無料カウンター

ものまね界の「怪優」上島竜兵氏をしのぶ

 どうも訃報きっかけでブログの記事を書くのが増えてしまって。てか、藤子不二雄A先生が亡くなったの、もう1カ月以上前なんだな。

 お笑いトリオ・ダチョウ倶楽部上島竜兵氏が亡くなった。61歳。自殺とみられている。リアクションの団体芸で既に大御所芸人の位置に上り詰め、最近は俳優業でも躍進を見せていただけに、上島氏の訃報はいまだ信じがたいものがある。

 ダチョウ倶楽部、ひいては上島氏と聞くと先に書いたようにリアクション芸がイメージされる。しかし、私としては子どものころから熱心に見てきた「ものまね王座決定戦」をテーマに上島氏の足跡を振り返りたい。

 キャリア初期から中堅期にかけてダチョウが出演してきたものまね王座。リーダー・肥後克広のものまねの才能が森本レオなどで開花し、2回の優勝を飾ったこともあって、ものまねグループのダチョウ倶楽部≒肥後のものまねで持っている印象を私は長らく持っていた。

 しかし私のtwitter(@masatowishiguro)のタイムラインを眺めていると、相互フォローであるルイーズさん(@kazunoko_louise)のツイートが目に留まった。上島氏がくだんのものまね王座で四半世紀前に、山城新伍野村沙知代をまねしていたことを「すごい才能」と称賛していたのである。

 私がものまね関係で雑文を書く際には参考にしているものまね研究会さん(@monomane1105)も、上島氏の山城新伍「最も好きなネタ」と評価。彼の指摘通り、上島氏はネタ中で「チョメチョメ」と言うだけなのだが、それだけでも笑えてしまうのだとか。ちなみに該当のネタ、肥後がサッカーのアルシンド選手、寺門ジモンが柳沢慎吾を演じてこの年開幕し大人気を博していたJリーグの「♪オーレーオレオレオレー」を歌うものだった。時代を感じさせる。

 ものまね師としての上島氏は、個人的に必ずしも評価は高くなかった。見た目が似ていても、いざ話すと似ていないパターンが大半だったので。しかし、上島氏が王座で披露したものまねというのはいくつも思い浮かぶ。

 今くるよ、小林旭レツゴー三匹じゅん、映画「虹をかける男」で共演を果たした西田敏行愛川欽也大仁田厚、華ゆり(引っ越しのサカイのCMで徳井優とコンビ)、桑野信義Wけんじ野村克也落合博満アジャ・コング秋元康松嶋菜々子橋田寿賀子野田佳彦など。着ぐるみを着てピカチュウをまねしたこともあったな。ものまねのメインを務める肥後を両脇で支える役として、ジモンと比べると異性や動物wを多くレパートリーにしていた記憶がある。

 しゃべりはともかく、誰かのまねをしているときの上島氏は、たたずまいがすごくなじんでいたように思う。男女の別なく、その人本人になりきってみせる。ためらうことなく堂々と演じる、といおうか。

 そのあたりが、上島氏の「才能」なのかもしれない。高校の恩師に「役者になりたい」と告げて上京。青年座研究所テアトル・エコー養成所で将来を夢見た演劇青年の思いを、ものまねという異質な舞台で花開かせようとしていた…というのはさすがに的外れかな。しかし上島氏の存在感に満ちたものまねがなければ、肥後のものまねだけでは、ダチョウ倶楽部はハイレベルなものまねの猛者が集うものまね王座で2回も優勝できなかったと私は考え直すに至った次第である。

 上島竜兵さんのご冥福を謹んで祈ります。

藤子不二雄A先生追悼

 今晩、まあ午前0時をすぎましたけれども、今回はこの話をしないわけにはいかないでしょう。

 漫画家の藤子不二雄A(正しい記述は○の中にA)先生=本名・安孫子素雄=が死去していたことが、7日に報じられました。88歳。

 私はこれまでもちょくちょく書いてきたと思うが、子どもの頃は漫画家になりたいと願っていた。子どもの頃、つっても小学校に上がる前の保育園の年長あたりかね。幼少のみぎりに、そんな大それたことを考えたのはひとえに「藤子不二雄」の存在があったからである。

