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「女芸人№1決定戦 THE W」決勝進出者決定!

 大会ホームページによると、決勝進出者は以下の10組。

www.ntv.co.jp

(「THE W」大会サイトから)

はなしょー(ワタナベエンターテイメント)
中村涼子(ワタナベエンターテイメント)
どんぐりパワーズ(ワタナベエンターテイメント)
牧野ステテコ浅井企画
押しだしましょう子(フリー)
まとばゆう(フリー)
ニッチェ(マセキ芸能社)
ゆりやんレトリィバァ(よしもとクリエイティブエージェンシー)
アジアン(よしもとクリエイティブエージェンシー)
紺野ぶるま松竹芸能

(エントリー順)

 

 ちなみに、準決勝進出者が決まった時点で、私が(予選のネタ動画などを全く見ずに無謀にも)予想していた決勝進出10組は以下の通りである。

阿佐ヶ谷姉妹

アジアン

アルミカン

ガンバレルーヤ

3時のヒロイン

とんとん

はなしょー

牧野ステテコ

まとばゆう

ゆりやんレトリィバァ

(五十音順)

 

 全くの当てずっぽうであるにもかかわらず、半分の5組が当たったのはわれながらうれしいwちなみに、とんとんはこの大会のために結成した相席スタート・山崎ケイと横澤夏子のコンビである。

 ファイナリストの顔触れの特徴と言えば、まず吉本勢の少なさであろうか。「THE W」は既に権威のあるM-1やキングオブコント、R-1と同じく吉本主催のお笑いコンテストであるのに、吉本所属はアジアンとゆりやんの2組だけ。何とナベプロ勢の方が3組(はなしょー、中村、どんぐり)と吉本勢を上回っているのだ。

 今夏の「24時間テレビ」のマラソンでのブルゾンちえみ起用など、日テレとナベプロが蜜月関係を保っている現状を差し引いても、異例の選出結果と言えるだろう。またフリーは2組(まとば、押しだしましょう子)がいるが、これは今秋のキングオブコントにゃんこスターゾフィーがファイナリストに選ばれた流れを少し感じる。ちなみににゃんこスターナベプロゾフィーグレープカンパニーとそれぞれ大会後に事務所所属を決めている。

 もう一つの特徴は、有名どころをゴリゴリに落としてきたという点だ。シード権を持つ出場者が参戦する2回戦でも、既にR-1初代王者のだいたひかる、「爆笑オンエアバトル」の強豪で鳴らした田上よしえ、ママタレントで名を馳せるくわばたりえといったメンツがバッサリと落とされてきた。

 ただ決勝に出そろうメンツは、テレビで知名度の高い組をそれなりに固めてくるものと思っていた。上記の個人的なファイナリスト予想で、阿佐ケ谷姉妹やガンバレルーヤ、とんとん、ゆりやんをチョイスしたのはその辺の理由による。相席山崎と横澤の組んだとんとんなど、即席で組んだ時点でファイナリストの席が約束されているものだと邪推してしまっていた。

 しかし、ファイナリストが現実に発表された今となっては、私は己の不明を恥じずにはいられない。何と言っても驚いたのは、牧野ステテコを決勝の舞台に上げたことだ。

 こうもったいぶって書いてはいるが、実は私は牧野ステテコのネタを見たことがない。ただ数年前から「ポールダンスを使って変なネタをする」というカルト芸人的なうわさを聞きつけていたもので、私の中で勝手に彼女の芸に対するハードルがこれ以上ないほどガン上げ状態になっていたのである。

 女性芸人の造詣が深く「THE W」を予選からずっと観戦していた馬鹿よ貴方は・新道のブログによると、1回戦と2回戦を通じて観客のウケ具合がトップだったのは誰あろう牧野だったそうだ。その記事を準決勝前に読んで、私は逆に不安に感じたものだ。「好事魔多し、という。準決勝はダダ滑りするか、ウケても大人の事情的に落とされてしまうのでは…」と牧野の身を案じた。全然知り合いでもないのに。

 準決勝を観戦した方々が、おのおののtwitterでレビューを書いていた。それをつらつら読んでみると牧野のウケは飛び抜けたものではなかったようだが、ふたを開けてみればファイナリストの席へ滑り込んだ。予選でのウケが審査に考慮されたのかもしれない。しかし個人的には、牧野ステテコをゴールデン帯のテレビに送り込んだ時点でこの大会は成功したとすら思っているw

