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22年前のアンタッチャブル

 俺はテレビを持たない生活をしているので当然未見なのだが、アンタッチャブルが「全力!脱力タイムズ」(フジ系)で復活の漫才をやったらしいね。せっかくなので便乗しようw 私が彼らを初めて見たときの話をする。

 と言っても、珍しい話ではない。私がアンタッチャブルを初めて見たのは、テレビのゴールデン帯で放送していた、これも伝説の番組「黄金ボキャブラ天国」(フジ系)だからだ。これで私と同様に彼らを知った人は少なくなかろう。つってももう22年前の冬のことだから、若いお笑いファンにとっては物心つく前くらいの話だろうね。

 

 アンタッチャブルの「ボキャブラ」初登場ネタは、英語の授業中という設定だった。教師役の柴田英嗣が次々と生徒を指名。「〇〇(この名前の部分は失念した)、英語で犬は?…そう、ドッグだ」とやりとりを行う。

 山崎弘也、後のザキヤマは生徒役。無表情だが目をしばたたかせ、うとうとと居眠りしかけた芝居をしている。そこへ柴田教師が「山崎!猫は!?」とただす。少しビクッとした山崎はポーカーフェイスのまま、次の一言をボキャブる。←懐かしい表現

 

「キャットです」→「飼ってないっス」

 

 そこへ柴田が「聞いてねえよ!」と短くも鋭いツッコミ。大島渚(故人)らパネラー(番組では審査員をこう呼んでいた)の評価もおおむね良く、30点満点中の20点を獲得したと記憶している。

 改めてネタを振り返ると「キャットです」と「飼ってないっス」て、ダジャレそのものの出来はいまいちなんだよな。ただ山崎のとぼけた味わいの演技と、柴田のキレのあるツッコミでつい笑わされてしまう。そんなアンタッチャブルの「ボキャブラ」初登場ネタだった。

 ちなみに当時の柴田は22歳、早生まれの山崎は21歳であった。「超」のつくレベルの若手芸人だったんだよ。当時は5ちゃんねる(5ch、旧2ちゃんねる)もなかったが、もし当時5chがあったら芸スポに「超大型若手芸人が『ボキャブラ』衝撃デビュー!!」てスレが立ったと思うわ。

 「ボキャブラ天国」は爆笑問題、BOOMER、海砂利水魚(後のくりぃむしちゅー)、ネプチューンキャブラーの主力層が厚く、新人は1~2回の出演でフェードアウトすることも珍しくなかった。しかしアンタッチャブルボキャブラネタは20点台後半の高得点をたびたびマークし、番組レギュラーに定着。「黄金―」の後番組「家族そろってボキャブラ天国」で初の1位に輝いた。

 さらにその後番組「続ボキャブラ天国」で、山崎は有田哲平に「こいつは楽屋では夏木ゆたかみたいにペラペラしゃべる!」と暴露される。これをきっかけに山崎はおしゃべりなキャラクターを解禁。現在の軽薄なキャラクター「ザキヤマ」につながっている。しかし若い人は夏木ゆたかつってもピンと来ないだろうなw

 

 その後のアンタッチャブルの活躍は、このブログをごらんの皆さまなら周知の通り。「爆笑オンエアバトル」(NHKテレビ)、「M-1グランプリ2004」の両チャンピオンの2冠を達成した。

 柴田の不祥事をきっかけにアンタッチャブルの活動は途絶えていた。今回「脱力タイムズ」で行った漫才は約10年ぶりという。山崎にとって公私ともに世話になった有田の前で行った漫才が一夜限りのものか、はたまたアンタッチャブル本格再開の合図となるのか。芸人にとっては書き入れ時の年末年始、彼らがどう動くのか見守りたいと思う。