無料カウンター

M-1グランプリ2016決勝戦感想その3

★ファーストラウンド

スリムクラブ(2大会ぶり2回目)

 旧M-1最後の決勝戦(2010年)でとてつもない爪痕を残した2人がリベンジを果たしに来た。優勝候補の本命と目された彼らだが、冒頭から違和感を覚える。真栄田の「アンダー18歳以下の天狗」という素っ頓狂なボケに内間がキッチリと否定しなかったからだ。あの前回の決勝戦登場時の「あの…間違ってたらすいません…あなた以前…私と…生活してましたね…?」「…してません」というやりとりがいまだに強烈だったからであるが。

 それでも「おばあちゃんが4WD」とか「家族のトーナメント表」とか、やたらズシンと響くボケをかましたのはさすがだと思った。この手のボケは漫画でぜひ表現してほしいと感じた。真栄田は中学時代イケてない芸人で、「線マン」という漫画を描いていた。それを現在プロで活躍する同級生の島袋光年に見せたところ、「商業誌でウケない」と一蹴されたと「アメトーーク!!」で言っていたっけな。

 終盤になると真栄田の誘い笑いが顕著となり、とっちらかっていった印象。素人の私でさえそう思ったのだから、ネタ後の上沼恵美子の一喝ぶりは非常に納得が行った。

 審査員の合計得点は441点。私の採点は90点。

 

ハライチ(4大会連続4回目)

 前回最下位の屈辱を晴らすべく、十八番のノリツッコミを封印してのRPGネタではあったが。「勇者勇者サワベ」のボケは素直に笑えたが、個人的にどうにもそこが笑いのピークで、裏切りなく粛々とネタが進んだ印象。

 前回は岩井が死ぬほど噛み倒したが、今回は「ドロダヌキ」でやや噛んだくらいか。

 審査員の合計得点は446点。私の採点は91点。

 

スーパーマラドーナ(2年連続2回目)

 ミステリー小説と見まがうほど(?)伏線を張りに張ってのネタはとにかく見事だった。エレベーターに閉じ込められた田中と見知らぬ女性。私はリアルタイムで見ていて「ははあ、もう1人閉じ込められている人物がいるな」とまでは読んでいた。

 しかしふたを開ければ「もう1人の人物」が田中というオチ。ここまで読めた人はほかにいたかもしれない。しかし冒頭に掲げていた「田中のキリッとした表情」が輪をかけて秀逸だった。ダメ押しというやつだ。

 最高の笑いどころまで、ためてためて最後にドーン! ピッコロの「魔貫光殺砲」を彷彿とさせる手法には唸らされた次第である。

 審査員の合計得点は459点。私の採点は94点。

 

 続きます。