 9月上旬の大会開催の発表、予選開始をして以降は大御所・山田邦子や優勝候補筆頭に目されていた友近の大会批判が続くなど踏んだり蹴ったりの状態が続いてきた「THE W」だったが、ガチ感あふれるファイナリスト選出により、一気にお笑いコンテストとして引き締まってきた感がある。

 もちろん肝心の決勝も不安要素がないわけではない。審査員のメンツがどうなるのか、既にアナウンスされている「タレント審査員」や視聴者投票がどう勝負に作用するのかなど心配は尽きないが、決勝の1週間前に開かれる大コンテストたるM-1の余韻をかっさらうつもりで「THE W」のファイナリストや司会のチュートリアル徳井義実ら大会スタッフは、ベストを尽くしていただきたい。期待している。

創価学会(ナイツ)にも共産党(しんぶん赤旗)にも再評価される吉幾三「俺ら東京さ行ぐだ」

 お笑いの漫才やらコントやらの動画を視聴するのが好きな私だが、ちょくちょく何回も見てしまうネタの一つが、2008年M-1グランプリ3位の肩書を持つナイツの「吉幾三」ネタである。M-1の復活年であり、ナイツにとって出場期限のラストイヤーであった(期限を10年から15年に拡大)2015年大会の敗者復活戦でかけた演目だ。

www.youtube.com

 M-1敗者復活戦のときの動画も見られるのだが、翌年に北川景子の配偶者であるDAIGO司会の特番「UWASAのネタ」(日本テレビ系)で披露したときのネタの方が洗練されていると思う。このナイツの「吉幾三」ネタは、単純に言えばツッコミの土屋がただ延々と吉の代表曲「俺(お)ら東京さ行ぐだ」を歌うのをボケであるはずの塙がツッコむというもの。普段のツッコミとボケの役割が逆転した漫才だが、淡々と歌ったり合の手を入れるだけの土屋に熱く人さし指を高く掲げて塙が若干照れくさそうにツッコむ展開はひたすらにシュールで、お笑いファンの間でも「ナイツがこんなネタやるのか…」と賛否両論を巻き起こした。ちなみにM-1敗者復活戦と「UWASAのネタ」とでは、土屋が歌い始めるくだりのフリが違っている。

 またナイツは塙、土屋とも創価大学落語研究会出身というプロフィールから分かるように、ゴリゴリの創価学会員である。そんな2人が「俺ら東京さ行ぐだ」の「婆さんと 爺さんと 数珠を握って空拝む」の一節を歌い、「どんな宗教だよ!」と横からツッコミを入れる姿には、ネタの全体的な内容に輪をかけたシュールさを感じた次第だ。

 

 このナイツの吉幾三ネタにライバル心を燃やしたわけではもちろんないだろうが、創価学会からは「仏敵」などと不倶戴天(ふぐたいてん)の敵とみられている政党・日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日刊紙でも、短くではあるが吉の「俺ら東京さ行ぐだ」を取り上げた記事が掲載された。11月17日付学問・文化欄の新連載企画「昭和歌謡わしづかみ考現学」で取り上げられている。以下のリンクは、恐縮ながら私がtwitterで同記事を紹介したつぶやきである。

  「昭和歌謡ー」はライターの岡崎武志氏とDJの郷原一郎氏が、対談形式でテーマ別に昭和歌謡の隠れた系譜をあぶり出すという企画だ。いわゆる外部筆者による記事で、この内容が共産党の方針を反映したものではもちろんないのだが、機関紙「しんぶん赤旗」でこうした連載をやること自体かなり異例であることは頭に置いていただければ幸いである。

 この栄えある連載第1回は「上京・望郷・帰郷歌謡」がテーマだ。「俺ら東京さ行ぐだ」は井沢八郎ああ上野駅」、太田裕美木綿のハンカチーフ」、石川さゆり津軽海峡・冬景色」といった並み居る名曲とともにジャケット写真付きで紹介されている。

 岡崎氏は1984年に発表された吉のこの代表作を「望郷(歌謡)ではなくなる」と論じている。それまでの上京歌謡は望郷への思いがセットで歌われていたとしており、「俺ら東京さ行ぐだ」はエポックメーキング的な作品であったと分析している。

 郷原氏は当時「田舎をバカにしているのか」と批判を呼んだ歌詞について発表前年に 社会現象となったNHK朝ドラ「おしん」の影響もあるのではとみつつ、その詞には時代を先取りした積極性があるかのように評価している。

