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「LIFE!」(NHKテレビ9月18日放送分)

ひよっこプロローグ】

 三津谷寛治プロデューサー(内村光良)がひさびさに登場。朝ドラ「ひよっこ」の演出家(田中直樹)に彼は「国民の声」と前置きしつつ「なぜ『ひよっこ』というタイトルなのにヒヨコが出てこないのか」という、ほとんど難癖にしか思えないことを言いだし、演出の変更を穏やかな口調で強要する。

 こうしたパワハラに田中はなすすべなく要求をのんでしまうが、三津谷さんってこんなに強引なキャラだったっけか。

【奇跡の再会】

 アマゾンを研究中にスコールに降られた大学教授(内村)と助手(ムロツヨシ)。岩陰に雨宿りに駆け込むが、時を同じくして駆け込んできたのは教授の高校時代の級友だった写真家(古田新太)。二人は旧交を温め合うが…。

 ひさびさに会った人と思ったほど会話が弾まない…なんてのは非常にあるあるだと思うのだが、さすがにコントのネタとしては擦られ尽くした感がある。2人の子持ちという役柄の内村に対し、未婚という古田の長髪カツラを被った二枚目演技は微妙にイラッとするがw、雨が上がってからのオチにもう一ひねりあって良かったのでは。

【とどろけ!ファミレス塾】

 これ続くのかよwてか前回と2本撮りか。

 ガテン系の客(田中)に水のおかわりをするだけなのに、新人ファミレス店員の鈴木(中川大志)は白髪の病弱そうな見た目の先輩w(内村)とまたもや対決する羽目となる。前回の鉄板運び対決で敗れた先輩が「あいつは下っ端」的な言葉で今回の先輩に片付けられるのも往年の少年バトル漫画のお約束を思わせた。

 今回の対決は内村がワイヤーアクション(というほどでもないか)を使い鈴木を驚愕させるが、水を注ぐのが下手で田中を水びたしにする。てか今回の田中はパワハラされたりいろいろ大変だなw

 最後はこれもお約束の先輩店員(シソンヌじろう)の「死んでる!」からの内村生き返りで締める。散々な目に遭った田中は中川とじろうに詰め寄るが、ここでじろうが「サービス定食一丁!」の一言。どうやらアドリブだったのか、田中が少し笑っていた。相変わらずこのコントでのじろうは生き生きしている。

【きみの中のマーズ】

 臼田あさ美がひさびさの登場。顧客のロゴマークのプレゼンを控え、どの案を選ぶかで迷う若手社員(横浜流星)。先輩(塚地武雅、臼田)にアドバイスを求めるが、決め手を欠く。悩んでいるうちに、ブルーノ・マーズに似たムローノ・マーズ(ムロ)がダンサーを従えて登場し、軽快に若手社員を教え導く。

 演者が俗世をしばし忘れたかのように踊るナンセンスコントで、昔も今も視聴者が楽しめる内容だった。かつてのレギュラー放送でアクションに一抹の不安を残した臼田がきちんとダンスを踊れるのか気になったがw、特に悪くはなかった。まあオチは予想通りではあったな。

ひよっことひよこ】

 冒頭のプロローグを受けてのコント。田中演じる三津谷さんの無茶ぶりを受けた朝ドラ演出家が、急きょ脚本を変えたとヒロインみね子役の有村架純に告げる。

 そのシーンの中身は、昔みね子が飼っていたヒヨコと再会するというもの。当然、有村のマネジャー(塚地)は難色を示すが、彼女は「役者ですから!」と健気にチャレンジする。

 ふたを開けてみれば、内村の演じるヒヨコがもうデタラメすぎるわ(褒め言葉)。まあ全く沢村一樹じゃなかったけどw

 あとヒヨコのトレーナー役でじろうが出てきて、関西弁を操っていたのだが青森県生まれとあってかあまり方言がなじまなかった感じだ。これまで百面相の演技で「LIFE!」ファンを唸らせてきたじろうだが、関西弁の人物はやや苦手に映った。まあ彼の敬愛する志村けんも、関西弁をしゃべるキャラはやらなかったしね。

