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サンドウィッチマンは21世紀の萩本欽一?前編

ごぶさたしております。
今回からしばらく、都合によりスマホから記事を書くことにします。よって、少々これまでとは感じが違うかもしれませんが、ご容赦ください。
先日、ラリー遠田氏のコラムで「BIG3の次の『お笑い界のボス』は誰だ?」的なことが書かれていました。記事ではダウンタウン松本人志が頭抜けているとしつつ、私にとって非常に目を引くくだりがありました。
松本や有吉弘行といったこの手の記事にいかにも出そうなメンツにまじって、サンドウィッチマン伊達みきお富澤たけし)の名前があったからです。サンドの二人が「お笑い界のボス候補」なんて意外に思えますが、個人的には何ら不思議ではないと思います。
なぜかと言えば、最新の好感度タレント調査(今年2月実施)でサンドウィッチマンは「4位」をマークしていたからです。上は1位からマツコ・デラックス阿部寛明石家さんま、そしてサンド。つまり芸人に限れば、サンドは長らく好感度タレント上位をキープし続けるBIG3の一角、さんまに次ぐ2位というわけです。
これはかなり衝撃的なデータと言ってよいでしょう。2007年のM-1チャンピオンという肩書があるとはいえ、かつては強面が災いしてかなかなかNHKに出られなかったサンドが、いつの間にか好感度タレントの天下取りへ後一歩のところまで登り詰めていたのですから。何だか大げさに書いている感じですが、それだけ私は好感度タレント調査の結果に驚きを禁じ得なかったわけです。
ラリー遠田氏が好感度タレント調査の結果を念頭に置いて前述のコラムを書いたのかは分かりませんが、この間のサンドはよくテレビに出ています。テレビ朝日だけでも「帰れマンデー」「10万円でできるかな」「イッテンモノ」に出演。CMも声の出演ながら武田信玄上杉謙信に扮して「高齢者に進言を!」「早めに検診を!」などと印象深い。
彼らの活躍を目の当たりにし、好感度タレント4位というデータを見ているうちに、私は「サンドウィッチマンこそがポストBIG3では?」とおもうようになりました。なぜかと言うと、彼らは「萩本欽一」に似た雰囲気を持っているからです。
その点については、次回詳しく書こうと思います。

高畑勲さんをしのぶ

 アニメーション映画監督の高畑勲さんが亡くなった。82歳。

 訃報が伝えられた6日、私の日中の虚脱感は自分でも驚くほど大きかった。特にショックを感じたのは、高畑さんのwikipediaをつらつら読んだときである。

 監督として手がけた映像作品の一つに「セロ弾きのゴーシュ」があると知って、心の中で仰天した。中学時代、学校の授業で視聴したからである。ただ当時は「これ宮崎(駿)アニメっぽいな~」と思いながら見ていた。

 当時の私にとっては、高畑さんは「ナウシカのプロデューサー」という程度の認識しかなかった。ご本人もアニメ演出や脚本を手がける人とはつゆ知らなかった。「火垂るの墓」を「金曜ロードショー」で見る少し前の話である。

 あの中学時代に見た「セロ弾きのゴーシュ」が高畑さんの作品だったのか…そう気づくと、虚脱感に拍車がかかった。そんなことも知らずに俺は30年近く生きてきたのか…と思ったのである。気にしすぎと思われるかもしれないが、それだけ私にとって高畑さんの死はショックだったのだ。

 高畑さんの作品で忘れ難いのは、まず小学時代に見た「じゃりン子チエ」だ。これもリアルタイムでは高畑さんの監督だとは意識しなかったが(エンディングのテロップで「高畑勲」の名前は認識していた)、まあ面白かった。

 特に最終回はインパクト大。主人公チエちゃんの母親ヨシエさんが「やめなさい!!」と絶叫するクライマックスよ。放送の翌日、級友がヨシエさんのものまねをしていたのを思い出す。日本アニメの歴史で最も印象に残る最終回の一つと言って良かろう。