郷原 銭をためて東京で牛を飼う、銀座に山を買う、と歌っていて、当時は荒唐無稽に聞こえましたが、今、都会で廃棄される有用な資源を都市鉱山と呼んで活用するリサイクルビジネスもありますし、先日は東京・大手町のビルに牧場ができたというニュースを見ました。三十数年後の現在では東北出身者の立身出世歌謡に変貌しているとも言えます」

 まあ吉幾三がそうした未来を予見してこの歌を作詞作曲したわけではもちろんないだろうが(もともと作詞も作曲も手がけるシンガー・ソングライターな演歌歌手は希有な存在だが)、世紀をまたいでのこうしたニュースと関連付けされて語られるところに、「俺ら東京さ行ぐだ」という曲のエネルギーの強さを感じると言うのは、いささか強引に過ぎるであろうか。

 

 さて締めくくりというのも何だが、ここで吉幾三本人の「俺ら東京さ行ぐだ」の熱唱を収めた動画を紹介しよう。何本か見られるが、私が薦めたいのは以下の動画である。「夜のヒットデラックス」(フジテレビ系)のもので、彼の故郷青森県金木町(現・五所川原市)の住民の方々が応援に駆けつけたものだ。

www.youtube.com

 動画を見ていただければ一目瞭然と思うが、とにかくエネルギーに満ちた映像である。テレビカメラの前でやや緊張した、しかし勢いのある金木町の人々の拍手を背に、まるで光GENJIを先取りしたかのアイドル的な衣装でw高らかに歌い上げる吉の雄姿には、私まで勇気をもらった気になってしまう。

 私が「俺ら東京さ行ぐだ」を初めて聴いたのは小学時代の「ザ・ベストテン」(TBS系)。子どもだった私は歌詞と歌い方がおかしくて笑い転げてしまったが、当時中学生の姉は「こいつは田舎をバカにしている!」と憤慨していたのを思い出す。

 曲を作って歌う当事者の吉のもとには、このようなバッシングは何千何万と届いたことだろう。しかし今日、この曲がまっとうに評価されたことは約10年前に「日本語ラップの先駆者」としてネット界隈で関連画像が多数作成されたことをはじめ、創価学会員のナイツが漫才のネタに採用し、さらに創価学会とは政治的立場の極北にある共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の記事で好意的に取り上げられたことでも明らかであろう。

 発表から33年。格差と貧困が拡大し、TPPなど農村切り捨て政策が容赦なく進められている今日の日本でこそ、吉幾三の心の叫びが投影された「俺ら東京さ行ぐだ」がさらなる再評価を得てほしいと切に願っている。

 うむ、すげえ硬い終わり方だw

「しゃべくり007」ゲストにマツコ・デラックス(日本系、11月6日放送分)

 もはや説明不要のテレビモンスターであるマツコ・デラックスが、自身の冠番組以外で2日続けてテレビバラエティー番組へのゲスト出演を果たした。どちらも日本テレビ系で5日の「行列のできる法律相談所」、そしてこの記事で取り上げる「しゃべくり007」であった。

 しゃべくりメンバーのくりぃむしちゅーは所属事務所(ナチュラルエイト)の先輩後輩ということもあって、以前からちょくちょくゲスト出演していたマツコだが、今回、同番組に出演するのは5年ぶりだったという。この間、「マツコの知らない世界」(TBS系)や「夜の巷を徘徊する」(朝日系)、「マツコ会議」(日本系)と言った冠番組を次々に立ち上げてきたマツコ。「しゃべくり007」はちょくちょく見る程度だが、普段の番宣ゲストとは違うオーラが漂っているようにすら、5年ぶり出演の彼のたたずまいから感じたと書くと、大げさであろうか。

 1時間で2組登場がデフォルトである「しゃべくり」だが、今回のは満を持したようにオールマツコの1時間。老後を心配するマツコに、先輩たるくりぃむしちゅー上田晋也有田哲平がなだめるように「マツコの家をくりぃむの家ではさむようにして住居を構え、渡り廊下を設けて交流する」という提案をするなど、普段の回では見られないしゃべくりメンバー、そしてマツコの横顔を見られた気がした。

 

