R-1ぐらんぷり2018決勝戦の感想その6最終回!濱田祐太郎優勝!!
◆ファイナルステージ
・おぐ(Aブロック勝者)
出だしのウケ具合は、今大会決勝の瞬間最大風速と言ってもいいだろう。薄毛のおじさんが女子高校生姿になるという導入は、ファーストステージの記憶を念頭に置いた上でもインパクト十分の面白さがあった。頭を抱えて「毛が抜けていない」というギャグの被せも「なるほどね」とニヤリとさせるものがあった。
ただ入れ替わったおじさんが非常に人柄のいい人物であったため、必然的に笑いにつながるポイントが分かりづらくなっていった感じだ。DVDの趣味が女子高生と一緒ということで「よし!」というおじさんのくだり、冷静に考えたらそんな笑えるところでもないし。あとオチも投げっ放しが過ぎるわなと思った。
とはいえ、前半のウケっぷりがすごくてその貯金があったので、このネタを見た時点で「今年はおぐが行くかもな」と思った。昨年のM-1は最終決戦トップのとろサーモンが優勝したし。
個人的な採点は100点満点中92点。
・ゆりやんレトリィバァ(Bブロック勝者)
おそらく歴代トップ回数と思われる通算3回目の最終決戦。「THE W」との2冠という悲願を狙うゆりやんのネタは、見ていて「???」が頭に並ぶ実験的なネタだった。
「エスカレーターの終わりで立ち止まらないでください」など、ゆりやん得意のあるあるネタの変形かと思ったが、徐々に「それあるあるか?」とネタのスタイルが崩れていく。ラストの「おしっこ漏らさないでください」は「ええ…」と聞いていて戸惑った。そのネタの合間を渡辺直美もかくやというような激しいダンスでつなぐ。まあ単独ライブでは盛り上がるネタかもしれないが(ダンス時のBGMは秀逸だった)、これ賞レースの最終決戦でかけるようなもんじゃないぜwそれだけは言わせてくれよ。
個人的な採点は100点満点中90点。
・濱田祐太郎(Cブロック勝者)
決勝常連マツモトクラブとのしびれるような接戦を制した弱視の漫談家が、お笑い界の歴史を変えに最終決戦に挑んだ。つかみは「優勝賞金で3Dテレビやプリウスを買いたい」と、この決戦への姿勢を感じた。
ネタは自身が通った盲学校(特別支援学校)について。ファーストステージに比べると見る側の知識を共有しづらいネタであったが、駅のホームに今や必ずある点字ブロックが盲学校になく「どんだけスパルタ教育!」とつないだところで軌道に乗せた。後はファーストより滑らかな口の動きを感じ取り、安心して聞けた。途中、後に本人が振り返ったように噛みまくる場面も確かにあったが、それも気にならないくらいしゃべりが達者だった。ラストの先生の「心の目で見ろ!」へのツッコミも2段階に分けるなど、構成の巧みさも感じた次第だ。
個人的な採点は100点満点中93点。
私が審査員として、持ち点3票をどう投じるかについては濱田2、おぐ1、ゆりやん0とした。優勝者の予想は「瞬間最大風速のすごかったおぐかな」と思っていた。
果たして実際の審査結果は?
お茶の間d投票は濱田が67%でダントツ1位。この数値は当分破られないだろ…とため息をついた。
そして桂文枝、関根勤、久本雅美、陣内智則、ヒロミの投票を加えた審査結果は濱田12、ゆりやん5、おぐ4。濱田祐太郎の初優勝が決まった。
それにしても優勝決定後の濱田のリアクションよ。「取るな!取るなよ!」に始まり、優勝コメントを優等生的に短く終わらせるつもりなどさらさらなく「本当は7回目の挑戦でした」などとぶっこむあたりは空恐ろしさすら感じた。
まさにお笑い界の歴史を変える王者が誕生した瞬間に立ち会った、と断言していい。濱田祐太郎さん、R-1優勝おめでとうございます。溝口幸雄さんのガイドヘルプも素晴らしく、お笑い界にとって忘れられない場面となったであろう。
終わります。