無料カウンター

KOC準優勝にゃんこスター初MC!

 キングオブコント2017に彗星の如く現れ準優勝、その翌日にフリーから老舗ワタナベエンターテインメントへの所属の発表。日を置かずしてスーパー3助とアンゴラ村長の交際まで発覚と、結成わずか5カ月の男女コンビ・にゃんこスターは10月になってから毎日のように話題を提供し続けている。

 そんな彼と彼女にまたもや吉報が舞い込んできた。初のMC番組に挑戦!とのことである。若手芸人にとってバラエティーの関門である「ひな壇」の経験も十分ない状態で、司会に起用されるなど寡聞にして知らない。

headlines.yahoo.co.jp

(お笑いナタリー10月18日付記事)

 気になる放送局だが、地上波ではない。BS日テレの2時間番組である。

 番組名は「栄光のスターをたずねて三千里」。なるほど、冠番組らしく「スター」の字がかかったタイトルなわけね。

 気になる共演者は城みちる大場久美子伊藤咲子ビッグダディこと林下清志、はなわ島田洋八ビートきよし。うーむ…w弱冠23歳のアンゴラ村長は、はなわビッグダディ以外の面々をテレビで見たこともないかもしれない(失礼)。

 しかしなかなか綿密に練られたキャスティングだと思う。たぶんMCのにゃんこより先にほかの出演者をオファーしたとは思うが(キングオブコント以前に企画した番組だろうし)、着目したのは城みちる伊藤咲子の共演だ。

 何と言ってもこの2人、アイドル時代に交際していたことで有名。何の因果か現在は2人とも同じ事務所に所属しているが(ちなみに大場久美子も同じ事務所)、この昔話を絶対にゃんこの2人に引っかけたネタがスタジオで展開されるであろう。

 城と伊藤の昔話に花を咲かせた後、芸人でにゃんこの年の近い先輩であるはなわが「そう言えばおまえら付き合っているよな」とネタを振る。「そうなんですよ~」と照れながら頭を下げる3助。そして城に「城さん、コンビしながら交際を続ける秘訣ないですかね?」とアドバイスを求めるも、城が「いや、俺たち別れたから参考にならないって!」と落とす。和やかな笑いに包まれるスタジオ…そんなほほ笑ましい光景が、今から目に浮かぶようではないか。

 絶対に番組ではこういうやりとりが行われると思う。このカシオミニを賭けてもいいby漆原教授。

 しかし私は、この初MCという大舞台でアンゴラ村長がどんな回しっぷりを見せるのか全く想像がつかない。この間、にゃんこスターの出演したバラエティーを見られず、村長の立ち居振る舞いを見ていないからというのもあるが、粛々と台本通りの進行をこなすのか、芸人らしく例のダンスなどを織り交ぜて笑いを取るのか。ただ考えれば考えるほど、答えは前者しかないような気がしてきたw

 何はともあれ、ブレイク1カ月で大役を仰せつかったにゃんこスターの初MC番組から、おいそれと目が離せそうにはない。

衝撃スクープ!喜劇人協会会長・小松政夫は「しんぶん赤旗」日曜版読者だった!(10月15日号)

 日本共産党の機関紙で週1回発行の「しんぶん赤旗」日曜版に、芸人界のレジェンド小松政夫さんが登場してくれました。御年75歳、「しらけ鳥」「知らない知らない」「ながーい目で」「淀川長治さんのものまね」など今でいうネプチューン堀内健もかくやと言うほど数々のヒットギャグを送り出し、現在は喜劇人協会の会長でもあらせられます。

f:id:masa10ishi96sham69:20171015020114j:plain

(「しんぶん赤旗」日曜版10月15日号から)

 出演したコーナーは「この人に聞きたい」。1回限りのインタビュー記事ではなく、3~4回に分けての連載であるのがこのコーナーの特徴でしょうか。ということは、小松の親分のファンの皆さんは、これから1カ月間(4号分)は「しんぶん赤旗」日曜版を買って読む、いや購読された方がいいことになりますねw

 記念すべき第1回は、小松の親分が自動車のセールスマンからクレージーキャッツの大スター・植木等(故人)の付き人になり芸人として独り立ちをするまでが語られています。独り立ちのエピソードは、ちょうどと言うか何と言うか、つい昨日放送した親分原案のドラマ「植木等とのぼせもん」(NHKテレビ)で再現されていましたね。