 マツコのトークで一番印象に残ったのは、既にネットニュースにも取り上げられたが、2001年の元日に美容師の恋人と大げんかして別れた話である。

 けんかした彼の自宅を飛び出したら既に朝になっており、2001年の正月を喜び合う家族の声がそこかしこから聞こえる。一気につらい気持ちになったマツコはタクシーを呼び止め自宅へ戻るのだが、車中でつい嗚咽を漏らしたという。

 そこへタクシー運転手は助け船を出した。放送でのマツコの言葉は覚えていないのだが、運転手は「イヤだねえ。年が変わったからってみんなはしゃいじゃって」などと、運転中ずっとマツコを慰めてくれたという。マツコはいっそう号泣しながら乗車賃を払って帰宅し、それから3日間は中島みゆきの「タクシードライバー」を聴いた…とのことだった。

 正直告白すると、見ていた私もこのエピソードにもらい泣きした。マツコとタクシー運転手のエピソードと言えば、今はなき「マツコ有吉の怒り新党」(朝日系)でも別の話を披露したことがある。

 マツコはタクシー運転手と口論してしまう。「ここで降りる!」とたんかを切るのだが、持ち合わせが万札しかなく、運転手もおつりがなかった。「待ってろ!」と運転手はコンビニへ駆け込み万札を崩すのだが、その際の運転手の、店員にペコペコ頭を下げながら両替を頼む姿を見て、マツコは怒りを発した自分を反省する。運転手の方も戻ってきて「さっきはごめんな」とおわびし、大団円…という話だ。

 もちろんすべて本当の話ではなく、テレビ用に盛ってはいるのだろうが、こういう落語の一場面のような市井の人々との人情味あるやりとりをいくつも持っているのが、マツコ・デラックスが長年テレビで活躍できているゆえんではないかと思っている。どれだけ売れても、驕(おご)ることなく、庶民としての感覚を維持して振る舞う。これができる限り、常に本人は将来への不安を抱えているが、マツコがテレビから消えることはないだろう…と感じた「しゃべくり」ゲスト出演であった。

 

 ただし、若干の不安を覚えてもいる。特に番宣があるわけでないのに、「行列」「しゃべくり」と立て続けにマツコが出演した件だ。「行列」ではミッツ・マングローブはじめ20年来の付き合いであるオネエタレントとともに番組をジャックし、イキイキとクロストークを展開していた。そして「しゃべくり」では、ゆるキャラで唯一好きだと言い、「先生」と呼び慕う「そらジロー」と共演。しゃべくりメンバーとの「ぶつかり稽古」の流れで2回もそらジローを投げ飛ばし倒す暴挙までやってくれた。

 全く根拠はないのだが、普段のストレスを解消するかのようにゲストでしゃべったり暴れたりするマツコを見ていて「ひょっとしてもうすぐ引退するんじゃ…」などと私は考えてしまった。もちろん邪推でしかないし、そうなら所属事務所社長やくりぃむ、各テレビ局のお偉いさんが全力で引き留めるだろうけどね。

 それくらい立て続けのマツコのゲスト出演には違和感を覚えた。まあ俺にこんな心配をされるくらいマツコは多忙ってことで、何とぞ無理はしないでほしいとこちらは願うばかりである。

KOC準優勝にゃんこスター初MC!

 キングオブコント2017に彗星の如く現れ準優勝、その翌日にフリーから老舗ワタナベエンターテインメントへの所属の発表。日を置かずしてスーパー3助とアンゴラ村長の交際まで発覚と、結成わずか5カ月の男女コンビ・にゃんこスターは10月になってから毎日のように話題を提供し続けている。

 そんな彼と彼女にまたもや吉報が舞い込んできた。初のMC番組に挑戦!とのことである。若手芸人にとってバラエティーの関門である「ひな壇」の経験も十分ない状態で、司会に起用されるなど寡聞にして知らない。

headlines.yahoo.co.jp

(お笑いナタリー10月18日付記事)

 気になる放送局だが、地上波ではない。BS日テレの2時間番組である。

 番組名は「栄光のスターをたずねて三千里」。なるほど、冠番組らしく「スター」の字がかかったタイトルなわけね。

 気になる共演者は城みちる大場久美子伊藤咲子ビッグダディこと林下清志、はなわ島田洋八ビートきよし。うーむ…w弱冠23歳のアンゴラ村長は、はなわビッグダディ以外の面々をテレビで見たこともないかもしれない(失礼)。

