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寺内タケシさんの訃報とビジー・フォー

 「エレキの神様」こと寺内タケシさんが亡くなった。82歳。

 「エレキ民謡」に代表される創作活動もさることながら、かつて「不良の音楽」と教育者に目くじらを立てられていたエレキを高校生に普及する取り組みにも腐心していた寺内さん。日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版にも複数回インタビュー出演し、私のような音楽素人の共産党支持者にもおなじみの人であった。ご冥福をお祈りする。

 しかし、私個人にとって寺内さんと言えば、何といってもモンスター番組「ものまね王座決定戦」(フジ系)でのビジー・フォーのネタである。1997年秋の王座で披露したエレキ民謡の代表曲「津軽じょんから節」は、寺内さんに扮したグッチ裕三の後ろで白の全身タイツのモト冬樹がギターをかき鳴らす二人羽織ネタだ。そのネタはこちらで視聴できる。

 このものまねの肝は、まずグッチのなまりを交えた寺内さんのトークであろう。訃報に際して寺内さんのことをネットでざっと調べてみたら、生前はほら吹きで有名だったらしい。当時のバンドマンはほら吹きが多かったと言うが、そんな情報を仕入れた上で、先のものまね王座のネタでのグッチの口上を書き起こしてみた。実は演奏前の口上は分かりにくかったのではしょっているw

 

ある日4人の若者が、俺のバンドに入れてくれとやってきた。
俺は髪の長いやつは嫌いだから帰れと言った。
泣きながら帰っていったやつが、あのビートルズだ。
その次の日だ。
今度は3人の若者がやってきた。
麻雀のメンツを探していた。
おい、おまえら俺をなめているのか。
俺はしょっぱいぞ。
おまえら、プレスリーの「ハウンドドッグ」という曲を知っているか。
あれは、当時俺が飼っていた犬の歌だ。
どうだ、まいったか。
最後に若者に言っておく。
これからの時代は、なまったら終わりだ。
どうだ、まいったか。
まいったら、滑川アイランドで待ってるぞ。
相変わらず音がでかいぞ。
オス。

 

 いーや1分弱のネタでこの情報量!!東京ホテイソン

 この口上、練りに練られていると思うわ。「どうだ、まいったか」の繰り返しや「相変わらず音がでかいぞ。オス」のアドリブ感とか。

 ものまね研究会さん(@monomane1105)によれば、この寺内タケシネタはビジー・フォーにとって最初期からのレパートリーだったもよう。なるほど、やりなれた感があったわけだ。

 某動画サイトで寺内さんが「津軽じょんがら節」を演奏しているシーンを見ると、右手中指に指輪をしているのが確認できる。実はこれ、先のビジー・フォーの二人羽織ものまねで演奏している冬樹の右手中指にも指輪があるんだわ。

 そうした小道具まで細やかに似せているあたりに、ビジー・フォーの寺内さんへの惜しみないリスペクトや、彼らのものまね師としての矜持(きょうじ)を感じることができる。個人的に寺内タケシの「津軽じょんがら節」は、ビジー・フォーのものまねの最高傑作と言ってよかろう。

 改めて、寺内タケシさんのご冥福を祈ります。お疲れさまでした。