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R-1ぐらんぷり決勝戦感想その3

◆Cブロック

ブルゾンちえみ

 初のファイナリスト。しかし正月での「おもしろ荘」優勝を機に芸歴2年目のブルゾンの環境は一変した。

 「行列のできる法律相談所」「深イイ話」「しゃべくり007」(いずれも日本系)と立て続けにゴールデン、プライム帯の番組に顔を出し、一躍ブルゾンは時の人となった。これほど短期間でブレイクを果たし、その勢いのまま賞レースの決勝戦に臨んだ芸人を私は寡聞にして知らない。

 今大会のファイナリストの中でもダントツの知名度を誇ったであろうブルゾンは、決勝の本番で、これまで脇を固めてきたWithBなしでの「キャリアウーマン」ネタに挑戦した。準決勝のネタは別の内容だったらしく、このネタチョイスはテレビ局側の意向も働いていたのかもしれない。

 果たして結果は、多くの方がご承知のようにネタ飛ばしをしてしまうという惨状を呼び起こした。ネタの中盤、ブルゾンは口に手をやった状態で「あっ…」と絶句してしまう。この後ブルゾンはホワイトボードに「本能」という字を書くのだが、その手つきが震えているように見えて私は「なんとか無事に終えてくれ」と思ってしまった。

 しかしその後本能の画数について「35画、じゃなくて15画」とつぶやくくだりはきっちりウケていて胸をなでおろした。まあこれもそれまでさんざんブルゾンとwithBが擦ってきた「35億」が、観客の頭に刷り込まれていたからだとも思うが。

【マツモトクラブ】

 3年連続3回目のファイナリストだが、敗者復活ではないストレートの決勝進出は今回が初。雪に悩まされた駅のホームで、大して親しくもない人と線路を挟んで対面してしまうという「かゆいところに手が届く」タイプの1人コントをきっちりこなしてみせた。

 ただふたを開けてみれば、そうした絶妙なシチュエーションを生かした笑いを作り出せたとは言い難いものがあったと思う。主人公が傘を開いた際、内側にたまっていた雪が舞うくだりはうまくて感心させられたが、その後の展開でそれを上回るギャグはついぞ見られなかった、残念だなというのが率直な感想である。

アキラ100%

 初のファイナリスト。いやー、2年前にダウンタウンガキの使いの「山ー1」グランプリで丸腰刑事のネタを見たときは、「いやー面白い、面白いけどR-1の決勝には絶対出られないよな」と思ったのが懐かしい。

 「絶対に見せないde show」という退路を断ったようなショーアップしたネタで、アキラ100%T.M.Revolutionを模倣し首振り扇風機を相手にきっちり股間のお盆を落とさずやり切ってみせた。全く好き嫌いの別れる芸風ではあると思うが、人事を尽くして天命を待つ。そのことわざを地で行くように、アキラ100%はベストを尽くした。

【おいでやす小田】

 2年連続2回目のファイナリスト。昨年はストレート、今年は敗者復活1位としての勢いを得て本選に臨んだのだが。

 今回のネタは恋人とのディナーを舞台に、つい出してしまう比喩の言葉を絶叫しながら打ち消す男性のネタ。展開的には昨年のコンビニ面接を彷彿とさせる内容で、その意味では今回の小田のライバルは昨年の自身のネタだったかもしれない。

 今回のネタ、小田が恋愛相手との理想のやりとりを例の早口でまくしたてるくだりがあるのだが、その部分はお笑いにおける「緊張と緩和」にはなりえてなかったうらみが残る。手を叩くくだりがネタにつながるなどの構成は非常によかっただけに、途中の独白が足を引っ張った感はどうにも否めなかったりする。

 

 個人的な審査はブルゾン0、マツクラ0、アキラ2、小田1。

 100点満点の審査で言えばブルゾン86、マツクラ90、アキラ93、小田91。

 激戦のCブロックを勝ち上がったのはアキラ100%