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M-1グランプリ2017決勝戦の感想その3

◆ファーストラウンド

6組目

マヂカルラブリー

 彼らを初めて見たとき、ボケの野田クリスタルはランニングにGパンに裸足というアグレッシブなファッションをし、トリッキーな動きボケでツッコミの村上(ちなみに本名は鈴木)を翻弄(ほんろう)する尖った漫才をしていた。あれから幾星霜(大げさ)、2017年M-1決勝という大舞台に野田はYシャツネクタイという正装ながらジョジョ立ちをしながら登場するという気合の入りようを見せてくれた…のだが。

 いや、観客はそこそこ笑っていたし、リアルタイムで見てそんな悪いネタという印象もないのよ。演者と見せかけて客という天丼も途中までは機能していた。立ち見あたりでしつけえなと僕は思ったけどw「木戸銭返せや」という思いには一切至らなかったけど、まあこれはファーストラウンド最下位やろうなという確信が私にはありましたのです。それまでレベルの高いネタが続いていたしね。

 審査員の合計得点は607点。

 私の個人的採点は85点。プロたる審査員は私などより厳しい採点で、絶対600点は切ると思っていて、意外と優しい審査だなと思ったくらいだが、ここからマヂカルラブリーは芸人人生の剣が峰に立たされてしまうw

 上沼恵美子の「よう決勝来れたな」はむしろ優しい助け船に思えた。その直前の「上沼えみくじでした」が、もう取りつく島もねえなという感じだったので。

 しかし結局中途半端に脱いでしまい、会場を凍てつかせた野田クリスタルよ。まああれよ、人間は生きている限り成長できる生き物だから落ち込むなやw

 

7組目

さや香

 コンビ結成4年目にして大舞台を射止めた20歳代の若者2人。私は彼らのネタを見たことがないにもかかわらず、戦前の予想で最終決戦進出の1組に挙げていた。カッコいい表現をすれば、恐れ知らずの若者の勢いにかけたのであるw

 フタを開けてみれば、まさにいい意味で裏切られた。いわゆるシュッとした見た目でスーツ姿の2人だから、若さに似合わぬ軽妙なしゃべくり漫才を見せてくれると勝手に想像していたのである。

 それが実際はかなりのストロングスタイル。ツッコミ石井の演じる歌のお兄さんに、初めは全くの無知だったボケの新山がのめり込んでいく。ヘッドバンキングに始まり舞台を使った大きな動きボケ。中だるみしそうかなと思ったタイミングで石井の歌唱に「桑田佳祐?」とささやくボケをはさむのは良かった。そして最後は坂本九の歌唱といずみたくの詞で知られる名曲「幸せなら手を叩たたこう」に乗せて再び新山がヘッドバンキングという、構成のひねりも感じられて気持ちのいいネタであった。

 私は個人的採点でこれまで最高の93点をつけたが、審査員の合計得点は628点にとどまる。さっきのマヂカルラブリーとは逆に、辛めの審査かなと思った次第だ。確かにスタイルもネタも粗削りだから、減点しやすいタイプの漫才だという印象だけどね。

 

 続きます。