボケのテンポの良さと藤本がいじられたときの顔芸に実力の一端を感じた。
 オダウエダの監禁を題材にしたコントは、これまでかまいたちやチョコレートプラネット、バイきんぐといった実力派がこすってきたテーマだ。若手女性コンビのオダウエダがどう料理するか注目したが、まさか実質二つのボケだけでやりきるところに狂気を感じた。若さゆえの粗さもあったが、初見で大笑いさせてもらった。
 2年連続決勝入りのにぼしいわし。恋愛をテーマにした組が多いAブロックで「うんてい」を題材にした漫才はそれだけで新しさを感じた。ただ前年に比べるとこの組の持ち味であるハチャメチャさがいくぶん不足していたように感じる。
 2年ぶりのファイナリスト紅しょうが。熊元プロレスの暴走には、一種の安心感がある。
 スパイクの新型コロナ感染により繰り上げ出場となったターリーターキー。恋人がアメリカへ旅立つ社長のために部下が一肌脱ぐコントは、昨年のキングオブコントかが屋を彷彿とさせる。既視感の多いコントだが、社長役の玉のガラガラ声でのツッコミがいい味を出していて、ずっと聞いていたい気分になった。

★Bブロック
Aマッソ 90点
ゆりやんレトリイバア 92点
吉住 93点
はなしょー 91点
ぼる塾 89点

 Aマッソは満を持して放った映像つき漫才。審査員のアンガールズ田中は「漫才の歴史が一個進んだ」とまで絶賛したが、その設定を超えるボケツッコミの面白さまでは私は感じられなかった。
 第1回チャンピオンのゆりやん。実は「鍋奉行」というワードでAマッソと被っている。それをものともしない、後を引く面白さがカツオの1人コントにあった。ネットでは「ゆりやんのセリフはカツオよりもマスオさんに声が似ていた」という指摘があったが、ゆりやんのクレバーさから考えればそれ自体が一つのボケだったとみることもできる。そうだとすれば、ゆりやんは狂っている。←褒め言葉
 迎え撃つは2年ぶりファイナリストの吉住。女性の審判を題材にした1人コントは、間違いなく歴史に残る名作であろう。個人的には、先日亡くなった小松政夫さんのことを吉住の審判コントで思い出したわ。なんだか、女性審判の半生そのものを演じているような重みがあったのよね。
 昨年惜しくも準優勝に終わったはなしょー。病院のお見舞いを舞台にしたコントは、展開の裏切りこそ少なかったとは思う。しかしはなのお婆さん役、しょうこのヤンキー姉ちゃん役の演技は堂に入っており、さすがという気持ちになった。
 ラストのぼる塾。今年の売れっぷりからして最終決戦進出の大本命とみられていたが、きりやと田辺の緊張した演技にいくぶん審査の採点を割り引かざるを得なかった。この組のポテンシャルはこんなものではないと思うので、来年の飛躍を期待したい。

★最終決戦
吉住 92点
紅しょうが89点

 先攻の吉住は銀行強盗1人コント。監禁されているのに能天気に恋バナをする銀行員のコントだが、これも設定と演技がしっかりしていたのでハードな展開になってもきっちり笑いを取れたと思う。
 後攻の紅しょうがは、いわゆる「寝取り」を目撃したときにどうするかを問うたシミュレーション漫才。熊元プロレスがイナダを担ぎ上げるくだりは面白かったが…。浮気を楽しんでいる稲田の演技をきっちり見せても良かったかな。

 今回のTHE Wは、4回目の大会にして非常に理想的な内容だったと思う。各出場者のネタのレベルは上がっていたし、死のBブロックを勝ち上がった吉住がそのまま勝利の凱歌を上げた。今大会に限れば、THE Wはマヂカルラブリーが優勝したM-1グランプリ2020よりも満足度の高い結果を得られたのではないかと思うのだが、どうだろう。
 ともかく今年のTHE Wは過去最高の大会だった。その辺は、スタッフも胸を張っていいと思う。
 ぜひ女性芸人の皆さんは、来年の優勝に向けて爪を研ぎまくってほしいと願う次第である。