 「おやじ」と呼び慕う植木(演・山本耕史)を彼の自宅に送り届ける運転手を務めていた政夫(演・志尊淳)。成長を認められ、後部座席から師匠から独立を言い渡された政夫が停車して号泣するシーンは、私もリアルタイムで視聴していて泣きましたよ。

 「この人に聞きたい」第1回では、親分の付き人時代を主に振り返っています。1週間に10時間しか眠れない時期もあり、「電通でもないのにね」と時事的な笑いをまぜて振り返る親分。もう少しインタビュー時期が後なら、NHKでもないのにね」と言ったかもしれませんwさすがに原案ドラマを放送している関係ですからないでしょうけど。

 芸能界に入る前は当時で月収10万円の優秀なセールスマンだった親分。「植木さんとの出会いがなければ、私は芸能人になっていなかったかもしれません」と述べ、ドラマ「植木等とのぼせもん」や最新の著書『昭和と師弟愛』(KADOKAWA)では、師弟関係の大切さを伝えたかったとしています。

f:id:masa10ishi96sham69:20171015020152j:plain

(「しんぶん赤旗」日曜版10月15日号から)

 さて「しんぶん赤旗」と言えば、冒頭で書いたように日本共産党の機関紙であります。小松の親分、芸人らしいサービストークで「しんぶん赤旗」限定と言ってよいカミングアウトトークを展開してくれました。

 ドラマ「植木等とのぼせもん」では伊東四朗が演じている植木等父親・徹誠(てつじょう)さん。僧侶であり、息子に「等」という名前を付けるほど平等な世の中を志した人物でした。戦時中は投獄の憂き目に遭うも、戦後は日本共産党に入党した超人であります。

 そんな徹誠さんとの縁で、小松の親分は選挙では共産党の候補に投票していたと「この人に聞きたい」で語っています。この告白だけでもすごいですが、私は「植木等さんへの恩義を思えば、まあ分からないでもないな。義理で投票先を決めるのなんて珍しくないし…」と比較的冷静に物事を受け止めていました。

 しかし「この人に聞きたい」第1回の最終盤で、インタビュアー(金子徹記者)の問いかけにより衝撃の事実が発覚するのでした。いやまあ、おったまげましたよ僕はw

〈日曜版の長年の読者です〉

 「スクープ! 小松の親分は『しんぶん赤旗』日曜版を長年購読していた!!」

 もう個人的にはyahoo!ニュースのトップを飾ってもなんらおかしくない話なんですがwいやあ度肝を抜かれましたよ。「しんぶん赤旗」のインタビューに応えてくれる芸能人は少なくないですが、読者にまでなってくれる芸能人、またその事実を公言する芸能人となるとメッチャ少ないですからね。奥様には相談せずに購読を決めたそうなので、「間違って入ってるわよ」と言われたと親分は笑っています。

 私も25年にわたり「しんぶん赤旗」を購読してきた人間ですが、芸能人で読者を公言した人となると故・中村梅之助さんくらいしか記憶にありません。ちなみに梅之助さんは本名で赤旗の懸賞ハガキに応募したことがあったらしいですw

 しかし小松の親分の衝撃のカミングアウトには、勇気づけられました。時はまさしく、衆院解散を受けての総選挙(10月22日投開票)の真っただ中。国政選挙というデリケートこの上ない時期に、喜劇人協会会長の肩書を持つにかかわらず、公党の機関紙の読者をカミングアウトしてくれたということは、少なからず徹誠さんの後輩たる日本共産党の人々への親分なりのメッセージが込められていると私は解釈しています。

 森友・加計疑惑の追及から逃れつつ、安倍晋三首相の悲願である改憲に手をつけようとする自公政権を問う今回の総選挙。選挙戦は後半戦に突入し、投票日まであと1週間に迫る正念場となりましたが、個人的には小松の親分の粋なカミングアウトに全力で答え、天国の植木等さんと徹誠さんがニッコリとほほ笑んでくれるような選挙結果をかちとろうと決意した次第であります。

 せんえつではありますが、拙ブログを読んでいただいている皆さんにも、比例代表選挙では植木徹誠さんが所属した日本共産党への支持をお願いしたい。何とぞ、切によろしくお願いします。

「LIFE!」(NHKテレビ10月9日放送分)

【FWAT】

 まあぶっちゃけると、コントタイトルのネタバレまでが肝なコント。人質救出という極限状況にかかわらず、「~かもしれない」「その辺は自由に」といった曖昧な言動をする隊員たちに、たまらずシソンヌ長谷川がツッコむ。

