無料カウンター

「LIFE!」#29(NHKテレビ2月2日放送分)

【正しい人】

 『Quick Japan』誌の「LIFE!」特集での収録ルポで一部内容が伝えられていたコントだが、あれ昨年8月くらいだっけ。えらく寝かせたな。

 内村光良演じる八文字正義(はちもんじ・せいぎ)が己の信ずる「正義」を振りかざして次第に暴走するという、よく言えばオーソドックス、悪く言えば目立った特徴のない内容。タンクトップに太眉という八文字正義のルックスも内村にしては工夫が足りないような…。

 俺がこういう酷評をしてしまう内容のコントだからこそ、放送に半年かかったのかもしれないw

【HOTなカマタくん】

 あ、このシリーズコントをレビューするのはひょっとして初か。しかし今回で最終回というねw

 最終回はなぜか壮大な展開。ボクシングみたく、カマタ(田中直樹)が関西のホットパンツァーチャンピオンである松下優也と統一戦をたたかう。カマタのライバルだった木暮(ムロツヨシ)もこの大一番にセコンドを担当するという往年のジャンプ展開に胸熱となった視聴者も多かろうが、木暮は試合前に会場周りの池に落ちピラニアの餌食になるというwお笑いコントなのに無駄に盛り上がる展開はツボった。

 果たして今期朝ドラ「べっぴんさん」で売り出し中のイケメン俳優松下は、星条旗をあしらったホットパンツでカマタと疲労困憊(こんぱい)、白目をむきながら競り合う健闘ぶり。その松下のマネジャー役を演じた吉田羊も、初挑戦であろう白髪カツラを被り、松下にカマタを油断させてピラニア池に落とすよう命じるなど非情な悪徳マネジャーをやり切ってみせた。吉田もこれだけ振り切った演技を昨年シリーズ開始初期から見せていれば、新参に厳しい「LIFE!」ファンも叩かなかったのではと余計ながら思った。

 勝負はコミッショナー的な長老ホットパンツァー(内村)の裁定によりカマタの勝利。木暮の無事も確認され、物語は大団円を迎えた。しかし気がかりなのは控室のラストシーンで石橋杏奈が意味ありげな戸惑いの表情を浮かべていたこと。てっきりカマタの相手が石橋の生き別れの兄とか音信不通の恋人なのかと思ったぜ。

【お荷物】

 2週ほど「LIFE!」コント放送分でごぶさただった西田尚美のコメディエンヌぶりが堪能できるキャンプコント。しかし山のキャンプにハープてwそういう無茶をごり押ししてしまう信念の強い音楽家を西田はきっちり演じてみせた。やはり「LIFE!」女性陣の大黒柱は西田だと感じさせられたコントだ。

「LIFE!」#28(NHKテレビ1月26日放送分)

 綾瀬はるかが2週連続コント出演し、同じホリプロ所属で彼女に続く大河主演が決定した鈴木亮平が「LIFE!」に初出演し、スタジオトークにも登場することと相成った。おかげで古参メンバーのはずのホリプロ所属・石橋杏奈のバーター感がそこはかとなくw

 

【うそ太郎】

 放送前にネットニュースとなって話題を読んだこのコント。綾瀬がうそ太郎(星野源)の妹・花子に扮して兄に負けじと己をヒラリー・クリントンなどとウソをつきまくる。

 コント自体は、常連客の田中直樹に兄妹してつがいのカブトムシを出すとか、綾瀬が退散して行った塩をまくはずがベーキングパウダーだったなど、これまでのうそ太郎のボケの焼き直しになったのは気になった。ただ綾瀬の吹っ切れぶりはガチで「LIFE!」レギュラーの即戦力にできそうなほど堂に入っていたよ。

 さすが15年前「品庄内閣」(TBS系)でお菓子をボリボリ食いながら「島崎和歌子さんをめざします!」と豪語しただけはあるな。まあ綾瀬本人もその発言を忘れていそうだがw

