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R-1ぐらんぷり2017決勝戦の感想その4

◆ファイナルステージ

サンシャイン池崎

 敗者復活から唯一の勝ち上がり。池崎はこれまでふかわりょう青木さやか、あばれる君と一世を風靡(ふうび)したピン芸人を多く抱える渡辺プロ所属であるが、優勝すれば同事務所から初のR-1戴冠(たいかん)となる。

 果たして今回のネタは、これまでもちょくちょく見かけることのあったデカい剣をモチーフにした1人コント。前回のトトロネタと同じく既視感はあるにはあったが、剣で額を割られてからの「マトリョーシカ!」など、初見じゃなくても素直に笑えるネタを惜しみなくぶち込んでいて好感が持てた。まさに集大成という感じのネタであった。

石出奈々子

 ジブリのヒロインっぽい女性が司会を務める通販番組のネタ。序盤は腕まくりとか笑いながらの寝転びなど前回の「再放送」を見させられている感があって「大丈夫か?」と不安になった。

 しかしその後は真珠のネックレスを売る際に「もののけ姫」のトーンで環境破壊への危惧を訴えるというひねりを加え、さらにそのネタの天丼をやると見せてさくっと切り上げるなど、構成の妙に将来性を感じた。ゆえに、これだけ多彩なネタ展開をできるなら、ジブリヒロインじゃなくて他のキャラでのネタを見たくなるといううらみが残った。

アキラ100%

 「絶対に見せないde show」の2本目。まずこのネタチョイスに驚かされた。激戦のCブロックを勝ち上がったアキラ100%は、芸人人生を決めるこのファイナルステージで出世作である「丸腰刑事」を絶対やるであろうと思っていたからである。

 それでもふたを開けてみれば、Cブロックよりも多彩な見せ方できっちりと爪痕を残してみせた。股間のお盆をキープしながらのお手玉は、無事成功した際に私も「あーよかったー」と安堵(あんど)のため息をついたほどである。麻雀パイを積むネタはその絵面の地味さに反して非常に難易度が高そうで、客席から「怖ーい」との声も上がった。一瞬「余計なこと言うなよ」と思ったが、俺もお手玉のネタを見て「あーよかったー」と声に出したから人のことは言えないw

 それでも苦言を呈するなら、ラストのピタゴラスイッチネタだろうか。これは風船が股間に確実に来たタイミングでお盆を外したので、ネタとして成立していない気もしないでもない。ただカメラがアキラ100%を斜めからとらえるカメラワークだったので、彼も生放送ゆえ慎重を期したのかもしれない。ピタゴラスイッチネタのときは正面からのカメラワーク固定で、アキラ100%にやらせたかったなと思った次第である。

 

 個人的な採点は池崎1、石出0、アキラ2。

 100点満点で言えば池崎90、石出89、アキラ92。

 果たして実際の審査結果は、視聴者投票でも60%と圧倒的な支持を勝ち得たアキラ100%の初優勝と相成った。この厳然たる結果をもって、アキラ100%はテレビ演芸界に革命を起こしたと言ってもいい。裸踊りという、まさに古典的でありながらコンプライアンスにまみれた芸を実力でテレビ業界に認めさせたのだから。

 

 そして決勝戦全体を通して鮮烈な印象を残したのは、Cブロックのブルゾンちえみである。彼女はブロック出場者全員のネタが終わり、出場者そろい踏みの際に緊張が解けたのか「ネタ飛ばしちゃった…」と嗚咽を漏らしてしまう。その姿に百戦錬磨の司会キャリアを持つ雨上がり決死隊宮迫博之も「大丈夫や」「いろいろ伝説残したな」と声をかけるほかなかった。

 ブルゾンについて言えば、素人の俺が激励するのもおこがましいとは思うが「これまでがうまく行きすぎていたんだよ」というほかない。このR-1決勝放送の前日、ブルゾンは「しゃべくり007」(日本系)に出演し、大先輩であるくりぃむしちゅーネプチューンチュートリアルに自身のネタを伝授していたのだが、指示している彼女を見て「しんどそうだな、疲れてんじゃないの?」と思わせる節があった。

 R-1後に放送された「行列のできる法律相談所」(日本系)では世界的ミュージシャンのエド・シーランの突然の訪問を受けるドッキリにかかるのだが、対面前のコメント撮りでエドを「イケメンではないけど…」と話してしまい、それを通訳されたのを後で知って「何でそんなこと言ったんだろう…」と本気で落胆してしまっていた。

 今回のブルゾンのR-1初決勝は、自身の思惑を超えての大ブレークに悩まされ、生放送で号泣という一見最悪の結果を招いた。しかしブルゾンはいまだ芸歴2年である。今回の貴重な経験を奇貨とし、ぜひともR-1ぐらんぷり2018ではすべての恩讐を乗り越え、今度はうれし涙での優勝を果たしてほしい。そうしたドラマを来年に引っ張った点で、非常に実りある今年のR-1だったと私は思っている。