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しんぶん赤旗日曜版5月21日号「ひと」に芥川賞作家又吉直樹!

 5月19日に現代の治安維持法との悪名高い「共謀罪」法案が自公維新の卑劣な策動により衆院の法務委員会で強行採決されてしまい、落胆の思いを抱いた市民の方々は多いことだろう。しかし捨てる神あれば拾う神あり…ではないが、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」の名物コーナーであるインタビュー記事「ひと」に、お笑いコンビ「ピース」のボケ担当であり頭脳、そしてご存じ小説「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹氏が登場した。記事は金子徹記者、写真撮影は野間あきら記者。

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(「しんぶん赤旗日曜版」5月21日号36面から)

 インタビューのテーマは、もちろん芥川賞受賞後初の創作であり、単行本初版は異例の30万部を刷り下ろした「劇場」についてです。この作品の主人公は売れない劇作家。インタビュー中、又吉氏は「格闘家でもサッカー選手でもよかったんでしょうが(笑い)、いま書きたかったのが劇作家でした」と語っています。

 誠実な受け答えの又吉氏ですからその発言は本音ではありましょうが、私のようなひねくれたお笑い好きは5年ほど昔、彼が出演した「アメトーーク!」の「男子校芸人」のことを思い出していました。ちなみにこの「男子校芸人」の回は深夜にもかかわらず視聴率16.2%をたたき出し、いまだ通常放送での同番組の歴代最高視聴率をマークしています。

 大阪府の高校選抜に選ばれるほど実力派のサッカー少年だった又吉氏は、男子校の北陽高校(現・関西大北陽高校)で青春を過ごしました。「男子校芸人」で又吉氏自身が語ったことですが、彼は学校の予餞(よせん)会で披露するクラスの演劇作品の脚本を担当したといいます。

 引っ込み思案な又吉氏は匿名で劇の作品を提出します。喜劇的なその作品は予餞会の場で大ウケ。肩の荷が下り、舞台袖でホッとしていた又吉氏に、級友で唯一彼の執筆を知っていたクワハラくんがクラスの同級生に呼びかけたのです。

「この劇は又吉が書いたんだ!」

 事実を知った級友たちは温かい拍手を又吉氏に送ったとのことで、又吉氏本人も感慨深い出来事として番組で語っていたことを思い出します。少し長い説明になりましたが、こんな思い出を持っていたからこそ、又吉氏は劇作家を主人公にした小説を世に送り出したかったのではないか…何の確証も得ているわけではありませんが、ふと私はそんなことを「しんぶん赤旗日曜版」のインタビューを読みながら考えた次第です。

 同紙のインタビューで又吉氏は「中学生のころは、ある日突然スーパーパワーが自分に宿って、世界の悪とたたかえるんじゃないかとギリギリまで考えていた。そんな日は訪れなかったですけど」と己の思春期を振り返っています。それって藤子・F・不二雄の異色短編「ウルトラスーパーデラックスマン」じゃねえのとw

 そう笑わせた後、又吉氏は実に含蓄ある言葉でインタビューを締めるのでした。

「ねたみそねみは、若いころは一瞬あったと思うんですけれど、(いまは)そういう表情を見ないようにしています。初めっから負けるって決めてた方が楽やな、と」

 非常に示唆に富んだ言葉ではないでしょうか。特に社会的な運動をしている人々にとっては。スポーツだと勝った負けたに血眼になるのはある意味当然なのですが、いわゆる社会を変えていく運動を勝ち負けで考えると、強大な国家権力を持った相手とのたたかいをすれば負け続けるのはある意味当然なわけです。

 もっとも又吉氏は安倍政権が成立に執念を燃やす共謀罪法案や憲法改定の実現を念頭に置いて話したわけではないでしょうが、彼の言葉は多くの市民を励ますものとなるでしょう。私も又吉氏のエール(?)に応えるものとして、早速「劇場」の単行本を手に入れようと思っています。ってまだ読んでないんかーい!←ベタ