【現役選手と元選手】

 鈴木の「LIFE!」初挑戦コント。自身の出世作となった映画「変態仮面」で共演したムロツヨシとガッツリ絡む作品なのは、番組スタッフの粋な計らいだろうか。

 メジャーリーガー役の鈴木に、彼の先輩選手で引退後の現在はリポーター業をこなすムロとの微妙なスレ違いインタビューをお送りするという見ている側が冷や汗をかきそうなコントだ。大柄で筋肉質な鈴木の佇まいはメジャーリーガーの説得力があり、悪意こそないが先輩のムロを結果的に邪険にしてしまう役どころをキッチリこなしていたと思う。

 ただ個人的に気になったのは、ムロ演じるインタビュアーの望月が、鈴木に「独身でしたよね?」と聞かれるところだった。プロ野球選手と言えば、個人的には日本で一番結婚しやすい職業だと思う。巨人の2014年ドラフト1位の岡本和真選手は、弱冠20歳にしてこの正月に2歳年上の女性と入籍を果たした。

 現役引退後も解説者や評論家などプロ野球に関われるほど実績を持つ元選手で、現在も未婚の人物と言えば、私の思いつく限りで言えば日本ハムで日本一に輝いた栗山英樹監督、日本ハムOBの岩本ツトム氏、またこれも日本ハムOBの木田優夫氏くらいしか思い浮かばない。日本ハム多いなwただその事実を思い起こし、ムロ演じる望月の不遇に心を痛めずにはいられなかった次第である。

【私は気にしない】

 篠突く雨にスーツがびしょ濡れになっても気にしない上司(内村)に心酔しついていく部下のムロ、戸惑ったままの塚地武雅との対比を描いたシュールコント。私は社会人になって20年になるが、さすがに背広はなるたけ濡らしたくないw

 高校時代は学生服が豪雨でずぶ濡れしても乗り切った記憶あるけどね。そういう意味では、内村が演じた上司は高校生のメンタリティーだったのかなとw20年以上前の記憶を呼び覚ますという点で、値打ちのあるコントだったと思う。

「LIFE!」#27(NHKテレビ1月19日放送分)

 綾瀬はるかが2週連続でゲスト出演、スタジオトークにも参加。

【精霊の歌舞伎人】

 綾瀬が主演するNHK大河ファンタジー「精霊の守り人」の撮影で、殺陣の代役として急きょ歌舞伎俳優の夏木京介(内村光良)が駆けつけるが…。

 恥ずかしながら私、夏木のキャラをきちんとコントで見るのは初めてである(昨年の内村の熊本応援に出ていたのは見た)。しかしヒデエおっさんだなw監督(田中直樹)に賄賂を渡すし。綾瀬を「奥の個室へ…」と言って連れ出そうとしたのはこっちがビビって、後のコントの内容が頭に入りにくくなったわw

 コントは綾瀬との息が合わずボコボコ叩かれる夏木の天丼(2回目は擦るような当たりでマジに痛かったと思われるw)で、古き良きドリフを思わせる手堅い出来であった。

【勇気があれば】

 何だかメッセージソングのような題名だが、お世辞抜きでこのコントはストレートなメッセージ性にあふれている作品だと思う。

 喫茶店の看板娘(石橋杏奈)目当てに通い詰めるも、告白に踏み切ることのできない青年(星野源)。そうこうしているうちに、彼女は別の男性に告白され射止められてしまう。しかもその男性(田中直樹)の容貌と挙動は…。

 昔プロレスラーの武藤敬司がインタビューで「決断するときは、タイミングなんてものはない」という趣旨の話を語っていたことを思い出した。思い立ったが吉日、という格言もある。グズグズ悩めばそれだけチャンスが減るということを肝に銘じとけ若人よ! そう「LIFE!」スタッフは恋に悩む少年少女に発信しているように思えてならない。

 しかし「逃げ恥」で新垣結衣とあれだけイチャイチャしまくった星野が、「LIFE!」では惨めに恋の争いで敗北する。このあたり、番組スタッフの星野への「ざまあみろ」的な思いが隠されていると感じるのは、さすがに邪推であろうか。

