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THE W決勝戦の感想その5

◆最終決戦

 残った5組が勝ち上がりの早い順から2本目のネタを披露。全組のネタ終了後、401人の審査員が1組に投票して優勝者を決める。このシステムはアラがあるなあ。出番が早い方が不利になるし、ネタとネタの間にCMいちいちはさむので、やけに時間が長い。私は録画でCMをスキップできたが、生で見ると結構ダレがあったろうな。

 

1組目

ニッチェ

 ハートフルショートコントと銘打った一作。この手の賞レースでショートコントを集めるネタをやるのは、かなりチャレンジングではある。私の記憶では「爆笑オンエアバトル」のチャンピオン大会セミファイナルでアンジャッシュがやったな。「アンジャッシュドラマ」と銘打ったやつ。

 懸命に生きるシングルマザーの江上に娘の近藤がひねりのあるエールを送り、江上が顔芸をやるという力業を見せる。舞台が家の中に限定されていたので、三者面談の設定で学校とか、娘がいなくなって母親が町中を奔走するとかいろいろなシチュエーションで見せてくれた方が顔芸もワンパターンぽくならなかったように素人考えをした次第だ。

 最後は親子泣きながらのにらめっこで舞台が暗転し、終わりのドラの効果音が鳴るのだが、なぜかドラが鳴った途端に近藤が「アップップ」を中途半端にやめていたので気になった。別に続けても問題なかったが、「ドラが鳴ったらネタは強制終了」というルールでもあったのだろうか。

 個人的な採点は88点。

 

2組目

アジアン

 2人そろってのテレビ出演は約3年ぶりも、本日2本目とあって固さはファーストより取れ、のびのびと馬場園がボケていたのが印象に残った。「♪おとなの人~」のメロディーラインは不気味ながら耳に残るキャッチーさがあり、繰り返しでラッパーのようなフェイクを足すなどアジアンらしい悪ノリ感が心地いい、減点の少ない安定感のある漫才だったと思う。

 ただ思い返してみれば、M-1で春風亭小朝かまいたちに語っていたような「勝ち切るネタ」だったかというと疑問が残る。

 個人的な採点は93点。

 

3組目

牧野ステテコ

 ネタ後に審査員のヒロミが「まさかまたポールを持って来るとは…」と言っていたが、私としては「やるならポールネタしかないだろう」と思っていた。中村涼子との接戦を制して勢いのあるネタだし、2本目なら予備知識のできた観衆もより受け入れやすくなっていただろうから。

 果たして、2本目のポールダンスネタは1本目よりも予想以上に良かった。最終決戦に残って手ごたえをつかんだのか、ネタのキレやネタ後の一言が1本目よりも仕上がっていた。中でも「社長、初めまして」パンチラインだったと思う。

 個人的な採点は92点。

 

4組目

まとばゆう

 ネタは「イントロソング」。既存曲のイントロに自作の詩を乗せて、歌い出しにつなげるというゲーム性のあるネタで、ある意味ジャルジャルの校内放送や、今回の押しだしましょう子とも通じる部分があるかな。

 ネタ(曲)によって面白さにムラが出たかなという印象。放屁という下ネタに絡めた「タッチ」や、風刺(天下りや舛添の温泉ネタ)を込めた「ドラえもん」は掛け値なしに笑えたけど。そう言えば、ここ数日ウーマンラッシュアワーの「THE MANZAI」での風刺ネタが賛否両論を呼んだが、まとばみたいに軽快なメロディーとボーカルに乗せてあえてサラッとやるスタイルの方が、風刺で人を笑わせるのに合っているのではとふと思った。ラストの星野源「恋」は、ちょっとトリに持ってくるには弱いネタで残念。

 個人的な採点は89点。

 

5組目

ゆりやんレトリィバァ

 ネタ後に司会のチュートリアル徳井義実をして「あいつはテレビ朝日出入り禁止でしょうね」と言わしめた禁断のドラえもんネタ。若干前の出番のまとばゆうと被っているが、それもなんのそので笑いをかっさらった。特にtwitterのくだりは切実そうで笑えた。ニッチェの江上が「相当ストレスたまってんだろうなと思った」とネタ後に心配のコメントを出していたのが物語っている。

 ただ途中で、「ぼく」と言うべきを「わたし」と言って慌てていたのを受けて、私は「ネタを飛ばしたのか?」と思った。ネットの感想を拾うと、あれは台本通りらしいのだが(予選でもやったネタなので知っている人がいても不思議ではない)、その後のセリフ回しももたついているように見えたので、私は録画を見ていてガチでとちったのかと勘違いした次第である。

 ただ、負け惜しみを言うわけではないが、やはりトチリと思わせるくだりはなくて良かったのではないか。直前のtwitterネタが非常に面白かっただけに、そこを省略してテンポよく自虐ネタを放り込んでほしかったという思いがある。オチらしいオチもなく、見終わりがふわっとしていたな。ゆりやんはこういうネタ多くね。

 個人的な採点は90点。

 

 さて全組のネタがつつがなく終了し、審査員の投票結果は以下の通り。

優勝 ゆりやんレトリィバァ 201

 

2位 牧野ステテコ 89

3位 アジアン 47

4位 ニッチェ 33

5位 まとばゆう 31

 

 個人的に戦前の予想で優勝に挙げていたゆりやんが、実際には過半数の票を得て初代女王に輝いた。まあ納得の結果と言えよう。今年ももうすぐ終わり、年が明ければR-1の予選がすぐに始まるが、「THE W」初代女王のゆりやんはどうするのか。3年連続R-1ファイナリストの面目にかけて、2冠を狙いに来るのか。

 そういう意味で、2018年のお笑い賞レース界は目が離せないと言えよう。とにかく、ゆりやんはおめでとうございます。