【考えるのをやめた人たちの会】

 うさんくさいセミナーwが舞台のコント。出席者の一人で田中演じる神楽坂さんが、かつてのレギュラー放送でのコント「勇気があれば」に出てきたキモいおっさんに似ている件w

 古田演じる紳士的な物腰の講師が、生徒役の江口のりこの空気を読まない発言にペースを乱され、川栄李奈に平手打ちをかまされと散々な目に。内村演じる独身男性生徒のロボット演技に触発され、神楽坂さんも勇気を出すが…。

 結論から言えばいまいちなコント。古田演じる講師か、田中演じる神楽坂さんか、どちらが主役なのか、どちらに視聴者側の焦点を合わせればよいのかブレてしまった。最後は散々な目に遭った講師が神楽坂さんにキレるのかと思いきや、中途半端なオチになってしまったのが残念である。江口と川栄の出番が少なかったので、次の放送分(10月9日)にも出てくるのかな。

【ムロ待ち】

 このコントでも臼田が復活。ムロの追っかけとして彼に地元の酒を渡そうとするが、ご存じ黄金原さん(じろう)に「CMに影響する」と言われてしまう。サプリ飲料じゃないなら大丈夫な気もするがw

 しかしこのコント、じろうが臼田に「既婚者は家で旦那としっぽりやってろ!」とストレートに吐き捨てたところで後のやりとりが頭に入ってこなかったwああ前回放送(8月14日放送分)をムロが告知し忘れた話だったな。

 今度は告知忘れを予防しようと黄金原さんがムロと電話番号を交換しようとする。意外とこの手はやっていなかったっけか。ただメイプル超合金のホームページ管理をしていたのは見知らぬカズレーザーファンだったという話があるくらいなので(「絶対!カズレーザー」から)、ファンがツイッター管理するケースもあるのかもしれない…いやねーな、と思ったり。

「しんぶん赤旗」日曜版に初登場!「ひと」出川哲朗(9月3日号)

 「満を持して」という言葉は、まさにこういう時のために使うのであろうか。芸人界最高のリアクション芸人のひとり、マセキ芸能者所属の出川哲朗がついに国政政党たる日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版の看板コーナー「ひと」の単独インタビューに登場した。

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(「しんぶん赤旗」日曜版9月3日号36面「ひと」から)

 インタビューの本文も振るっていて、冒頭の文から「『ヤバイよ! ヤバイよ!』。『しんぶん赤旗』初登場です」と来た。出川の「しんぶん赤旗」出演自体が大ニュースだと扱っているのである。しかもこのインタビュー自体、いまやテレビ東京の看板番組と化した出川の冠番組出川哲朗の充電させてもらえませんか?」の香川・小豆島ロケに同行しての取材だったという。「しんぶん赤旗」サイドの気合は半端ないことがこの点からも伝わってこよう。

 今回の記事の何が素晴らしいって、何と言っても写真だろう。電動バイクにまたがる出川の破顔一笑をとらえたベストショット! これだけでも「しんぶん赤旗」を購入する値打ちがあると思わせる素晴らしい1枚だ。しかしTシャツの柄が「YABAIYO YABAIYO」なんだなw

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 さらに記事の良さに拍車をかけているのが、「ひと」の見出しだ。だいたいこの手のインタビュー記事ってのは取材対象の印象的な発言から見出しを取るのが定石なのだが、今回の場合は「時代が僕に追いついた!」である。

 記事では地の文で「今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気。本人はどう受け止めてるの?」と最大級の賛辞を送った上で出川の発言を掲載。出川はこう語ったとある。

「正直、不思議な感じです。芸風は20年以上変わっていませんから。時代が僕に追いついた、と言ってます(笑)」

 「芸風は20年以上変わっていない」とサラリと言える出川の自然体には改めて驚かされる。まあテレビだと絶対スタジオでイジられる流れだけどw

 「時代が追いついた」とはまさに出川の言う通りだろう。お堅い政党機関紙たる「しんぶん赤旗」が番組ロケに同行してまで単独インタビューを試みた、というのがまごうかたなきその証拠だと思う。