【実録?敏腕Pとある芸人】

 レギュラー1年目の吉田羊と準レギュラー1年目のシソンヌが共演する、ある種実験的なコント。やたら手ブレするカメラなど、一種のフェイクドキュメンタリーの要素も醸し出していたが、女性プロデューサー(吉田)のコントに説明を求めるとか、おぎやはぎをめざせと諭すとか、くだりの一つ一つが微妙にリアリティーあって、それがシンプルな笑いにつながりにくかったなといううらみは残った。

 

 しかし綾瀬の天然は改めてすごいな。スタジオトークでの新幹線のエピソードとか庶民的すぎて「あなた大河主演してましたよね?」と問わざるを得ない。次回は今や時の人たる星野と「うそ太郎」で共演するとあって既にネットニュースをにぎわせており、本放送が楽しみである。来年の大河主演を務める綾瀬のホリプロの同僚・鈴木亮平も出演する。

「LIFE!」#25(NHKテレビ1月5日放送分)

【オモえもん】

 さとしくん(ムロツヨシ)のママ(西田尚美)初登場。本家に寄せた髪型の再現度に噴くw

 夜中に大声を出すさとしくんを叱責するママだが、ここでオモえもん(星野源)に全く彼女は触れていないことに「オモえもんは子どもにしか見えない設定なのか?」という疑問がにわかにネット上で持ち上がった。これは本家を踏襲した設定だと思う。

 本家でもママはのび太を叱っている間は、傍らで見ているドラえもんに話しかけることは基本的にない。特にママがヒートアップしているとき、ドラえもん「ひげなんか生やして、えらそうにして」と理不尽にキレたことくらいだ。

 「LIFE!」スタッフがそこまで狙いを徹底していたかは分からないが、本家を愛する私のような人間にとってはニヤニヤする内容のコントではあった。ただしオモえもんのバッグの中身をさとしくんが確認するくだりは、少々雑だったと思う。

【LIFE ANSWER】

 内村光良が2回目の登場。このコーナーは女性陣に出演を振らないのか。

 これまでの人生に点数をつけるという設問だったが、最も得をしたのは内村がネタにした松本ちえこであろうw内村の言った「65点」というネタが歌詞で出てくるのは、おそらく「恋人試験」という曲。アイドルとしては現役時代パッとせず、私などは20年前のVシネで艶のある濡れ場を披露したセクシーなお姉さんとしてしか松本を認識していなかったのであるが、今回の内村の粋な計らいで彼女の再評価を願わずにはおれない。

【ムロ待ち】

 年が明けても、ムロツヨシを育ててきたと自負する黄金原さん(シソンヌじろう)は、出待ちファンの女性(臼田あさ美)が差し出すファンレターを即座に破り捨てるなど絶好調だ。このコントでは、若き日のムロが川崎市内の元住吉駅近辺の在住で遭ったことが明らかとなる。たぶん「売れたら都内に住んでやる!」という野望を持っていたんやろうなあ…と推察したw

【ムロ鍋JAPAN】

 北海道士別市のロケに臨んだムロは、羊肉を紹介。VTR放送後、スタジオ出演者に地元の羊肉を振る舞うのだが、この場で共食いになる出演者が約1名いるw

 その手の話題は結局一切試食タイムには上らなかったが、真相はいかに。私の勘では共食いの当事者となる出演者(つか吉田羊)が積極的にスタジオでネタを振ったものの、意外とその場でトークが広がらなかったため本放送でボツとなった…とみているのだが。

【バレるか バレないか】

 いわゆる豊洲新市場問題を取り入れた時事ネタ。違法性と「バレるとまずい」社会的信用を天秤にかけるワンアイデアで押し切ったが、豊洲ネタは現在進行形のもので、責任のなすり合いだとか派手に問題解決をぶち上げた知事の日和りっぷりだとか、いくらでも面白くなる展開を隠し持っているからね。

国民的ドラマ「ドクターX」に古坂大魔王(ピコ太郎マネジャー)出演!