 ただし2014年キングオブコントチャンピオンと言えど、シソンヌはコントによってはボケとツッコミがハッキリしないコンビ。いくぶん今回の長谷川のツッコミには遠慮があったかなと思わせるものがあった。まあ長澤まさみの影絵とか、何の脈絡もなくおばさんが出てくるラストとか、いい感じに脚本が投げっ放しだったのはツボに来たけどw

【悲しみの丘】

 今や日本で最も人気のある若手俳優の1人、菅田正暉が若きオットセイを演じるシリーズ2作目。いいしょっぱなからメスオットセイの踏み絵を踏むことを先輩オットセイ(内村、田中直樹ムロツヨシ)に強いられるハードな場面からコントが始まり、おらあてっきり小池百合子の「希望の党」のパロディーかと思ったぜw収録時期的に違うと思うんだが。(それにしても小池が雰囲気たっぷりに「希望の党」の結成発表をしたのもつい2週間ちょっと前なんだよな…だいぶ昔に思える)

 物語はいかにも専制君主の暴君ふうのオットセイ(塚地武雅)が登場して大きく動く。もめごとを避けてやりすごしたい内村たち「悲しみの丘」のオットセイだったが、先輩たちになじもうと改心した菅田オットセイのおかげで窮地に。菅田オットセイは状況を煽るだけ煽って(何か内村を陥れようとしているかと思った)、最後は内村と田中のアイコンタクトによりスライダーで滑らされる(おそらく滑らされたのは別人だろうが)オチを迎える。

 こういった何の救いもないオチを見させられるにあたって、私は塚地→小池百合子、内村→前原誠司、菅田→枝野幸男というふうに「希望の党」と立憲民主党に分かれる政界のゴタゴタを感じ取った次第だ。出てくるのはオットセイしかいないんだけどもw

【ナツキと歌舞伎】

 レギュラー放送時代の「梅雨入り坊や」以来の、市川猿之助出演。修学旅行の中学生たちに、歌舞伎役者夏木京介(内村)が考案したニュー歌舞伎「夏伎」を教えようとするが…。

 本格的な歌舞伎セットを用意しての、猿之助の芝居が光る。初めは中学生としてたどたどしく演技をしていたが、たたらを踏んでダン!ダン!と床板を踏み鳴らした演技には内村演じる夏木もビクッ!となっていたのが面白かったw

 市川家と浅からぬ因縁のあった夏木だったが、猿之助の厚意により恩讐を超えて2人して「宙乗り」の荒業をこなしてみせた。ムロ演じる引率教師いわく「歌舞伎の見学で5万円、実演でさらに3万円」とこちらも「希望の党」のようにぼられていたようだが、最後に猿之助の実演でもとが取れたとはいえないだろうか。

 猿之助本人は「ONE PIECE」歌舞伎でのトラブルで骨折の憂き目に遭った。ぜひともけがから回復して、「ナツキと歌舞伎」で見せてくれた怪演を本業で再現してほしいものである。

【ムロ待ち】

 今回NHKの建物内を舞台に出てくるのはムロ本人と黄金原さん(シソンヌじろう)の2人だけ。冒頭、黄金原さんはムロのほかに夢中になる男性を見つけてしまったと懊悩(おうのう)する。いったん安堵するムロ…であったが、しかしその相手は自身の演じるムローノ・マーズだった。

 北条司の傑作漫画…というか、「LIFE!」の名作コントの元ネタになった「キャッツアイ」を思い出したぜ。瞳の恋人・俊夫がキャッツの変装に翻弄(ほんろう)されるストーリーを容易に想像できましたわw

【長寿の家系】

 長澤まさみが再登場。110歳の高祖父(内村)が夫婦ともに健在という長寿一族に、嫁入りを願い出るが…?

 とにかくこのコントは高祖父で110歳役の内村、嫁の長澤を迎え入れる後継ぎ役の中村倫也、そして内村の妻を演じた池谷のぶえの演技に尽きる。長澤の高祖父を名乗る男(塚地)を看破し、内村は真相を追及する。その過程で大正三大美人と名高き柳原白蓮の名を挙げるあたり、名作朝ドラ「花子とアン」を手がけたNHKへの配慮を感じずにはいられなかったw

 高祖父の鋭い追及にしどろもどろになってしまう中村、むしろ追及はこれからだといわんばかりに声色を変えて夫の内村を追い込む池谷のぶえの怪演には目を見張るものがあった。池谷も中村も、今後新作を出すにあたって「ぜひ」と思わせる演技力があったと思う。