茂木健一郎氏を集団リンチにかけた「しくじり先生」(テレビ朝日系、5月14日放送)を批判する

 リアルタイムでは見られなくて動画サイト「TVer」で後追い視聴したのだが、いやはや内容がひどい。結論から言えばBPO案件だと思う。

 「しくじり先生」5月14日放送分の動画はこちら↓。視聴は1週間限定なのでご注意を。

tver.jp

 今回の講師は「しくじりホヤホヤ」と紹介された脳科学者の茂木健一郎。しくじりのテーマは、今年の3月に彼がツイッターで発した「日本の地上波テレビ、お笑いはオワコン」という趣旨の発言であり、その騒動を茂木が改めてオードリー若林、平成ノブシコブシ吉村、銀シャリ橋本ら芸人を含む出演者にわびるという内容であった。

 番組は冒頭から異常事態を感じさせた。ノブコブ吉村が茂木の登壇を確認した途端「来やがったな~!」と腕をぶすゼスチャー。「騒動」の経緯を説明する際につい小声になる茂木に、再び吉村が「被告、声を張りなさい!」と追い打ち。まるで茂木を犯罪者のように扱い、これが合図となったかのように出演者(生徒の設定)の茂木への攻撃的な言動はエスカレートしていく。

 その茂木への芸人連中の「口撃」ってのが、また手の込んだやり方でね。「あんな発言されて、俺は悔しかったよ!」とストレートに反論すれば、まだ茂木も救われたであろう。しかし芸人の出演者の茂木への態度表明は以下の通りである。

 

オードリー若林「こういうのが2ちゃんに書かれていたよと言われるのと同じ」
勝俣州和「(バラエティー外の人間である自分が面白いという)勘違い発言ですね」
銀シャリ橋本「『一方そのころ茂木健一郎は…』という感じです」
若林「そんなに茂木さんのこと気にしていないんですよ俺たち」
橋本「横のヤツがカレー頼んでるくらいのテンションですよ」
東国原英夫「茂木さんほどの人間なのでお笑いの歴史、文化、社会状況等々、全部分析されての発言と思った。調べてみると、何もそういうのがないよね。(中略)今後、本職に影響が出るんじゃないかな。脳科学者として。心配したくらいですよ」

 茂木が騒動の経緯を説明してからの言動は以下の通り。

橋本「オワコンて覚えたてやったんすか?」
吉村「(炎上を狙ったわけではないと言う茂木にー引用者注)そこのイタさがあるんですよ。ベースにたぶん」
東国原「妙なんだよ正義感が」

若林「(茂木の持参した脳の模型に向けー引用者注)パカッて開いたら『オワコン』と書いてあるかもしれない」
吉村「後で書いといて『オワコン』って」

 

 お分かりであろうか。要は芸人連中はリアルタイムではエキサイトしておきながら、本人が謝罪の意思を示して平身低頭で自分たちの前に現れた途端「大したことないヤツが何か言っていた」というスタンスで茂木の発言を冷笑したのである。まるで「顔はヤバいよ、ボディーやんなボディー」(by山田麗子)のように、外見ではパッと分からぬように相手を傷つけるみたいな、まさに陰惨な吊るし上げを行ったわけだ。

 そして茂木は自身を「妙な正義感を振りかざす面倒臭いヤツ」というレッテルを自らに張り、生徒たちとディスカッションを行う。改めて彼の問題とされるツイートが自身の口から説明されたが、その内容に瑕疵(かし)は見られない。アメリカ大統領選で茂木が痛感した、日本の芸人の政治、権力者へのアプローチが著しく弱いというのは動かし難い客観的な事実であろう。先日の「ENGEIグランドスラム」(フジテレビ系)でウーマンラッシュアワー村本が「おまえが辞めて良かったわ!」と今村元復興大臣をネタにして話題を呼んだが、それまでテレビ演芸番組に出た芸人たちの誰が首相含め失言、暴言まみれの閣僚だらけの安倍自公政権をどれだけネタにできたというのかね。

 アメリカではSNL(サタデーナイトライブ)というプログラムがあり、その日のうちに芸人が大統領選でのトランプの言動をネタにしていたという事例を紹介した茂木に対し、オードリー若林はこう反論をした。