 米倉涼子がフリーかつたたき上げの天才外科医を演じる、手塚治虫ブラック・ジャック」を彷彿とさせる国民的医療ドラマ「ドクターX」の第4シリーズ。22日に迎えた最終回にて、今年世界的な大ブレークを果たしたピコ太郎…のマネジャーである古坂大魔王がゲスト出演を果たした。

 繰り返すが、ピコ太郎ではなく古坂大魔王であるwこれはエンドロールでも「古坂大魔王」とクレジットしていたので間違いはない。たぶん。

 最終回のエピローグに古坂大魔王は登場する。役柄は米倉扮する大門未知子が居候する神原名医紹介所を訪問する宅配業者。未知子と神原(岸部一徳)に冷凍餃子を届けに来た古坂は、サイン用のペンが手元にない2人に「アイハブアペ~ン」とおどけてボールペンをかざす。

 バカバカしいなと思いつつ、つい和んで笑っていたところへ急展開がやってくる。古坂は「ウッ!」とピコ太郎のネタではなく、苦悶の表情を浮かべ、胸を押さえて倒れ込むのだった。顔色を変えた未知子は急性の心筋梗塞を疑い、神原に七つ道具を持ってくるように頼む。

 白眉だったのはこの直後のシーンだ。186センチの巨体を折り曲げ苦しそうにしている古坂は「僕、死ぬんですかね…」と体格に似合わぬ弱々しい声で未知子に問いかける。このくだりは、なかなかグッと来たぜ。

 この古坂がプロデュースするピコ太郎。まさに今年後半の日本ショービジネス界を席巻(せっけん)する大活躍を見せたが、カテゴリーはいわゆる一発屋に属する。

 一発屋にとって最も怖いのは年が明けること。この2016年も残り10日足らずしか残されていない状況で、心筋梗塞に倒れた古坂扮する業者の弱気な発言は、非常に彼(およびピコ太郎)の心境を代弁したものとして、心に迫るものがあった。

 米倉扮する未知子は「大丈夫、死なせない」という頼もしい一言を発して古坂を処置し、確実に彼を助けるだろうという希望を感じさせて「ドクターX」の第4シリーズは終了する。すべてが終わってみれば、ピコ太郎および古坂大魔王にとって非常においしいゲスト出演を果たしたと言ってよいだろう。

 なにしろ「ドクターX」に出演したのはピコ太郎ではなく、マネジャーの古坂大魔王なわけである。国民的医療ドラマたる「ドクターX」で好演したことによって、古坂の仕事が増え、ひいてはピコ太郎の延命につながるかもしれない。

 この年末年始番組でピコ太郎は引っ張りダコであろうが、古坂大魔王とも協力して生き馬の目を抜くお笑い界の波を乗り切ってほしいと、ボキャブラ世代の私などは切に願う次第である。

勝手に芸人を表彰!ENGEI SHAMROCK AWORD2016

 ごぶさたしております。

 早いもので2016年もあと10日少々を残すのみとなりました。今年の春から開始した拙ブログも初めての年越しを迎えます。

 そこでというか何というか、年の締めくくりとしてこういう企画をやってみました。

 題して「ENGEI SHAMROCK AWORD2016」。要は、今年のお笑い界を著しく盛り上げた芸人さんたちを私マサトヰシグロシャムロックが勝手に表彰しようという試みです。

 表彰するのは「MVP」「新人王」「特別賞」の3組。最も今年のお笑い界に貢献した芸人にMVP、若手ながら進境著しい活躍をした芸人に新人王、この2つの賞からは惜しくも選に漏れましたがその功績を表彰したいとそれぞれ私が考える芸人に特別賞をおくりたいと思い、選考しました。

 その結果は以下の通りになります。さあ、今年のお笑い界を盛り上げてくれたのは、コイツらだあ!(「フリースタイルダンジョン」のZEEBRA風に)

 

MVP ハリウッドザコシショウ

新人王 カズレーザー(メイプル超合金

特別賞 BOOMER

 