 そして「火垂るの墓」である。物語そのものは戦争直後の話だが、節子が衰弱死していくラストを見ながら「戦争って、何もいいことねえな」という思いが胸に刻まれた。

 私は高校、大学にかけて戦争の実相を学ぶ平和教育や市民による反核・平和を求める運動に興味を持ち、関わりを深めていくのだが、そのきっかけの一つが「火垂るの墓」だと言ってよい。高畑さんは「火垂るの墓」を「反戦ドラマのつもりで作っていない」と生前語ったが、私のような考えを持つに至った人は相当多いのではなかろうか。

 私が高畑さんの訃報を知って驚くほどの虚脱感に見舞われたのは、自分の半生に大きな影響を与えられたからだろうかと思っている。

 

 高畑さんは映画人九条の会の代表委員として改憲反対を訴え、かつ国政選挙等での日本共産党の応援メッセージを寄せていた。それだけでなく、高畑さんは日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によく寄稿していた。

 2016年9月13日付「しんぶん赤旗」では、高畑さんがアーティスティック・プロデューサーを務めた「レッドタートル」(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)公開に寄せてという名目でエッセーを載せている。高畑さんはマイケル氏の作品「岸辺のふたり」を「何度見たかわからない」というほどのファンで、彼から送られてくる「レッドタートル」の台本などに対してさまざまな提案をしたという。

 エッセーでは、初号試写を見届けた高畑さんは「深い満足感を覚えた」と述べつつ、マイケルに「あらためて尊敬の念を深めた」と書いている。フランスで日本よりも早く追悼番組の放送が決定されるほど世界に名をとどろかせた高畑さんの、謙虚な人柄を感じさせる文章だ。東京大学で仏文学を専攻していただけあって、素人目に見ても文才が高いんだよ。

 そんなわけで、今後は高畑さんの生前の業績を再評価する動きが高まるであろうが、個人的には彼の書き残した文章を「マルクスエンゲルス全集」みたいにまとめてくれないかなと希望している。著書や「しんぶん赤旗」など各媒体に書いた記事は言うに及ばず、宮崎駿と在籍した東映動画労組時代に作成した署名文書とかねw

 高畑さんの残したものを研究することは、すなわち芸術としてのアニメの世界的な発展に少なからぬ寄与を果たすことにつながるだろうと思う。そんなことを考えつつ、改めて、故人の冥福を祈りたい。

R-1ぐらんぷり2018決勝戦の感想その6最終回!濱田祐太郎優勝!!

◆ファイナルステージ

おぐ(Aブロック勝者)

 出だしのウケ具合は、今大会決勝の瞬間最大風速と言ってもいいだろう。薄毛のおじさんが女子高校生姿になるという導入は、ファーストステージの記憶を念頭に置いた上でもインパクト十分の面白さがあった。頭を抱えて「毛が抜けていない」というギャグの被せも「なるほどね」とニヤリとさせるものがあった。

 ただ入れ替わったおじさんが非常に人柄のいい人物であったため、必然的に笑いにつながるポイントが分かりづらくなっていった感じだ。DVDの趣味が女子高生と一緒ということで「よし!」というおじさんのくだり、冷静に考えたらそんな笑えるところでもないし。あとオチも投げっ放しが過ぎるわなと思った。

 とはいえ、前半のウケっぷりがすごくてその貯金があったので、このネタを見た時点で「今年はおぐが行くかもな」と思った。昨年のM-1は最終決戦トップのとろサーモンが優勝したし。

 個人的な採点は100点満点中92点。

ゆりやんレトリィバァ(Bブロック勝者)

 おそらく歴代トップ回数と思われる通算3回目の最終決戦。「THE W」との2冠という悲願を狙うゆりやんのネタは、見ていて「???」が頭に並ぶ実験的なネタだった。

 「エスカレーターの終わりで立ち止まらないでください」など、ゆりやん得意のあるあるネタの変形かと思ったが、徐々に「それあるあるか?」とネタのスタイルが崩れていく。ラストの「おしっこ漏らさないでください」は「ええ…」と聞いていて戸惑った。そのネタの合間を渡辺直美もかくやというような激しいダンスでつなぐ。まあ単独ライブでは盛り上がるネタかもしれないが(ダンス時のBGMは秀逸だった)、これ賞レースの最終決戦でかけるようなもんじゃないぜwそれだけは言わせてくれよ。