 

若林「制作、演者、スポンサー、視聴者。みんなで求められていない。それぞれに割合はあると思いますよ。日本で少ないっていう。芸人の一点で言っているじゃないですか、芸人がオワコンって」

 

 つまり若林は制作サイドやスポンサー、視聴者のニーズをクリアしないと芸人がいくら政治的なネタをしたくても流される。その現状があるのに芸人だけに責任を押し付けるのは納得が行かないと言いたいようだ。ただ若林の発言はいわゆる現状の追認であり、「オレらだけ悪く言うな」という駄々でしかない。

 そもそも日本のお笑い芸人はステータスが向上し、今やどのテレビ局の昼のワイドショー番組でも芸人がコメンテーターとして出席している。時々の社会問題のVTRを流した後に、芸人コメンテーターはやろうと思えば当意即妙の話術でネタにできるではないか。

 サタデーナイトライブどころか、平日のアフタヌーンライブができる条件があるのに芸人コメンテーター(とつるむ芸人連中)は、スタッフやスポンサーや視聴者、および安倍政権の連中に忖度してやらないわけだ。若林の反論はそんな芸人の体たらくを擁護しているのにすぎないのだが、茂木がかしこまっているのをいいことに、なぜさも自信満々にそう発言してみせたのか理解に苦しむところだ。

 そもそも茂木が自身の言動を反省しておわびをしているだけなのに、芸人連中の「俺たちの主張が正しかった」と勝ち誇って彼をサンドバッグにしているのはどういうことだろう。茂木が謝罪したからって、何ら彼らの主張が正しいという客観的な根拠が得られたわけでは当然ない。

 だいたい茂木が謝罪したからと言って「日本の地上波テレビとお笑いはオワコン」問題に終止符が打たれたわけではない。むしろ現在進行形の問題としてあるのだ。

 日本共産党の機関紙で週1回発行の「しんぶん赤旗日曜版」5月14日号にて、社会風刺を得意とするコント集団「ザ・ニュースペーパー」のリーダーである渡部又兵衛(わたべ・またべえ)のインタビュー記事が掲載された。渡部はインタビューで、自身が演じる「カゴイケ前理事長」のコントがテレビ番組の収録まですませたにもかかわらず「お蔵入り」となった件を話している。カゴイケ前理事長が首相と久しぶりに会い、お互い妻で苦労しますね…と慰め合うコントだ。

 ご承知の方も多かろうが、国会で安倍晋三首相が籠池泰典氏を(その教育方針を当初は絶賛しながら)「知らない」と言い張ったことをネタにした作品である。これをテレビ局の人が面白がって収録までしたのだが、放送当日にお蔵入りの電話をしてきたというものであった。芸人を愚弄するものとして、私はこの顛末(てんまつ)に怒りを禁じえない。若林や吉村や橋本は、茂木よりも日和見に走ったテレビ業界に対して満腔(まんこう)の怒りを上げるべきであろう。

 「しんぶん赤旗日曜版」のインタビューにて、渡部はこうも言っている。

 

「戦争になる前が典型ですが、国が一つの方向に走り始めた時、お笑いや芸人は真っ先に排除されます。今そんな危うさを感じています」

 

 時あたかも、安倍自公政権は「現代の治安維持法」と悪名のささやかれる共謀罪法案を、衆院法務委員会で採決しようとしている。あわせて安倍首相は70年間日本社会の発展を支えてきた日本国憲法に手をつけ、本来国家を縛る性格のものである憲法を国民の基本的人権に制限をかける前近代的なものに変えようとしている。

 そんな社会に変貌を遂げれば、確かにお笑いは「オワコン」どころか存在そのものを消滅させられる危機を迎えよう。国家権力におもねり弱い立場の国民ばかりを攻撃するお笑いとして生き延びるなら話は別であるが。

 そうした未来を迎えないためにも、まずは権力に何一つ逆らえず茂木を叩くしか能のない芸人を好き勝手にしゃべらせるという、日曜の夜におぞましい番組を放送した「しくじり先生」に対し、私は厳しく抗議と批判の意を表明するものである。