 まあ強いて記事に注文をつけるとするならば、「時代が出川に追いつく」というその潮目はどこにあったか?までを聞いて、出川の答えを知りたかったところではある。私は、横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)時代の盟友・ウッチャンナンチャン内村光良率いる「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)での「はじめてのおつかい」などの奮闘ぶりがその潮目でなかったかと推測している。

 何しろ異国の地で臆せず現地の外国人にデタラメ英語で目的地への道のりを尋ねる、そのおかしくも懸命な姿は中学授業の教材にも使われているという。この話を「アメトーーク!」(テレビ朝日系)でしたのが出川自身なので、どこまで本気で信じていいのかという部分もあるがw、高視聴率番組によって出川の真摯(しんし)な芸事への姿勢が多くの国民の知るところとなり、現在の人気爆発につながったのではないだろうか。

 まあ記事でその辺が突っ込んで語られなかった(もしくは語ったが記事にならなかった)のは、「充電させてもらえませんか?」のロケ取材というインタビューの性質上、他局の番組の名前は出しづらかったのかもしれない。インタビューの最後では、自身の目標として「充電させてもらえませんか?」の長期番組化、海外進出を口にしている。

 

 ともあれ衝撃的な「しんぶん赤旗」デビューを飾った出川であったが、いかんせん紙面の限りでは彼の30年を超す芸能生活を語り尽くしたとは到底言えないところだ。せっかくつながりができたのだから、時間を置いて改めて出川には「しんぶん赤旗」に再登場をしていただき、今度は数週の号にわたって自身の半生を語ってもらいたい。

 「しんぶん赤旗」は「ひと」の他に特定の人物を数週にわたってインタビューする「この人に聞きたい」という企画を随時行っている。出川が「ひと」に登場した9月3日号では、あのノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章先生が3回にわたり己の半生を語っていて、同号が最終回であった。

 てなわけで、出川哲朗さん。「しんぶん赤旗」20年以上の愛読者といたしまして、再登場を心待ちにしております。赤旗編集局さまも、ぜひご検討のほどをよろしくお願いします。

「LIFE!」(NHKテレビ8月14日放送分)

 「未来戦士ハライゾン」以外のレビューを今回の記事で。

【とどろけファミレス塾】

 主人公(?)の新人ファミレス店員・中川大志に「解説役」としてサポートするシソンヌじろうのキャラの作り込みようよ。この人は昨年の方言指導コントでもなまりのきっつい演出家を怪演していたが、クセのある役は全部オレに回せ!と言わんばかりの安定感でコントを支える。じろうの回しでこのコントは持ったと言っていいだろう。

 肝心のコントの内容は、かつてのジャンプ漫画の名作のオマージュと言った感じだったが、正直な話、「民明(みんめい)書房」のパクリのくだりは視聴者にとってチンプンカンプンだったであろう。中川との対決(?)に敗れ、解説役のじろうに「し、死んでる!」と言われながらあっさり復活する内村光良のくだりも「例の漫画」の「死んだ登場人物がすぐ蘇生する」というネタなんだろうが、それでも遊びすぎだな。だって30年前の漫画だぜ、「魁!男塾」ってw

【オモえもん】

 当番組のドル箱スター・星野源が主役を張るシリーズが復活。1996年度ホリプロスカウトキャラバングランプリの深田恭子をゲストに迎えた。

 前回シリーズで、さとしくん(ムロツヨシ)に別れを告げて自分の星に帰ったオモえもん(星野)が、さとしくんの部屋の押し入れに帰ってくる。それはいいのだが、星に帰ったのと同じ日のうちに復活したという設定は非常に引っかかった。前回シリーズから5カ月たっているわけだし、「すぐに戻ってきた」という設定にこだわる必要があったのかどうかと。