 個人的な採点は100点満点中90点。

濱田祐太郎(Cブロック勝者)

 決勝常連マツモトクラブとのしびれるような接戦を制した弱視漫談家が、お笑い界の歴史を変えに最終決戦に挑んだ。つかみは「優勝賞金で3Dテレビやプリウスを買いたい」と、この決戦への姿勢を感じた。

 ネタは自身が通った盲学校(特別支援学校)について。ファーストステージに比べると見る側の知識を共有しづらいネタであったが、駅のホームに今や必ずある点字ブロックが盲学校になく「どんだけスパルタ教育!」とつないだところで軌道に乗せた。後はファーストより滑らかな口の動きを感じ取り、安心して聞けた。途中、後に本人が振り返ったように噛みまくる場面も確かにあったが、それも気にならないくらいしゃべりが達者だった。ラストの先生の「心の目で見ろ!」へのツッコミも2段階に分けるなど、構成の巧みさも感じた次第だ。

 個人的な採点は100点満点中93点。

 私が審査員として、持ち点3票をどう投じるかについては濱田2、おぐ1、ゆりやんとした。優勝者の予想は「瞬間最大風速のすごかったおぐかな」と思っていた。

 

 果たして実際の審査結果は?

 お茶の間d投票は濱田が67%でダントツ1位。この数値は当分破られないだろ…とため息をついた。

 そして桂文枝関根勤久本雅美陣内智則、ヒロミの投票を加えた審査結果は濱田12、ゆりやん5、おぐ4。濱田祐太郎の初優勝が決まった。

 それにしても優勝決定後の濱田のリアクションよ。「取るな!取るなよ!」に始まり、優勝コメントを優等生的に短く終わらせるつもりなどさらさらなく「本当は7回目の挑戦でした」などとぶっこむあたりは空恐ろしさすら感じた。

 まさにお笑い界の歴史を変える王者が誕生した瞬間に立ち会った、と断言していい。濱田祐太郎さん、R-1優勝おめでとうございます。溝口幸雄さんのガイドヘルプも素晴らしく、お笑い界にとって忘れられない場面となったであろう。

 

 終わります。

R-1ぐらんぷり2018決勝戦の感想その5

◆ファーストステージ

Cブロック

紺野ぶるま

 昨年の敗者復活2位、今年はストレートで2年連続のファイナリスト。昨年末の「THE W」決勝進出者でもある。

 2度目のR-1決勝の舞台で見せたのは「THE W」をオーバーラップさせるような、恋人との別れ話ネタ。見初めは「またこれか…」という思いを抱いたが、紺野の「体調が良くなってきて…」というセリフのくだりで「おっ」となった。なぜ「おっ」となったのか自分でもよく分からないのだがw、その後の言動がいい感じで笑いのポイントを突いてくれた感じだ。「大自然の中でこうちゃんがちっぽけに見えた」とか、準決勝で爆発したという「二軍のサッカー選手」とか「THE W」のネタに比べると洗練されていたと思う。しかしBGMは「THE W」と一緒だったが、あれ誰の何て曲なんだろ。

 個人的な採点は100点満点中89点。

霜降り明星 粗品

 アマチュア時代からその独特なフリップネタでR-1の若き強豪と目されていた粗品が、ついに決勝でベールを脱いだ。実は私は彼のネタは初見であった。Bブロックでは相方のせいやが敗者復活を勝ち抜いただけに、粗品も大いに気合が入っただろう。

 果たしてネタは「ツッコミカルタ」。もともとは高速でフリップをめくるネタで知られていた粗品だが、それにカルタの要素を入れてアレンジしたらしい。ここで私は個人的に「?」となってしまった。カルタなら地べたに何枚も並べて「ハイ!」とやるやつをどうしても想像してしまう。それが普通に台に立てたフリップをめくるから「これがカルタ?」と違和感が生じてしまって、ちょっと集中力がそがれた。