(文中敬称略)

「絶対!カズレーザー」#5(テレビ朝日系、5月1日放送分)

 今回の放送前に、メイプル超合金カズレーザー冠番組「絶対!カズレーザー」のホームページをのぞいてみたのだが、内容を知って少し目まいがした(大げさ)。「意味深」というタイトルのクイズ企画にカズレーザーが挑戦する、という内容だったからである。

 もうね、企画の立て方が安易すぎるんじゃないかね。私が書くまでもなく、カズレーザーと言えばこの1年間、「クイズプレゼンバラエティーQさま!」「くりぃむクイズミラクル9」「クイズタイムショック」(いずれも朝日系)など数々のクイズ番組で輝かしい実績を積み重ねてきた芸人である。

 もはやクイズ番組と切っても切り離せない関係にあるカズレーザーだが、この冠番組の趣旨は彼にあれこれやらせて、新たな魅力を引き出そうというものだったはずだ。そうなれば、普段腐るほどやっているクイズからできるだけ離れて企画を練るのが制作者の気概ってものだと思うが、放送5回目でクイズって早っ!! としか思えないですわ。

 クイズの内容は「森羅万象、物事すべてに意味がある」というコンセプトから、天の声でありクイズ番組でカズレーザーのライバルでもある宮崎美子が彼に出題するというもの。俳優の藤岡弘、の芸名の「、」はなぜ付いているのか、プラスネジよりシェアの少ないマイナスネジの利点はどこかなどをカズレーザーに答えさせた。

 このクイズの出題内容自体、特に目新しさは感じられない。「お願い!ランキング」(朝日系)の企画でバイきんぐ小峠や朝比奈彩など、芸人や女性タレントが数人でワイワイ言い合いながら設問を解く感じでありそうな企画だ。

 実際、クイズに臨んだカズレーザーもあまり手こずることなく淡々と答え、5問中4問正解をマークする好成績を残した。カズレーザーのクイズの強さは、その膨大な知識量もさることながら、ロジックを駆使して正解に近付く推理力にあると私はみている。その点で「あるものがこうある理由は」というタイプのクイズは、合理的な思考のできるカズレーザーにとっては特に難問でもなかったろう。

 いろいろ書いてはみたが、傍から見れば今回のクイズ企画は失敗だったというのが私の見立てである。1問正解ごとにカズレーザーには今回のギャラが加算される(事前に回答した東大生の正答率×100)システムだったが、不正解だとゼロにリセットされるなどのペナルティーも課されなかったので、中途半端さだけが残った。

 クイズ企画をどうしてもやりかたったのなら、せっかく宮崎をキャスティングしたのだから、カズレーザーとガチンコのクイズ勝負をやれば良かったように思う。実際、カズレーザー自身が「しゃべくり007」(日本テレビ系)で自分の実力を「宮崎さんとは五分五分」と分析していたのだから、それに乗っかればよかったろうと思うのである。

 とはいえ番組終わりのテロップから「意味深」のクイズ企画は続行されるもよう。今後、なし崩し的に「絶対!カズレーザー」でクイズ企画が乱発される悪寒がしている。クイズ界の若き帝王カズレーザーに、無名ながらクイズの腕に覚えのある芸人やタレントが次々挑戦する…みたいな。そういったお手軽で視聴率を稼げそうな流れに安易に身を任せる番組づくりは、いち視聴者にすぎない私がおこがましいと思うができるだけ避けてほしいと心配している。

「絶対!カズレーザー」(テレビ朝日系)

 個人的に2017年春クールの深夜番組で最も注目していたのがメイプル超合金カズレーザーの初の冠番組「絶対!カズレーザー」だ。

 とにかくカズレーザーは、昨年春の「Qさま!」(朝日系)のクイズ大会において初出場初優勝という衝撃デビューを飾って以来、ロザン宇治原の好敵手として番組を牽引する存在となった。またテレ朝深夜の老舗帯番組「お願い!ランキング」では「カズレーザークリニック」「レーザー読書」と2本もの冠コーナーを得るなど、まさに若き「ミスターテレ朝」というべき実績を積んできた。