 とはいえ、本家ではダメな兄をサポートする役割だったまじめなドラミを、深田演じるオモミが兄に輪をかけて重い芸風というのは設定に新風を吹き込む感じがあって良かった。彼女が出す道具が「イチゴ柄にデコレーションしたチェーンソー」などと、本家のテイストを微妙にフォローしていたのも、「LIFE!」スタッフならではの気遣いが感じられた。

【裸の王様】

 有名な童話をモチーフにしたコントで、不安材料と言えば当番組初出演となる新日本プロレス棚橋弘至の演じる王様役であった。しかし蓋を開けてみれば棚橋の低くてよく通る声と見た目通りの肉体美とがあいまって、バランスの取れた不条理コントが出来上がった。

 あと職人役で金髪のかつらをかぶったムロが、思いのほか二枚目のビジュアルに仕上がっていたなと。衣服を脱いだら予想通りのくたびれた四十路おじさんの肉体だったのがあれだがw

【アツい男たち】

 國村隼がゲスト出演。舞台は昭和30年代、横山秀夫佐々木譲池井戸潤の小説原作かと見まがいそうな骨太な設定と人間関係で、警察内部の闇を描いた重厚なコント…つっても警察署内にクーラーがつくつかないで揉めているだけなんですがw

 眉毛を濃く描いた二枚目星野源の熱血青年や、彼を制する内村演ずる老成した先輩刑事など見所は少なくないが、問題は現実世界では雨降りの時期が長く続いて視聴者的に「猛暑」感をいまいち受け取りづらかったことだろうか。どれだけビッグネームがコントをやろうとも、天気だけはどうにもならんwむしろ前回シリーズで大団円を迎えた「梅雨入り坊や」の新作を書いても良かったかもしれない。

【ラストスピーチ】

 深田恭子が再び登場。職場を辞める女性の送別会イベントを舞台にした華々しいコントだが、ここで深田は「LIFE!」長年のレギュラーであり、ホリプロスカウトキャラバングランプリの後輩である石橋杏奈(2006年度受賞)に花を持たせた格好となった。

 突然結婚を発表したメンバーのいた某グループの総選挙とやらをモチーフにした感のあるコントであったが、かわいい後輩のために引き立て役を務め上げた深田の度量の大きさを感じさせる内容であった。まあ実績で言えば、深田にとって石橋なんか26cmの足の小指で踏みつぶせるレベルだしねw

【ムロ軍団の休日】

 少しひねった形で「ムロツヨシを育てた女性」こと黄金原聡子さん(シソンヌじろう)がジョーズの如く海から登場w前回シリーズ序盤にちょこっと出ていたラバーガール大水や、番組初登場となる阿佐ヶ谷姉妹を黄金原さんはいつもの調子で「二軍」などと切り捨ててみせた。

 ムロ軍団を説教する際に黄金原さんは「ムロは…」と呼び捨てにしていたが、あれか、奥さんがだんなの話をするときに呼び捨てにする的なあれか。なんにせよ、不定期特番となっても名物シリーズには若干の展開があるってことで、9月18日の次回放送を楽しみにしろってことかなwそういう意味で、引きのよくできた特番だったと思う。

「LIFE!」コント「未来戦士ハライゾン」に物申す(NHKテレビ8月14日放送分)

 2017年度に入って不定期特番放送となった内村光良座長のコント番組「LIFE!」。今年度2回目となる今回の放送では深田恭子中川大志新日本プロレス棚橋弘至といった多彩なゲストを迎えてさまざまなコントを披露したが、少し物申しておきたいコントがあったので差し当たりこれだけをレビューしたいと思う。

 そのコントは「未来戦士ハライゾン」。統計上では現役世代(15歳~64歳)2人が1人の高齢者世代を支えるという超高齢化社会をテーマにしたヒーローものコント、ということで切り口そのものは悪くなかった、のだが。

 ぼったくりバーに引っかかり、ガラの悪い店員(田中直樹、シソンヌじろう)に詰められるムロツヨシ演じる会社員。そこへ現れたのは近未来的なスーツに身を包んだヒーロー中川とヒロインの石橋杏奈…だったのだが、どうも様子がおかしい。それもそのはずで、彼ら2人は板を持ち上げており、その上には内村演じる老人ら3人が飄々と乗っかっていたのである。ちなみに残り2人の老人は人形であるw

