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斉藤由貴「白い炎」

 斉藤由貴が1985年、初主演ドラマ「スケバン刑事」の主題歌としてリリースしたセカンドシングル。実はどういう曲か、記憶力もめっきり減退した私はすっかり失念していたのだが、Amazon Prime Videoで久々に「スケバン刑事」を視聴して「あーこれこれ!!」てなったw

 それからというもの、斉藤の「♪迷子の恋を…」で始まる、独特の膨らみを持たせたボーカルが頭を支配している始末。われながら、現金なものだ。

 作詞は森雪之丞(当時31歳)、作曲は安全地帯の玉置浩二(同26歳)、そして編曲はデビュー曲にして大ヒット曲「卒業」に続いての武部聡(現・聡志、当時28歳)。平均年齢28.3歳の若い布陣である。何しろ前作の「卒業」が松本隆筒美京平コンビだったからチーム的に気合が入ったろうし、そう感じさせる楽曲の内容だと思う。まあ繰り返し書くように、私はサウンド面の方はとんと詳しくないけどw

 私にとって森の作詞は、子どもの時分から「いじわるばあさん」「キン肉マン」の主題歌などで名前を見かけていたが、改めて「白い炎」を聴き直してみると、この詞には彼の作詞家としての真髄が込められている気がしてならない。そう思った個所は、サビ前の「最後の5(ファイブ)が 押せなかったテレフォン」である。

 ここの詞は、主人公の少女が片思いの相手に電話をかけようとして果たせなかったくだりが描かれている。当時は携帯電話などない時代。すなわち、主人公が電話をかけようとした先は彼の自宅であり、その電話番号の末尾はというわけだ。

 いやあ、このご時世で聴くとストーカー条例的にドキドキするよねw 素人考えでは、別に具体的な数字を出さず「最後の数字が…」て詞にしても意味が通るしそれでよくね? などと思ってしまう。

 しかしそうはしない、あえて末尾の番号を入れたところにプロ作詞家としての矜持(きょうじ)てえものがあるんでしょうなあ。主人公…イメージは当然、歌い手の斉藤…が思う相手の家の番号の下4ケタは○○○5だ、てところでひとりでに詞の世界観が膨らむよね。まあ電話の末尾が5の家に住む当時の青少年は「え、ひょっとして由貴ちゃん俺んちにかけようとしてる?」と胸躍らせただろうなw

 あと1番のサビにある「頬で涙が になります」。これはもう、斉藤「由貴」に引っかけたもので、絶対森さんは狙っとったやろうな。ある意味、松本伊代の「センチメンタル・ジャーニー」と同じくくりよw

 恋心を打ち明けることなく、傷心のなか自問自答するという翳(かげ)りのある主人公の姿も当時の斉藤のイメージにマッチする。だもんで、私の中では「卒業」より「白い炎」の方が斉藤由貴の「イメージソング」て感じがするなあ。まあつい先日まで、どういう曲か忘れていたけどw

 で、今回レビューを書くにあたりこちらでフルバージョンを聴いてみた。1番終えての間奏で、結構エレキギターが前に出てきているのな。アイドルソングには珍しい構成に思うが、玉置が「スケバン刑事」の曲ってことで不良っぽい音楽のエッセンスを入れてみたとか? さすがに違うかな。