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イカ天バンド・中学生日記「さざんかの宿で」

 中学から高校にかけての頃、ハマったテレビ番組の一つが「三宅裕司イカすバンド天国」(TBS系)であった。ベストテン、トップテン世代でバンドと言えばチェッカーズか安全地帯くらいしか印象がなかった(BOOWYも知らなかった)私にとって、初めてバンド文化に触れたコンテンツでもある。

 「イカ天」がブームとなった番組初期は私の居住地域で放送されていなかった。もっぱら雑誌(音楽誌でなく『BOMB』や『Momoco』などのアイドル雑誌で組んでいた特集記事)や、週ごとの出演バンドをまとめた単行本『イカ天年鑑』を読み込んで楽しんだ。私の地元でようやく「イカ天」の放送が始まったのはブームも収まった放送2年目の1990年夏。それから半年足らずで「イカ天」は終了した。

 

 放送終了から20年近くたった頃に「イカ天」の復活特番が組まれ、それを契機に私の「イカ天」熱も再び高まった。当時は動画サイトが充実していた時期で、たまとかTHE NEWSとかリアルタイムでは見ることができなかったバンドの雄姿を見まくっていた。

 とりわけ「イカ天」関連動画を見ていた頃に初見で、忘れがたいインパクトを残したバンドが中学生日記である。1990年1月の放送回に出演。スタジオに登場したとたん、司会の相原勇が「北海道の子どもみたい!」と言うほど素朴な若者の2人組である。実際にリーダーのギターは北海道出身らしい。

 三宅裕司の質問にオドオドしながら小声で答えるボーカルは、これも北海道出身のタカアンドトシのタカに少し似ている。この彼が、生放送前に収録した曲「さざんかの宿で」では以下のように豹変するのだ。

 

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youtubeから)

 何はともあれ、サビの「オヨヨヨヨヨヨヨ~!!」であるw 歌と言うより呪いと言うか慟哭(どうこく)と言うか。右手の花を握りつぶすように、泣きそうな顔で叫ぶボーカル。この姿で、なぜ彼が女装しているのか説明不要になった気がするから不思議だ。

 歌詞はあまり聞き取れないがw、「ポツネンと黙り込む」という詞の一節。30年近く前の当時でも「ポツネン」という表現は珍しい。この辺に詞のセンスを感じる。

 素人の意見だが、メロディーラインもいい。当時の少女雑誌で特集を組まれるほど辛口評論で鳴らした審査員・吉田建は「ベースがストラングラーズ的。ギターもいいというか、好き」と独特の言い回しで絶賛していた。個人的には、ボーカルとは対照的な感じでスカンスカンと軽快に叩かれるドラムが印象に残った。

 

 しかし中学生日記が完奏を果たした瞬間の、会場の盛り上がりがすごい。出場者による「オヨヨヨヨヨヨヨ~」の斉唱であるw 後年「イカ天」と制作会社が同じ「ボキャブラ天国」シリーズ(フジ系)で辛口審査をこなす大島渚(故人)が「大川栄策もビックリだよ!」と若干スベり気味のコメントを残したw 審査委員長の萩原健太は「これは衝撃」、司会の三宅も「たまが出たときもすごかったけど…」と称賛していた。

 wikipediaによると中学生日記はベストボーカル賞、ベストプレイヤー賞など4つも賞を獲得。しかしキングのマルコシアス・バンプに挑むチャレンジャーはHere is Edenに譲った。

 

 これもwikipedia情報だが、中学生日記は解散せずマイペースに活動を継続。20周年記念らしきライブで「さざんかの宿で」を披露している。

 

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 観客の後ろ頭で画面が隠れているのがなんだがw、ボーカルもギターもこの時点では見た目があまり変わっていない。「さざんかの宿で」も、この規模のライブハウスでは音が分厚く反響して、違う曲を聴いているかのような趣を感じた。

 演奏後に短いMCがあり、ボーカルが「カックラキン大放送!」(日本系)のエンディングを崩して歌っている。その歌い方が、妙に大泉洋っぽかった。彼も北海道の大スターである。