 未来戦士ハライゾンの中川・石橋はすぐさま店員を退治したいのだが、上の老人を落とすわけにもいかず手も足も出ない。そうしたもどかしさを笑うコントであるのだが、私は番組サイドの思惑に沿って笑うことはとてもできなかった。

 なぜかと言えば、まさに「年金など社会保障の恩恵に浴する高齢者世代と、恩恵を受けることができない若者・中堅世代」の分断やいさかいを誘発するような内容のコントだったからである。なにしろ老人役の内村が中川・石橋を指して「こいつら年金もらえないから、俺はギリもらえるけど」とまで言うセリフがあった。

 これはダメ押しだろう、悪い意味での。タイトル自体「ハライゾン(払い損)」という文言が入っているのだから予想できた展開ではあるのだが、これでは「ギリ年金をもらえる」世代への世間の怨嗟(えんさ)を煽ることにほかならない。

 こうしたコントは、ハッキリ言ってしまえば「年金をもらえる世代、もらえない世代」という断絶を引き起こした当事者の責任を覆い隠す役割を果たすものでしかならなくなる。その当事者とは、言うまでもなく時の政府である。

 もっと具体的に言えば、間もなく発足5年になる安倍自公政権である。アベノミクスがどうのと言っていたが、待てど暮らせど庶民にその恩恵が行きわたったとは言えず、逆に景気のカギを握る個人消費はヒエッヒエの状態が続いている。

 超高齢化社会にもかかわらず、安倍政権は社会保障に対する手厚い手当ては今のところ見られない。それどころか年金の受給においても、受給開始年齢を75歳まで遅らせようという声が識者の中から出てくるくらいだ。

 参考までにしんぶん赤旗の報道はこちら。

 朝日新聞の報道はこちら。

 現実には老いも若きも年金はじめ社会保障の恩恵にあずかれない残酷な未来が待っているにもかかわらず、「LIFE!」はいまだに世代間の争いを煽る使い古されたプロパガンダをコントに取り入れているのだ。

 それはまさに、大企業を優遇し社会保障の切り捨てに邁進(まいしん)する安倍自公政権に忖度(そんたく)したコントをNHK、ひいては「LIFE!」スタッフが執り行ったと言わざるを得ない。この状況は、かつて「総理大臣だからといって、何をやってもいいと思ったら大間違いだよ!」と語った宇宙人総理の母親(樹木希林)が知ったら嘆くものだろう。

 「LIFE!」の新作コントは来月の9月18日に放送されるとのこと。これまで良質な社会派コントを世に送り出してきた同番組に対しては、ぜひとも時の権力者に「忖度」することのない骨太の新作コントをきっちり披露して、私のような人間に「杞憂だった」と思わせてほしいところである。

「絶対!カズレーザー クイズ東大生だけ不正解」(テレビ朝日系7月11日、8月1日放送分)

 1つの企画を2週にわたって送るのが慣例となっている「絶対!カズレーザー」の直近の企画は「クイズ東大生だけ不正解」。ゴルフだの世界水泳だのの中継がこの間入りまくったため、前編と後編で3週も開いてしまったのだがともかく。

 クイズプレーヤーとしては「Qさま!」で説明不要の実績を積み上げてきたメイプル超合金カズレーザーが、かいつまんで言えばクイズに答える側から質問を作る側に挑戦する、というのが今回の企画である。単に作成するだけでなく、芸能人3人と東京大学生2人を対戦形式でたたかわせて、タイトル通り東大生オール不正解、芸能人全員正解という質問を10問以内に作る…のが趣旨だった。

 照明の明るい派手なセット、芸能人ゲストの多さや知名度の高さ(サバンナ高橋アンガールズ山根、筋肉アイドル才木玲佳)、解説者としてクイズ作家・日高大介氏の起用と深夜2時台とは思えぬ力の入った演出ぶりで、私は(この企画、プライムやゴールデン狙っているんだろうな)と感じた。「絶対!カズレーザー」では先月の改編期、本編でやった時短企画を期首特番で放送していたからな。2匹目のドジョウ狙いってやつだ。