 ネタそのものも「バク買い中国人」などは笑うというより「ああ~」と納得してしまい、その上で「面白いかというと、あんまり…」と覚めてしまうのが多かった。相田みつをが書かなそうな言葉をちょいちょいはさむのは笑えることは笑えるが、やはり小手先の笑いという印象。若いわりに変化球に頼るタイプだなーと思った。

 個人的な採点は100点満点中90点。

・マツモトクラブ

 ファイナリスト最後の出番に来たのは、敗者復活ステージ1位でゆりやんとおなじく4年連続決勝進出となったマツクラ。どうやら敗者復活戦にかけたのとは違うネタらしい。

 初決勝(敗者復活2位)の2015年を思い出させるストリートミュージシャンのネタ。流しで歌う若者の前を横切る父親…という切り口はマツクラらしい斬新(ざんしん)さがある。司会の雨上がり決死隊・宮迫が言及していたが、舞台の裏を必死で走っているだろう姿の想像も込みで、前半は非常に面白かった。

 ただし後半がなあ。父親がダンサーだったという過去をどう料理するかが肝だったと思うが、そのネタバラシがタップダンスというのは意外性に乏しい。マツクラのネタは私ども視聴者の側も見慣れてきただけに、たとえばダンスはダンスでも盆踊りとか(それが面白いかはともかく例えとしてね)裏切りが欲しかったところだ。オチの「カツカレー」も個人的にはイマイチだったな。

 個人的な採点は100点満点中88点。

 

 審査員の採点結果は濱田8、マツクラ8、粗品5、紺野0。

 濱田とマツクラがBブロックに続いて同点となったが、お茶の間d投票で上回った濱田(1位、マツクラは2位)が勝ち抜け、しびれるようなたたかいを制した。

 ちなみに私が審査員なら濱田2、粗品1、紺野とマツクラは0。

 

 結果発表中に、紺野が隣の濱田に逐一状況説明している姿がネットニュースになるほどの賞賛を呼んだ。「紺野は当然のことしたまでだろ」てな意見も散見されたが、やはり自発的にああやって世話を焼くというのは難しいと思う。

 私が町を歩いていて、視覚障害のある人が立ち尽くしているところを見たとしよう。そこで私は一歩踏み出して「どうしましたか?」と声をかけられるかどうか。向こうから声をかけられたら応じるが、いざ自分から踏み出せるかは自信がない。そう自分に置き換えてみると、やはり紺野の行動は賞賛に値すると考えるのである。

 

 続きます。

R-1ぐらんぷり2018決勝戦の感想その4~濱田祐太郎「衝撃デビュー」!

◆ファーストステージ

Cブロック

濱田祐太郎

 昨年秋のNHK新人お笑い大賞決勝に進出した、弱視の若き漫談家が初めてのR-1決勝舞台に挑んだ。このファーストステージ、ガイドヘルプ(同期芸人の溝口幸雄)に手を引かれての濱田の登場シーンは、いささか気が早いながらも今年のお笑い界最高の名場面に推したいと思う。M-1に比べるといささかお祭り要素の強い賞レースの印象があるR-1だが、長めに流されるBGMの中で出てきた濱田、その彼の腕をぐっと押して去る溝口の姿には会場の観客もピリッと緊張したろうし、録画を見ている(リアルタイムでは見られなかった)私も体に力が入った。

 つかみがすごかった。自己紹介をしたときの観客は確実に思い雰囲気だったが「観客0人かと思った」の一言で一気に濱田は自分のペースをつかんだ。果たして漫談の内容だが、ネタそのものにはまだ粗削りな部分を感じた。ダーツのくだりでの「ダ、ダ、ダ、ダーツ?」などはもっといいフォローセリフがあったのでは…などと素人考えをした次第だ。

