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女性芸人をダシにした女性差別を許さないカウンター行動の宣言&「THE W」決勝戦感想その1

 今回から「女芸人日本一決定戦THE W」決勝戦日本テレビ系)のレビューを始めるが、その前に宣言しておきたいことがあります。

 それは「女はお笑いが分からない」「女はお笑いに向かない」「女芸人は、男の芸人よりも劣る」といったすべての「女性芸人をダシにした女性差別の発言」は絶対に放置してはならない、ということです。今回の「THE W」決勝戦放送の前後(特に放送後ですが)において、上記の趣旨の発言がネットに非常にはびこりました。

 ある程度その手の事態は大会開催発表時から予想はしていましたが、それでも私は辟易(へきえき)しました。そうした心ない差別発言は予選からベストを尽くしてたたかってきた636組の女性芸人の皆さんを冒瀆(ぼうとく)するものです。同時に、こうした状況をお笑い好きの端くれとして放置するわけにはいかないと思いました。

 そういうわけで、民族差別を扇動するヘイトスピーチに抗議する市民のカウンター活動のように、女性芸人をダシにした多数の女性差別発言を許さないカウンター活動もやっていくべきだなと思うに至りました。微力ではありますが、自分なりにネット上にはびこる女性芸人への差別的な言動を一掃する取り組みを実践していくつもりです。

 

 さて、「THE W」決勝戦のレビューに入りたいと思います。

◆ファーストラウンド

第1試合

はなしょー(ワタナベエンターテインメント)×ニッチェ(マセキ芸能社)

 ニッチェに憧れ、この決勝戦ファーストラウンドでも対戦を所望したというはなしょーが先攻。胸を借りる舞台で繰り出したのは昼休みでの女学生の秘密の会話…という一見オーソドックスな設定のコントだ。コント中に名前が出てきた広瀬すずが、実際に「先生!」という今年公開の映画で教師との恋愛を演じていたので、タイムリーと言えばタイムリーなのかw

 教育実習生に恋したというはなを全力で否定にかかるしょーこ…というシンプルかつストロングスタイルのコントだが、しょーこの言動に対するはなの「頭が鉛のように重い…」「言葉のブレーキをかけよう」てなコメントが結構ツボる。はさみ込んでくるはなの顔芸も印象的だ。この辺、顔芸はイモトアヤコ、コメントはハライチ澤部とナベプロの先輩の影響を感じなくもない。

 まあ後半は、もう一展開欲しかったところ。導入部でせっかく他の生徒に隠れて会話し、大声を出してはいけない設定もあったのだから周りの生徒に知られてしまうという展開になって、そこからのオチを見たかった。あとラストの「キビシー」は財津一郎やがなw

 個人的な採点は85点。

 

 後攻はニッチェ。ファミレスチェーンを手掛ける女性社長が、店舗の状況を潜入調査するという、こちらもコントの題材としてはよく見かけるタイプの作品であるが、はなしょーの一枚も二枚も上手を行った。

 江上の「宝ー!!」や顔芸もさることながら、店長を演じる近藤のきっぷのいい正論キャラが、コントにある種の心地よさをもたらしている。世間を見渡してみれば、森友・加計問題をはじめとして権力者に媚びて甘い汁を吸おうとする連中の多いこと。そういう意味で、忖度(そんたく)をしない姿勢を貫く近藤店長には大いにシンパシーを覚え、気持ちよく江上のリアクションを楽しむことができた。まあ時給は労働者の権利として上げてもらうよう要求していいと思うが。

 このコントならキングオブコント(KOC)の決勝でも一定の評価はされそうだが、ニッチェは一度としてKOCの決勝に上がったことがないんだよな。10回開催して、ほかの女性コンビがKOCの決勝に上がったこともない。本当、その審査基準には疑問を抱かざるを得ないとこの場を借りて書かせていただく。

 個人的な採点は91点。この勝負の個人的な軍配はニッチェに挙げた。

 

 第1試合、審査員401人(タレント審査員柴田理恵、ヒロミ、生瀬勝久新川優愛吉田沙保里若槻千夏の6人と一般審査員395人)による審査結果ははなしょー116票、ニッチェ285票。ニッチェが貫録を見せつけて得票率7割、最終決戦進出を果たした。

 

 続きます。