 当時は藤本弘(藤子・F・不二雄)、安孫子素雄の2人で1組だった藤子不二雄。彼らが世に送り出した「ドラえもん」「怪物くん」「忍者ハットリくん」を私は夢中になって読んだ。先の3作品のうち「怪物くん」「忍者ハットリくん」がA氏の筆によるものである。手足が伸縮自在で数を5つ数えれば無敵の怪物太郎、ポーカーフェイスで理知的、冷静な伊賀忍者服部カンゾウは魅力的な主人公だった。

 ここからはつらつらと思い出を書いていく。雑な駄文が並べられると思うが、ご容赦願いたい。

 コンビ時代の藤子不二雄は、メディアに出演する際は必ず2人で出演していた。「ケンちゃんチャコちゃん」のシリーズにも本人役で出演したことがある。

 コンビの藤子不二雄が1作品を原作・作画で分けるスタイル(今回A氏を追悼したゆでたまごが相当)でなく、それぞれが単独で描き上げた作品を発表するスタイルなのは今でこそ有名。しかし当時はどちらがどの作品を担当しているかは明言されていなかったと思う。ただ、読み手である私たちは何となく「あ、ドラえもんはベレー帽の人(F)で怪物くんやハットリくんは眼鏡の人(A)なんやな」と見当がついていた。

 それと言うのも、小学時代に購入していた小学館の学習雑誌…「ドラえもん」が必ず載っていた『小学○年生』てやつね。あれの付録の冊子に「ドラえもん」や「怪物くん」の誕生秘話、みたいな短編漫画が収録しておったのよ。確か作画は藤子のアシスタントをしていた、しのだひでお氏だったと記憶している。

 で、その漫画で「F氏が新連載の告知が出ても主人公の設定が考えつかず、締切当日の朝にドラえもんの設定を思いつく」とか「F氏と一緒にドラキュラや狼男、フランケンの出てくるホラー映画を見たA氏が『彼らを家来にする怪物王国の王子』のアイデアを出す」という経過が描かれておってね。それを読んだら小学生でも「あーなるほど。『ドラえもん』の絵柄の人がFで『怪物くん』の絵柄の人がAなわけね」と容易な区別が可能になるってもんで。まあほんと、日本漫画史において空前絶後の漫画家コンビだったのは疑いありませんわ。

 さてA氏と来れば『まんが道』だろう。私の小学時代にNHKにて竹本孝之長江健次主演でドラマ化された。同作品は、既にプロで複数連載を持っていた主人公2人が富山への帰省でだらけてしまい、連載の大半が締切に間に合わず「落として」しまうというトラウマ展開が有名である。

 ただ私にとっては、ドラマ版での、A氏が自身をモデルにした主人公・満賀道雄の漫画家デビュー前の新聞社勤務時代もかなりのトラウマシーンだった。

 若手時代のある時期、道雄は新聞のラジオ番組表の制作を任される。まだテレビが普及していない頃の話で、道雄は上司役の蟹江敬三から「ラジオ欄は一番読まれる紙面だから」と正確な作業を念押しされる。しかし道雄は片思いしている同僚のことをぼんやり考え、いい加減な番組表を作ってしまう。

 翌朝、道雄が出社すると職場では抗議電話が鳴り響いていた。もちろん、道雄が制作した番組表へのクレームである。蟹江さん演じる上司は、道雄を見かけるなり「馬鹿野郎!」と怒鳴り、電話対応に追われるのであった。

 いやー、このくだりはトラウマだったねw 蟹江さんの演じる上司は「強面だけど若手に親身」というキャラだったので、そんな人に怒鳴られた点をもって、いかに道雄が取り返しのつかないミスをしたかが視聴者に伝わるってもんでね。

 道雄はショックで辞職を考えるが、既に就職先を辞めていた相棒の才野茂の激励、また上司の温情もあって勤務を続けるという結末だった。ただもう俺はほんと、小学生にして「社会人になったら、職場に抗議電話が集中しないようにしよう」と考えたからねw 今やっている仕事もそういう状況に陥らないよう、肝に銘じている次第です。さすがに50歳手前に来て「馬鹿野郎!」と怒鳴られたくはありませんしw

 

 最後に。私は数年前、富山県へ出張した際に「ハットリくん列車」に乗ったことがある。いや最初から乗ろうとしたわけでなく偶然でなw

 「忍者ハットリくん」のカンゾウ役を演じた声優の堀絢子さん自ら車内アナウンス。途中で「この地域は藤子不二雄A先生の出身地でござる」て説明していた。そういえば、A氏の訃報を富山県では号外出したみたいね。

