◆最終決戦
この最終決戦が始まる前に、番組は長めのVTRを放送していた。内容は「ファーストラウンド1位の組が勝つとは限らない」という趣旨で、2008年のNON STYLE優勝の過去映像などを流していた。これがそのまま最終審査の結果に直結したとは思わないが、何か引っかかるものを感じた。
1組目
審査員の博多大吉が後の投票の動機に挙げた「こちらこそ」のファーストボケから、順調に笑いを生み出していった。個人的には本編前の肩がぶつかったくだりがすげえウケたが、本編の石焼きいもネタに入ってからも「すいもせん」などの久保田のとぼけたボケがクリーンヒットしていた。
ただ久保田が教祖を演じてからのくだりが正直もったいない気がした。意図的に見る側を置き去りにするタイプのギャグだとは分かるが、賞レースの最終盤でやるのは結構リスキーだなと思った。リアルタイムで見たとき、私はあまり教祖のくだりは笑えなかったが、録画を見返すと観客は結構ウケているんだな。
個人的な採点は90点。
2組目
ミキ
スター・ウォーズのネタ。「インディ・ジョーンズ」主題歌のイントロを兄の昂生があからさまに「暴れん坊将軍」でやっているのは少々強引に思えたが、弟・亜生の誘導で翻弄される昂生の姿がファースト以上に滑稽に映し出された。
ハイライトは光GENJIのくだり。昂生が光GENJIの名称をマジで間違えたのかネタなのか分からない感じで切れるとか、「パラダイス銀河」での昂生のスケーティングとか緊張感を忘れて楽しめた。ネタの時間が少し短かった気がする。
個人的な採点は92点。
3組目
和牛
旅館のネタ…ということで、とろサーモンの1本目と被っていたし、前半はかつての和牛のメインネタに見られた水田のモラハラキャラが前面に押し出されて、こちらとしてはファースト同様「大丈夫か?」との思いにとらわれた。
しかし川西の研鑽(けんさん)のたまものであろうか、彼の演じる仲居のキャラが抜群に立っていた。水田の嫌味をカメムシに込めて投げ飛ばすくだりで一気にネタを軌道に乗せたように思えた。宿泊2日目の仲居のリベンジには私も手に汗握って応援したものである。←若干ウソ
ただリアルタイムで見たときは「絶対和牛の優勝」と思っていたのだが、録画を見返すと後半の仲居のリベンジがやや物足りなく見えた。大会後にネットで話題になったが、和牛のこのネタは4分50秒ほどあったらしい。当然、大会規定とされている4分はとうにオーバーしている。宿泊1日目までの時間をかけすぎたように見える。拍手笑いが終わるのを待っているのも2カ所あった。そういう点が、私のような素人から見れば圧倒的に見えた和牛の2本目も、プロの審査員は違うものを見させたのかもしれない。
個人的な採点は97点。これはリアルタイムで見たときの点数。見返すと、うーん、93点かな。
◆投票結果
とろサーモン 4票
ミキ 0票
和牛 3票
とろサーモンがラストイヤー、初出場の決勝というチャンスをものにして日本一の栄冠を得た。リアルタイムで見たときは、和牛の優勝でないことには納得しかねるものがあったが、録画を見返すと審査員の春風亭小朝がかまいたちに語った「勝ち切るネタ」が2本目でできていなかったのかなとも思う。聞けば和牛は予選初戦から決勝の最終決戦まで、すべて違うネタをかけるという試みをしたという。良ネタをいくつもそろえるポテンシャルに驚嘆するも、コンビで「これだ」と思える勝負ネタを作り切れなかったのかなという気もした。
とにかく、遅れましたが、とろサーモンのお2人は優勝おめでとうございます。