 そんなカズレーザーが年度も変わり、まさに満を持して冠番組を持つことになった。この1年間じっくり付き合ってきたテレ朝スタッフとの共同作業ということもあり、私は初回放送を心待ちにしていたものだ。

 しかしフタを開けて、本放送を見てみれば…かれこれ本放送は3回分を終了した。それらすべてリアルタイムで目を通した上で書くが、ぶっちゃけ面白いともカズレーザーのポテンシャルを引き出したとも言い難い出来の内容が続いているというのが、正直な感想だ。

 まず記念すべき初回は2週連続で、カズレーザーが町でうわさされる奇人変人とじっさいに会って対話し、奇人変人か凡人かを相方の安藤なつとともにロケして確かめるという内容であった。これがどうにも、個人的な感想の範囲で言えば跳ねなかった。

 カズレーザーが会う人会う人、どうにも見た目から奇人変人と言われることを意識したような奇抜なルックスの人ばかりだったためである。見た目も中身も奇人変人と言えば、就職試験に金髪と赤い服で臨んだカズレーザーその人が当てはまるわけだから、彼が聞き手になってはどんなインタビュー対象も見劣りしてしまうだろう。せめてルックスが普通で、言動が奇人変人の人であったならば、カズレーザーと対談する意義も出たし絵的なコントラストも利いたのではないかと思う。

 4月18日深夜放送の第3回は、がらりと趣向を変えてのスタジオ収録となった。加えて相方の安藤は不参加で、カズレーザーのアシスタントは昨年M-1グランプリファイナリストとなった相席スタートの山崎ケイが務めた。

 内容は10人の女性新人タレントを集め、カズレーザーに「美人かブスか」を判定してもらうというものであった。これも冒頭の企画説明を聞いて「ああ…」と残念に思った口だ。果たして、実際見終えた後も「どうにかならんもんかね~」とスリムクラブ内間のようなボヤキを口にしたくなった。2010年M-1最終決戦で、真栄田に「民主党ですか?」と言われるやつねw

 何しろ女性芸能人のルックスを美人かブスか、で判断を下す企画自体難があると思った。当然ながら女性蔑視と受け取られかねない企画の趣旨があるということと、芸能界で売れる要素をルックスだと断定した前提で番組を進めたことにも大いに疑問がある。

 イケメンだから売れるとは限らない、フツメンだから売れないとは限らない。ましてこの間、決して二枚目とは言えないルックスの星野源が歌えば紅白、ドラマに出れば助演男優賞獲得、本を出せばベストセラーという八面六臂の活躍を見せているのだから、今回の企画そのものが時宜を得たものではないように感じた。

 ふたを開けてみれば、カズレーザーが過去に「ハーフが好き」と公言していた通り、出場した女性唯一のハーフタレントである宮河マヤだけが「美人」認定されるという何の意外性も見当たらない結果となった。カズレーザーと女性タレントとのやりとりも、まあ「私、美人ですよね?」とタレント側に言わせるシステム自体に問題があったと思うが、カズレーザーが一方的に相手を「だからブスなんですよ」とやりこめてしまう展開になってしまい、後味の悪さは深夜番組とはいえ目に余るものがあった。「お願い!ランキング」内のコーナー「カズレーザークリニック」「レーザー読書」は非常にいいバランスで大学生や書店員と軽妙なやりとりをしていたので、どっちかのコーナーを冠番組にすれば良かったんじゃないの?という恨みが今のところ残っている。

 とはいえ無理やりいいところをピックアップするなら、相方安藤のいない状況下で、山崎とのMCも難なくこなしていたところだろうか。山崎は早稲田大学卒業の才媛であり、頭の回転の速さに定評のあるカズレーザーにとっては組みやすい相手だったかもしれない。そんなカズレーザーと未知数の芸人とのコンビの相性に思いを馳せながら、今後の番組の展開にヤキモキすることにしたい。

