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堺正章主演ドラマ「フジ三太郎」(朝日系)&主題歌「空飛ぶくじら」

 堺正章twitterを開設した。彼の代表作であるドラマ「西遊記」(日本系)に多大な影響を受けたアメリカの漫画脚本家マーク・ミラーが開設1時間弱でフォローしたなど、御年74歳のSNS挑戦は話題となっている。

 ちなみにミラーは堺のことを「マサアキ・クリハラ(栗原正章)」と本名で呼ぶらしい。推しているタレントを芸名でなく本名で呼ぶってのは、東西問わずガチファンのあるあるだろうかw

 

 40代の坂を下り始めた私にとっても、堺は人生において認識した「スーパースター」の一人である。孫悟空役として名を馳せた「西遊記」はもちろんのこと「カックラキン大放送!」(日本系)、榊原郁恵とともに司会を務めた「ザ・トップテン」(同)とかね。まさに堺という人物は、萩本欽一ザ・ドリフターズ同様「テレビをつければいつも見かける人」であった。

 

 今回紹介するのは、堺が1982~83年に主演した連続ドラマ「フジ三太郎」(朝日系)。サトウサンペイ朝日新聞に連載した同名の長寿4コマ漫画が原作であり、過去にTBS系で故・坂本九主演の実写版が放送されていた。

 私にとって堺版「フジ三太郎」は、おのれの半生において最も笑わせてくれた作品である。とある回のラスト、三太郎が息子の小太郎(石堂穣=ゆずる=)を追いかけ回す。ここで小太郎は逃げながら藤子不二雄A作「忍者ハットリくん」の主題歌を替え歌で歌うのだ。

 

♪山でこけ 谷に落ち

♪僕らの町へ やってきた

ハットリくん お葬式

 

 いやもうこれ、最初に聞いたときは文字通り腹を抱えてゲラッゲラ笑ったよ。俺はリアルタイムで「ハットリくん」のアニメを見ていたからよけいにってのもある。

 修行中の身と自分では謙遜するが、冷静沈着な判断力と確かな忍術でケン一氏のピンチを何度となく救ってきたハットリくん。そんな彼が山でこけたり谷に落ちたりwするわけねえだろと思っているところ、最後に放たれた「お葬式」のパワーワード感よ。替え歌好きの私としては、この「ハットリくんのお葬式」こそが歴代の替え歌ナンバーワンだと思っている。

 

 また堺版「フジ三太郎」ではアフリカがテーマの回があって、家族そろってアフリカ旅行を想像するくだりがあった。その想像シーンで繰り返し流れる歌がある。

♪アーアアアアア アフリカだ ジャングルだ

 冷静に振り返れば何でか分からないんだけど、想像シーンで繰り返し流れるのに幼い自分はすげえ笑った思い出がある。いわゆる天丼の笑いもあるけど、子どもの甲高いボーカルと「アフリカだ」「ジャングルだ」の韻の踏み方がハマッたのかなあ。元ネタの曲あるのかな。

 

 そんな思い出をもたらしてくれた堺版「フジ三太郎」だったが、堺が担当した主題歌「空飛ぶくじら」は全く対極の方向性でインパクトを感じた曲である。作詞・松本隆、作曲・大瀧詠一、編曲・難波弘之

 大瀧がボーカルを取ったオリジナル曲の音源はこちら。堺がカバーした音源を聴けるブログの記事はこちら

 すげえシュールな曲だよね。街角でふと見上げたら空飛ぶくじらが自分を見ていた…という詞の世界観もさることながら、AメロもBメロもサビも寂しげなメロディーで通すってのがね。今も昔も、ふつう歌ってのはサビで盛り上がるのが定石だったりするし。

 スパイダース時代をリアルタイムで知らない私にとって「空飛ぶくじら」が歌手・堺の原風景である。高音で肩の力の抜けた大瀧のボーカルより、低音で粘り気のある堺のボーカルに魅力を感じている。シリアス感の際立った歌唱法を取った堺の方が、大サビの「くじるら くじる えろらる らなる らな なや」て意味不明な歌詞にハマッていたと思うんだが、どうかな。