 中村はぬるっとした二枚目半の風貌(われながら失礼な表現)で、星野源の後釜として。池谷はその憑依(ひょうい)ともいうべき卓抜した演技力でコントを引き締める役割として、不定期放送で模索中の「LIFE!」をもり立てる取り組みに入ってきてほしいと願う次第である。

(10月13日、一部修正と加筆しました)

キングオブコント2017決勝戦の感想その6

◆ファイナルステージ

さらば青春の光

 これまで何回もテレビ番組で披露したことのあるパワースポットのコント。そういうハンディをものともせず、終わってみれば審査員席のバナナマン設楽から「このネタ欲しい、買いたい」と最大級の賛辞を送られた。

 確かに面白い。警備員の森田と観光客の東ブクロのゆったりしたテンポで、しかしながら確実に笑いを稼ぐ「パワースポットですよね!?」「そうですねー」のやりとりが見せてくれる。

 東ブクロに身の上話をするうちに自身の不幸な半生を痛感し、触れてはいけないはずの岩に寄りかかって泣き崩れる森田警備員。そのハイテンションな泣き芸は大御所の志村けんを彷彿(ほうふつ)とさせる…とは言いすぎか。今回の森田のように、キングオブコント決勝で号泣のシーンを見せる作品をやった組は今までなかった記憶なのだが、どうか。4分の持ち時間では、号泣のシーンは笑いを取るのにリスク高そうだもんな。

 オチは過去のテレビで披露したのとは改変してきた。ただオチへのためをつくりすぎて結末は予想できた。そのオチも少し首をひねる出来かな。高名な舞台監督が主宰する劇場の警備員なら、少なくともパワースポットの警備よりは待遇良さそうだし。森田いわくパワースポットの警備は1日8時間勤務で日当6300円とのことで、これは最低賃金を下回る報酬である。

 審査員の合計得点は467点。1stとの合計は922点で暫定トップ。

 個人的な採点は90点。

 

かまいたち

 試着したウエットスーツがきつくて脱げず、客と店員が四苦八苦するシンプルなコント。客役の山内のツッコミワードと演技力がさえる。脱ぐ途中のポーズがスパイダーマンみたいだと自嘲気味に笑う山内、つられて笑う店員の濱家…そこへ「おまえは笑うなよ!」と山内の怒りツッコミが炸裂する。このへんギャグ漫画ぽくて笑えるわ。

 1本目同様、このコントもちょっとした2部構成といえる。脱げなくて四苦八苦している様子を1部とすれば、首の部分が脱げて山内いわく「めどが立った」状態になってからが2部だ。ここからは濱家が暴走。長身のリーチを生かしてしゃちほこ状態の山内を痛めつける。ひざの皿を気にする山内の冷静なツッコミが笑いに加速を与える。

 しかしここまでシンプルな内容だと、もっと濱家には暴れてほしかったところだ。ドリフの借金取りのコントみたいに、ウエットスーツを脱がせるのとは無関係に山内をぶん投げるとか、さらなるドタバタを期待してしまった。

 審査員の合計得点は、今大会最高となる478点。1stとの合計は942点で、暫定1位に躍り出た。

 個人的な採点は91点。

 

にゃんこスター

 そして大会は大詰め、台風の目と化したにゃんこスターがフリー(大会翌日にワタナベエンターテインメントに加入)として初のコントキングとなるか注目された。

 ネタはフラフープ。縄跳びと同様の口上を絶叫するスーパー3助の姿に会場は沸き返る。これって冷静に考えたらスゴい話だな。

 ネタの構成、展開は縄跳びとほぼ同じ。アンゴラ村長のリズムフラフープは、自身がインストラクター資格を持つ縄跳びと比べるとキレが落ちる。選曲もやはり大塚愛の「さくらんぼ」でそろえてほしかったところだ。

 とはいえ「フラフープの神様」と呼ばれるでかい置物が出てきて、しまいには両手を出して踊りだす一連の流れはほほえましさも手伝って笑ってしまった。手と一緒に両足も出る仕掛けにすればよかったのにとも思ったけど。

 審査員の合計得点は462点。1stから若干得点を落とし、2作品の合計は928点。この瞬間、かまいたちの初優勝が決まった。

 個人的な採点は88点。ただテレビの審査員5人は全員90点台をつけていた。ほぼ構成が同じで、時間をさほど置かずに見たネタでも笑いが取れていたという点が評価されて、そうした採点になったのかもと思ったり思わなかったりする。