 ここからは各賞の受賞理由を述べたいと思います。

 栄えある初代MVPに輝いたのは、芸歴23年のハリウッドザコシショウ。R-1ぐらんぷりでは元ネタを破壊したものまね芸で観客席を異次元の喝采へ導くほど、圧倒的な優勝を飾った。これだけでも受賞理由に足ると思うが、彼の隠れた偉業は、主戦場である地下ライブを一躍有名なところまで押し上げたことにあるだろう。

 テレビの華やかな世界とは縁のない、まさにアングラな舞台であった地下ライブ。しかしこの場で静かに爪を研いでいたザコシショウがぶっちぎりのR-1制覇を果たしたことで、地下ライブの常連芸人に日が当たるきっかけがつくられたと思うというのは決して過言ではないと思う。

 実際、テレ朝深夜番組「お願いランキング」内のお笑いリーグ戦「お願いマンピンコン」で虹の黄昏やモグライダー、ランジャタイといった地下ライブ常連芸人が出場権を得て、生き生きと暴れ回っている。そうした現状は、ザコシショウの圧倒的なR-1優勝から徐々に培われてきたと思うのだが、果たしてどうか。

 新人王に輝いたのは、昨年のM-1グランプリにて鮮烈な印象を残したメイプル超合金のボケ担当であるカズレーザー。今年を振り返れば、カズのメディアジャックぶりは素晴らしかった。

 春のテレ朝番組「Qさま!」でいきなり初出場初優勝をかっさらう衝撃デビュー。金髪と赤い衣装とのギャップ著しい頭脳派キャラを打ち出した彼は、同じテレ朝の「お願いランキング」内で「カズレーザークリニック」「レーザー読書」と2本の冠コーナーを担当した。ゴールデン帯でも先の「Qさま!」に加え「ミラクル9」「ロンドンハーツ」と常連ポジションを獲得し、まさに若き「ミスターテレ朝」というべき躍進を果たした。

 2年連続のM-1ファイナリストこそ逸したが、本人の飄々としたボケぶりといい、巨体のツッコミ安藤なつとの軽妙なやりとりといい、どこまで伸びるのか末恐ろしい芸人である。そんなカズレーザーに新人王をおくりたい。

 残る特別賞は、ボキャブラ芸人たるBOOMERにおくることにする。

 もはや説明不要であるピコ太郎の世界的な大ブレイクであるが、彼のプロデューサーたる古坂大魔王は伝説の番組「ボキャブラ天国」の出身だ。その縁なのか、最近深夜番組でボキャブラ芸人を見かける機会が増えている。

 私がこの2カ月ほどで確認しただけでも「ぷっすま」「あるある議事堂」「くりぃむナンチャラ」(いずれもテレ朝)で、ボキャブラ芸人を目にする機会があった。で、その3番組にすべて出演する快挙(?)を果たしたのが唯一1組あり、それが「遅れてきたルーキー」BOOMERだったのである。

 この結果は単なる偶然かもしれないが、もともとは爆笑問題に引けを取らない実力の持ち主と言われていたBOOMER。ピコ太郎のブレイクで着実に自身のコンビのテレビ出演を増やすというしたたかさは、必ず来年以降の結果につながるであろう。彼らにもう一花咲かせてほしい、という期待を込めて特別賞をおくりたい。

 

 まあいろいろ御託を並べさせてもらったが、今年はR-1、キングオブコント、そしてM-1と各賞レースはじめ芸人の皆さんには心ゆくまで笑わせてもらった。来年はさらなる精進の結果を見せてもらって、ひねくれ者な私にぜひ「お笑い最高!」と叫ばせてくれるならこれ以上の僥倖はないと思う。

 なんやかやで、2017年もよろしくお願いします。

M-1グランプリ2016決勝戦感想その6(追記あり)

★最終決戦

【和牛】

 ネタは「花火デート」。おいおいまたデートネタかよ…と思ったが、水田が1本目と変わらず「マナミちゃ~ん」と朗らかに手を振っている導入を見て思いっ切り和んだwしかし彼女の名前に「マナミ」をよく推すなあ、橋本マナミと共演狙ってんのかなあとふと思った。