 いやもう、本当に惜しい。あの世でA氏とF氏が、再び合作をしてくれることを願っている。藤子不二雄A氏のご冥福をお祈りします。

とりあえずモグライダーはコロッケにお礼を言おうw

 どうもどうも。いやね、スマホをポチポチやっていたらとある芸能ネットニュース記事を目にしまして。ほんでクリックしたら、その記事がおもしれえもんでネタにさせてもらいました。

 出典は文春オンライン。記事は書き下ろしでなく、評論家・中野剛志氏と作家・適菜収氏の共著『 思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか 』(ベストセラーズ)の抜粋を掲載したもののようで。

 中野、適菜両氏が共著の中で、ものまねという芸を絶賛しているくだりがあります。それはこちらで読めます。

 先ほど「おもしれえ」と対談の内容を書きましたが、どれくらいかというと「この場に俺も参加したかった」てくらいにw 対談の俎上(そじょう)に上がっている「ものまね王座決定戦」(フジ系)をリアタイで視聴して、自分で各出場者のネタを採点するくらいには熱狂していましたよ、ええw

 で、この対談の核心は何かってえと、やはりコロッケになるでしょう。中野氏は記事中で「ものまねが本物を復活させるって、何なんだよ(笑)」と脱帽しています。

 言うまでもなく、中野氏の発言は美川憲一を指しています。美川は1977、84年の2回にわたり大麻取締法違反で逮捕。84年の逮捕は当時小学生だった私も地元新聞の報道で知り、この記事で美川憲一の名前を認識しました。

 そんな私が再び美川の名前を耳にするきっかけが、数年後のコロッケのものまねだったのだから、いかに美川が芸能界を干されていたのかが分かるでしょう。美川はコロッケのものまねでゾンビの如く復活し、瞬く間にお茶の間の人気者に。コロッケはさしずめ、ミイラと化していた美川に復活の呪文を唱えた呪術師ですな。

 ここまで来たら言及せずにおれないのが、昨年のM-1グランプリでファイナリストになったマセキ芸能社所属の漫才コンビモグライダーです。「地下」と称されるアングラお笑い界では名の通っていた芝大輔、ともしげの2人が結成12年目にして初めてM-1の決勝で披露したのが美川憲一さそり座の女」のネタ。

 そのネタはこちらで見ることができます。この美川憲一ネタは伊集院光をして、往年のコント55号を髣髴(ほうふつ)とさせると絶賛されました。

 しかしひねくれ者の私などは、このモグライダーの勝負ネタはコロッケの功績もでかいなとみています。モグライダーのネタではツッコミでありネタの司令塔である芝が美川をまねるのですが、彼の姿を見た視聴者はほぼ「コロッケの美川憲一」を思い起こしたことでしょう。見ている側に美川憲一が何者であるか、そのイメージ起こしの作業がコロッケによりw容易であったからこそ「トップ出番でなければ、最終決戦まで残れたのでは…」と惜しまれるほど、モグライダー美川憲一ネタは名作に昇華できたのではと思います。

 てわけで、モグライダーYoutubeチャンネルで美川と共演を果たしていますが、彼らはコロッケにもお礼をしないかんなと勝手に考えていますw 日テレのものまね番組での共演を期待しています。

西郷輝彦さん追悼「ねがい」

 歌手で俳優の西郷輝彦さんが亡くなった。75歳。

 がんで闘病していることは聞いていたけれども、いざ西郷さんの訃報を目にしたら(ああ…)と自分でも少し驚くほど落胆してしまった。やはり幼少のころからスターだった人が逝くのは惜しい。

 私にとって西郷さんと言えば「ねがい」だ。彼が当たり役の遠山金四郎を演じたシリーズ時代劇「江戸を斬る」(TBS系)の主題歌。こちらでフルバージョンを聴ける。作詞山上路夫、作曲いずみたく

 「江戸を斬る」は子どものころに再放送を見たが、なぜだかドラマ本編より「ねがい」の印象が強くてね。格好いいんだもの、西郷さんのボーカル。Aメロでは落ち着いた低音を響かせておいて、サビでガツンと高音で伸びのある声を放つんだからな。