 

 終わってみれば超ド級のダークホース・にゃんこスターが優勝戦線を存分に引っかき回し、実力派のかまいたちさらば青春の光ジャングルポケットが地力を見せつけたなど収穫の多い大会であった。視聴率は9.7%にとどまったが、大会後の反響の大きさは近年にないレベルであろう。

 ジャンポケの太田は、優勝を逃したあまりの悔しさに打ち上げ会場でじんましんを発症し、病院へ直行したと伝えられている。そうした話を聞くにつけ、伊集院光のコメントではないが、彗星の如く現れたにゃんこスターの活躍が、お笑いの新しい局面を否応なく切り開く「地殻変動」が起きていることを感じてしまう。

 今年も残り3カ月弱。年末年始に向け、しばらくテレビ界隈はにゃんこスターの快進撃が続くであろうが、来年の大会を見据えて既に芸人たちはコントの腕を磨いているであろう。鬼が笑うどころの話ではないが、今から来年のキングオブコント2018が楽しみな私である。

キングオブコント2017決勝戦の感想その5~菅家しのぶ氏のゾフィー擁護について

◆ファイナルステージ

アンガールズ

 リアルタイムで私はTwitterでKOC決勝戦のネタを逐一実況していたのだが(たとえばアンガ1本目のときは「ナンパのネタ」など)、この2本目はいったいどういうテーマのコントかは冒頭の田中と山根の出会いではスッと分かりにくかった。ただくたびれたジャケットに野球帽を被った田中の姿は変質者にしか見えなかった(失礼)ので、その後の不穏な展開は十分に予想できた。

 果たして田中の正体は、山根の妻を10年間愛したストーカー。ただしつきまといの相手は妻・マユミではなく山根だったというね。まあ冷静に考えれば怖い以外の何もんでもない。「俺は法律の中で暴れているだけ!」て田中のセリフもつい力業で笑わされたが、東京都民なら迷惑防止条例で訴えられるケースだと思う。まあ法律と条例は違うと主張する人いるかもだけどw

 貯金を切り崩して山根をストーカーし続けたが、とうとう貯金が底を果てたことにより敗北宣言をする田中。悪人になりきれない悲哀を描いたアンガールズらしいコントと言えるが、個人的にはもっと田中が追い込まれた状況に陥っていた方が面白かったかな。貯金はとうに底をついて、街金に手を出してしまい追い込みかけられ、山根に会ったのも借金取りから逃げながらだった…みたいなね。

 審査員の合計得点は452点。1stステージと同じ得点で、合計904点。

 個人的な採点は89点。

 

ジャングルポケット

 こちらはコントの定番、人質コント。ある組織に監禁された斉藤が、ボスのおたけ、子分の太田にいたぶられて麻薬取引の現場を吐くよう強要される。

 柔道の達人で鳴らす太田が黒タンクトップでムキムキの筋肉を誇示しながら、斉藤をロッカーに何度もたたきつける。痛そうなのは斉藤の苦悶の表情からも伝わってくるので、彼が自分の命よりもロッカーに叩きつけられるのを嫌がるというこのコントの笑いどころがすんなり伝わってきた。

 コントは斉藤と太田のいたちごっこのやりとりを通じて、おたけが「やめろ!」と太田を制する言動にあるからくりが存在していたことが分かる。このネタがバラされた場面、私は心の中でヒザをたたいた。だてに3年連続決勝進出、昨年はデッドヒートで準優勝に輝いたトリオじゃねえなと感服した次第だ。

 ただこのネタバラシはもっとコントの中盤にやって、もっとおたけの「やめろ!」をいじってほしかった。ちょっとネタバラシが遅かった。オチも微妙だったけど。

 審査員の合計得点は458点。1stとの合計で910点。

 個人的な採点は92点。さっき書いたようにネタバラシをもっと早めて遊んでくれれば、あと2~3点は上積みあったかもしれない。

 

 さてネット界では高名な演芸評論家で鳴らす菅家しのぶ氏が、ゾフィーのコントを擁護するレビューを書いたので私もそれへの見解を述べておきたい。もともとこのブログを始めたのも菅家氏が「風刺ってよく分からない」と書いたことへのアンチテーゼとしてなので、少しご容赦願いたい。