 結論から言えば、前編では制限の10問以内に「東大生だけ不正解」は達成できなかったものの、後編では4問目「藤田ニコルがモデルを務めた雑誌名は?」でついに悲願を果たした。正解は「Popteen」であるが、リアルタイムで視聴した私も回答に挑戦して「Popteenじゃないの?」と考えたところズバリと当たった。そういう意味では、カズは非常にいい質問を作ったと思うw

 

 カズのプレイヤーのみならず作家としての力量を測るという点でも、私のようなクイズ番組好きな人間にとっては今回の「東大生だけ不正解」はなかなかの良企画だったとは思う。日高氏も「数年前の時事ネタが一番難しい」などと、「あべのハルカス」など数年前に話題になったスポットを回答にチョイスした設問をするカズの手腕を評価していた。

 カズいわく「芸能人は数年前でも話題のスポットをロケで行ったことがあるが、東大生は時間のたったニュースには弱い」らしい。事実、その読みで作った前述の藤田ニコルの問題で勝利したわけだ。

 

 しかしまあ、この企画の弱点を述べるとするならば、もうとっくに書いてしまった通りだが、もうカズが東大生に勝ってしまったことであるw セットもキャスティングも費用をかけまくったように思えたのに、もう所期の目的を達成しちゃったら企画続けられないじゃん!w カズは基本的に卒がないからだいたい「絶対!カズレーザー」の企画は無難にこなしてしまう嫌いがあるのだけど、今回もそのパターンに陥ってしまったというのが私の見立てだ。

 この企画の続編をやるなら、いくらかのマイナーチェンジは必要であろう。今回はカズがフリーで質問を考え、東大生の苦手な分野を推測する流れであったが、今度は東大生の得意な分野限定で質問を作成して、なおかつ「東大生だけ不正解」をかちとるとかね。そういったハードルを科して、キャラに似合わぬ苦悩をするカズレーザーも個人的に見てみたくあるし。

 余談だが、この「東大生だけ不正解」、芸能人チームのアンガールズ山根の不調ぶりがすげえ気になった。ドラえもん知識王の高橋、慶応大学卒業の才木と比べても、山根は「ヘキサゴン」などかつての名物番組でエースとして活躍し、クイズ芸人としてはカズの先輩格にあたるほど名のある存在だったからだ。

 この点においては、山根自身が番組中に「最近は育児に頭を使ってしまって…」と率直な現状を吐露していた。なるほど、クイズで仕事を得るには常に頭をアップデートしないといけない芸能人は大変だな…と同情した次第である。

「アメトーーク!! オジさんたち」(7月6日放送分、テレビ朝日系)

 雨上がり決死隊トーク番組「アメトーーク!!」も放送が始まってはや15年。ひな壇を支えてきた若手芸人たちも大半が40歳代の半ばに突入している中、非常に興味深いテーマの回だった。

 数年前、今回の出演者の一人でもあるドランクドラゴン塚地がプレゼン大会で「初老芸人」てな企画を説明していた。ひょっとして、ひな壇芸人たちが「初老」の境地に達するまで企画を寝かせていたのだろうか。

 サブタイトルは「オジさんたち」。司会の雨上がり決死隊宮迫が「『芸人』すらついてへん」と冒頭つぶやいたが、名作ドラマ「若者たち」のもじりかね。観覧の若い女性は元ネタ知らないんじゃないのと危惧したが、そういや妻夫木聡主演でリメーク版最近やってたから心配そんなにないか…と独りで勝手に納得した。

 

 本編のひな壇トークでは、肩が痛いだのヒザが痛いだの目がかすむだの王道から、リーダー格の博多華丸が「年取ったあるある」を求められて「何があるあるだったか忘れた」という一ひねり加えたトークなど、まあまあ楽しめた。体のガタ関係は、また数年後に第2弾やって、新たに50代に突入したひな壇芸人からいっそう身にしみるトークが聞けるかなと発展の余地を残していると思えた。当然、それまで「アメトーーク!!」が続いているのが前提だけど。

