キングオブコント2017決勝戦の感想その3~衝撃のにゃんこスター!
◆ファーストラウンド
(決勝戦初出場、フリー[決勝戦翌日にワタナベエンターテインメント加入])
今となっては今大会の話題をかっさらった感のあるこの2人、正体不明のダークホースと目されていた戦前の評判がもはや懐かしくもある。ネタ前のVTRでは2012KOCキングのバイきんぐ小峠と伊集院光の絶賛、そして準決勝の彼らを袖で見たしずる村上の「コントの終わりじゃない…」という困惑の苦笑いで私を含め視聴者のハードルは上がりに上がり切っていたはずだ。そして結果、にゃんこスターの2人は見事にそのハードルを越えてみせたのである。
刮目(かつもく)した点はいくつもある。まずネタ始まりのスーパー3助。
「わーい! おーいらは縄跳び大好き少年、だよー!!」
半ズボンの格好をした34歳のおじさんが全力で自己紹介、である。それまでエレベーターの到着待ちでイライラするジャンポケ斉藤や、鉄板餃子に「うまそうやったな…」と呟くさらば青春の光森田など神妙な芝居でコントを始める組が多い(というかコントの始まりは大体そうか)中、3助のこれである。見ている私は先制パンチを食らった次第だ。
そしてアンゴラ村長の軽快なリズム縄跳び、サビの縄跳び捨てから謎のダンスにつなぐわけだが、このコンビの本領はむしろその後のくだりにあったと思う。大塚愛「さくらんぼ」の1番が終わってしまい、2番の序盤は淡々とリズム縄跳びをこなすアンゴラ村長。ここでいったんネタが落ち着いてしまい、私は「1番のサビがピークで、これ以降はあまり面白くならないかな、結成5カ月だしそんなもんか…」などとリアルタイムで考えていた。
しかし私は、己の不明を恥じることになる。ここで3助の大会屈指のパンチラインともいうべき戦慄のセリフが飛び出すのだ。
「この動きを求めている俺がいる…この動きが頭から離れない…サビが来る!…待ってましたあー!!」
先ほどからのいわゆる「凪(な)いだ」状態は、このパンチラインへの「溜め」になっていたのである。ここからが彼らのネタのセカンド・インパクト。このセリフは観客への煽りも兼ねているわけで、もはや見ているこっちも「踊るアホウに見るアホウ」状態にさせられてしまう。勢いだけのネタに見せかけて(てか勝手にこちらが早合点していたこともあったが)、とんでもなく演出が練り込まれたネタである。
2番の後半は村長が目をむきつつロボットダンス的な踊りを披露。ネタの構成的には「おまけ」の要素を感じたのだが、私はリアルタイムで見ていて「もっとくれ、もっとくれ」と思ってしまった。すっかり3助の状態であるw
そしてしずる村上が苦笑いするしかなかったオチへ。いったん袖にはけた村長が、星の形を取った猫のお面を持ってくる。「おい…まさか…うわ、やりやがった!」と心の中で私は叫んだ次第である。テレビの前で見ていた私でさえこのラストに目まいがしかけたくらいだから、この後にネタ披露を控えたアキナ、GAG少年楽団、ゾフィーの3組は両ひざをついてうなだれたのではなかろうか。知らんけど。
ネタが終わり、さまぁ~ず大竹一樹は開口一番「何だよこれ!」とお手上げコメントをした。賛否両論待ったなしのネタなので、ファイナルステージ進出には絡む得点が出るだろうが、さすがに1位は…というのが私の審査結果発表前の見立てであった。個人的な採点は、かまいたちに次ぐ91点をつけた。
ふたを開けてみれば審査員の合計得点は、466点。審査委員長のダウンタウン松本人志とさまぁ~ず三村マサカズがともに97点をつけ、にゃんこスターは堂々暫定1位をマークし、即でファイナルステージ進出を決めた。
続きます。