 また歌詞も渋いわけよ。「何を今日は求めて生きた」「人は生きるものなのか」「生きてゆくのか 明日も」と問いかけに次ぐ問いかけ。さまよう詩人かよw

 先に書いたような西郷さんの熱唱もあいまって、テレビで流れるワンコーラスを聴き終えると、まるで1冊の本を読んだような充実感があったなあ。おのれの幼いころを、そんなふうに思い出している。

 西郷輝彦さんのご冥福を祈ります。

参院選の日本共産党候補者と高校で同窓の芸人を調べてみた

 どうもです。

 今回の記事の趣旨は、まあタイトルの通りなんですがw 私が愛読している5chのM-1グランプリスレにて、芸人の学歴話になったんですわ。

 正確には、このほどファイナリストが発表された今年のピン芸人日本一決定戦「R-1グランプリ」の準決勝に進出した芸人さんたちの最終学歴を調べた人がいましてね。その流れで、長年の日本共産党支持者である私が「あ」と思うところがあったもので。

 まあ、まずはタイトル通りに調査結果を並べてみましょう。今年夏の参院選をたたかう共産党の比例・選挙区候補の学歴を調べてみました。その上で、卒業した高校で同窓の芸人さんをピックアップした次第です。それでは、どうぞ。敬称略。

 

【比例候補】

いわぶち友  不明・福島大学卒業
田村智子   長野県立野沢北高校(早稲田大学卒業)-なし
たけだ良介  長野県立飯山北高校(信州大学卒業)-なし
大門みきし  京都市立日吉ケ丘高校(神戸大学中退)-ブラックマヨネーズ吉田敬
にひそうへい 福岡県立小倉高校(京都大学卒業)-七代目柳亭燕路

【選挙区候補】

北海道・松橋ちはる  北海道苫小牧東高校定時制(岡山大学卒業)-なし
秋田県・藤本ゆり   秋田県大館鳳鳴高校(都留文科大学卒業)-ポール牧(故人)
山形県・石川渉    不明・山形大学卒業
茨城県・大内くみ子  不明・茨城大学養護教諭養成所卒業
群馬県・高橋保    不明・新潟大学卒業
埼玉県・梅村さえこ  愛知県立豊田西高校(立命館大学卒業)-なし
千葉県・さいとう和子 千葉県立薬園台高校(日本大学卒業)-立川志ら玉
東京都・山添拓    京都府堀川高校(東京大学卒業)-ネイビーズアフロ
神奈川県・あさか由香  神奈川県・森村学園高等部(筑波大学卒業)-Theかれー王
富山県・坂本洋史   富山県立南砺総合井波高校(2012年閉校)(金沢星稜大学卒業)-なし
福井県・山田和雄   福井県立春江工業高校(2016年閉校)-なし
静岡県・鈴木ちか   不明・静岡大学短大部卒業
愛知県・すやま初美  不明・愛知産業大学卒業
京都府・たけやま彩子 京都府洛西高校(京都教育大学卒業)-なし
大阪府・たつみコータロー 大阪府立北野高校(エマーソン大学卒業)-森繁久彌(故人)
兵庫県・こむら潤   兵庫県立明石高校(京都市立芸術大学卒)-なし
奈良県・北野いつ子  愛知県立東海商業(大阪あべの辻調理師専門学校卒業)-なし
広島県・中村たかえ  広島市立大手町商業(広島経済大学卒業)-なし
福岡県・まじま省三  長崎県佐世保北高校(九州工業大学中退)-なし
佐賀県・かみむら泰稔 不明・佐賀大学中退

 

 …とまあ、並べてみるとこんな感じですね。ざっと調べた限りでは、卒業した高校が不明の候補者も少なくありません。なので卒業(中退)した大学も併記したのですが「大学で同窓だった芸人」は割愛しました。田村智子の卒業した早稲田大学は、タモリ(中退)はじめOB・OGがゴロゴロいますものでね。

 調べてみると、意外と高校で同窓の芸人さんはいないものだなと。確認できたのは現職の大門みきし、山添拓、元職のにひそうへい、たつみコータロー、衆院前職のさいとう和子、新人の藤本ゆり、あさか由香の同窓でした。

 出色なのは東京選挙区に立候補予定の現職・山添拓でしょう。卒業した京都府堀川高校の8年後輩に、気鋭の漫才コンビネイビーズアフロ。既にM-1グランプリ準々決勝3回進出の実績を誇りますが、ボケ担当のみながわは今年のR-1準決勝敗退。前述した5chスレで彼(とツッコミの、はじり)が堀川高校卒業であることを知ったもので、今回の記事を書こうと思ったのですw

