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キングオブコントでの女性コンビ決勝進出者ゼロは明確な差別

 東京医科大学のニュースが日本列島を駆け巡っている。女性受験者の一般入試の得点を一律に減点し、女性の合格者数を少ない方へ操作していたもので、8月3日夜には同大学キャンパス前での抗議デモが行われた。

 このニュースを聞いて真っ先に私の頭に思い浮かんだのは、コント日本一を決める大会「キングオブコント」のことである。この大会、2008年から始まって既に10回開催されたにもかかわらず、女性コンビの決勝進出者がいまだにゼロなのだ。

 漫才の日本一を決める「M-1グランプリ」は中断期間を置いて13回開催されているが、アジアン、変ホ長調、ハリセンボン(2回)と3組の女性コンビがのべ4回決勝に駒を進めている。ピン芸人の日本一を決める「R-1ぐらんぷり」に至っては、今年の決勝1回だけでカニササレアヤコ河邑ミクゆりやんレトリィバァ紺野ぶるまと4人のファイナリストがいるのだから、いかにキングオブコントでの「女性コンビのファイナリストがゼロ」というのが異常な事態というのが分かっていただけるだろう。

 キングオブコントは第1回以来毎年2000組以上のコント師がエントリーし、その通算は26987組に上る。その上での女性コンビファイナリストゼロである。

 刮目(かつもく)すべきは、準決勝のデータであろう。第7回(2014年)まで「準決勝敗退芸人がファイナリストのネタを審査する」のが売りであったキングオブコントは、毎年40~50組の芸人が準決勝に進出している。ざっと計算しても約500組の芸人が準決勝を経験しているのだが、それではこれまでどれだけの女性コンビが準決勝に進んだか挙げてみよう。

ハリセンボン
森三中
アジアン
ザ・アンモナイト
阿佐ケ谷姉妹
ニッチェ
スパイク
たんぽぽ
日本エレキテル連合
ワルステルダム
おかずクラブ
Aマッソ

 以上である。10年も開催してきたキングオブコントで、準決勝に進出できた女性コンビは12組しかいない。全体の割合で言えば2~3%程度である。この少なさにはいくらなんでもという違和感を覚える。東京医科大は女性受験者の一律減点をする一方で、男性受験者に加点する、いわゆる「下駄を履かせる」採点操作も行っていたと聞くが、キングオブコントでも下駄を履かされて準決勝に進んだ男性コンビがいる一方で、涙を飲んで準々決勝敗退した女性コンビは数多いのではないかと疑わざるを得ない。

 キングオブコントは昨年の第10回、にゃんこスターパーパーの男女コンビ2組が決勝に進出。それまでファイナリストは男性コンビオンリーだった状況に風穴を開けたが、女性コンビが決勝に進むためにかえってハードルが上がった感はある。

 今回の東京医科大のニュースを機に、SNSで「女性は仕事で男性の3倍頑張らないとダメと言われた」と発信した女性の体験談を読んだ。長らく男社会と言われた芸人の世界、キングオブコントに挑戦する女性コンビも男性コンビの3倍、いや4倍5倍は努力しないと決勝の地を踏めないかもしれない。

 しかしそんな現状があるのなら、やはり女性芸人に対する明確な差別がまかり通っている。変えなくてはならないと私は声を大にして言いたいところだ。

 既にキングオブコント2018の予選は2回戦まで進んでいる。女性コンビの活躍を見守るとともに、やはりどこかのタイミングで予選審査員の方々に聞いてみたいものだ。「皆さん、女性コンビを差別していませんよね?」と。いや、東京医科大のニュースを受けて関係者の言葉として「ほかの大学でも女性受験者の減点はやっている。それを差別とは思っていない」という趣旨の発言も報道されているものでね。