「LIFE!」#34(final episode、NHKテレビ3月9日放送分)

【プラス車掌】

 全メンバーへの「ありがとう」をプラス車掌(田中直樹)が送る後半戦。吉田羊とムロツヨシが差し入れネタで被ってしまったのが弱冠残念だった。

 それにしても最後、プラス車掌が内村光良に「LIFE!」を1年やりおおせたことを感慨深げに、かつ声震わせてお礼を述べていたのは謎の感動あったわwこのコントがあって最終回の感じが引き出たと思う。

【オモえもん】

 最終回。いつもの空き地でオモえもん(星野源)がさとしくん(ムロ)、ゆめかちゃん(石橋杏奈)、ゴリ山田(シソンヌ長谷川)、ムネオ(シソンヌじろう)を呼びつけて突然の別れを告げるのだが…。

 本家の「最終回」というと、どうしても空き地でジャイアンのび太が決闘するあのエピソードを思い出す。意識した演出ならば、なかなか渋い。しかし、こちらは同じ空き地のシチュエーションでもオモえもんがゴリ山田らを撃退するというねwしかもキレ方が理不尽ww

 そして「どこへでも行けるドア」をくぐるオモえもんが、さとしくんに別れを告げる…。すべてを見届けたさとしくんは、肩の荷がすべて下りたようにガッツポーズをする絵で第4シリーズの根幹をなしたシリーズコントは一応の終了をみた。まあ今後のシリーズで、いかようにも続編が作れそうなラストではあったが。

 オモえもんはうそ太郎と並ぶ今シリーズの中心打者、および星野の勢いを示すキャラクターだっただけに、6月に予定するという特番でも早速復活してほしいところではあるが。

【ドキュメント2017】

 40年後をモチーフにし、御年92歳になっても「LIFE!」の座長を務める内村のフェイクドキュメンタリー。この虚構世界では、星野源が76歳にしてオスカー&グラミーの受賞を果たしていたw

 個人的には、星野はグラミーやオスカーより「日本人初の歌詞でのノーベル文学賞」を獲得してほしかったね。ボブ・ディランの受賞も記憶に新しいし、「ノーベル文学賞取れそうで取れない」村上春樹のパロディーも考慮に入れてね、って感じで。

 しかし内村の池落ち→大型扇風機に煽られ納屋へ倒れ込んで荷物がすべて落下→ズタボロとなった内村が初回のアナウンスをするも、セリフNGがあって撮り直しを要求されて立ち往生するラストまで、いやあ大いに笑わせてもらいましたわ。50歳をとうに過ぎても水にぬれ、風に吹かれてしまいには段ボール攻撃を受けるw内村の姿勢には頭が下がるばかりだ。

 今回のコントを見て、私は内村にぜひドリフターズへ加入してほしい、そう思った次第です。ドリフの一番下っ端である志村けんが、腹をくくって金ダライだの屋台崩しだのに挑んだように、日本有数のコントグループであるドリフへ後輩の内村が手を差し伸べる絵は、ぜひとも見ておきたいというのが私の率直な立場だ。

「LIFE!」#33(NHKテレビ3月2日放送分)

【宇宙人総理】

 宇宙人総理・小暮(内村光良)の母親(樹木希林)が「総理大臣だからといって、何でもできると思ったら大間違いだよ」と伝説的なセリフを残した総選挙の回から1年半ぶりの復活。新作は記者会見場を舞台に、スコップ米大統領との日米首脳会談を終えた小暮総理が怪気炎を上げる。

 小暮総理が自身の意に沿わない報道をする記者(田中直樹)の排除を要求するなど、トランプネタかと思わせておいて、その実はわが国の安倍首相ネタだったというねwトランプの掲げる「アメリカファースト」に安倍首相が追随の姿勢を示したことは日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」でも批判されたが、この「宇宙人総理」では大手マスコミが大挙したであろう会見場内の記者たちも「ジャパンファーストじゃないんですか!」と小暮総理を指弾する。実際の記者クラブもこれくらい気骨見せて安倍首相を詰めろよ全く、と俺は見ていてニヤニヤしたw