THE W2020の大会結果を予想する

 早いもので、あと約14時間後には「THE W2020」の決勝戦が始まる。4代目となる女性芸人の日本一、646組の参加芸人の頂点が決まるのだ。

 まず決勝戦の出場者をおさらいする。カッコ内は所属事務所の通称、出場回数。敬称略。

 

★Aブロック

TEAM BANANA吉本興業、初出場)

オダウエダ(吉本興業、初出場)

にぼしいわし(フリー、2年連続2回目)

紅しょうが(吉本興業、2年ぶり2回目)

ターリーターキー(人力舎、初出場)

★Bブロック

Aマッソ(渡辺プロ、初出場)

ゆりやんレトリィバァ吉本興業、2年ぶり3回目)

吉住(人力舎、2年ぶり2回目)

はなしょー(渡辺プロ、2年連続3回目)

ぼる塾(吉本興業、初出場)

 

 ご承知のように、Aブロックのターリーターキーは新型コロナ感染で無念の辞退と相成ったスパイク(吉本興業)の代役として繰り上げ出場している。そして今大会の審査員は以下の通り。敬称略。審査はこの6人に視聴者投票が加わる。

 

★審査員

久本雅美、ヒロミ、田中卓志(アンガールズ)、川島明麒麟)、哲夫(笑い飯)、リンゴ(ハイヒール)

 

 審査員は清水ミチコから麒麟川島へのバトンタッチがなされた。女性審査員の比率が減ったわけで、これが大会にどう影響するかというのは注目ポイントである。

 てわけで、私なりに「THE W2020」の大会結果を予想してみようと思う。審査形式は昨年と同様のノックダウンスタイルと仮定して。対戦した2組のどちらにどの審査員が投票するかを記してみた。その結果は、以下の通りである。

 

★Aブロック
○TEAM BANANA6-1オダウエダ●
T→久本、ヒロミ、川島、哲夫、リンゴ、視聴者
オ→田中
●TEAM BANANA3-4にぼしいわし○
T→川島、リンゴ、視聴者
に→久本、ヒロミ、田中、哲夫
●にぼしいわし1-6紅しょうが○
に→久本
紅→ヒロミ、田中、川島、哲夫、リンゴ、視聴者
○紅しょうが5-2ターリーターキー●
紅→ヒロミ、川島、哲夫、リンゴ、視聴者
タ→久本、田中

 

★Bブロック
○Aマッソ4-3ゆりやんレトリィバァ
A→久本、田中、川島、リンゴ
ゆ→ヒロミ、哲夫、視聴者
○Aマッソ7-0吉住●
A→久本、ヒロミ、田中、川島、哲夫、リンゴ、視聴者
吉→なし
●Aマッソ3-4はなしょー○
A→久本、川島、哲夫
は→ヒロミ、田中、リンゴ、視聴者
●はなしょー1-6ぼる塾○
は→田中
ぼ→久本、ヒロミ、川島、哲夫、リンゴ、視聴者

 

★最終決戦
○紅しょうが4-3ぼる塾●
紅→久本、川島、哲夫、リンゴ
ぼ→ヒロミ、田中、視聴者

 

優勝 紅しょうが

 

 どうだろう。審査員が清水から川島に交代したことで、漫才勢には少し優位な結果が得られるのではと私はみている。

 まずAブロック。高校時代からM-1甲子園のファイナリストになるなど鳴らしてきたTEAM BANANAが後輩のオダウエダを一蹴(いっしゅう)するも、2年連続決勝組のにぼしいわしに惜敗すると予想。哲夫は昨年、ただ一人にぼしいわしに投票しており、彼がキーマンになると思う。しかし安定感に勝る紅しょうがが最終的には勝ち名乗りを挙げるだろうと私は予想する。

