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R-1ぐらんぷり2018決勝戦の感想その5

◆ファーストステージ

Cブロック

紺野ぶるま

 昨年の敗者復活2位、今年はストレートで2年連続のファイナリスト。昨年末の「THE W」決勝進出者でもある。

 2度目のR-1決勝の舞台で見せたのは「THE W」をオーバーラップさせるような、恋人との別れ話ネタ。見初めは「またこれか…」という思いを抱いたが、紺野の「体調が良くなってきて…」というセリフのくだりで「おっ」となった。なぜ「おっ」となったのか自分でもよく分からないのだがw、その後の言動がいい感じで笑いのポイントを突いてくれた感じだ。「大自然の中でこうちゃんがちっぽけに見えた」とか、準決勝で爆発したという「二軍のサッカー選手」とか「THE W」のネタに比べると洗練されていたと思う。しかしBGMは「THE W」と一緒だったが、あれ誰の何て曲なんだろ。

 個人的な採点は100点満点中89点。

霜降り明星 粗品

 アマチュア時代からその独特なフリップネタでR-1の若き強豪と目されていた粗品が、ついに決勝でベールを脱いだ。実は私は彼のネタは初見であった。Bブロックでは相方のせいやが敗者復活を勝ち抜いただけに、粗品も大いに気合が入っただろう。

 果たしてネタは「ツッコミカルタ」。もともとは高速でフリップをめくるネタで知られていた粗品だが、それにカルタの要素を入れてアレンジしたらしい。ここで私は個人的に「?」となってしまった。カルタなら地べたに何枚も並べて「ハイ!」とやるやつをどうしても想像してしまう。それが普通に台に立てたフリップをめくるから「これがカルタ?」と違和感が生じてしまって、ちょっと集中力がそがれた。

 ネタそのものも「バク買い中国人」などは笑うというより「ああ~」と納得してしまい、その上で「面白いかというと、あんまり…」と覚めてしまうのが多かった。相田みつをが書かなそうな言葉をちょいちょいはさむのは笑えることは笑えるが、やはり小手先の笑いという印象。若いわりに変化球に頼るタイプだなーと思った。

 個人的な採点は100点満点中90点。

・マツモトクラブ

 ファイナリスト最後の出番に来たのは、敗者復活ステージ1位でゆりやんとおなじく4年連続決勝進出となったマツクラ。どうやら敗者復活戦にかけたのとは違うネタらしい。

 初決勝(敗者復活2位)の2015年を思い出させるストリートミュージシャンのネタ。流しで歌う若者の前を横切る父親…という切り口はマツクラらしい斬新(ざんしん)さがある。司会の雨上がり決死隊・宮迫が言及していたが、舞台の裏を必死で走っているだろう姿の想像も込みで、前半は非常に面白かった。

 ただし後半がなあ。父親がダンサーだったという過去をどう料理するかが肝だったと思うが、そのネタバラシがタップダンスというのは意外性に乏しい。マツクラのネタは私ども視聴者の側も見慣れてきただけに、たとえばダンスはダンスでも盆踊りとか(それが面白いかはともかく例えとしてね)裏切りが欲しかったところだ。オチの「カツカレー」も個人的にはイマイチだったな。

 個人的な採点は100点満点中88点。

 

 審査員の採点結果は濱田8、マツクラ8、粗品5、紺野0。

 濱田とマツクラがBブロックに続いて同点となったが、お茶の間d投票で上回った濱田(1位、マツクラは2位)が勝ち抜け、しびれるようなたたかいを制した。

 ちなみに私が審査員なら濱田2、粗品1、紺野とマツクラは0。

 

 結果発表中に、紺野が隣の濱田に逐一状況説明している姿がネットニュースになるほどの賞賛を呼んだ。「紺野は当然のことしたまでだろ」てな意見も散見されたが、やはり自発的にああやって世話を焼くというのは難しいと思う。

 私が町を歩いていて、視覚障害のある人が立ち尽くしているところを見たとしよう。そこで私は一歩踏み出して「どうしましたか?」と声をかけられるかどうか。向こうから声をかけられたら応じるが、いざ自分から踏み出せるかは自信がない。そう自分に置き換えてみると、やはり紺野の行動は賞賛に値すると考えるのである。

 

 続きます。