 あとピックアップしておきたいのは、比例現職の大門みきしですね。京都市立日吉ケ丘高校の後輩に、あのM-1 2005王者ブラックマヨネーズの吉田。大門自身、漫才の作家を志して吉本興業の門を叩こうとした経歴の持ち主です。ぜひとも吉田氏には、同窓のよしみで大門氏を応援してほしいとささやかに願っております。

 そして前職の大阪選挙区候補・たつみコータロー。前述の5chスレで「北野高校卒の芸人ていないなあ」とこぼす返信がありました。北野高校と言えば大阪有数の進学校で、あの維新の創業者橋下徹の母校でもあります。しかし肝心のOBを忘れてはいけません。

 森繁久彌。日本芸能史に名を残す喜劇役者ですよ。森繁翁は日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」の常連出演者で、正月の紙面で毎年エッセーを寄稿してくれました。今年はぜひとも、後輩たつみ氏の雪辱を見守ってほしいと思う次第であります。

 ちなみに不肖マサトヰシグロシャムロックの高校時代の同窓ですが、芸人はおらんようです。ミュージシャンや漫画家、元プロ野球選手はいてるみたいなんですがね。まあまあ、今回はこんな感じで。

ENGEI-COMIC SHAMROCK AWARD2021を発表します

 どうもどうも。2022年初の記事となりますw 今年もよろしくお願いします。

 さて恒例の(?)ENGEI-COMIC SHAMROCK AWARDの発表です。毎年毎年、私が好き勝手に芸人の皆さんを表彰させてもらっています。

 MVP、新人王、殊勲賞、敢闘賞、技能賞、そして新設の漫画賞を発表させていただきます。結果は以下の通りです。敬称略。

 

MVP 錦鯉(M-1グランプリ2021優勝)

新人王 ヨネダ2000(M-1グランプリ敗者復活、THE Wファイナリスト)

殊勲賞 たむたむ(ものまね王座決定戦)

敢闘賞 茶々(THE Wファイナリスト)

技能賞 空気階段(キングオブコント2021優勝)

漫画賞 川尻こだま

 

 MVPは漫才師の日本一を決める頂上決戦、M-1の死闘を制した錦鯉に決めました。剛球ストレートの表現がふさわしい長谷川雅紀のボケ、それを自由自在にコントロールする渡辺隆のツッコミ。プロ野球の名バッテリーを見るかのような完成度の高い芸風は、文句なしのMVPと言えましょう。

 新人王は、これも文句なしですね。すい星のごとく現れた25歳と22歳の女性コンビ、ヨネダ2000。「ボケとお手伝い」という聞きなれない任務分担で、ネタをリピート視聴せずにはいられないリズム感重視のネタは猛威を振るい、男性コンビ優位のM-1において敗者復活にまで駒を進める大健闘をしました。今年のM-1は堂々、正面からのファイナリストを期待します。

 殊勲賞は、ものまね芸人のたむたむ。昨年12月の「ものまね王座決定戦」1回戦では十八番である河村隆一(LUNA SEA)の「I For You」を熱唱し、優勝候補のビューティーこくぶを破るジャイアントキリングを果たしました。たむたむはこのほど、同じものまね芸人で綾瀬はるかを持ちネタとする沙羅との結婚を発表。よくよく考えれば、たむたむは公共の電波で「♪心から 君に伝えたい」とラブソングを歌い上げたわけで、あれ事実上の沙羅へのプロポーズだったんでしょうかw 恋人が名人ビューティーを破る姿を見て、沙羅も惚れ直したことでしょうね。

 敢闘賞は、芸歴2年にしてTHE Wファイナリストの称号を得た茶々。ミュージカル仕込みの芝居度胸で、自身は全くセリフを発さないマツモトクラブ的な音響コントを披露し、紅しょうがとの対決に敗れたものの鮮烈な印象を残しました。先日放送された「ダウンタウンDX」(日本系)でも出口の見えないトークで共演者をほんろうする立ち居振る舞いを演じており、今年注目の芸人と言ってよいでしょう。

 技能賞は、審査員が松本人志を除いて一掃された「新生」キングオブコントを制した空気階段に授けます。雑居ビルの火災に立ち向かう、女王様プレイ中の消防官と警察官のコントは優勝にふさわしい熱量と技量を感じました。空気階段にとってKOC決勝は3回目。文字通り三度目の正直を果たした彼らは、技能賞にふさわしいでしょう。