 そしてBブロック。ここは満を持して3年ぶりの大会出場を決断したAマッソが猛威を振るうのではないか。彼女たちはM-1でもキングオブコントでもかけられないタイプの実験的な漫才を予選でかけて決勝進出を果たした。この勢いで初代女王のゆりやん、2年ぶりファイナリストの吉住を下すであろう。ちなみに私は、吉住が今大会唯一の完封負けを喫するとみているw 彼女は先日放送されたNHK新人お笑い大賞にも出場したが、なかなか人を選ぶタイプのネタをやったみたいなので。そしてAマッソ×はなしょーのナベプロ対決は、はなしょーが前回準優勝の意地を見せて勝つも、各種バラエティーで当たるべからざる勢いを見せているぼる塾に屈する…というのが、私のBブロックのたたかいの見立てだ。

 

 最終決戦の予想。この間、ネットをさらってみると「ぼる塾の優勝でしょ」と半ば冷めた意見が散見されるのだが、私は紅しょうがの優勝を予想している。というのも、ぼる塾は2本目でいいネタをそろえてくるのか少し疑問視しているからだ。もちろん優勝をめざすぼる塾が切り札的に2本目のネタを用意していることもあり得るのだが、それでも見慣れた「まぁね~」のネタより見劣りするんじゃないかな。なので、地肩に勝る紅しょうがが接戦で4代目女王に輝くのではとみている。

 THE Wも4回目の開催になるわけだが、これまでの結果をみればゆりやん阿佐ヶ谷姉妹、そして3時のヒロインと本命どころが下馬評通りに優勝してきた感がある。今大会で言えばぼる塾が本命に目されていると思うが、そろそろ思わぬ組が優勝、という結末があってもおかしくはないであろう。なもんで、私としては紅しょうがの優勝にかけてみたいというのがある。

 

 もっとも気楽な一視聴者にすぎない私の予想など雲散霧消しかねない、激戦の大会になることも十分ありうる。そう思わせるくらい、今回のTHE Wはハイレベルな出場者が出そろっている。

 当たるも八卦、当たらぬも八卦。30年近く前、著書で「女はお笑いに向かない」と呪いをかけたミソジニスト松本人志を蹴散らすようなたたかいを期待する。

小松政夫さん追悼「オヨビでない奴!」(TBS系)

 コメディアンの小松政夫さんが7日、亡くなった。78歳。

 3年前に拙ブログでこのような記事を書いていた私は、訃報を聞いて(親分、早すぎるよ…)と思ってしまった。小松さんは私の母親と同世代なもので、よけいにそう感じたというのはあるかな。

 

 名コンビで一世を風靡した伊東四朗、ひと世代下のビートたけし、小松さんの自伝ドラマ「植木等とのぼせもん」(NHKテレビ)で主演した志尊淳など、多くの人が取材やSNSを通じて故人をしのんでいる。小松さんの芸人としての全盛期をリアルタイムで知らない私としては、まず思い出すのが中学時代に見た午後7時放送の30分ドラマ「オヨビでない奴!」(TBS系)である。

 主演は子役からアイドルスターへの道を駆け上がっていた高橋良明。彼の父親役は所ジョージ、そして祖父役は小松さんの師匠であった植木等という「無責任でお調子者の一家」が引き起こすドタバタコメディーであった。

 小松さんが演じたのは高橋演じる遊介が転校した中学校の主任・村西先生。「上に媚びて下に高圧的」の典型のような教師で、何かにつけては遊介に厳しく当たっていた役どころだ。

 

 この村西先生を演じた小松さんについて忘れがたいのは、遊介とガールフレンドの亜紀(磯崎亜紀子)が1964年の世界へタイムスリップする回だな。たぶん、てか「BACK TO THE FUTURE」が元ネタだとみているw

 当時から23年前の世界に行ってしまい、動揺する亜紀をよそに遊介は「安いから」とラーメン屋でおかわりしまくっていた。意気揚々と夏目漱石の千円札(1984年発行)を出す遊介だったが、女性店員から「聖徳太子を持って来なさい」とニセ札扱いされてしまう。