 しかし最終的には、彼の確かな発声と丁寧なネタ振りができる話術にどんどん引き込まれた。白眉だったのが「盲学校の修学旅行」のくだりだろう。

 盲学校の説明で、濱田は「目の悪い子たちが通う」などと言っていたが、私はへえ、と思わされた。「盲学校」という言葉に引っ張られて、生徒たちはみな目が見えない、全盲の子たちなのかなという先入観があったのである。実際は左目は見えないが右目は明暗を確認できる程度に見えるという濱田のように、視覚障害の程度も生徒それぞれ違うのだろう。その実態を濱田は「目が悪い」の一言で説明していたので、なるほどという納得とともに「それでそれで?」とその後の漫談の展開が知りたくて引き込まれた次第だ。そういう導入の確かさがあって、「二度見」というパワーワードの威力は増大していたと思う。ゴールデン帯において、衝撃デビューと言ってよい濱田祐太郎の漫談であった。

 個人的な採点は100点満点中91点。

 

 続きます。

R-1ぐらんぷり2018決勝戦感想その3

◆ファーストステージ

Bブロック

河邑ミク

 今大会最年少ファイナリスト。昨年末の女性芸人日本一を決める王座「THE W」では惜しくも準決勝敗退(決勝リザーバーの1組に選出、もう1組はガンバレルーヤ)に終わったが、R-1で見事に初決勝の座を勝ち取った。

 ネタは「THE W」でもかけ続けていたレンタル彼女サービス。設定そのものに斬新さがあるわけではないが、とにかく演技力が卓越していて、引き込まれる。サービス中の声色とサービス終了後の声色の使い分け、表情の多彩さ、札束を数えるジェスチャー中の指の動きなどは目を見張るものがあった。オチはまあ読めたが、相手男性が追加サービスを多めの額で出してきたという前振りがあったので、伏線もきちんと回収したという点で悪くなかった。

 先も書いたが、演技力のある彼女は芸人というよりコメディエンヌという肩書が似合うと思う。1人コントよりも、集団コントで実力を発揮するタイプではないだろうか。よって個人的には、内村光良の「LIFE!」とか志村けんのコント特番に出てほしいと思っている。

 個人的な採点は100点満点中90点。

 

・チョコレートプラネット長田

 キングオブコント2014準優勝コンビ。ここ数年は相方・松尾のIKKOものまねの向こうを張った和泉元彌ものまねで顔を売っていたが、得意の小道具ネタで初のR-1ファイナリストに。

 ネタに関しては、前半は文句なく面白かった。安全バー、安全ショルダーバー、そしてオチにつながる「ディメイキッド」のくだりなど。途中で勝手に安全ショルダーバーが外れるところなどは笑うとともに感心したくらいだ。

 ただ、後半が前半に比べて面白さに伸びがなかったかなと。見ている側としては「はよスタートすればいいのに、どんなアトラクションか気になるわー」思いながら見てしまったし、終盤につれてやたらバタバタしている印象だけ残った。アナウンスも「なきしめる」はまだ良かったけど「息吹を吹き込む」はイマイチな感じがしたしね。

 個人的な採点は100点満点中89点。

 

ゆりやんレトリィバァ

 4年連続、しかも敗者復活なしで全ストレート進出でのファイナリスト。昨年末の「THE W」を制し、文句なしの大会優勝候補本命として2冠に挑んだ。気鋭の女性芸人が今回かけた勝負ネタは「昭和の映画女優」ネタだ。

 つかみがすごい。私の体感だと、登場から30秒ほどはずっと無言じゃないか。ためにためてのあの第一声、これ聞いて「あ、このネタ絶対面白いわ」と確信したほどだ。

 少し横にそれるが、BGMは1969年に第1作を上映した「男はつらいよ」だったが、ゆりやんの衣装やしゃべりを見聞きしていると、モチーフはもうちょい前、1950年代の戦後間もなくの頃の映画を彷彿(ほうふつ)とさせる。岸恵子さんとか有馬稲子さんとか、おませで活発な女性をよく演じたイメージの女優さんね。

 閑話休題。木に登るくだりは少々不要かなとも思ったが、昭和映画の演出ぽさを出したかったのかな(木に登る途中でなぜかゆりやんは服のすそを引っ張り上げるのだが、これはよく意図が分からない)。しかし鉄板ともいえる早口言葉崩しや、序盤から出てくる「あたしも連れてって」のフレーズがオチにつながるなど、ネタの構成もよく考えられていた。「THE W」でのドラえもんネタよりも私はこのネタを評価する。