 しかしなかなか綿密に練られたキャスティングだと思う。たぶんMCのにゃんこより先にほかの出演者をオファーしたとは思うが(キングオブコント以前に企画した番組だろうし)、着目したのは城みちる伊藤咲子の共演だ。

 何と言ってもこの2人、アイドル時代に交際していたことで有名。何の因果か現在は2人とも同じ事務所に所属しているが(ちなみに大場久美子も同じ事務所)、この昔話を絶対にゃんこの2人に引っかけたネタがスタジオで展開されるであろう。

 城と伊藤の昔話に花を咲かせた後、芸人でにゃんこの年の近い先輩であるはなわが「そう言えばおまえら付き合っているよな」とネタを振る。「そうなんですよ~」と照れながら頭を下げる3助。そして城に「城さん、コンビしながら交際を続ける秘訣ないですかね?」とアドバイスを求めるも、城が「いや、俺たち別れたから参考にならないって!」と落とす。和やかな笑いに包まれるスタジオ…そんなほほ笑ましい光景が、今から目に浮かぶようではないか。

 絶対に番組ではこういうやりとりが行われると思う。このカシオミニを賭けてもいいby漆原教授。

 しかし私は、この初MCという大舞台でアンゴラ村長がどんな回しっぷりを見せるのか全く想像がつかない。この間、にゃんこスターの出演したバラエティーを見られず、村長の立ち居振る舞いを見ていないからというのもあるが、粛々と台本通りの進行をこなすのか、芸人らしく例のダンスなどを織り交ぜて笑いを取るのか。ただ考えれば考えるほど、答えは前者しかないような気がしてきたw

 何はともあれ、ブレイク1カ月で大役を仰せつかったにゃんこスターの初MC番組から、おいそれと目が離せそうにはない。

衝撃スクープ!喜劇人協会会長・小松政夫は「しんぶん赤旗」日曜版読者だった!(10月15日号)

 日本共産党の機関紙で週1回発行の「しんぶん赤旗」日曜版に、芸人界のレジェンド小松政夫さんが登場してくれました。御年75歳、「しらけ鳥」「知らない知らない」「ながーい目で」「淀川長治さんのものまね」など今でいうネプチューン堀内健もかくやと言うほど数々のヒットギャグを送り出し、現在は喜劇人協会の会長でもあらせられます。

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(「しんぶん赤旗」日曜版10月15日号から)

 出演したコーナーは「この人に聞きたい」。1回限りのインタビュー記事ではなく、3~4回に分けての連載であるのがこのコーナーの特徴でしょうか。ということは、小松の親分のファンの皆さんは、これから1カ月間(4号分)は「しんぶん赤旗」日曜版を買って読む、いや購読された方がいいことになりますねw

 記念すべき第1回は、小松の親分が自動車のセールスマンからクレージーキャッツの大スター・植木等(故人)の付き人になり芸人として独り立ちをするまでが語られています。独り立ちのエピソードは、ちょうどと言うか何と言うか、つい昨日放送した親分原案のドラマ「植木等とのぼせもん」(NHKテレビ)で再現されていましたね。

 「おやじ」と呼び慕う植木(演・山本耕史)を彼の自宅に送り届ける運転手を務めていた政夫(演・志尊淳)。成長を認められ、後部座席から師匠から独立を言い渡された政夫が停車して号泣するシーンは、私もリアルタイムで視聴していて泣きましたよ。

 「この人に聞きたい」第1回では、親分の付き人時代を主に振り返っています。1週間に10時間しか眠れない時期もあり、「電通でもないのにね」と時事的な笑いをまぜて振り返る親分。もう少しインタビュー時期が後なら、NHKでもないのにね」と言ったかもしれませんwさすがに原案ドラマを放送している関係ですからないでしょうけど。

 芸能界に入る前は当時で月収10万円の優秀なセールスマンだった親分。「植木さんとの出会いがなければ、私は芸能人になっていなかったかもしれません」と述べ、ドラマ「植木等とのぼせもん」や最新の著書『昭和と師弟愛』(KADOKAWA)では、師弟関係の大切さを伝えたかったとしています。

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(「しんぶん赤旗」日曜版10月15日号から)

 さて「しんぶん赤旗」と言えば、冒頭で書いたように日本共産党の機関紙であります。小松の親分、芸人らしいサービストークで「しんぶん赤旗」限定と言ってよいカミングアウトトークを展開してくれました。