 窮地に陥る遊介と亜紀だったが「僕が立て替えます」と穏やかに申し出たのが、若かりし頃の村西先生だった。角帽に瓶底メガネ、詰襟を当時45歳の小松さんが着こなしている。

 遊介、亜紀が家出した少年少女と推測した若き村西先生は、一人暮らしの宿へ2人を泊める。こたつに入りながら理想の教育をとうとうと語る苦学生の姿は現在の村西先生とはかけ離れたもので、遊介も亜紀も感心して話に耳を傾けていたと記憶している。

 遊介、亜紀は当時の祖父・千歳、父親・又一郎にも会う。会うというか、人生に絶望した千歳が又一郎を連れて自殺しようとしたのを2人が止めるのであった。暗い性格だった自分の父親と祖父を変えるため、遊介が奮闘するという筋立てである。

 遊介と亜紀の尽力により千歳と又一郎は明るい性格となり、2人はめでたく現代に戻った。村西先生は相変わらず遊介をガミガミ叱る。「昔と言っていること違うじゃん…」とぽつりつぶやく遊介に「なんか言ったか!?」と村西先生は詰め寄るのだった。

 

 若き日と現在の、まるで別人のような役柄(これは師匠の植木にも言えるが)を演じ分けた小松さんの姿は、30年すぎても忘れがたいものがある。まあ「あの人は昔は正反対の性格をしていた」てのはドラマのお約束といえばそうなのだが、小松さんの演技にはうそ臭さがなかったていうかね。45歳で学生服姿なんかコントとしか言いようがないんだけどw

 困っている少年少女に手を差し伸べ、理想の教育を語る心優しき村西青年。そんな彼が、23年たって生徒に高圧的に接する教師となったのは、そうなってしまう苦しい体験があったのかなあ…と感じさせる説得力が小松さんの演技にはあったと生意気ながらそう思っている。

 「オヨビで―」のタイムスリップ回では、遊介と亜紀を現代に帰す役割を果たす秋葉原博士を坂上二郎が演じていた。つまり植木、小松、坂上と戦後を代表するコメディアンがアイドル主演の30分ドラマにそろい踏みしていたんだ。すげーなw ちなみに若き日の段田安則も警官役で出ていた。

 

 先に書いたように小松さんと植木等は師弟関係にあったわけだが「オヨビで―」で2人が絡んだ記憶はあんまないのよ俺。当時は2人の関係など知らなくて、注意してみていなかったのもあるけど。もっとも小松さんの人柄を思えば、師匠との積極的な絡みは遠慮していたてのもありえそうだな。師弟のつもる話は、あの世でじっくりと楽しんでほしい。

 

 小松の親分のご冥福を祈ります。

「ものまね王座決定戦2020」(フジ系)

 年に一度のものまね頂上決戦、元祖M-1グランプリ(と私は思っている)の「ものまね王座決定戦」(フジ系)が4日に放送された。

 テレビを見ない生活を送っている私だが、某動画サイトでw番組を視聴。あわせて各ネタを採点させてもらった。

 その採点結果は以下の通り。ちなみに聴けないネタがあり、そこは「?」とさせてもらった。カッコ内はネタになった歌手名。採点で90点を超えたネタは赤色にした。

 

【1回戦】

ダブルネーム(GReeeeN)86 ×鈴木麻由(あいみょん)?

藤本匠(CHAGE&ASKA)86 × 栗田貫一さだまさし)88

みはる(中森明菜)87 ×ノブ&フッキーぴんから兄弟)90

暁月めぐみ(小林幸子)85 ×布施辰徳(安全地帯)89

春風みずほ(TRF)84 ×ビューティーこくぶ稲垣潤一)88

山本高広(浜田雅功)80 ×ななみなな(DREAM COME TRUE)86

杉野ひろし(星野源)89 ×エハラマサヒロ影山ヒロノブ)87

NASUMI(B'z)85 ×たぐちゆうき(大黒摩季)88

シュネル(King Gnu)86 ×ずま(ONE OK ROCK)87

ほいけんた郷ひろみ)84 ×YOMA(DISH)87

Ichi(Official髭男ism)85 ×小川美佳(篠原涼子)87

モリナオフミエレファントカシマシ)86 ×松浦航大(米津玄師)90

田原可南子Whiteberry)83 ×ANZEN漫才藤井フミヤ)86

おばたのお兄さん(中孝介)84 ×ミラクルひかる渡辺真知子)89

 

