無料カウンター

THE W2020感想

 今大会の動画を観賞し、一組ごとに100点満点で採点した。その結果と寸評を書くことにする。

★Aブロック
TEAM BANANA 87点
オダウエダ 88点
にぼしいわし 86点
紅しょうが 90点
ターリーターキー89点

 TEAM BANANAはシンデレラを題材にした漫才。一種の古さは感じたが、山田のボケのテンポの良さと藤本がいじられたときの顔芸に実力の一端を感じた。
 オダウエダの監禁を題材にしたコントは、これまでかまいたちやチョコレートプラネット、バイきんぐといった実力派がこすってきたテーマだ。若手女性コンビのオダウエダがどう料理するか注目したが、まさか実質二つのボケだけでやりきるところに狂気を感じた。若さゆえの粗さもあったが、初見で大笑いさせてもらった。
 2年連続決勝入りのにぼしいわし。恋愛をテーマにした組が多いAブロックで「うんてい」を題材にした漫才はそれだけで新しさを感じた。ただ前年に比べるとこの組の持ち味であるハチャメチャさがいくぶん不足していたように感じる。
 2年ぶりのファイナリスト紅しょうが。熊元プロレスの暴走には、一種の安心感がある。
 スパイクの新型コロナ感染により繰り上げ出場となったターリーターキー。恋人がアメリカへ旅立つ社長のために部下が一肌脱ぐコントは、昨年のキングオブコントかが屋を彷彿とさせる。既視感の多いコントだが、社長役の玉のガラガラ声でのツッコミがいい味を出していて、ずっと聞いていたい気分になった。

★Bブロック
Aマッソ 90点
ゆりやんレトリイバア 92点
吉住 93点
はなしょー 91点
ぼる塾 89点

 Aマッソは満を持して放った映像つき漫才。審査員のアンガールズ田中は「漫才の歴史が一個進んだ」とまで絶賛したが、その設定を超えるボケツッコミの面白さまでは私は感じられなかった。
 第1回チャンピオンのゆりやん。実は「鍋奉行」というワードでAマッソと被っている。それをものともしない、後を引く面白さがカツオの1人コントにあった。ネットでは「ゆりやんのセリフはカツオよりもマスオさんに声が似ていた」という指摘があったが、ゆりやんのクレバーさから考えればそれ自体が一つのボケだったとみることもできる。そうだとすれば、ゆりやんは狂っている。←褒め言葉
 迎え撃つは2年ぶりファイナリストの吉住。女性の審判を題材にした1人コントは、間違いなく歴史に残る名作であろう。個人的には、先日亡くなった小松政夫さんのことを吉住の審判コントで思い出したわ。なんだか、女性審判の半生そのものを演じているような重みがあったのよね。
 昨年惜しくも準優勝に終わったはなしょー。病院のお見舞いを舞台にしたコントは、展開の裏切りこそ少なかったとは思う。しかしはなのお婆さん役、しょうこのヤンキー姉ちゃん役の演技は堂に入っており、さすがという気持ちになった。
 ラストのぼる塾。今年の売れっぷりからして最終決戦進出の大本命とみられていたが、きりやと田辺の緊張した演技にいくぶん審査の採点を割り引かざるを得なかった。この組のポテンシャルはこんなものではないと思うので、来年の飛躍を期待したい。

★最終決戦
吉住 92点
紅しょうが89点

 先攻の吉住は銀行強盗1人コント。監禁されているのに能天気に恋バナをする銀行員のコントだが、これも設定と演技がしっかりしていたのでハードな展開になってもきっちり笑いを取れたと思う。
 後攻の紅しょうがは、いわゆる「寝取り」を目撃したときにどうするかを問うたシミュレーション漫才。熊元プロレスがイナダを担ぎ上げるくだりは面白かったが…。浮気を楽しんでいる稲田の演技をきっちり見せても良かったかな。

 今回のTHE Wは、4回目の大会にして非常に理想的な内容だったと思う。各出場者のネタのレベルは上がっていたし、死のBブロックを勝ち上がった吉住がそのまま勝利の凱歌を上げた。今大会に限れば、THE Wはマヂカルラブリーが優勝したM-1グランプリ2020よりも満足度の高い結果を得られたのではないかと思うのだが、どうだろう。
 ともかく今年のTHE Wは過去最高の大会だった。その辺は、スタッフも胸を張っていいと思う。
 ぜひ女性芸人の皆さんは、来年の優勝に向けて爪を研ぎまくってほしいと願う次第である。