 結局は小暮総理が伝家の宝刀である謎のビームを放ち記者陣を制圧。内閣報道官の小津える(西田尚美)もビームで追撃し、彼女も宇宙人なのかという新たな謎を残して名作シリーズの復活作は終了した。

 第4シリーズは終わり、今後は不定期放送となることが既に伝えられた「LIFE!」であるが、ぜひとも宇宙人総理の新作は出してほしい。そう素直に願える良作コントであった。

 ちなみに吉田羊が、メガネの記者役でこのシリーズ初登場を果たしている。あと前回まで小暮の側近を務めていた香取(星野源)は今回不在。前回の総選挙でイカ大王(塚地武雅)に選挙区選挙で敗れた影響ではという声もあったが、衆院選なら選挙区選挙で負けても比例代表で復活当選できるパターンがあるからね。「LIFE!」スタッフさん、もしご存じなかったようでしたら新作制作の際に参考にしてくださいw

【プラス車掌】

 2週にわたってプラス車掌(田中)がメンバーに「おめでとう」と祝福。ここで臼田あさ美の結婚に触れられた。あと星野のブレークを祝う際に3年前の同コントの映像が流れるのだが、星野のルックスが別人すぎて噴いたわw尺の都合で言わなかったのか言ってもカットしたのかは分からないが、個人的には「恋」がセンバツ行進曲に選ばれたことをプラス車掌に祝ってほしかったぜ。

【偽料理長からのアドバイス

 レストランのせわしない厨房の様子を多彩なカット割りで描写してみせる民放ドラマのような導入のうまさが、その後の展開のバカバカしさをよけいに引き立てる。拘束された本物の料理長(内村)と似ても似つかないルックスの偽料理長(塚地)の邪悪な笑顔がインパクト強くて、下手したらその後のコントの展開が頭に入らないところであったw

【ムロ待ち】

 ここでも臼田の結婚いじりが見られるとはなw黄金原さん(シソンヌじろう)は俳優のネクストブレイクランキングで2位をマークしたムロを祝福するのだが、山崎賢人など並み居るイケメン若手を抑えての2位に黄金原さんも「ブサイ…なのに」と本音を吐露してしまい、さらに1位は「LIFE!」の同僚たる星野源だったという2段オチが待ち構えていたというねw

 改めて「LIFE!」は、そんな実力派を抱えていた大型コント番組だったのだなと知る羽目になる。まあ結局不定期放送に切り替わるので、マー君や岩隈がいたのに優勝できなかったかつての東北楽天イーグルスを思い起こしてしまうのだがw

【営業マンジャムを売る】

 「LIFE!」内では比較的若者の役をやることの多いムロ(満41歳)が、バーコードハゲのかつらを被って「さばジャム」の営業に苦闘するサラリーマンを熱演。さばジャムってあれか、石川雅之の名作漫画「もやしもん」で紹介される「シュールストレミング」と同類とみていいのかね。試食するのをギリギリまでためらうムロ、終始事務的な態度に徹するスーパー店長の田中と両者の演技もコントを引き立てていた。

R-1ぐらんぷり2017決勝戦の感想その4

◆ファイナルステージ

サンシャイン池崎

 敗者復活から唯一の勝ち上がり。池崎はこれまでふかわりょう青木さやか、あばれる君と一世を風靡(ふうび)したピン芸人を多く抱える渡辺プロ所属であるが、優勝すれば同事務所から初のR-1戴冠(たいかん)となる。

 果たして今回のネタは、これまでもちょくちょく見かけることのあったデカい剣をモチーフにした1人コント。前回のトトロネタと同じく既視感はあるにはあったが、剣で額を割られてからの「マトリョーシカ!」など、初見じゃなくても素直に笑えるネタを惜しみなくぶち込んでいて好感が持てた。まさに集大成という感じのネタであった。

石出奈々子

 ジブリのヒロインっぽい女性が司会を務める通販番組のネタ。序盤は腕まくりとか笑いながらの寝転びなど前回の「再放送」を見させられている感があって「大丈夫か?」と不安になった。

