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藤子・F・不二雄『ドラえもん』13巻(小学館)

 こないだ書きましたが、私が人生で初めて購入したのが『ドラえもん』の13巻です。当時は保育園児でしたが、リアルタイムで読んで子どもながらに一番心に残ったエピソードは「タマシイム・マシン」ですね。

 タイムマシンの一種で、ママに怒られてげんなりしたのび太が赤ちゃんの時代に戻るという筋立て。かわいらしいのび太の赤ん坊時代が見られます。このころは当然メガネもかけておらずw ぱっちりとした目ののび太ですが、2巻では生まれたての頃に「しわくちゃじゃんか、まるでサルみたい」と言われていたんですよね。言った当人が成長したのび太ですけどw

 

 なぜ保育園時代の私がこの「タマシイム・マシン」を印象深く記憶しているかというと、のび太の赤ん坊時代のママって全然怒らない、優しい人だったからです。私は先にアニメを見て「ドラえもん」を知った口でして。

 アニメでのママ(まあ原作もそうですけどw)は非常に怖い人物だったので、ずっと笑顔で赤ん坊ののび太に接するママを見て「へえー」と思いましたね。今見返してみると、赤ん坊のび太が金魚鉢をひっくり返しても笑ってママが対応するコマにはじんわり来ます。のび太の泣き顔もかわいいですね。

 

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(『ドラえもん』13巻149ページ)

 なおのび太は生粋のおばあちゃん子ですが、この回でのおばあちゃんはそんなに目立っていません。のび太とママの関係に焦点を当てているからそうなるかなと言えますが、先の金魚鉢のシーンで、おばあちゃんはタオルを持ってママのバックアップに入っています。さすがおばあちゃんだなとうならされた次第です。

 

 あと子ども心に印象に残ったのは「もどりライト」の回。このエピソードでは「のび太がしょうもない願いをかなえるためにドラえもんひみつ道具をせがむ」という鉄板パターンを崩しに行っています。ドラえもんにさんざんからかわれて「宿題のことで相談したかったのに」と泣いてきびすを返すのび太。普段があれというのはありますがw やはりかわいそうですね。

 これも以前書きましたが、「もどりライト」の回はノートだの畳だの、身近にある物の原料を知ることができるのがポイントですね。プラスチックが石油でできているとかね。一種の教科書ですわ。

 しかし笑いのツボはしっかり押さえるのが藤子Fの藤子Fたるゆえんです。パパが同僚の祖古梨さんと自宅で飲み会を開いているところへ、ウイスキーを麦にするのび太ドラえもん。つまみもどんどん原料に戻すのですが、そのカオスぶりをたった1コマで描くのがすごい。

 

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(前掲書116ページ)

 パパ、祖古梨さん、そして牛wの表情がそれぞれ秀逸。あと若干思ったのですが、祖古梨さんて木下ほうかに似てね?