 

 この記事で特に書いておきたかったのは、リーダー格の華丸が放った「年取ったあるある」のトークの一場面である。華丸は、このほど話題を読んだ波瑠主演のドロドロドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系)の主題歌を担当したバンドを話題に出す。

 華丸は、そのバンドの名前が「神様、僕は気づいてしまった」で、主題歌のタイトルが「CQCQ」であることを紹介。「どちらがバンド名でどちらが曲名なのか分からない、これはスピッツの『ロビンソン』以来のこと」と結んでひと笑い取っていた…のだが、ここで華丸は芸人にあるまじき致命的なミスを犯していたのである。

 それは、バンドの名前を間違えていた。「神様、僕は気づいてしまった」と言うべきところを「神様、気づいてしまった」とやったのである。「僕は」を抜かしたのだ。それもトーク中2回続けて。

 しかし私が見ていて「そりゃねえだろ」と思ったのは、その後の放送のことである。収録のスタジオの場には芸人が何人もいたにもかかわらず、オンエア上では華丸の言い間違いを指摘する出演者が誰1人としていなかったのだ。

 何人かは正確なバンド名を知っていただろうに、得意げにぺらぺらと話す華丸の気分を害したくないのか、彼に忖度した状態で何の訂正もされずトークは一通り終了した。こういう光景は、若い人にとっては地獄に思えただろう。

 「俺は若い人の情報も知っている」とばかりにオジさんが「あなそれ」のバンド名を出す、しかしそのバンド名は思い切り間違っている、それを周りのオジさんは一切訂正しない…。テレビの収録ならまだ緩和されるが、これが飲み屋の席上だったらと思うとゾッとするわなw若い人にとっては訂正の口をはさんでオジさんの印象を悪くしたくないし…と気遣って、さぞストレスのたまることだろう。

 偶然の産物ではあったが、華丸が「神様、僕は気づいてしまった」にまつわるトークを得意げにした一連の流れが、まんま「年取ったあるある」のパターンに当てはまるものであって、視聴していた私は「こらあブログのネタになるな」と思ったものである。以上w

 

 また今回の「オジさんたち」に招かれた女性ゲストは内田理央(満年齢で26歳)。くくり芸人に藤井隆が登場したのを見て、視聴者の皆さんは「ははあ」と思ったに違いない。

 そう、内田と藤井は「あなたのことはそれほど」の枠で人気爆発した「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)の出演者であった。しかも内田は劇中「ポジティブモンスター」と呼ばれる人物で、若さを頼りにゆりちゃん(石田ゆり子)と風見(大谷亮平)の間に割って入るヒール役を演じていた。そういう経緯を鑑みれば、内田が今回の「オジさんたち」のゲストに起用されたのは必然だったと言える。

 

 それにしても「アメトーーク!!」は「逃げ恥」関連のネタ好きだな。昨年末のスペシャルでは江頭2:50が「エガダンス」を披露。年が明けても「大根大好き芸人」でこれも華丸が「根ダンス」をやり、さらに「踊れない芸人」でもくくり芸人に恋ダンスを踊らせるなど、どんだけ「逃げ恥」というか「恋ダンス」好きなんだよと純粋に思うわ。プロデューサー加地倫三の趣味なのかね。

 そういう意味では、ぜひとも「逃げ恥」大ブレークの立役者、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの星野源に何とぞ「アメトーーク!!」の初登場をお願いしたいところだ。手始めに番組の名シリーズ「中学時代イケてないグループに属していた芸人」に星野を登場させるのはどうだ? 中学時代のスナップ写真はもはや鉄板だし、ラジオDJ活動でギャラクシー賞を受賞したその弁舌で、星野は必ずや老舗番組「アメトーーク!!」に新風を吹かせてくれることだろう。

 加地Pはじめ番組関係者の皆さん、ご検討のほどよろしくお願いします。

しんぶん赤旗日曜版5月21日号「ひと」に芥川賞作家又吉直樹!