 菅家氏のゾフィーのコントを擁護したレビューはこちら。

sugaya03.hatenablog.jp

 菅家氏はゾフィーのコントで、上田演じる息子が「母親≒メシ」の扱いをしたことに多くの批判の声が上がったことについて「流石に今の時代の視聴者の創作物に対する抵抗力の無さに驚いた」などと皮肉めいた反論をしている。ここから私は彼の認識に疑問を呈さざるを得ない。

 世の母親の多くがどれだけギリギリの生活を強いられているか、その実態はあの「保育園落ちた 日本死ね!」という流行語大賞を獲得するほどのパワーワードからも分かるだろうに、なぜ菅家氏は女性の家事労働の報われなさ、過小評価を矮小(わいしょう)化するのか。一社会人として理解に苦しむところだ。ゾフィーのコントでの上田の「母ちゃん≒メシ」という言動に多くの方が批判の声を発したのには、私は菅家氏とは逆に世論の健全さを少し感じた次第である。

 なぜかと言えば、「炊事洗濯、家事は女性がやるもの」という主に男性側の認識が現代日本で圧倒的な「正論」と思われているからだ。菅家氏は、ゾフィーのコントで家出した母親をおそらく専業主婦であろうと仮定していたが、それは甘い認識だと言わざるを得ない。

 私の両親のケースで恐縮だが、私の父親も母親も定職についていた。いわゆる共稼ぎというやつである。ただ私が中学時代に部活を終えて帰宅したとき、いつも夕食の支度をこしらえていたのは労働を終えて疲れているはずの母親であった。父親が母親の代わりに厨房に立って夕食を用意したことなど、1回としてなかった。それどころか、夕食後の食器の洗い物すら父親はやったことなかったぜ。

 私の両親のようなケースは、決して珍しくなかったと思う。専業主婦だろうが働いていようが、女性は夫と子どもがいる限り「メシを作る存在」として認識されてしまう。ゾフィーのコントが風刺として成立足り得るためには、そうした母親が虐げられている家事労働の実態を訴えていなければ成り立たないと思う。

 ただゾフィーのコントは、いろいろ惜しい部分もあった。妻の書き置きを読んだサイトウ演じる父親はショックに陥り、上田演じる空腹を訴える息子に自ら料理を用意することができない。それどころか息子に黙ってカップめんを食し(インスタント食品に頼るのだから自炊はできないのであろう)、それが息子にばれたら言い訳に終始するなど父親としてダメな部分はよく描写されていた。

 やがて家出中の母親は息子の上田の携帯に電話する(上田は母親を「メシ」と登録していた)。即座に電話を代わった父親が謝罪するのだが、この電話で「母さんがいないと、私も息子もメシがろくに食えないんだ」と言っていれば、コントに批判の声を上げていたお母さん方もそれこそ溜飲が下がったことだろう。

 ただ菅家氏は、女性の家事労働における根本的な問題には目もくれず、上田演じる息子の異常な言動だけに着目して「風刺としてよくできたコント」に結論付けている。正直言って、上田演じる息子のような人物はそうそう世の中にいるとは思えない。というか、母親を「メシ」扱いする「大人」(性別問わず)は、子どもの何十倍も日本にいるだろう。風刺の対象にするなら、子どもではなく大人である。

 キングオブコントを放送した同じTBSが世に送り出した名ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」でも、家事労働の理不尽さは新垣結衣の熱演を通して人口に膾炙(かいしゃ)されていたのだから、ゾフィーのコントにはあえて厳しい目を向けることこそが演芸評論家に求められるのではないかと思う。

 まあ菅家氏は「差別と黒人が嫌い」などというクソツイートをする御仁なので(シャレのつもりかもしれんが、それがシャレになると思っているのなら痛いとしか言いようがない)、あまりリアクションには期待しないが。

ゾフィーの項目を10月9日に加筆修正)

キングオブコント2017決勝戦の感想その4~ゾフィーの炎上コントについて

◆ファーストステージ

・アキナ

(決勝戦2年ぶり3回目の出場、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属)

 昨年はM-1グランプリのファイナリストにも選ばれた実力者・アキナ。今回の決勝前の予想で、私は彼らをファイナルステージ進出5組の中に挙げていた。

 アルバイトの先輩、山名の異常行動におののく後輩の秋山。その奇行の数々を聞き覚えのあるBGMでショートコント風に積み重ねていく。にゃんこスターの直後という不運極まりない出番であったが、強度のあるネタで笑いのポイントを稼ぐあたりは腕の確かさを覚えた。