 しかしその後は真珠のネックレスを売る際に「もののけ姫」のトーンで環境破壊への危惧を訴えるというひねりを加え、さらにそのネタの天丼をやると見せてさくっと切り上げるなど、構成の妙に将来性を感じた。ゆえに、これだけ多彩なネタ展開をできるなら、ジブリヒロインじゃなくて他のキャラでのネタを見たくなるといううらみが残った。

アキラ100%

 「絶対に見せないde show」の2本目。まずこのネタチョイスに驚かされた。激戦のCブロックを勝ち上がったアキラ100%は、芸人人生を決めるこのファイナルステージで出世作である「丸腰刑事」を絶対やるであろうと思っていたからである。

 それでもふたを開けてみれば、Cブロックよりも多彩な見せ方できっちりと爪痕を残してみせた。股間のお盆をキープしながらのお手玉は、無事成功した際に私も「あーよかったー」と安堵(あんど)のため息をついたほどである。麻雀パイを積むネタはその絵面の地味さに反して非常に難易度が高そうで、客席から「怖ーい」との声も上がった。一瞬「余計なこと言うなよ」と思ったが、俺もお手玉のネタを見て「あーよかったー」と声に出したから人のことは言えないw

 それでも苦言を呈するなら、ラストのピタゴラスイッチネタだろうか。これは風船が股間に確実に来たタイミングでお盆を外したので、ネタとして成立していない気もしないでもない。ただカメラがアキラ100%を斜めからとらえるカメラワークだったので、彼も生放送ゆえ慎重を期したのかもしれない。ピタゴラスイッチネタのときは正面からのカメラワーク固定で、アキラ100%にやらせたかったなと思った次第である。

 

 個人的な採点は池崎1、石出0、アキラ2。

 100点満点で言えば池崎90、石出89、アキラ92。

 果たして実際の審査結果は、視聴者投票でも60%と圧倒的な支持を勝ち得たアキラ100%の初優勝と相成った。この厳然たる結果をもって、アキラ100%はテレビ演芸界に革命を起こしたと言ってもいい。裸踊りという、まさに古典的でありながらコンプライアンスにまみれた芸を実力でテレビ業界に認めさせたのだから。

 

 そして決勝戦全体を通して鮮烈な印象を残したのは、Cブロックのブルゾンちえみである。彼女はブロック出場者全員のネタが終わり、出場者そろい踏みの際に緊張が解けたのか「ネタ飛ばしちゃった…」と嗚咽を漏らしてしまう。その姿に百戦錬磨の司会キャリアを持つ雨上がり決死隊宮迫博之も「大丈夫や」「いろいろ伝説残したな」と声をかけるほかなかった。

 ブルゾンについて言えば、素人の俺が激励するのもおこがましいとは思うが「これまでがうまく行きすぎていたんだよ」というほかない。このR-1決勝放送の前日、ブルゾンは「しゃべくり007」(日本系)に出演し、大先輩であるくりぃむしちゅーネプチューンチュートリアルに自身のネタを伝授していたのだが、指示している彼女を見て「しんどそうだな、疲れてんじゃないの?」と思わせる節があった。

 R-1後に放送された「行列のできる法律相談所」(日本系)では世界的ミュージシャンのエド・シーランの突然の訪問を受けるドッキリにかかるのだが、対面前のコメント撮りでエドを「イケメンではないけど…」と話してしまい、それを通訳されたのを後で知って「何でそんなこと言ったんだろう…」と本気で落胆してしまっていた。

 今回のブルゾンのR-1初決勝は、自身の思惑を超えての大ブレークに悩まされ、生放送で号泣という一見最悪の結果を招いた。しかしブルゾンはいまだ芸歴2年である。今回の貴重な経験を奇貨とし、ぜひともR-1ぐらんぷり2018ではすべての恩讐を乗り越え、今度はうれし涙での優勝を果たしてほしい。そうしたドラマを来年に引っ張った点で、非常に実りある今年のR-1だったと私は思っている。