 5月19日に現代の治安維持法との悪名高い「共謀罪」法案が自公維新の卑劣な策動により衆院の法務委員会で強行採決されてしまい、落胆の思いを抱いた市民の方々は多いことだろう。しかし捨てる神あれば拾う神あり…ではないが、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」の名物コーナーであるインタビュー記事「ひと」に、お笑いコンビ「ピース」のボケ担当であり頭脳、そしてご存じ小説「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹氏が登場した。記事は金子徹記者、写真撮影は野間あきら記者。

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(「しんぶん赤旗日曜版」5月21日号36面から)

 インタビューのテーマは、もちろん芥川賞受賞後初の創作であり、単行本初版は異例の30万部を刷り下ろした「劇場」についてです。この作品の主人公は売れない劇作家。インタビュー中、又吉氏は「格闘家でもサッカー選手でもよかったんでしょうが(笑い)、いま書きたかったのが劇作家でした」と語っています。

 誠実な受け答えの又吉氏ですからその発言は本音ではありましょうが、私のようなひねくれたお笑い好きは5年ほど昔、彼が出演した「アメトーーク!」の「男子校芸人」のことを思い出していました。ちなみにこの「男子校芸人」の回は深夜にもかかわらず視聴率16.2%をたたき出し、いまだ通常放送での同番組の歴代最高視聴率をマークしています。

 大阪府の高校選抜に選ばれるほど実力派のサッカー少年だった又吉氏は、男子校の北陽高校(現・関西大北陽高校)で青春を過ごしました。「男子校芸人」で又吉氏自身が語ったことですが、彼は学校の予餞(よせん)会で披露するクラスの演劇作品の脚本を担当したといいます。

 引っ込み思案な又吉氏は匿名で劇の作品を提出します。喜劇的なその作品は予餞会の場で大ウケ。肩の荷が下り、舞台袖でホッとしていた又吉氏に、級友で唯一彼の執筆を知っていたクワハラくんがクラスの同級生に呼びかけたのです。

「この劇は又吉が書いたんだ!」

 事実を知った級友たちは温かい拍手を又吉氏に送ったとのことで、又吉氏本人も感慨深い出来事として番組で語っていたことを思い出します。少し長い説明になりましたが、こんな思い出を持っていたからこそ、又吉氏は劇作家を主人公にした小説を世に送り出したかったのではないか…何の確証も得ているわけではありませんが、ふと私はそんなことを「しんぶん赤旗日曜版」のインタビューを読みながら考えた次第です。

 同紙のインタビューで又吉氏は「中学生のころは、ある日突然スーパーパワーが自分に宿って、世界の悪とたたかえるんじゃないかとギリギリまで考えていた。そんな日は訪れなかったですけど」と己の思春期を振り返っています。それって藤子・F・不二雄の異色短編「ウルトラスーパーデラックスマン」じゃねえのとw

 そう笑わせた後、又吉氏は実に含蓄ある言葉でインタビューを締めるのでした。

「ねたみそねみは、若いころは一瞬あったと思うんですけれど、(いまは)そういう表情を見ないようにしています。初めっから負けるって決めてた方が楽やな、と」

 非常に示唆に富んだ言葉ではないでしょうか。特に社会的な運動をしている人々にとっては。スポーツだと勝った負けたに血眼になるのはある意味当然なのですが、いわゆる社会を変えていく運動を勝ち負けで考えると、強大な国家権力を持った相手とのたたかいをすれば負け続けるのはある意味当然なわけです。

 もっとも又吉氏は安倍政権が成立に執念を燃やす共謀罪法案や憲法改定の実現を念頭に置いて話したわけではないでしょうが、彼の言葉は多くの市民を励ますものとなるでしょう。私も又吉氏のエール(?)に応えるものとして、早速「劇場」の単行本を手に入れようと思っています。ってまだ読んでないんかーい!←ベタ