 ネタの構成自体は、終盤の水田の逆ギレ含めて1本目のドライブデートとほぼ同じではあるのだが、こちらもボケの強度がすごい。偶然目に入ったカエルに延々と話しかけるとか、そのカエルにはめた指輪を水田と川西の2人して焦りながら探すとか、往年のやすきよの「メガネメガネ」を瞬時に思い浮かべましたよ私は。和牛はこんなにポテンシャルを秘めたコンビだったのかと、目からうろこが落ちましたわ。この表現もたいがい古いけど。

 私の個人的な採点は94点。スーパーマラドーナより1点引いた採点ではあるが、この時点で私は銀シャリに失礼ながら「スーマラと和牛の争いやな…」と思っていた。

 

銀シャリ

 個人的な推測であるが、ファーストラウンド1位というアドバンテージを得た銀シャリではあったが、前の2組のウケっぷりをみてそうとう焦ったのではあるまいか。しかし「うんちく」と「うんちくん」を混同したツカミでぐいっと観客を引き寄せ、語源ネタに入るあたりはさすがの技量を思わせた。

 ネタを通して聞くと、橋本のツッコミが心なしか走りすぎな感あったと思う。それでもブロッコリーのくだりとか、ネタの中盤でも手堅く得点を稼ぐしゃべくり漫才の強みを見せてもらった印象だ。ラストの2人が声を合わせたあたりは、集大成を思わせた。

 私の個人的な採点は93点。

 

 個人的な審査ではスーパーマラドーナに1票を入れた私であったが、現実の審査結果は3票を集めた銀シャリが栄冠をかちとった。旧M-1の時代から若くして正統派とうたわれ、長らくM-1が開かれなかった時期も粛々と腕を磨いた末の戴冠であった。心の底からおめでとうと言いたい。

 

【追記】

 ここでは決勝戦全体を振り返るが、告白すると敗者復活はメイプル超合金が勝ち上がるものと信じて疑わなかった僕(汗)。失礼ながら決勝進出者のいでたちが地味な人が多かったため、今年のテレビ界を席巻(せっけん)したメイプルの2人が視聴者投票の利点を十二分に生かして勝ち上がり、颯爽(さっそう)と(?)会場へ向かうシーンを決勝前からずっとイメージしていたのである。それだけメイプル、とりわけカズレーザーの今年の躍進は目を見張るものがあった。

 果たして視聴者投票の結果は、1人3票の新しい投票システムが功を奏したのか、周知の通り和牛が勝ち上がった。「結局見た目地味な人がそろっちゃったな」と意地悪な見方をリアルタイムでしてしまったが、その後の和牛の躍進ぶりは既に触れた通りだ。

 最終決戦に残ったメンツ(銀シャリ、和牛、スーパーマラドーナ)が示すように、ネタの強みで勝負できる正統派がひと際評価された大会になったと思う。しかし3組は期待に応え、ふたを開ければどこが勝ってもおかしくない大会史に残るハイレベルな最終決戦を演出してみせた。これだけレベルが高いと、翌年の大会のエントリー数に影響が出るんじゃないかといらん心配するくらいに。審査員が今回と似たようなメンツだと、決勝の門をくぐるタイプは数限りがありそうだし。

 とはいえカミナリのような無名コンビが上沼恵美子の審査込みとはいえ注目を浴び、キングオブコントで2回戦敗退の憂き目を見たさらば青春の光が漫才コンテストのM-1で4位につけるなど実りある大会となった。間違いなく来年もM-1は開催されるであろうが、私はあえて次の大会ではメイプル超合金に期待したい。芸人界でも指折りの明晰な頭脳を持つカズレーザーは、今から華々しいリベンジのシナリオを多忙な中でも頭に描いているに違いない。

 そんなわけで私はメイプル超合金をまずは注視しながら、まだ見ぬ若手芸人の躍進を心待ちにしている。