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R-1ぐらんぷり2018決勝戦の感想その4~濱田祐太郎「衝撃デビュー」!

◆ファーストステージ

Cブロック

濱田祐太郎

 昨年秋のNHK新人お笑い大賞決勝に進出した、弱視の若き漫談家が初めてのR-1決勝舞台に挑んだ。このファーストステージ、ガイドヘルプ(同期芸人の溝口幸雄)に手を引かれての濱田の登場シーンは、いささか気が早いながらも今年のお笑い界最高の名場面に推したいと思う。M-1に比べるといささかお祭り要素の強い賞レースの印象があるR-1だが、長めに流されるBGMの中で出てきた濱田、その彼の腕をぐっと押して去る溝口の姿には会場の観客もピリッと緊張したろうし、録画を見ている(リアルタイムでは見られなかった)私も体に力が入った。

 つかみがすごかった。自己紹介をしたときの観客は確実に思い雰囲気だったが「観客0人かと思った」の一言で一気に濱田は自分のペースをつかんだ。果たして漫談の内容だが、ネタそのものにはまだ粗削りな部分を感じた。ダーツのくだりでの「ダ、ダ、ダ、ダーツ?」などはもっといいフォローセリフがあったのでは…などと素人考えをした次第だ。

 しかし最終的には、彼の確かな発声と丁寧なネタ振りができる話術にどんどん引き込まれた。白眉だったのが「盲学校の修学旅行」のくだりだろう。

 盲学校の説明で、濱田は「目の悪い子たちが通う」などと言っていたが、私はへえ、と思わされた。「盲学校」という言葉に引っ張られて、生徒たちはみな目が見えない、全盲の子たちなのかなという先入観があったのである。実際は左目は見えないが右目は明暗を確認できる程度に見えるという濱田のように、視覚障害の程度も生徒それぞれ違うのだろう。その実態を濱田は「目が悪い」の一言で説明していたので、なるほどという納得とともに「それでそれで?」とその後の漫談の展開が知りたくて引き込まれた次第だ。そういう導入の確かさがあって、「二度見」というパワーワードの威力は増大していたと思う。ゴールデン帯において、衝撃デビューと言ってよい濱田祐太郎の漫談であった。

 個人的な採点は100点満点中91点。

 

 続きます。