 ただ見返してみると、意外と山名の奇行というかボケにムラがあったように感じた。序盤のバスケットボールを取ろうと見せかけて退場とか、まあ後輩とコミュニケーション取るためにあえてギャグ的にやったとも受け取れるんだけど、誰のかも知らない携帯に出るとかはシャレにならんからな。笑っていいのか引き笑いに持って行きたいのかよく分からないボケが続いた。最後の名字を問うくだりは「それがオチ?」と思わなくもなかったのよね。

 審査員の合計得点は432点。暫定7位。

 個人的な採点は88点。

GAG少年楽団

(決勝戦初出場、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属)

 懐かしの爆笑オンエアバトルでは強豪の一角として活躍した彼らが、悲願のKOC決勝進出。元ネタとおぼしきあだち充「タッチ」のその後を描いたかのような三角関係のコントで勝負をかけた、のだが…。

 幼なじみの男性2人の名前を「シュン」「ジュン」と似せるなど、設定は細かい(ちなみに宮戸演じる女性の名前はヒロコ)。幼なじみのそれぞれが女子高の校長、建設会社の社長、大学病院の院長と「長」がつくいわゆる名士と呼ばれる人物であるにもかかわらず恋愛関係は一向に成長しない…というギャップも引きつけるものがあった。

 ただし後半が全く伸びなかったな。コント的な動きでシュンとジュンが追っかけっこし、ヒロコが「何で殴り合わないの~」と嘆くくだりは、明らかにスベッた感じになっていた。テレビ越しに見ている私が「あースベッたなあ~」と思ったくらいだから、会場はキンキンに冷えたのではなかろうか。後半に畳みかけていくネタじゃないと、生放送の賞レースは勝ち切りにくい。それを感じさせたGAGの初決勝だった。

 審査員の合計得点は419点。パーパーを下回り暫定9位の最下位。

 個人的な採点は86点。

ゾフィー

(決勝戦初出場、フリー)

 同じフリーのにゃんこスター(翌日にナベプロ所属となるが)とは違う意味で、ネタへの注目を集めることとなったゾフィー。ネタ前のVTRで、ボケの上田は1日8時間をネタ書きに充てていると紹介。ツッコミのサイトウはバイトから始めた職場で専務にまで出世し、金銭的に上田を支援していると聞いて「おい、マルクスエンゲルスの関係かよ」と私はひとり盛り上がってしまった。当然、ネタへの期待も高まったのだが。

 ネタの内容というか、息子役の上田が母親を「メシを作る人だよ!」と決めつけるセリフがネットの炎上を招いてしまったようだ。まああり得ることではある。かつて女性を産む機械などと誹謗中傷した閣僚がいたことを私は思い出した。

 ただし、上田演じる息子の母親に対する一連の言動は、私はそんなに責めるものでもないと思う。おそらく中学生くらいの設定だと思うが、部活をこなしてそこそこ遅い時間帯に帰ってきたら、そらあ腹は減っているし、当然あると想定していた夕食がなければ文句の一つも言いたくなるだろう。

 むしろ問題なのはサイトウ演じる父親の対応である。母親が家出したという非常事態においても、子どもが空腹を訴えているなら自分で夕食をこしらえるなり、出前を取るなり買い出しなりして食事を取らせるのが保護者としての責任であろう。

 それなのに無理に子どもを寝かせようとする、それでいて父親の自分はこっそりカップめんを食していて子どもに黙っている。揚げ句にラストでは「母さんが出て行ったの、おまえが原因かもな…」などと子どもに責任を転嫁する。

 いやあ、控えめに言ってもなかなかクズな父親だと思いますよ。客観的に見れば一番問題のある父親が一見まともな人物に描かれ、社会的な権力など一切ない子どもをことさらに異常な人物に描く。そういう点で、このコントには根本的な欠陥があったのではないかと私は思っている。当然、一部のネットで言われているような「風刺のよく効いたコント」などでは断じてないと言わせてもらう。

 あと息子が父親の食したカップめんの容器を見つけて(父親を糾弾する材料があったと)狂喜乱舞するシーンがあるが、私はてっきり未開封のカップめんがあったので「メシが食える!」と息子が喜んでいたのかと思った。ここは最初から容器を逆さにするなどしてカラをアピールするなど、芝居を分かりやすくしてほしかったところだ。このシーンで拍手笑いが起きるほど印象的な芝居だっただけにね。

 審査員の合計得点は422点。パーパーをわずか1点上回る総合8位。

 個人的な採点は85点。リアルタイムでは88点をつけたが、これはファイナルステージ進出の当落線上にいたのがジャングルポケット(90点)とアンガールズ(86点)ではなく、ジャンポケとさらば青春の光(89点)と勘違いしていたため。

 

 これにてファーストステージは終了。

 ファイナルステージ進出は、にゃんこスター(フリー)、かまいたち(よしもと)、さらば青春の光(ザ・森東)、ジャングルポケット(よしもと)、アンガールズ(ワタナベ)の5組に決定した。

 

 続きます。

キングオブコント2017決勝戦の感想その3~衝撃のにゃんこスター!