【準決勝】

ダブルネーム(中条きよし)86 ×栗田貫一(森進一)87

ノブ&フッキー内田裕也&安岡力也)90 ×布施辰徳(五木ひろし)91

ビューティーこくぶ氷川きよし)89 ×ななみなな(中森明菜)88

杉野ひろし(桐谷健太)87 ×たぐちゆうき(Superfly)89

ずま(エド・シーラン)88 ×YOMA(雅夢)89

小川美佳(globe)89 ×松浦航大(コブクロ)91

ANZEN漫才BOOWY)86 ×ミラクルひかる広瀬香美)90

 

【決勝戦

ななみなな(PRINCESS PRINCESS)84
栗田貫一井上陽水)85
布施辰徳(福山雅治)93
たぐちゆうき(LISA)89
YOMA(buck number)90
ミラクルひかる笠置シヅ子)92
松浦航大(平井堅)91

 

 ふたを開けてみれば松浦の初出場初優勝というフレッシュな結末になった今大会。ただ動画を見て思ったのは布施、ミラクルというベテラン選手のすごみである。

 とりわけ印象に残ったのは布施。この人も王座に出続けて数えで29年になるが、決勝の福山は彼のベストパフォーマンスだったのではないか。加えて準決勝のノブフキ戦は後世に語り継がれる名勝負だった。

 私も動画を見ていて、途中まで(ノブフキの方が勝っているかな…)と思ったが、布施がサビ以降でぐいっと聴かせて評価を逆転させられた。これは選曲の勝利だと思う。

 群雄割拠のものまね王座で勝つには選曲も重要なポイントを占める。布施はその点で安全地帯、五木、そして福山に至るまで完ぺきな選曲だったのではないか。布施も来年62歳になるのだが、まだ優勝候補の筆頭であり続けるのでないかと思わされるほど今大会では猛威を振るったと思う。

 そしてミラクル。この人はブロック戦だとかなり楽なたたかい(つまり弱い相手が多い)なので個人的には不満なのだが、それでも毎年決勝戦でやりたい放題やるのでトントンではあるw

 決勝でかけたのは笠置シヅ子で、いわゆる新ネタではない。今回の「買い物ブギー」は、ミラクルが以前に披露した「東京ブギウギ」ほどポップではないが、かつて「ちびまる子ちゃん」の映画で鮮烈な印象を残した曲である。1950年にリリースしたこの曲の斬新な魅力を70年後の現代によみがえらせたという点で、ミラクルには脱帽するしかない。ただ布施の福山よりは1点低く付けざるを得なかったので、その点は申し訳ないw

 初出場初優勝の快挙を成し遂げた松浦は27歳の若武者。採点結果を振り返れば1回戦、準決勝、そして決勝とすべてのネタで私が90点以上をつけたのは彼であった。

 よくよく考えてみれば、正統派のものまねでも多少の誇張はあるものなのだが(布施も星奈々もそうだった)、そうしたものを排した直球勝負で王座を制したのは、番組の長い歴史においても松浦が初めてだったのかもしれない。そういう意味では、松浦は重い十字架を背負ってしまったのかとすら思ってしまう。この重圧に負けず、来年の王座では高らかに連覇を狙ってほしい。

 

 決勝に駒を進められなかった選手で印象に残ったのは杉野かな。星野源の「恋」を軽やかに歌い上げ、優勝経験者のエハラに勝ったのは見事だった。

 あとANZEN漫才。準決勝のBOOWYでの氷室ボイスで、初めてみやぞんをカッコいいと思ったわw しかしバックギタリストの布袋役を務めたあらぽんのコーラスを聴くたんびに、こちらは採点の点数を減らさざるを得なくなったので申し訳ないw