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「THE W」決勝戦感想その2

◆ファーストラウンド

第2試合

アジアン(よしもとクリエイティブエージェンシー)×紺野ぶるま松竹芸能

 テレビは約3年ぶりとされるアジアンのツッコミ・隅田。ブランクが懸念されたが、カラッとした声質でのきっぷのいいツッコミは健在で安心した。

 むしろ見ていて心配になったのはボケの馬場園のエンジンのかかり具合であった。街で声をかけられたファンへの対応をテーマにした漫才であったが、どうも「隅田さんを楽器にたとえたら…」「隅田さんを春の七草にたとえたら…」のボケの爆発力が今一つだったと思う。隅田の横顔を「し」「レ」にたとえたのは笑えたが、もっと馬場園らしい突拍子のないボケをポンポン放り込んでほしかったうらみが残った。

 個人的採点は88点。

 後攻の紺野は、喫茶店という公の場で繰り広げられる男女の別れ話コント。主人公の紺野が、なぜ浮気をしてしまうのかという自己分析で「コミュ力が高いから」という変化球を放つナンセンスな内容だ。

 テレビで見るより、生の舞台で見た方が面白いんだろうなと思った。実際、自分がいる店の近くの席でこういうカップルのけんかがやられていたら、不謹慎ながら両肩を震わせて笑ってしまうだろう。「ゴッ、ゴッ」とかのワードにセンスを感じたので、その辺のネタの広げが欲しかったところだ。

 個人的な採点は82点。

 対戦結果はアジアン300-101紺野でアジアンの快勝。2005年M-1ファイナリストが初の女性芸人王座にリーチをかけた。

 

第3試合

中村涼子(ワタナベエンターテイメント)×牧野ステテコ浅井企画

 個人的には、この対戦がもっとももつれる勝負になるとみていた。今回の「THE W」と同じ対戦形式で行われた2014年のキングオブコント1回戦シソンヌ×巨匠(54-47でシソンヌ勝利)のような名勝負を期待していた。

 「女性版マツモトクラブ」と称される先攻の中村は、最初の1分間に限ればファイナリストの中でも突出していた出来栄えだったと思う。カッコいい男性の幽霊と恋愛関係に陥るという筋立ては少し見る人を選ぶかもしれないが、まあその手の物語は上田秋成雨月物語」の頃からあるからなあ。ある意味古典で、ごまかしの利かないネタによく挑んだと思う。

 比較対象とされるマツモトクラブは一つのシチュエーションをじっくりと演じ込むタイプのコントをよく作るが、中村はジェットコースター的な展開で30歳女性と幽霊男性の恋の行方を追う。「幽霊に抱きしめられると冷たい」という前振りを利かせたオチは意表を突かれたが、なにしろ展開が早くて笑いにくい雰囲気のネタになったのが惜しまれる。ゆうくんが実際に主人公の両親に会いに行くエピソード、見てみたかったなあ。このコントは10分、15分でもやれると思う。

 個人的な採点は90点。

 後攻は馬鹿よ貴方は・新道に「出て1秒で面白い」と太鼓判を押された牧野ステテコ。いやあ、俺は録画で見たんだけど午後9時台にM字開脚しながら股間を指さして「パワースポット」つったんだろ? ようできたなw

 まあシンプルな内容ながら、キャラ設定とセリフ回しの塩梅が絶妙だと思った。キャラの高慢さと自虐的なギャグとのバランスも取れていて、ある種の清潔感すら感じるw後半、ポールに犬がつながれたとかおとなしめのネタが来ていたので、そこはもっと冒険してもとは思った。

 個人的な採点は89点。

 果たして、審査員の投票結果は中村190-211牧野。アングラ芸人の乾坤一擲(けんこんいってき)、牧野ステテコが最終決戦へ名乗りを上げた。

 それにしてもこれ、録画で結果を見たときはすげえ驚いたぜ。過去の記事で決勝戦の結果を予想したとき、票差まで一応書いたんだけど、中村190票、牧野211票てのが全く同じだった。「おいスタッフ、このブログ見とったんちゃうけ?」とありえないことを疑ったほどであるw

 

 続きます。