 そして今回、新たに設けた漫画賞。文字通り(こればっか書いて恐縮ですが)漫画界に関わる人に与える賞ですが、栄えある初代の受賞者は川尻こだまとなりました。この人の活躍については、漫画をかじった方には説明不要でしょう。twitterを根城にほぼ毎日1ページ漫画を更新。あるある感、ダメ人間感漂うローテンションな作風には合計で1億近い「いいね」がつき、業界がこぞって食いついて単行本化、そしてアニメ化までされる事態となりました。まさに時代の寵児となった川尻ですが、ブレイクしたこれからの生きざまがどうなるのかに期待を寄せて初代漫画賞を授けます。

 てわけで(?)、もう今年も残り340日となってしまいましたがw、変わらず拙ブログのご愛顧をよろしくお願いします。

M-1グランプリ2021決勝大会を採点してみました

 どうもです。19日に開かれた漫才師日本一を決める「M-1グランプリ2021」の決勝大会の動画を視聴し、各ネタを採点してみました。カッコ内は所属事務所、決勝出場回数。

◆ファーストラウンド

モグライダー(マセキ芸能社初)90

ランジャタイ(グレープカンパニー初)88

ゆにばーす(吉本興業3年ぶり3回目)87

ハライチ(ワタナベ4年ぶり5回目)86

真空ジェシカ人力舎初)89

オズワルド(吉本興業3年連続3回目)93

ロングコートダディ吉本興業初)89

錦鯉(ソニー2年連続2回目)94

インディアンス(吉本興業3年連続3回目)92

もも(吉本興業初)87

 

◆最終決戦

インディアンス 90

錦鯉      94

オズワルド   92

 

 ま、こんな感じでw 私の印象に特に残ったのは3組に絞って挙げるなら優勝の錦鯉、モグライダー、そして真空ジェシカでしょうか。

 錦鯉は、なんと言ってもボケの長谷川の手綱を握った渡辺のツッコミに尽きる部分があるかと。最終決戦の「長谷川が住民に被害をもたらす野生の猿を捕獲する」というネタ(改めてどんなネタだとw)。序盤、取り逃がした猿が森へ入っていくのを呆然と見届ける長谷川に「…もういいじゃねえかよ」と絶妙の間で諭すようにツッコむ渡辺にはしびれましたね。私の中では、あれで錦鯉は優勝たぐり寄せたなと思うほどです。

 そしてモグライダー。地下お笑い界ではアドリブ感満載のネタで名を馳せてきた彼らが、M-1用に満を持して磨き上げたのが「美川憲一の『さそり座の女』」ネタでした。どういうネタかはもう公式動画を見てもらうとしてw ポンコツなともしげのスリリングなボケに豊富な語彙でツッコむ芝。ネット上では「モグライダーが後半の出番なら最終決戦行けたのに…」という悔しさ混じりの賛辞であふれました。私もつい、美川憲一ご本人の歌唱動画をあさっているところですw

 最後に真空ジェシカ慶應義塾大学青山学院大学という名門で学び、学生お笑いで名を馳せた2人が結成したコンビです。「芸能人が一日市長をする」という意外と前例のない設定で川北、ガクの2人がコント漫才をするのですが、とりわけ心に残ったのは一日市長(ガク)と10日副市長w(川北)が和菓子屋に寄ってまんじゅうをいただくシーン。和菓子屋のおばあちゃんが二進法のハンドサインを送ったことにより、彼女が理系出身だと察するシーンがあります。この場面は心に刺さるというか、考えさせるものがありましたね。女性の研究職というのは世界的にも、そして歴史的にも差別されてきましたから。現代においても、女性の研究者は自身の結婚・出産・育児により研究の障害に直面せざるを得ない現状があります。今でこそ「リケジョ」などとマスコミがもてはやす風潮はありますが、依然として女性の研究職は多くの当事者がつらい思いをしてきたのではないか。そういう気持ちにさせられた、真空ジェシカの「理系のおばあちゃん」ネタでした。

 

 ほかの組の講評については、また後日にしたいと思います。ただ個人的には、マヂカルラヴリーが優勝した前回大会よりは満足度が高かったですね。

 端的に言えば、錦鯉の2人が素晴らしかった。改めて祝福を送ります。