 ドラマ「植木等とのぼせもん」では伊東四朗が演じている植木等父親・徹誠(てつじょう)さん。僧侶であり、息子に「等」という名前を付けるほど平等な世の中を志した人物でした。戦時中は投獄の憂き目に遭うも、戦後は日本共産党に入党した超人であります。

 そんな徹誠さんとの縁で、小松の親分は選挙では共産党の候補に投票していたと「この人に聞きたい」で語っています。この告白だけでもすごいですが、私は「植木等さんへの恩義を思えば、まあ分からないでもないな。義理で投票先を決めるのなんて珍しくないし…」と比較的冷静に物事を受け止めていました。

 しかし「この人に聞きたい」第1回の最終盤で、インタビュアー(金子徹記者)の問いかけにより衝撃の事実が発覚するのでした。いやまあ、おったまげましたよ僕はw

〈日曜版の長年の読者です〉

 「スクープ! 小松の親分は『しんぶん赤旗』日曜版を長年購読していた!!」

 もう個人的にはyahoo!ニュースのトップを飾ってもなんらおかしくない話なんですがwいやあ度肝を抜かれましたよ。「しんぶん赤旗」のインタビューに応えてくれる芸能人は少なくないですが、読者にまでなってくれる芸能人、またその事実を公言する芸能人となるとメッチャ少ないですからね。奥様には相談せずに購読を決めたそうなので、「間違って入ってるわよ」と言われたと親分は笑っています。

 私も25年にわたり「しんぶん赤旗」を購読してきた人間ですが、芸能人で読者を公言した人となると故・中村梅之助さんくらいしか記憶にありません。ちなみに梅之助さんは本名で赤旗の懸賞ハガキに応募したことがあったらしいですw

 しかし小松の親分の衝撃のカミングアウトには、勇気づけられました。時はまさしく、衆院解散を受けての総選挙(10月22日投開票)の真っただ中。国政選挙というデリケートこの上ない時期に、喜劇人協会会長の肩書を持つにかかわらず、公党の機関紙の読者をカミングアウトしてくれたということは、少なからず徹誠さんの後輩たる日本共産党の人々への親分なりのメッセージが込められていると私は解釈しています。

 森友・加計疑惑の追及から逃れつつ、安倍晋三首相の悲願である改憲に手をつけようとする自公政権を問う今回の総選挙。選挙戦は後半戦に突入し、投票日まであと1週間に迫る正念場となりましたが、個人的には小松の親分の粋なカミングアウトに全力で答え、天国の植木等さんと徹誠さんがニッコリとほほ笑んでくれるような選挙結果をかちとろうと決意した次第であります。

 せんえつではありますが、拙ブログを読んでいただいている皆さんにも、比例代表選挙では植木徹誠さんが所属した日本共産党への支持をお願いしたい。何とぞ、切によろしくお願いします。

「LIFE!」(NHKテレビ10月9日放送分)

【FWAT】

 まあぶっちゃけると、コントタイトルのネタバレまでが肝なコント。人質救出という極限状況にかかわらず、「~かもしれない」「その辺は自由に」といった曖昧な言動をする隊員たちに、たまらずシソンヌ長谷川がツッコむ。

 ただし2014年キングオブコントチャンピオンと言えど、シソンヌはコントによってはボケとツッコミがハッキリしないコンビ。いくぶん今回の長谷川のツッコミには遠慮があったかなと思わせるものがあった。まあ長澤まさみの影絵とか、何の脈絡もなくおばさんが出てくるラストとか、いい感じに脚本が投げっ放しだったのはツボに来たけどw

【悲しみの丘】

 今や日本で最も人気のある若手俳優の1人、菅田正暉が若きオットセイを演じるシリーズ2作目。いいしょっぱなからメスオットセイの踏み絵を踏むことを先輩オットセイ(内村、田中直樹ムロツヨシ)に強いられるハードな場面からコントが始まり、おらあてっきり小池百合子の「希望の党」のパロディーかと思ったぜw収録時期的に違うと思うんだが。(それにしても小池が雰囲気たっぷりに「希望の党」の結成発表をしたのもつい2週間ちょっと前なんだよな…だいぶ昔に思える)

