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R-1ぐらんぷり2018決勝戦感想その3

◆ファーストステージ

Bブロック

河邑ミク

 今大会最年少ファイナリスト。昨年末の女性芸人日本一を決める王座「THE W」では惜しくも準決勝敗退(決勝リザーバーの1組に選出、もう1組はガンバレルーヤ)に終わったが、R-1で見事に初決勝の座を勝ち取った。

 ネタは「THE W」でもかけ続けていたレンタル彼女サービス。設定そのものに斬新さがあるわけではないが、とにかく演技力が卓越していて、引き込まれる。サービス中の声色とサービス終了後の声色の使い分け、表情の多彩さ、札束を数えるジェスチャー中の指の動きなどは目を見張るものがあった。オチはまあ読めたが、相手男性が追加サービスを多めの額で出してきたという前振りがあったので、伏線もきちんと回収したという点で悪くなかった。

 先も書いたが、演技力のある彼女は芸人というよりコメディエンヌという肩書が似合うと思う。1人コントよりも、集団コントで実力を発揮するタイプではないだろうか。よって個人的には、内村光良の「LIFE!」とか志村けんのコント特番に出てほしいと思っている。

 個人的な採点は100点満点中90点。

 

・チョコレートプラネット長田

 キングオブコント2014準優勝コンビ。ここ数年は相方・松尾のIKKOものまねの向こうを張った和泉元彌ものまねで顔を売っていたが、得意の小道具ネタで初のR-1ファイナリストに。

 ネタに関しては、前半は文句なく面白かった。安全バー、安全ショルダーバー、そしてオチにつながる「ディメイキッド」のくだりなど。途中で勝手に安全ショルダーバーが外れるところなどは笑うとともに感心したくらいだ。

 ただ、後半が前半に比べて面白さに伸びがなかったかなと。見ている側としては「はよスタートすればいいのに、どんなアトラクションか気になるわー」思いながら見てしまったし、終盤につれてやたらバタバタしている印象だけ残った。アナウンスも「なきしめる」はまだ良かったけど「息吹を吹き込む」はイマイチな感じがしたしね。

 個人的な採点は100点満点中89点。

 

ゆりやんレトリィバァ

 4年連続、しかも敗者復活なしで全ストレート進出でのファイナリスト。昨年末の「THE W」を制し、文句なしの大会優勝候補本命として2冠に挑んだ。気鋭の女性芸人が今回かけた勝負ネタは「昭和の映画女優」ネタだ。

 つかみがすごい。私の体感だと、登場から30秒ほどはずっと無言じゃないか。ためにためてのあの第一声、これ聞いて「あ、このネタ絶対面白いわ」と確信したほどだ。

 少し横にそれるが、BGMは1969年に第1作を上映した「男はつらいよ」だったが、ゆりやんの衣装やしゃべりを見聞きしていると、モチーフはもうちょい前、1950年代の戦後間もなくの頃の映画を彷彿(ほうふつ)とさせる。岸恵子さんとか有馬稲子さんとか、おませで活発な女性をよく演じたイメージの女優さんね。

 閑話休題。木に登るくだりは少々不要かなとも思ったが、昭和映画の演出ぽさを出したかったのかな(木に登る途中でなぜかゆりやんは服のすそを引っ張り上げるのだが、これはよく意図が分からない)。しかし鉄板ともいえる早口言葉崩しや、序盤から出てくる「あたしも連れてって」のフレーズがオチにつながるなど、ネタの構成もよく考えられていた。「THE W」でのドラえもんネタよりも私はこのネタを評価する。

 個人的な採点は、100点満点中93点。

 

霜降り明星 せいや

 敗者復活ステージ2位。相方・粗品(Cブロック)の後を追い見事に、R-1史上初めてコンビそろってのファイナリスト入りを果たした。

 この人のネタは、ブリッジに尽きる。身もふたもないことを書くがwブリッジ中の無駄な動きのキレとか、妙にナイナイ岡村を思い出したわ。Bブロックは正統派のネタがずらりと並んでいたから、こうしたすがすがしいまでの一発芸の連打はボールになる変化球に見えて、何だかバットを振らされる感じでついつい笑わされてしまった。ただ武田鉄矢ネタの繰り返しはダメだろ。

 個人的な採点は100点満点中91点。何だか高く付けた気もするが、「THE W」での押しだしましょう子みたいな感じでつい点数つけたくなる感じなのよな。

 

 そしてBブロックの審査結果は河邑0、長田10、ゆりやん10、せいや1。お茶の間d投票でより多くの支持を得たゆりやん(1位、長田は2位)が勝負を制し、2年ぶり3回目の最終決戦進出を果たした。ちなみに私が審査員の場合ゆりやん2、せいや1、河邑と長田が0。

 

 続きます。