 個人的な採点は、100点満点中93点。

 

霜降り明星 せいや

 敗者復活ステージ2位。相方・粗品(Cブロック)の後を追い見事に、R-1史上初めてコンビそろってのファイナリスト入りを果たした。

 この人のネタは、ブリッジに尽きる。身もふたもないことを書くがwブリッジ中の無駄な動きのキレとか、妙にナイナイ岡村を思い出したわ。Bブロックは正統派のネタがずらりと並んでいたから、こうしたすがすがしいまでの一発芸の連打はボールになる変化球に見えて、何だかバットを振らされる感じでついつい笑わされてしまった。ただ武田鉄矢ネタの繰り返しはダメだろ。

 個人的な採点は100点満点中91点。何だか高く付けた気もするが、「THE W」での押しだしましょう子みたいな感じでつい点数つけたくなる感じなのよな。

 

 そしてBブロックの審査結果は河邑0、長田10、ゆりやん10、せいや1。お茶の間d投票でより多くの支持を得たゆりやん(1位、長田は2位)が勝負を制し、2年ぶり3回目の最終決戦進出を果たした。ちなみに私が審査員の場合ゆりやん2、せいや1、河邑と長田が0。

 

 続きます。

R-1ぐらんぷり2018決勝戦感想その2

◆ファーストステージ

Aブロック

・おいでやす小田

 3年連続ファイナリスト。過去2回は直前の出番だったハリウッドザコシショウアキラ100%に優勝をさらわれるというありがたくないジンクスを払拭(ふっしょく)できるか。

 ホテルマンコント。宿泊客のどうでもいい電話に右往左往させられ、R-1決勝の舞台ではおなじみとなった小田の目をひんむいての絶叫が繰り広げられる。

 設定はオーソドックス、展開もシンプルなだけに、突き抜けた笑いが欲しかったところだが、宿泊客・オザキさんの電話の内容が微妙に「ああ、あるよね」て感じのものだった。書店員をしていた漫画家・久世番子の作品では、カウンターに来た客の「けさテレビで紹介されていた本、どこにある?」という注文があったという。この手の注文は奥深く、ゆえにオザキの注文と小田のキレ絶叫とのバランスが悪かったように感じた。「ドライヤーを見つけられないのに天井のシミを見つける」くだりはさすがに面白かったが。

 個人的な採点は100点満点中88点。

 

おぐ

 ハリウッドザコシショウアキラ100%ら2年連続王者を輩出したソニー所属で、4年ぶり2回目のファイナリスト。ヒットアニメ映画「君の名は。」の設定(とRADWIMPSの音楽)を拝借して、くたびれた薄毛のおじさんと中身が入れ替わってしまった女子高生を演じる。

 おじさんの体になってしまった彼女の絶望感を、おぐはうまく笑いを交えて表現していた。女子高生は、おじさんの身の回りの持ち物などを見て「ハゲのおじさんはキモい」という偏見を乗り越えていくのだが、ちょっとその辺の説得力が不足していたかなと。DVDのコレクションが普通のラインナップのところとかね(これは理由のある設定だったことが後で分かるのだが)。たとえばおじさんが大学教授とか世間的に立派な肩書の人で、自宅に届いている礼状とかを読んで女子高生が認識を改めるとか。そういう素人考えで、どこまで伝わるか分からないが、個人的には設定の面白さの割に後半イマイチだったなという恨みが残った。

 個人的な採点は100点満点中87点。

 

 実際の視聴者「お茶の間d投票」、審査員(桂文枝関根勤久本雅美陣内智則、ヒロミ)の審査結果はルシファー1、カニササレ3、小田6、おぐ11。

 おぐ過半数の票を得てAブロックを勝ち抜き、最終決戦進出。3年連続のソニー所属チャンピオンへ王手をかけた。小田はソニー芸人に負けるジンクスを継続中。

 ちなみにこのブロックで私が3票入れるとすれば、ルシファー2、小田1、カニササレとおぐは0。

 

 続きます。