 物語はいかにも専制君主の暴君ふうのオットセイ(塚地武雅)が登場して大きく動く。もめごとを避けてやりすごしたい内村たち「悲しみの丘」のオットセイだったが、先輩たちになじもうと改心した菅田オットセイのおかげで窮地に。菅田オットセイは状況を煽るだけ煽って(何か内村を陥れようとしているかと思った)、最後は内村と田中のアイコンタクトによりスライダーで滑らされる(おそらく滑らされたのは別人だろうが)オチを迎える。

 こういった何の救いもないオチを見させられるにあたって、私は塚地→小池百合子、内村→前原誠司、菅田→枝野幸男というふうに「希望の党」と立憲民主党に分かれる政界のゴタゴタを感じ取った次第だ。出てくるのはオットセイしかいないんだけどもw

【ナツキと歌舞伎】

 レギュラー放送時代の「梅雨入り坊や」以来の、市川猿之助出演。修学旅行の中学生たちに、歌舞伎役者夏木京介(内村)が考案したニュー歌舞伎「夏伎」を教えようとするが…。

 本格的な歌舞伎セットを用意しての、猿之助の芝居が光る。初めは中学生としてたどたどしく演技をしていたが、たたらを踏んでダン!ダン!と床板を踏み鳴らした演技には内村演じる夏木もビクッ!となっていたのが面白かったw

 市川家と浅からぬ因縁のあった夏木だったが、猿之助の厚意により恩讐を超えて2人して「宙乗り」の荒業をこなしてみせた。ムロ演じる引率教師いわく「歌舞伎の見学で5万円、実演でさらに3万円」とこちらも「希望の党」のようにぼられていたようだが、最後に猿之助の実演でもとが取れたとはいえないだろうか。

 猿之助本人は「ONE PIECE」歌舞伎でのトラブルで骨折の憂き目に遭った。ぜひともけがから回復して、「ナツキと歌舞伎」で見せてくれた怪演を本業で再現してほしいものである。

【ムロ待ち】

 今回NHKの建物内を舞台に出てくるのはムロ本人と黄金原さん(シソンヌじろう)の2人だけ。冒頭、黄金原さんはムロのほかに夢中になる男性を見つけてしまったと懊悩(おうのう)する。いったん安堵するムロ…であったが、しかしその相手は自身の演じるムローノ・マーズだった。

 北条司の傑作漫画…というか、「LIFE!」の名作コントの元ネタになった「キャッツアイ」を思い出したぜ。瞳の恋人・俊夫がキャッツの変装に翻弄(ほんろう)されるストーリーを容易に想像できましたわw

【長寿の家系】

 長澤まさみが再登場。110歳の高祖父(内村)が夫婦ともに健在という長寿一族に、嫁入りを願い出るが…?

 とにかくこのコントは高祖父で110歳役の内村、嫁の長澤を迎え入れる後継ぎ役の中村倫也、そして内村の妻を演じた池谷のぶえの演技に尽きる。長澤の高祖父を名乗る男(塚地)を看破し、内村は真相を追及する。その過程で大正三大美人と名高き柳原白蓮の名を挙げるあたり、名作朝ドラ「花子とアン」を手がけたNHKへの配慮を感じずにはいられなかったw

 高祖父の鋭い追及にしどろもどろになってしまう中村、むしろ追及はこれからだといわんばかりに声色を変えて夫の内村を追い込む池谷のぶえの怪演には目を見張るものがあった。池谷も中村も、今後新作を出すにあたって「ぜひ」と思わせる演技力があったと思う。

 中村はぬるっとした二枚目半の風貌(われながら失礼な表現)で、星野源の後釜として。池谷はその憑依(ひょうい)ともいうべき卓抜した演技力でコントを引き締める役割として、不定期放送で模索中の「LIFE!」をもり立てる取り組みに入ってきてほしいと願う次第である。

(10月13日、一部修正と加筆しました)

キングオブコント2017決勝戦の感想その6

◆ファイナルステージ

さらば青春の光

 これまで何回もテレビ番組で披露したことのあるパワースポットのコント。そういうハンディをものともせず、終わってみれば審査員席のバナナマン設楽から「このネタ欲しい、買いたい」と最大級の賛辞を送られた。

 確かに面白い。警備員の森田と観光客の東ブクロのゆったりしたテンポで、しかしながら確実に笑いを稼ぐ「パワースポットですよね!?」「そうですねー」のやりとりが見せてくれる。