◆ファーストラウンド

にゃんこスター

(決勝戦初出場、フリー[決勝戦翌日にワタナベエンターテインメント加入])

 今となっては今大会の話題をかっさらった感のあるこの2人、正体不明のダークホースと目されていた戦前の評判がもはや懐かしくもある。ネタ前のVTRでは2012KOCキングのバイきんぐ小峠と伊集院光の絶賛、そして準決勝の彼らを袖で見たしずる村上の「コントの終わりじゃない…」という困惑の苦笑いで私を含め視聴者のハードルは上がりに上がり切っていたはずだ。そして結果、にゃんこスターの2人は見事にそのハードルを越えてみせたのである。

 刮目(かつもく)した点はいくつもある。まずネタ始まりのスーパー3助。

 「わーい! おーいらは縄跳び大好き少年、だよー!!」

 半ズボンの格好をした34歳のおじさんが全力で自己紹介、である。それまでエレベーターの到着待ちでイライラするジャンポケ斉藤や、鉄板餃子に「うまそうやったな…」と呟くさらば青春の光森田など神妙な芝居でコントを始める組が多い(というかコントの始まりは大体そうか)中、3助のこれである。見ている私は先制パンチを食らった次第だ。

 そしてアンゴラ村長の軽快なリズム縄跳び、サビの縄跳び捨てから謎のダンスにつなぐわけだが、このコンビの本領はむしろその後のくだりにあったと思う。大塚愛さくらんぼ」の1番が終わってしまい、2番の序盤は淡々とリズム縄跳びをこなすアンゴラ村長。ここでいったんネタが落ち着いてしまい、私は「1番のサビがピークで、これ以降はあまり面白くならないかな、結成5カ月だしそんなもんか…」などとリアルタイムで考えていた。

 しかし私は、己の不明を恥じることになる。ここで3助の大会屈指のパンチラインともいうべき戦慄のセリフが飛び出すのだ。

 「この動きを求めている俺がいる…この動きが頭から離れない…サビが来る!…待ってましたあー!!」

 先ほどからのいわゆる「凪(な)いだ」状態は、このパンチラインへの「溜め」になっていたのである。ここからが彼らのネタのセカンドインパクト。このセリフは観客への煽りも兼ねているわけで、もはや見ているこっちも「踊るアホウに見るアホウ」状態にさせられてしまう。勢いだけのネタに見せかけて(てか勝手にこちらが早合点していたこともあったが)、とんでもなく演出が練り込まれたネタである。

 2番の後半は村長が目をむきつつロボットダンス的な踊りを披露。ネタの構成的には「おまけ」の要素を感じたのだが、私はリアルタイムで見ていて「もっとくれ、もっとくれ」と思ってしまった。すっかり3助の状態であるw

 そしてしずる村上が苦笑いするしかなかったオチへ。いったん袖にはけた村長が、星の形を取った猫のお面を持ってくる。「おい…まさか…うわ、やりやがった!」と心の中で私は叫んだ次第である。テレビの前で見ていた私でさえこのラストに目まいがしかけたくらいだから、この後にネタ披露を控えたアキナ、GAG少年楽団ゾフィーの3組は両ひざをついてうなだれたのではなかろうか。知らんけど。

 ネタが終わり、さまぁ~ず大竹一樹は開口一番「何だよこれ!」とお手上げコメントをした。賛否両論待ったなしのネタなので、ファイナルステージ進出には絡む得点が出るだろうが、さすがに1位は…というのが私の審査結果発表前の見立てであった。個人的な採点は、かまいたちに次ぐ91点をつけた。

 ふたを開けてみれば審査員の合計得点は、466点。審査委員長のダウンタウン松本人志とさまぁ~ず三村マサカズがともに97点をつけ、にゃんこスターは堂々暫定1位をマークし、即でファイナルステージ進出を決めた。

 

 続きます。