 東ブクロに身の上話をするうちに自身の不幸な半生を痛感し、触れてはいけないはずの岩に寄りかかって泣き崩れる森田警備員。そのハイテンションな泣き芸は大御所の志村けんを彷彿(ほうふつ)とさせる…とは言いすぎか。今回の森田のように、キングオブコント決勝で号泣のシーンを見せる作品をやった組は今までなかった記憶なのだが、どうか。4分の持ち時間では、号泣のシーンは笑いを取るのにリスク高そうだもんな。

 オチは過去のテレビで披露したのとは改変してきた。ただオチへのためをつくりすぎて結末は予想できた。そのオチも少し首をひねる出来かな。高名な舞台監督が主宰する劇場の警備員なら、少なくともパワースポットの警備よりは待遇良さそうだし。森田いわくパワースポットの警備は1日8時間勤務で日当6300円とのことで、これは最低賃金を下回る報酬である。

 審査員の合計得点は467点。1stとの合計は922点で暫定トップ。

 個人的な採点は90点。

 

かまいたち

 試着したウエットスーツがきつくて脱げず、客と店員が四苦八苦するシンプルなコント。客役の山内のツッコミワードと演技力がさえる。脱ぐ途中のポーズがスパイダーマンみたいだと自嘲気味に笑う山内、つられて笑う店員の濱家…そこへ「おまえは笑うなよ!」と山内の怒りツッコミが炸裂する。このへんギャグ漫画ぽくて笑えるわ。

 1本目同様、このコントもちょっとした2部構成といえる。脱げなくて四苦八苦している様子を1部とすれば、首の部分が脱げて山内いわく「めどが立った」状態になってからが2部だ。ここからは濱家が暴走。長身のリーチを生かしてしゃちほこ状態の山内を痛めつける。ひざの皿を気にする山内の冷静なツッコミが笑いに加速を与える。

 しかしここまでシンプルな内容だと、もっと濱家には暴れてほしかったところだ。ドリフの借金取りのコントみたいに、ウエットスーツを脱がせるのとは無関係に山内をぶん投げるとか、さらなるドタバタを期待してしまった。

 審査員の合計得点は、今大会最高となる478点。1stとの合計は942点で、暫定1位に躍り出た。

 個人的な採点は91点。

 

にゃんこスター

 そして大会は大詰め、台風の目と化したにゃんこスターがフリー(大会翌日にワタナベエンターテインメントに加入)として初のコントキングとなるか注目された。

 ネタはフラフープ。縄跳びと同様の口上を絶叫するスーパー3助の姿に会場は沸き返る。これって冷静に考えたらスゴい話だな。

 ネタの構成、展開は縄跳びとほぼ同じ。アンゴラ村長のリズムフラフープは、自身がインストラクター資格を持つ縄跳びと比べるとキレが落ちる。選曲もやはり大塚愛の「さくらんぼ」でそろえてほしかったところだ。

 とはいえ「フラフープの神様」と呼ばれるでかい置物が出てきて、しまいには両手を出して踊りだす一連の流れはほほえましさも手伝って笑ってしまった。手と一緒に両足も出る仕掛けにすればよかったのにとも思ったけど。

 審査員の合計得点は462点。1stから若干得点を落とし、2作品の合計は928点。この瞬間、かまいたちの初優勝が決まった。

 個人的な採点は88点。ただテレビの審査員5人は全員90点台をつけていた。ほぼ構成が同じで、時間をさほど置かずに見たネタでも笑いが取れていたという点が評価されて、そうした採点になったのかもと思ったり思わなかったりする。

 

 終わってみれば超ド級のダークホース・にゃんこスターが優勝戦線を存分に引っかき回し、実力派のかまいたちさらば青春の光ジャングルポケットが地力を見せつけたなど収穫の多い大会であった。視聴率は9.7%にとどまったが、大会後の反響の大きさは近年にないレベルであろう。

 ジャンポケの太田は、優勝を逃したあまりの悔しさに打ち上げ会場でじんましんを発症し、病院へ直行したと伝えられている。そうした話を聞くにつけ、伊集院光のコメントではないが、彗星の如く現れたにゃんこスターの活躍が、お笑いの新しい局面を否応なく切り開く「地殻変動」が起きていることを感じてしまう。

 今年も残り3カ月弱。年末年始に向け、しばらくテレビ界隈はにゃんこスターの快進撃が続くであろうが、来年の大会を見据えて既に芸人たちはコントの腕を磨いているであろう。鬼が笑うどころの話ではないが、今から来年のキングオブコント2018が楽しみな私である。